ずっともプランで電力参入(2016年・東京ガスの決断)更新:2026/08/04東京ガス:業績の推移売上高(億円)営業利益率(%)データ出所電力小売全面自由化に合わせた家庭向け低圧電力販売への参入とガス・電気のセット販売2016年4月の電力小売全面自由化に合わせ、東京ガスが家庭や小規模事業所向けの低圧電力販売へ参入し、都市ガスとのセット販売で顧客を囲い込んだ判断。2015年12月24日に大手電力に先んじて総合エネルギーサービスプラン"ずっともプラン"を発表し、顧客の反応を受けて2016年2月1日には料金の値下げに踏み切った。何をなぜ決めたか:電力小売全面自由化に合わせた家庭向け低圧電力販売への参入とガス・電気のセット販売概要2016年4月の電力小売全面自由化に合わせ、東京ガスが家庭や小規模事業所向けの低圧電力販売へ参入し、都市ガスとのセット販売で顧客を囲い込んだ判断。2015年12月24日に大手電力に先んじて総合エネルギーサービスプラン"ずっともプラン"を発表し、顧客の反応を受けて2016年2月1日には料金の値下げに踏み切った。背景2014年6月11日に改正電気事業法が成立し、契約数約8,400万件・規模約7.5兆円の低圧市場が2016年に開放されることが決まった。同時に2017年4月には都市ガスの小売も全面自由化され、LNG調達で国内首位の東京電力エナジーパートナーが首都圏のガス市場へ参入してくることが確定していた。内容"ずっともプラン"は電気を多く使う世帯向けの3メニューと"ガス・電気セット割"で構成した。自社電源は130万キロワットから扇島の新設で160万キロワットへ広がり、300万キロワット規模までの見通しが立っていた。販売目標は5年後に東京電力管内の首都圏需要の1割とし、獲得の主力にはガス器具の販売・保安を担う東京ガスライフバルを据えた。いつ何が起きたか9件筆者考察考察考察:電気を販売することは、ガスを守ることであった新規事業として語られた電力小売への参入は、その裏返しとして、ガスの顧客を失わないための先手でもあったのだろう。ただ、その代償は初年度の数字にはっきり出ている。家庭向けへ広げた2017年3月期、電力セグメントの営業利益は前期の93億円から45億円へ縮み、連結営業利益も584億円まで減少した。獲得件数が予想を上回った一方で、都市ガスからは65万件超が離れ、大口分野では赤字での契約獲得になりかねないと内田高史社長自身が認めている。規制のもとで安定していた収益を、価格とサービスで毎年取り直す収益へ入れ替えた——電力参入の意味は、件数の多寡よりもこの入れ替えにあったといえる。Yutaka Sugiura, 2026年8月参考文献参考文献参考東京ガス プレスリリース 2015年12月24日「東京ガスグループの総合エネルギーサービスプラン『ずっともプラン』について」東京ガス 有価証券報告書(2016年3月期・連結)東京ガス 有価証券報告書(2017年3月期・連結)東京ガス 有価証券報告書(2018年3月期・連結)東京ガス 有価証券報告書(2023年3月期・連結)次に読む決断同じ問い:収益モデル転換と隣接展開1986年東燃ゼネラル石油東燃ゼネラル石油和歌山で電力卸売に参入経営会議の組織風土の立て直しと、遊休地を収益源に変える新規事業の立ち上げ1986年2016年ビジョナルビジョナルHRMOSの投入とSaaS多角化隣接市場への広がりによる成功報酬型からの収益源の分散2016年2017年日立建機日立建機豪ブラッドケンの買収鉱山機械への本格参入と、米H-Eパーツも交えた消耗部品事業の獲得2017年2013年マネーフォワードマネーフォワードクラウド会計への参入個人向け一本足からの脱却と法人向けという二本目の柱の確立2013年2012年関電工関電工銚子風力開発へ出資風力発電会社への資本参加による、発電事業そのものへの進出2012年東京ガスの意思決定1972年東京ガス東京ガス上尾を起点に熱量変更供給熱量の11,000キロカロリーへの引き上げと、首都圏550万件のガス機器の自社調整1972年2023年東京ガス東京ガス笹山晋一氏が社長就任社外が過半を占める指名委員会の審議を経た、5年ぶりの代表執行役社長の交代2023年×出所