第6章 年〜年

三菱電機:鉄道空調の品質不正と三菱電機モビリティの分社

2021年〜長崎製作所の鉄道空調の不正と、漆間啓社長の3つの改革

2021年6月、長崎製作所の鉄道車両用空調装置等で、購入仕様書と異なる検査や検査の不実施が明らかになった。同じ時期に名古屋製作所可児工場でも、電磁開閉器の第三者認証への不適合が判明した。三菱電機は社長を室長とする緊急対策室を設け、外部専門家で構成する調査委員会に調査を委嘱した。社長の杉山武史氏は2021年7月に引責辞任し、同月28日に専務の漆間啓氏が執行役社長CEOに就任した。調査の対象は、長崎と可児にとどまらず全22製作所と関係会社へ広げられた。成長目標を下ろしながら働き方と組織風土の問題を抱えていた前の代の課題が、品質の不正として顕在化したとみられる。

  • 三菱電機 有価証券報告書 第151期(2022年3月期)
    • [1]長崎製作所の鉄道車両用空調装置等で、購入仕様書と異なる検査・検査不実施・検査成績書への不適切記載が2021年6月に判明
    • [4]杉山武史社長が2021年7月に引責辞任し、同月28日に専務の漆間啓氏が執行役社長・CEOへ昇格
  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2021年11月12日)
    • [2]名古屋製作所可児工場で電磁開閉器の第三者認証不適合、長崎製作所で鉄道車両用空調装置等の不適切検査が判明
    • [3]社長を室長とする緊急対策室を立ち上げ、外部専門家で構成する調査委員会に品質の調査を委嘱
    • [5]調査委員会による調査は全22製作所等と関係会社へ継続

調査委員会が示した8項目の提言は、製作所や工場への強い帰属意識や、事業本部制を前提にした対策にまで及んでいた。このため漆間啓氏は、品質部門だけの問題として扱わず、品質風土・組織風土・ガバナンスの3分野を急いで改める対象に据えた。2021年10月に固まった改革案を受け、漆間啓氏は翌月の経営戦略に『改革の成功無くして会社の存続もない』と記した。品質面の中核は社長直轄の品質改革推進本部の設置と、2年間で300億円を充てる品質インフラ投資枠であり、組織風土の面ではチーム創生と名づけた全社変革プロジェクトを始めて人事制度の見直しに入った。進み具合を監督するため、2022年12月に取締役会のもとへ3つの改革モニタリング委員会が設けられた。

  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2021年11月12日)
    • [6]調査委員会の提言8項目に「製作所や工場への強い帰属意識への対処」「事業本部制を前提とした対策」「経営の本気度」を含む
    • [7]漆間社長は品質風土・組織風土・ガバナンスの3分野での改革が急務と表明
    • [9]品質改革推進本部を社長直轄で設立し、2年間で300億円の品質インフラ投資枠を確保
    • [10]組織風土変革として全社変革プロジェクト「チーム創生」を立ち上げ、人事制度を刷新
  • 三菱電機「当社が進める3つの改革の進捗について」(2023年4月14日)
    • [8]3つの改革(品質風土・組織風土・ガバナンス)を2021年10月に策定
    • [11]2022年12月、取締役会のもとに3つの改革モニタリング委員会を発足

2022年4月、三菱電機は各事業本部を4つのビジネスエリアに割り当て、それぞれにビジネスエリアオーナーを置いた。4つはインフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネスプラットフォームで、9つの事業本部がその下に並んだ。漆間啓氏は後年、発足当初のオーナーの役割を不採算事業の撤退判断、エリア内の人財流動化、事業本部間の連携加速と説明した。事業は重点成長・レジリエント・価値再獲得・課題の4区分に分け、一定基準を下回る低収益事業を売却・撤退の検討対象とした。京都製作所では液晶テレビ事業の縮小と業務用プリンター事業の終息を決め、経営資源を空調冷熱システムへ移した。ビジネスエリアは、調査委員会が指摘した事業本部制の課題に組織面で応える仕組みでもあったのだろう。

