ロッククリフの全株取得(2023年・東京ガスの決断)

更新:
東京ガス:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
米国でシェールガスを開発・生産する会社の完全子会社化2023年12月16日、東京ガスは米テキサス州・ルイジアナ州で天然ガスの開発・生産を手がけるロッククリフ・エナジー社の全株式を、約2,700百万米ドル(約4,050億円)で取得すると発表した。子会社TGナチュラル・リソーシズ社の生産量は約330百万立方フィート/日から約1,300百万立方フィート/日へおよそ4倍となり、保有エリアは約1,540平方キロメートルに広がった。

何をなぜ決めたか:米国でシェールガスを開発・生産する会社の完全子会社化

概要

2023年12月16日、東京ガスは米テキサス州・ルイジアナ州で天然ガスの開発・生産を手がけるロッククリフ・エナジー社の全株式を、約2,700百万米ドル(約4,050億円)で取得すると発表した。子会社TGナチュラル・リソーシズ社の生産量は約330百万立方フィート/日から約1,300百万立方フィート/日へおよそ4倍となり、保有エリアは約1,540平方キロメートルに広がった。

背景

東京ガスが海外の上流に足場を構築したのは2011年の北米シェールガス事業への参画からで、取得してきたのは個別鉱区の持ち分が中心であった。経営ビジョン"Compass2030"は2030年の海外事業の利益を2019年比3倍の500億円、連結の25%まで引き上げる計画を掲げ、中期経営計画"Compass Transformation 23-25"も北米でのシェールガス事業の拡大を明記していた。

内容

買収協議は2023年1月に46億ドルの規模で報じられ、発表までにおよそ1年を要した。東京ガスはオーストラリアのガス権益を売却して資金を米国へ振り向け、東テキサスと北ルイジアナに資産を集める方式をとった。

いつ何が起きたか8件
筆者考察
考察

考察:資源高の利益を海外の収益源へ振り向ける

生産量が約330百万立方フィート/日から約1,300百万立方フィート/日へ変わった数字は、事業の大きさよりも立場の変化を示している。個別鉱区の持ち分を積み上げる買い手から、東テキサスと北ルイジアナで開発と操業を自ら担う側へ移った。投じた約4,050億円は、直前の2023年3月期に記録した過去最高の経常利益4,088億円とほぼ同じ大きさであった。資源高が生んだ一度きりの利益を、稼ぐ場所の移動に充てた判断とみられる。

ただし、この投資の当否を判じる数字は、本稿の時点でまだ出そろっていない。買収の翌々年にはイーグルフォード層の権益を静岡ガスへ譲渡しており、海外資産のすべてが集中の対象になったわけではない。

Yutaka Sugiura, 2026年8月
当時の取締役9名

取締役9名(2023年6月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務内田高史取締役:取締役業務執行:会長担当:指名委員、報酬委員
笹山晋一取締役:取締役業務執行:担当:報酬委員
比護隆取締役:取締役業務執行:担当:監査委員
独立役員枝廣淳子学者取締役:社外取締役業務執行:担当:指名委員、報酬委員
髙見和徳取締役:社外取締役業務執行:担当:報酬委員長、指名委員
引頭麻実金融取締役:社外取締役業務執行:担当:監査委員長
大野弘道取締役:社外取締役業務執行:担当:監査委員
関口博之取締役:社外取締役業務執行:担当:監査委員
淡輪敏取締役:社外取締役業務執行:担当:指名委員長、報酬委員
この一覧は2023年6月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • 東京ガス「米国テキサス州・ルイジアナ州における天然ガス開発・生産事業会社『ロッククリフ・エナジー社』の全株式取得について」(2023年12月16日)
  • 東京ガス「イーグルフォード層シェールガス権益の譲渡に関する静岡ガスとの基本合意書締結について」(2025年2月21日)
  • 東京ガス 2024年3月期 第2四半期 決算説明会 質疑応答
  • 東京ガス 2024年3月期 決算説明会 質疑応答
  • 東京ガス 2025年3月期 決算説明会 質疑応答
  • 東京ガス 有価証券報告書(2023年3月期・連結/2024年3月期・連結)

次に読む決断

同業他社の状況(都市ガス)

免責事項およびポリシー