2013年の判断は、三つの時間軸が噛み合わないところで下されている。燃料費は月単位で出ていき、料金の改定には申請から認可まで半年近くを要し、原発の適合性審査には年単位の時間がかかった。九州電力が選んだのは、いちばん速く効く手段で当座を支え、いちばん遅い手段に収支の回復を託す組み合わせであった。値上げ幅が申請の8.51%から6.23%へ削られたことは、その当座の支えが査定によって決まる性質のものであったことを示している。
数字の置きどころによって、この判断の見え方は変わる。会社の側から見れば3,325億円の赤字と1,400億円規模の合理化であり、需要家の側から見れば1キロワット時あたり1円24銭、標準的な家庭で月およそ220円の負担増であった。立地地域の側には、250億円を超える電源交付金と500億円を超える固定資産税、そして人口の過半数に達した署名が並んでいる。値上げの実施から2年3か月後の2015年8月11日、川内1号機の原子炉が起動した。