  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2022年5月30日)
    • [12]2022年度より各事業本部を4つのビジネスエリアに割り当て、ビジネスエリアオーナーを設置
    • [13]4BA(インフラ/インダストリー・モビリティ/ライフ/ビジネスプラットフォーム)の下に事業本部を配置
    • [15]事業を重点成長・レジリエント・価値再獲得・課題事業に区分し、一定基準を下回る低収益事業は売却・撤退を検討
    • [16]液晶テレビ事業の縮小(2021年11月発表)、業務用プリンター事業の終息など京都製作所事業を見直し、資源を空調冷熱システム事業へシフト
  • 三菱電機「IR Day 2026 新中期経営戦略 質疑応答要旨」(2026年5月29日)
    • [14]BA制度発足当初のオーナーの役割は不採算事業の撤退判断、BA内の人財流動化、事業本部間の連携加速が中心(漆間)
参考文献[1]-[16]
  • 三菱電機 有価証券報告書 第151期(2022年3月期)
    • [1]長崎製作所の鉄道車両用空調装置等で、購入仕様書と異なる検査・検査不実施・検査成績書への不適切記載が2021年6月に判明
    • [4]杉山武史社長が2021年7月に引責辞任し、同月28日に専務の漆間啓氏が執行役社長・CEOへ昇格
  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2021年11月12日)
    • [2]名古屋製作所可児工場で電磁開閉器の第三者認証不適合、長崎製作所で鉄道車両用空調装置等の不適切検査が判明
    • [3]社長を室長とする緊急対策室を立ち上げ、外部専門家で構成する調査委員会に品質の調査を委嘱
    • [5]調査委員会による調査は全22製作所等と関係会社へ継続
    • [6]調査委員会の提言8項目に「製作所や工場への強い帰属意識への対処」「事業本部制を前提とした対策」「経営の本気度」を含む
    • [7]漆間社長は品質風土・組織風土・ガバナンスの3分野での改革が急務と表明
    • [9]品質改革推進本部を社長直轄で設立し、2年間で300億円の品質インフラ投資枠を確保
    • [10]組織風土変革として全社変革プロジェクト「チーム創生」を立ち上げ、人事制度を刷新
  • 三菱電機「当社が進める3つの改革の進捗について」(2023年4月14日)
    • [8]3つの改革(品質風土・組織風土・ガバナンス)を2021年10月に策定
    • [11]2022年12月、取締役会のもとに3つの改革モニタリング委員会を発足
  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2022年5月30日)
    • [12]2022年度より各事業本部を4つのビジネスエリアに割り当て、ビジネスエリアオーナーを設置
    • [13]4BA(インフラ/インダストリー・モビリティ/ライフ/ビジネスプラットフォーム)の下に事業本部を配置
    • [15]事業を重点成長・レジリエント・価値再獲得・課題事業に区分し、一定基準を下回る低収益事業は売却・撤退を検討
    • [16]液晶テレビ事業の縮小(2021年11月発表)、業務用プリンター事業の終息など京都製作所事業を見直し、資源を空調冷熱システム事業へシフト
  • 三菱電機「IR Day 2026 新中期経営戦略 質疑応答要旨」(2026年5月29日)
    • [14]BA制度発足当初のオーナーの役割は不採算事業の撤退判断、BA内の人財流動化、事業本部間の連携加速が中心(漆間)

2023年〜4つのビジネスエリアと、三菱電機モビリティの分社

2024年4月1日、三菱電機は自動車機器事業を会社分割で切り出し、三菱電機モビリティを設立した。自動車業界では電動化をはじめ大きな投資が要り、会社側は社外のパートナーとの連携で事業を立て直す方針を取った。新会社は事業ごとの責任の所在をはっきりさせ、提携の実行、注力分野の選別、課題事業の終息を速めるためのものだと、2024年5月に説明された。アイシンとは次世代電動車向け製品の合弁会社をつくることで基本合意していたが、同年10月までに形を業務提携に改め、その際に会社側は、自動車機器事業にとって最適な体制を、どの選択肢も除外しないまま探り続けると述べた。提携先ごとに事業を切り出せる単位を用意する意味が分社にはあり、それが2026年の鴻海精密工業との協業検討につながったと推察される。

