三菱ケミカルグループ 三菱樹脂の完全子会社化 株式交換による取り込みと、機能商品の持株会社直下への集約
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何をなぜ決めたか
- 概要
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2007年2月から3月にかけての三菱化学による公開買付け、同年9月20日の株式の現物配当、10月1日の株式交換という3段の手続きで、三菱ケミカルホールディングスは三菱化学の子会社であった上場企業・三菱樹脂を完全子会社とした。株式交換比率は三菱ケミカルホールディングス1対三菱樹脂0.41、交付株式数は7,333,260株で、すべて持株会社の自己株式を充当した。
- 背景
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2006年3月期のセグメント別営業利益は、外部売上高1兆539億円で最大の石化が308億円にとどまり、機能化学466億円と機能材料227億円の合計693億円に届かなかった。市況で振れる石化の利益を機能商品が補う構図にありながら、機能材料の中核である三菱樹脂は石化を担う三菱化学の子会社の位置にとどまっていた。
いつ何が起きたか 9件
筆者の見解
子会社の子会社であることをやめさせた再配置
三菱樹脂は2006年3月期に営業利益227億円を挙げた機能材料の中核にありながら、石化を担う三菱化学の子会社という位置にとどまっていた。同じ期の石化の営業利益は308億円で、外部売上高が1兆539億円と全体の4割を超える規模でありながら、機能化学と機能材料の合計693億円に届いていない。株式交換の意味は上場廃止よりも、機能材料を石化の傘下から引き上げ、持株会社が直に投資を決められる位置へ移した点にあったとみられる。取得原価7,395百万円に対しのれんは2,036百万円にとどまり、対価そのものは大きな負担ではなかった。
ただし、引き上げた先で機能材料が独り立ちしたわけではない。2008年4月に4社を合流させた新生・三菱樹脂は、9年後の2017年に三菱化学・三菱レイヨンとの合併で法人ごと消え、機能材料は1社のなかの部門へ戻っている。会社を分けて自律させるか、1社にまとめて連携させるか。三菱ケミカルグループはこの10年で両方を試しており、2007年の株式交換はその振り子の一方の端にあたる判断であったといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
株式交換の条件
株式交換の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 対象会社 | 三菱樹脂㈱ | 合成樹脂製品の製造及び販売。資本金21,503百万円、従業員3,746名(連結) |
| 企業結合の法的形式 | 共通支配下の取引 | 持株会社側は簡易株式交換、三菱樹脂は略式株式交換。株主総会の承認を経ていない |
| 取引の目的 | 機能材料事業の一層の強化 | 有報の記載は「機能材料事業の一層の強化を図るため」 |
| 取締役会の決議日 | 2007年4月23日 | 同日に株式交換契約を締結。2月8日に子会社5社と再編・統合の基本合意書 |
| 現物配当による株式の受入れ | 2007年9月20日 | 三菱化学が保有する196,856,043株を剰余金の配当として受領した |
| 効力発生日 | 2007年10月1日 | 三菱樹脂は上場を退き、持株会社の直接出資子会社となった |
| 株式交換比率 | 三菱ケミカルHD1:三菱樹脂0.41 | 持株会社側は日興シティグループ証券、三菱樹脂は三菱UFJ証券が算定 |
| 交付株式数 | 7,333,260株 | 全株を持株会社の自己株式で充当したため、資本金に変更はない |
| 取得原価 | 7,395百万円 | 対価は持株会社の普通株式7,303百万円、アドバイザリー費用等91百万円 |
| のれん | 2,036百万円 | 発生時から10年間の均等償却。将来の収益力から生じた差額 |
| 公開買付け前の所有割合 | 53.0% | 2005年3月期末。三菱化学を通じた間接所有 |
| 公開買付け後の所有割合 | 91.9% | 2007年3月期末。三菱化学が2月から3月にかけて買い増し344億円を支出 |
| 株式交換後の所有割合 | 100% | 現物配当と株式交換により持株会社の全額出資子会社となった |
| 抱合せ株式消滅差益 | 28,097百万円 | 現物配当による持株会社単体の特別利益。連結財務諸表上は相殺消去 |
出所:三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書 第2期(2007年3月期)【重要な後発事象】・第3期(2008年3月期)【企業結合等に関する注記】
のれんと総資産の推移
三菱ケミカルグループ:のれんと総資産の推移
| (百万円) | のれん | 総資産 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2005年3月期 | 12,120 | 1,970,528 | 第1期有報の前連結会計年度欄。当時の科目名は連結調整勘定 |
| 2006年3月期 | 6,651 | 2,126,612 | |
| 2007年3月期 | 18,043 | 2,318,832 | 三菱化学が三菱樹脂株を公開買付けで買い増し、344億円を支出した期 |
| 2008年3月期 | 98,746 | 2,765,837 | 株式交換分は2,036。増加の大半は田辺製薬との合併で生じた85,040 |
| 2009年3月期 | 89,328 | 2,740,876 | |
| 2010年3月期 | 171,699 | 3,355,097 | 三菱レイヨンの子会社化により77,122を暫定計上した |
| 2011年3月期 | 154,844 | 3,294,014 | |
| 2012年3月期 | 141,800 | 3,173,970 | |
| 2013年3月期 | 179,937 | 3,307,758 |
出所:三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書 第1期〜第8期(連結貸借対照表)
同じ問いに直面した会社
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参考文献
- 三菱ケミカルグループ 有価証券報告書【沿革】
- 三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書 第1期〜第8期
- 三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書「第2期(2007年3月期)【重要な後発事象】【関係会社の状況】【経理の状況】」
- 三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書「第3期(2008年3月期)【企業結合等に関する注記】【企業結合等関係】」
- 三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書「第1期(2006年3月期)【関係会社の状況】【連結貸借対照表】」
- 三菱ケミカルホールディングス 有価証券報告書「第1期〜第8期(連結貸借対照表、事業の種類別セグメント情報)」