中部電力:芦浜原発の断念と浜岡1・2号機の廃炉決定
2000年〜経営改革ロードマップの2割削減と、設備投資7,424億円から1,300億円への圧縮
2000年3月の大口電力の小売自由化を前に、管内最大の需要家であるトヨタ自動車は東京電力と関西電力へ電力供給を打診した。中部電力は2001年4月、事業のあらゆる段階に競争対応の視点を盛り込んだ経営改革ロードマップを策定した。ロードマップは、2005年度までに自由化開始直前と比べて2割のコストを削減する目標を掲げた。同年6月には、名古屋支店長として自由化対応を担っていた末席常務の川口文夫氏を、16人抜きで社長に選任した。川口文夫社長は就任と同時に、2005年までに調達コストを約2割、総額400億円削減する目標を打ち出した。地域独占のもとで積み上げた原価を、価格で選ばれる市場の水準へ引き下げる計画であったとみられる。
- 日経ビジネス 2001年4月9日号
- [1]2000年3月の大口電力小売自由化の直前、管内最大の需要家トヨタ自動車が東京電力・関西電力に電力供給を打診
- [4]2001年3月 末席常務で名古屋支店長の川口文夫を16人抜きで社長に抜擢すると発表(2001年6月就任)
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- [2]2001年4月 電力自由化時代に即応するため、事業のあらゆる段階について「競争対応」という視点を盛り込んだ経営戦略「経営改革ロードマップ」を策定
- [3]経営改革ロードマップで「平成17年度までに自由化開始直前と比較して2割のコスト削減」の目標を設定
- 日経ビジネス 2001年11月12日号
- [5]川口文夫社長は2001年6月の就任と同時に2005年までに調達コストを約2割、総額400億円削減する目標を打ち出した
2001年度の計画は、2001・02年度の設備投資を年平均4,000億円程度に抑える目標を置いた。2002年度の計画は2002〜04年度を年平均3,000億円程度へ下げ、2004年度の計画は2004〜06年度の単体の投資を年平均1,700億円以下とした。ピークの1993年度に7,424億円だった設備投資は、2004年度に1,300億円程度まで下がる見込みとなった。要員は1998年3月の2万900人に対し、2005年度末に1万6,600人程度とする目標を掲げた。2005年度末の要員は1万6,245人となり、2割のコスト削減目標は2005年度に達成された。大型電源の建設が一巡した時期に、投資と要員の双方を計画の数字で段階的に絞り込んだとみられる。
- 中部電力 経営計画「平成13年度 経営の目指すもの」(2001年)
- [6]2001・2002年度の2カ年の投資規模について年平均4,000億円程度の水準を目標とした
- [10]社員数2万900人(1998年3月1日時点)を2001年度末までに約1,600人削減する目標
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- [7]2002〜2004年度の3カ年の投資規模について年平均3,000億円程度の水準を目指す
- [11]今後の要員目標は2005年度末までに社員数を1万6,600人程度とする
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [8]設備投資目標は2004〜2006年度の3カ年平均で単体年平均1,700億円以下、連結年平均2,000億円以下
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [9]ピーク時の1993年度に7,424億円であった設備投資額を2004年度には1,300億円程度にまで抑制できる見込み
- 中部電力 経営計画「経営の概況」(2006年5月)
- [12]2005年度末の要員は1万6,245人となり、「2005年度末で在籍人員1万6,600人程度」の目標を達成
- [13]経営改革ロードマップで掲げた「2005年度までに自由化開始直前と比較して2割のコスト削減」の目標を達成
財務では、1996年度末に約4兆4,000億円に達した有利子負債を、2004年度末までに3.6兆円以下とする目標を置いた。2001〜03年度の平均で経常利益1,500億円以上、総資産利益率1.5%以上を目標とし、2004年度の計画は両目標とも達成の見込みとした。電気料金は2000年10月、2002年9月、2005年1月の3回にわたり引き下げた。2005年1月の値下げは平均5.94%で、2006年4月にも電灯・電力平均で3.79%の値下げを実施した。値下げが重なり、売上高は電力需要の伸びにもかかわらずほぼ横ばいで推移した。コスト削減の成果を、財務目標の達成と料金の引き下げに振り分けたとみられる。
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- [14]有利子負債は1996年度末に約4兆4,000億円に達した。有利子負債残高の目標を「2004年度末までに3.6兆円以下」とする