  • 三菱電機 有価証券報告書
    • [17]2024年4月、自動車機器事業を分社化し三菱電機モビリティを設立
  • 三菱電機「2025年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2024年10月31日)
    • [18]自動車業界は電動化をはじめ大きな投資が必要で、パートナー戦略に変更はない(会社側)
    • [21]アイシンとの合弁の基本合意を業務提携へ変更。最適な体制はすべての可能性を排除せずに検討(会社側)
  • 三菱電機 事業戦略説明会資料「インダストリー・モビリティビジネスエリア」(2024年5月29日)
    • [19]新会社で各事業の責任体制を明確化し、パートナー戦略実行・注力分野の絞り込み・終息スキーム確定を推進
    • [20]アイシンと次世代電動車向け製品に関する合弁会社設立に基本合意(2024年5月時点)

三菱電機は2022年5月、パワーデバイスのウエハ生産能力を2025年度までに2020年度比で約2倍に増やす計画を示した。自動車・民生分野でパワー半導体の需要が増えていたためであり、福山工場に8インチラインを設け、12インチラインの構築にも着手した。電気自動車から再生可能エネルギー機器まで、電力を変換するモジュールの需要は広がると見込まれていた。これを受けて会社は2024年11月、約100億円で福岡地区にモジュールの組立・検査を担う新工場棟を建て、2026年10月に稼働させると発表したが、2025年2月には、投資額が巨額になるなら『独力で全てを行うことは現実的ではない』との考えも示した。

  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2022年5月30日)
    • [22]ウエハ生産能力を2025年度までに2020年度比約2倍に増強
    • [23]自動車・民生分野の旺盛な需要に対応し、福山工場に8インチラインを構築、12インチラインの構築にも着手
  • 三菱電機 ニュースリリース「パワーデバイス製作所 福岡地区に新工場棟を建設」(2024年11月20日)
    • [24]パワー半導体モジュールは電気自動車・民生・産業・再エネ・電鉄で使われ市場拡大が予測される
    • [25]約100億円を投資しパワーデバイス製作所福岡地区にモジュール組立・検査工程の新工場棟を建設、2026年10月稼働予定
  • 三菱電機「2025年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2025年2月4日)
    • [26]投資が巨額になる場合は独力は非現実的、国内外の協業も視野(会社側)

連結売上高は2023年3月期の5兆36億円から2024年3月期に5兆2579億円へ、営業利益は2624億円から3285億円へ増えた。漆間啓氏は統合報告書2024で、売上高と営業利益がともに過去最高を更新したと報告した。ただFAシステム事業と空調・家電事業の環境は、2021年度の計画策定時の想定より悪化していた。このため三菱電機は2025年度の財務目標のうち、営業利益率を8%以上、ROEを9%へ見直した。空調・家電は北米の売上構成比が上がり、2024年度第2四半期の営業利益が前四半期の倍になったが、欧州は不調であった。2024年度の営業利益率目標7.4%にはMDロジスの一部株式譲渡益約240億円が含まれ、会社側は翌年度に実力値で8%へ上げる必要を認めた。

