ダイエーが出資比率51%に固執して交渉が破談し、ハンバーガーという未知の商品に関心を示す食品企業も少なかった。この業界の無関心が、外食経験のない輸入雑貨商・藤田田に対して、通常5%のロイヤリティを1%に抑え契約期間30年という破格の条件を引き出す交渉余地を与えた。参入条件の有利さ…
藤田田が1号店に銀座三越の国道1号線沿いを選んだ判断は、「銀座なら何処でもよい」という通念への明確な否定であった。藤田自身が語るように、三越の裏手では駐車場にしかならず、築地寄りに10メートルずれていれば1日150万円の売上は達成できなかったと推定される。立地選定は「都市」「地区…
宣伝部長・高木一夫の発言は、テレビCMへの広告投資が「蓄積」として効くことを前提に、広告蓄積のない地方への1店舗出店は非効率だと明言している。この論理は出店順序に不可逆性をもたらす。先に蓄積がある都市圏に出店し、その収益で次の蓄積を作るという循環構造が、結果として地方出店を後回し…
藤田田の逝去により藤田商店の株式が米マクドナルドに移った時点で、日本法人の経営権は米本社に帰属した。米本社が生え抜き幹部ではなく異業種の外部人材を選んだのは、経営能力の評価以上に、藤田体制30年の慣行と決別する象徴的な人事が必要だったためと推定される。「CEOは職種である」という…
100円マックで集客しつつ580〜719円のセットで客単価を引き上げるという二重価格戦略は、本質的に矛盾を孕んでいた。低価格帯で来店する顧客と高単価商品を選ぶ顧客は動機が異なり、ヒット商品が途絶えた瞬間に低価格帯への回帰が起きる。クーポン依存の常態化は、この構造的な不安定性の帰結…
直営店のFC転換売却は、経営効率化であると同時に、大量出店時代に蓄積した不動産資産の現金化でもあった。売却益171億円を売上高に計上する処理により、直営店売上が約半減していく構造変化が財務諸表上は見えにくくなった。2013年度に売却対象が一巡して業績が急落した事実は、資産売却を「…
上海福喜食品における使用期限切れ鶏肉の出荷は、日本マクドナルドが直接管理できないサプライチェーンの上流で発生した。米OSIグループの中国子会社という二重の海外取引構造のもとでは、日本法人による品質監査には構造的な限界がある。注目すべきは、この品質問題が単独で2期連続349億円の赤…