DUNLOP商標権を取得(2025年・住友ゴム工業の決断)2025年 | 住友ゴム工業の決断
何をなぜ決めたか:グッドイヤーからの欧米豪の権利の買い戻しと基幹ブランドの入れ替え
概要
2025年1月8日、住友ゴム工業は米国グッドイヤーとのあいだで、欧州・北米・オセアニアにおける四輪タイヤのDUNLOP商標権等を5億2,600万米ドル(約826億円)で取得する譲渡契約を締結した。同地域では北米の一部カテゴリを除きDUNLOP商標権を使用できず、FALKENを中心に展開してきた。今回の取得で、欧州とオセアニアの二輪用タイヤを除く同地域の商標権が自社の所有となり、住友ゴム工業はグローバルでDUNLOPブランドを展開できる体制を得た。
- 住友ゴム工業 質疑応答 臨時説明会 質疑応答(2025年1月)
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取得の前後で、住友ゴム工業は北米の生産と成長事業の組み立てを並行して見直した。2024年11月にはSumitomo Rubber USAの生産活動をすべて終了し、同社の解散を決定している。2025年8月には車両故障予知のAIソリューションを提供する米国Viaductの買収契約を締結し、同年10月に買収した。12月にはマレーシア・シンガポール・ブルネイにおけるDUNLOP商標使用権も取得し、2026年からDUNLOPを軸としたブランド経営を推進する方針を示した。
- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第134期(2025年12月期)【沿革】
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- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第134期(2025年12月期)【沿革】【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
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- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第134期(2025年12月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
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背景
住友ゴム工業は1999年6月に米国グッドイヤーとタイヤ事業の世界的提携に関する諸契約を締結し、同年9月から日本・北米・欧州で合弁事業を開始した。2015年6月にはアライアンス契約・合弁事業・クロスライセンス契約の解消契約を締結し、同年10月1日にすべての手続きを完了した。以後、欧州・北米・オセアニアではFALKENを展開してSUV・ピックアップの市場を獲得したが、同地域の主要セグメントである乗用車用タイヤには成長の余地が残っていた。
- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第134期(2025年12月期)【沿革】
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- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第124期(2015年12月期)【経営上の重要な契約等】
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- 住友ゴム工業 質疑応答 臨時説明会 質疑応答(2025年1月)
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決断前の2024年12月期、住友ゴム工業の事業利益は879億円であった。消費財タイヤに占めるプレミアム商品の比率は2024年に約40%で、DUNLOPの商品を同地域に追加投入することで2030年に約60%まで高める計画を示した。取得対象について、会社はプロフォーマEBITDAを9,300万米ドル、EBITDAマルチプルを5.7倍と見積もった。
- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第134期(2025年12月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
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- 住友ゴム工業 質疑応答 臨時説明会 質疑応答(2025年1月)
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内容
取得価格のほか、欧州DUNLOP製品の顧客移行等に関する移行サポート費用1億500万米ドルと初期在庫の買取費用等を、クロージング時に支払う条件とした。決済は自己資金および借入金等による現金決済である。事業ではなく権利の取得であり、グッドイヤーの製造拠点は引き継がず、自社製造へ完全に移行するまでの3〜5年間はグッドイヤーから商品の供給を受ける。
- 住友ゴム工業 ニュースリリース「DUNLOP商標権等のGoodyear社からの取得について」(2025年1月)
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- 住友ゴム工業 説明会資料 臨時説明会「欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤのDUNLOP商標権等の取得について」(2025年1月)
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2025年5月7日のクロージングで、商標権・契約上の権利等および顧客移行等の対価として631百万米ドル、初期在庫の買取りの対価として104百万米ドルを支払った。ブランドの役割も分けた。DUNLOPはアクティブトレッド技術を用いた乗用車・SUV向けの新商品などでTier1のプレミアムカテゴリを担い、FALKENはTier2のトップカテゴリを担う。
- 住友ゴム工業 有価証券報告書 第134期(2025年12月期)【重要な契約等】
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- 住友ゴム工業 質疑応答 臨時説明会 質疑応答(2025年1月)
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沿革:意思決定前後の出来事8件
考察:使えなかったブランドの値段
考察:使えなかったブランドの値段
約826億円は、欧州・北米・オセアニアでDUNLOPを使えなかった年月に付いた値段であった。住友ゴム工業はこの間、同地域でFALKENを中心に展開してSUV・ピックアップの市場を獲得したが、主要セグメントである乗用車用タイヤには成長の余地が残っていた。Tier2のトップを担うブランドだけでは、Tier1のプレミアムカテゴリに商品を投入できない。プレミアム比率を2030年に約60%まで高める計画には、認知率の高いブランドを自社で保有することが前提となり、権利の取得はその前提をそろえる選択であった。
ただ、取得したのは権利であり、工場でも顧客基盤でもない。グッドイヤーの製造拠点は引き継がず、欧州の商品は自社製造へ完全に移行するまでグッドイヤーからの供給に依存する。米国の生産子会社は取得の直前に生産を終了しており、翌期の関税影響は288億円を見込む。決断の年の事業利益908億円は過去最高でありながら、業績予想の950億円を下回った。ブランドを取得する判断と、それを利益に変える工程とは別のものである。
欧州では2026年1月にオフテイク品の販売を開始し、自社開発の商品の投入はその後に続く段階にある。商標権は848億円増加し、耐用年数を確定できない資産として毎期の減損テストの対象となる。この取得が成果と言えるかは、商標権に見合う収益を生み出せるかにかかっている。具体的には、欧州・北米で自社製造の商品への移行を終え、Tier1のプレミアムカテゴリで販売を積み上げて事業利益を業績予想どおりに拡大できるかで決まる。
会社自身の言葉2件
会社自身の言葉
| 発言者 | 引用 | 出所 |
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| 住友ゴム工業 | 「欧州・北米・オセアニアの主要セグメントである乗用車用タイヤで更なる成長の余地があり、その領域を攻略していくことが今後の当社の成長にとって重要になってまいります。」 | 臨時説明会 質疑応答(2025年1月8日)冒頭の説明 p.7 |
| 住友ゴム工業 | 「欧州・北米・オセアニアでは FALKEN ブランドを展開し、特に SUV・ピックアップの市場獲得に成功してまいりましたが、このたび GOODYEAR 社が持つ欧州・北米・オセアニアの DUNLOP 商標権を取得したことで、グローバルでのプレミアム商品ゾーン攻略を本格化してまいります。」 | 臨時説明会 質疑応答(2025年1月8日)冒頭の説明 p.7 |