  • 三菱電機 有価証券報告書(2023年3月期・2024年3月期)
    • [27]連結売上高 50036億円→52579億円、営業利益 2624億円→3285億円(IFRS)
  • 三菱電機「統合報告書2024」 社長メッセージ
    • [28]2023年度は売上高・営業利益ともに過去最高を更新
    • [29]FAシステム事業と空調・家電事業の事業環境が2021年度の中計策定時の想定から悪化
    • [30]2025年度財務目標の営業利益率を8%以上、ROEを9%に見直し
  • 三菱電機「2025年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2024年10月31日)
    • [31]空調・家電のQoQ営業利益倍増は北米の売上構成比上昇による。欧州は不調
  • 三菱電機「2025年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2025年2月4日)
    • [32]24年度の営業利益率目標7.4%にはMDロジス一部株式譲渡益約240億円を含み、来年度は実力値で8%へ引き上げる必要
参考文献[17]-[32]
  • 三菱電機 有価証券報告書
    • [17]2024年4月、自動車機器事業を分社化し三菱電機モビリティを設立
  • 三菱電機「2025年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2024年10月31日)
    • [18]自動車業界は電動化をはじめ大きな投資が必要で、パートナー戦略に変更はない(会社側)
    • [21]アイシンとの合弁の基本合意を業務提携へ変更。最適な体制はすべての可能性を排除せずに検討(会社側)
    • [31]空調・家電のQoQ営業利益倍増は北米の売上構成比上昇による。欧州は不調
  • 三菱電機 事業戦略説明会資料「インダストリー・モビリティビジネスエリア」(2024年5月29日)
    • [19]新会社で各事業の責任体制を明確化し、パートナー戦略実行・注力分野の絞り込み・終息スキーム確定を推進
    • [20]アイシンと次世代電動車向け製品に関する合弁会社設立に基本合意(2024年5月時点)
  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2022年5月30日)
    • [22]ウエハ生産能力を2025年度までに2020年度比約2倍に増強
    • [23]自動車・民生分野の旺盛な需要に対応し、福山工場に8インチラインを構築、12インチラインの構築にも着手
  • 三菱電機 ニュースリリース「パワーデバイス製作所 福岡地区に新工場棟を建設」(2024年11月20日)
    • [24]パワー半導体モジュールは電気自動車・民生・産業・再エネ・電鉄で使われ市場拡大が予測される
    • [25]約100億円を投資しパワーデバイス製作所福岡地区にモジュール組立・検査工程の新工場棟を建設、2026年10月稼働予定
  • 三菱電機「2025年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2025年2月4日)
    • [26]投資が巨額になる場合は独力は非現実的、国内外の協業も視野(会社側)
    • [32]24年度の営業利益率目標7.4%にはMDロジス一部株式譲渡益約240億円を含み、来年度は実力値で8%へ引き上げる必要
  • 三菱電機 有価証券報告書(2023年3月期・2024年3月期)
    • [27]連結売上高 50036億円→52579億円、営業利益 2624億円→3285億円(IFRS)
  • 三菱電機「統合報告書2024」 社長メッセージ
    • [28]2023年度は売上高・営業利益ともに過去最高を更新
    • [29]FAシステム事業と空調・家電事業の事業環境が2021年度の中計策定時の想定から悪化
    • [30]2025年度財務目標の営業利益率を8%以上、ROEを9%に見直し

2025年〜Serendieのデジタル基盤と、ネクストステージ支援制度に応じた2,378人

事業間の差を埋める共通基盤として、三菱電機はデジタル基盤Serendieを新たに構築した。漆間啓氏は、交通・電力・FA・ビル・空調が事業ごとに別のプラットフォームでデータを使い、事業間の連携が不十分だった点を課題に挙げた。Serendie関連事業の2025年度売上高は約6,800億円の見込みにとどまり、FAのコンポーネントが減ったことで当初の計画を下回った。目標は2030年度に売上高1.1兆円、営業利益率23%である。加賀邦彦氏は、従来のソリューションが『コンポーネント中心の発想に留まってしまっていた』と認め、2026年5月には、買収したNozomi NetworksのOTセキュリティのソフトをPLCやサーボに順に搭載していく方針を打ち出した。

  • 三菱電機「統合報告書2024」 社長メッセージ
    • [33]事業間の壁を打破するデジタル基盤としてSerendieを新たに構築
    • [34]交通・電力・FA・ビル・空調など事業ごとに最適化された個別プラットフォームで、事業間の連携が不十分だった
    • [36]Serendie関連事業で2030年度に売上高1.1兆円・営業利益率23%を目指す
  • 三菱電機「IR Day 2025 質疑応答要旨」(2025年5月28日)
    • [35]Serendie関連事業の25年度売上高は約6,800億円見込み、FAのコンポーネント減で当初計画を下回る(武田)
    • [37]これまでのソリューション創出はコンポーネント中心の発想に留まっていた(加賀)
  • 三菱電機「IR Day 2026 新中期経営戦略 質疑応答要旨」(2026年5月29日)
    • [38]買収したNozomi Networks社のソフトをPLC・NC・サーボ等に順次導入(漆間)

