TOKYO BASE UNITED TOKYO業態開始 海外輸入が主流の業界での逆張り——全量国産・高原価率の自主企画SPA

更新:

時期 2015年3月
当時の社長 谷正人
論点 業態モデルとブランド戦略
何をなぜ決めたか
概要

TOKYO BASEが、海外の優れた商品を輸入するのが主流のファッション業界で、その逆を行く全量国産・高原価率の自主企画ブランドを主力事業に据えた経営判断。日本ブランドを集めるセレクトショップSTUDIOUSから、自ら企画するUNITED TOKYOへ踏み込み、2015年に東証マザーズへ上場した。

背景

谷正人氏は"日本発を世界へ"を掲げて2009年に創業し、日本の優れたブランドを集めたセレクトショップから出発した。従来の業界は海外の良い商品を日本に輸入する方向だったが、谷氏はその逆、日本でつくって世界へ出す方向を試みた。

内容

2015年、20代に向けた全量国産(ALL MADE IN JAPAN)のモードブランドUNITED TOKYOを開始した。原価率を50%まで引き上げて品質に振り、製造した県までタグに示す。安く仕入れて粗利を取る通常のアパレルとは逆に、原価をかけて価値を競争の焦点とするモデルを、日系セレクト市場に投じた。

含意

UNITED TOKYOは早期に売上構成比32%(2018年2月期に41億円)へ育ち、単体売上高は2015年2月期の45億円から2018年2月期の128億円へ伸びた。都心集中・中価格帯・ファン層重視の"グローバルニッチ戦略"の土台となり、のちの中国・ニューヨーク出店へつながった。

いつ何が起きたか 5件
筆者の見解
筆者の見解

逆張りを事業モデルにする

この判断の核心は、業界の常識の逆を、思いつきではなく事業モデルとして組み上げた点にある。海外の良品を輸入し、原価を抑えて粗利を取るのが主流のアパレルで、TOKYO BASEは日本でつくり、原価率を50%まで上げ、製造県までタグに示した。集める店からつくる店へ、輸入から輸出へ、低原価から高原価へ。谷正人氏が重ねた逆張りは、いずれも"日本発を世界へ"というミッションから一貫して導かれており、単なる差別化のための奇策ではなかった。

逆張りの品質戦略は、強みと弱みを同時に抱える。原価率50%は、他社が真似しにくい品質と、それを支持するファン層を生む一方で、利益率の薄さという構造を宿命づける。都心集中・中価格帯・ファン層重視のグローバルニッチは、規模を追わないぶん一店一店の重みが増し、海外では出店と採算の両立が問われる。品質に振り切った創業の選択が、そのまま後年の経営の制約にもなる——TOKYO BASEの歩みは、逆張りを事業の芯に据えた会社が引き受ける、果実と重荷の両面を映している。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
同じ問いに直面した会社

同じ問いに直面した会社

高付加価値への転換2016年ライフコーポレーション価格ではなく有機・自然派で選ばれる売り場の、店・商品・調達の三層での自前化事業多角化と差別化
1990年三菱レイヨン炭素繊維での成形品重視の川下路線と、米プリプレグ・原糸2社の買収炭素繊維事業の育て方と競争戦略
2009年三菱ケミカルグループ公開買付けと株式交換の二段で2,126億円を投じた、MMAと炭素繊維の取り込み高機能材料の強化と川上・川下の垂直統合
2009年JFEホールディングスインド市場への足がかりとしての、地場鉄鋼会社との包括的な協業海外連携の遅れの挽回と成長市場の取り込み
1950年村田製作所原料と生産設備の内製化による垂直統合の構築と、完成品分野への不参入事業領域と垂直統合
垂直統合と内製化2003年JFEホールディングス無名の地場企業と組んだ中国での自動車用鋼板の現地生産と垂直分業中国自動車用鋼板市場への進出方式の選択
2016年FPG信託機能を用いた不動産小口化商品の提供開始と、国内不動産ファンド事業の主力化単一商品への依存と、顧客層の組み替え
2014年伊藤忠エネクス買収を足がかりとした、自動車ディーラー事業への本格参入自動車関連事業への本格参入
2018年豊田通商リチウム・電池材料の川上資源確保——トヨタの電動化と一体の非鉄投資電池材料の安定調達と資源の川上確保
2006年モスフードサービス農業生産法人産地合弁への参入生鮮野菜の安定調達と産地との関係
参考文献
出典・参考
  • TOKYO BASE 有価証券報告書(単体)

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