この決断の核心にあったのは、荷物の量を追うか、単価を守るかという単純な二択であった。数量至上主義から距離を置き、採算に合わない大口取引を切り離す判断は、短期的には取扱個数の急減という痛みを伴った。それでも佐川急便は、BtoB小口配送という創業以来の立ち位置に立ち返ることで、単価の回復という応えを得たと推察される。
もっとも、この選択がその後も安定した収益力につながった背景には、ネット通販市場そのものの拡大という追い風があったことも見過ごせない。荷主を選ぶ余地があったのは市場全体が伸び続けていたためであり、縮小する市場で同じ決断ができたかは別の問題であろう。量を追わない物流会社という佐川急便の輪郭は、この2013年の決断以降に定まっていったとうかがえる。