2025年5月のIR Dayで漆間啓氏は、これまでを『大きなリスクを取らずオーガニックな成長をしてきた』と総括し、1.9兆円ある価値再獲得事業のうち0.3兆円について終息を決め、残る0.8兆円は2025年度中に結論を出すとした。営業利益率を間接費用の最適化で1ポイント押し上げる目標も掲げられ、その中核となったのがネクストステージ支援制度特別措置である。2025年12月末までに三菱電機単独で2,378人が応募し、CFOの藤本健一郎氏は対象の20%を超えたと説明した。費用は2026年3月期第3四半期に743億円を計上し、第4四半期の約260億円と合わせて約1,000億円を見込んだ。狙いは、年齢の高い社員に再就職の選択肢を示し、若い層に昇進の機会を与えることにあった。

  • 三菱電機「IR Day 2025 質疑応答要旨」(2025年5月28日)
    • [39]大きなリスクを取らずオーガニックな成長をしてきたが、抜本的な事業構造の見直しが必要(漆間)
    • [40]価値再獲得事業1.9兆円のうち0.3兆円は終息を意思決定済、0.8兆円は25年度中に終息・継続を判断(漆間)
  • 三菱電機「2026年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2026年2月3日)
    • [41]ネクストステージ支援制度特別措置はIR Day 2025で示した間接費用最適化による営業利益率1pt改善の重要な要素
    • [42]三菱電機単独で2,378人が応募し、20%を超える応募(藤本)
    • [43]第3四半期に743億円(12月末までの応募実績)を計上、第4四半期に約260億円、合計約1,000億円の見込み
    • [44]施策の狙いは年齢の高い社員に新たな仕事の選択肢と再就職支援、若い層にプロモーションの機会を提供

2026年3月27日、三菱電機はローム・東芝らと、パワーデバイス事業の統合協議に向けた基本合意書を結んだ。対象はロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業で、2024年3月から続いていた両社の協議に三菱電機が加わった。世界市場で競争し得る事業規模と技術基盤を得ることが、合意の理由として示された。漆間啓氏は5月の説明で、国内の半導体メーカーが各社で開発投資を重ねている現状を挙げ、3社一体で開発効率を上げる考えを示した。漆間啓氏は、車載向けで『中国企業に対抗できなければ3社統合の意義が損なわれる』とも述べた。同じ日に示した新中期経営戦略は2030年度に調整後営業利益率12%+とROE12%を掲げたが、統合の影響は計画に含めていない。

  • 三菱電機「三菱電機のパワーデバイス事業、ロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業との事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書の締結に関するお知らせ」(2026年3月27日)
    • [45]2026年3月27日、ローム・東芝・JIPらとパワーデバイス事業等の事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書を締結
    • [46]ロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業の提携協議(2024年3月29日提案)に三菱電機が加わる
    • [47]世界市場で競争し得る事業規模や技術基盤の実現を目的に合意
  • 三菱電機「IR Day 2026 新中期経営戦略 質疑応答要旨」(2026年5月29日)
    • [48]日本の半導体メーカーは数が多く開発投資を各社で実施。3社一体で開発効率を上げる(漆間)
    • [49]車載向けで中国企業に対抗できなければ3社統合の意義が損なわれる(漆間)
    • [50]30年度の調整後営業利益率12%+・ROE12%。統合の影響は計画に含まない
参考文献[33]-[50]
  • 三菱電機「統合報告書2024」 社長メッセージ
    • [33]事業間の壁を打破するデジタル基盤としてSerendieを新たに構築
    • [34]交通・電力・FA・ビル・空調など事業ごとに最適化された個別プラットフォームで、事業間の連携が不十分だった
    • [36]Serendie関連事業で2030年度に売上高1.1兆円・営業利益率23%を目指す
  • 三菱電機「IR Day 2025 質疑応答要旨」(2025年5月28日)
    • [35]Serendie関連事業の25年度売上高は約6,800億円見込み、FAのコンポーネント減で当初計画を下回る(武田)
    • [37]これまでのソリューション創出はコンポーネント中心の発想に留まっていた(加賀)
    • [39]大きなリスクを取らずオーガニックな成長をしてきたが、抜本的な事業構造の見直しが必要(漆間)
    • [40]価値再獲得事業1.9兆円のうち0.3兆円は終息を意思決定済、0.8兆円は25年度中に終息・継続を判断(漆間)
  • 三菱電機「IR Day 2026 新中期経営戦略 質疑応答要旨」(2026年5月29日)
    • [38]買収したNozomi Networks社のソフトをPLC・NC・サーボ等に順次導入(漆間)
    • [48]日本の半導体メーカーは数が多く開発投資を各社で実施。3社一体で開発効率を上げる(漆間)
    • [49]車載向けで中国企業に対抗できなければ3社統合の意義が損なわれる(漆間)
    • [50]30年度の調整後営業利益率12%+・ROE12%。統合の影響は計画に含まない
  • 三菱電機「2026年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2026年2月3日)
    • [41]ネクストステージ支援制度特別措置はIR Day 2025で示した間接費用最適化による営業利益率1pt改善の重要な要素
    • [42]三菱電機単独で2,378人が応募し、20%を超える応募(藤本)
    • [43]第3四半期に743億円(12月末までの応募実績)を計上、第4四半期に約260億円、合計約1,000億円の見込み
    • [44]施策の狙いは年齢の高い社員に新たな仕事の選択肢と再就職支援、若い層にプロモーションの機会を提供
  • 三菱電機「三菱電機のパワーデバイス事業、ロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業との事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書の締結に関するお知らせ」(2026年3月27日)
    • [45]2026年3月27日、ローム・東芝・JIPらとパワーデバイス事業等の事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書を締結
    • [46]ロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業の提携協議(2024年3月29日提案)に三菱電機が加わる
    • [47]世界市場で競争し得る事業規模や技術基盤の実現を目的に合意

2021年〜2026年の業績

決算期 区分 売上高 営業利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 億円 利益率
2021年03月期 連結 41,914 n/a 2,302 1,931 4.6% n/a
2022年03月期 連結 44,767 +6.8% 2,521 2,034 4.5% n/a
2023年03月期 連結 50,036 +11.8% 2,624 2,139 4.3% n/a
2024年03月期 連結 52,579 +5.1% 3,285 2,849 5.4% n/a
2025年03月期 連結 55,217 +5.0% 3,918 3,240 5.9% n/a
2026年03月期 連結 58,947 +6.8% 4,331 4,078 6.9% n/a

出所:有価証券報告書

出典・参考

15件
出典・参考
  • 三菱電機 有価証券報告書 第151期(2022年3月期)
  • 三菱電機 有価証券報告書(2023年3月期・2024年3月期)
  • 三菱電機 ニュースリリース「パワーデバイス製作所 福岡地区に新工場棟を建設」(2024年11月20日)
  • 三菱電機「統合報告書2024」 社長メッセージ
  • 三菱電機「2025年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2024年10月31日)
  • 三菱電機「2025年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2025年2月4日)
  • 三菱電機「2026年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨」(2026年2月3日)
  • 三菱電機 有価証券報告書
  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2021年11月12日)
  • 三菱電機 経営戦略説明会資料「三菱電機の経営戦略」(2022年5月30日)
  • 三菱電機「当社が進める3つの改革の進捗について」(2023年4月14日)
  • 三菱電機 事業戦略説明会資料「インダストリー・モビリティビジネスエリア」(2024年5月29日)
  • 三菱電機「IR Day 2025 質疑応答要旨」(2025年5月28日)
  • 三菱電機「IR Day 2026 新中期経営戦略 質疑応答要旨」(2026年5月29日)
  • 三菱電機「三菱電機のパワーデバイス事業、ロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業との事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書の締結に関するお知らせ」(2026年3月27日)

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