- [15]企業価値の向上にむけた目標として経常利益1,500億円以上・総資産利益率1.5%以上(2001〜2003年度の3カ年平均)
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [16]従来の目標「総資産当期利益率1.5%以上」「経常利益1,500億円以上」(2001〜2003年度平均)はいずれも達成の見込み
- 中部電力 経営計画「経営の概況」(2006年5月)
- [17]2000年10月、2002年9月および2005年1月の3回にわたり電気料金を引下げ
- [19]2006年4月に電灯・電力平均で3.79%の値下げを実施
- [20]売上高は堅調な電力需要の伸びはあったものの、3回にわたる電気料金引下げなどによりほぼ横這いで推移
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [18]2005年1月に平均5.94%の電気料金の値下げを実施
参考文献[1]-[20]
- 日経ビジネス 2001年4月9日号
- [1]2000年3月の大口電力小売自由化の直前、管内最大の需要家トヨタ自動車が東京電力・関西電力に電力供給を打診
- [4]2001年3月 末席常務で名古屋支店長の川口文夫を16人抜きで社長に抜擢すると発表(2001年6月就任)
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- [2]2001年4月 電力自由化時代に即応するため、事業のあらゆる段階について「競争対応」という視点を盛り込んだ経営戦略「経営改革ロードマップ」を策定
- [3]経営改革ロードマップで「平成17年度までに自由化開始直前と比較して2割のコスト削減」の目標を設定
- [7]2002〜2004年度の3カ年の投資規模について年平均3,000億円程度の水準を目指す
- [11]今後の要員目標は2005年度末までに社員数を1万6,600人程度とする
- [14]有利子負債は1996年度末に約4兆4,000億円に達した。有利子負債残高の目標を「2004年度末までに3.6兆円以下」とする
- [15]企業価値の向上にむけた目標として経常利益1,500億円以上・総資産利益率1.5%以上(2001〜2003年度の3カ年平均)
- 日経ビジネス 2001年11月12日号
- [5]川口文夫社長は2001年6月の就任と同時に2005年までに調達コストを約2割、総額400億円削減する目標を打ち出した
- 中部電力 経営計画「平成13年度 経営の目指すもの」(2001年)
- [6]2001・2002年度の2カ年の投資規模について年平均4,000億円程度の水準を目標とした
- [10]社員数2万900人(1998年3月1日時点)を2001年度末までに約1,600人削減する目標
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [8]設備投資目標は2004〜2006年度の3カ年平均で単体年平均1,700億円以下、連結年平均2,000億円以下
- [16]従来の目標「総資産当期利益率1.5%以上」「経常利益1,500億円以上」(2001〜2003年度平均)はいずれも達成の見込み
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [9]ピーク時の1993年度に7,424億円であった設備投資額を2004年度には1,300億円程度にまで抑制できる見込み
- [18]2005年1月に平均5.94%の電気料金の値下げを実施
- 中部電力 経営計画「経営の概況」(2006年5月)
- [12]2005年度末の要員は1万6,245人となり、「2005年度末で在籍人員1万6,600人程度」の目標を達成
- [13]経営改革ロードマップで掲げた「2005年度までに自由化開始直前と比較して2割のコスト削減」の目標を達成
- [17]2000年10月、2002年9月および2005年1月の3回にわたり電気料金を引下げ
- [19]2006年4月に電灯・電力平均で3.79%の値下げを実施
- [20]売上高は堅調な電力需要の伸びはあったものの、3回にわたる電気料金引下げなどによりほぼ横這いで推移
2004年〜高圧全数への自由化拡大と、ガス・LNG販売、カタールの発電事業、新名古屋8号系列
自由化の範囲は2004年4月に高圧500kW以上、2005年4月に高圧の全需要家へ広がった。2005年4月には日本卸電力取引所の運用も始まり、ガス事業でも自由化範囲の拡大と託送制度の整備が進んだ。中部電力は2000年6月にエル・エヌ・ジー中部を設立してタンクローリーによるLNG販売を始め、2001年からは発電用のLNGと発電所周辺のガス導管を使ってガスを販売した。2001年8月には北陸電力など3社と北陸エルネスを設立し、北陸地域でLNGを販売した。2006年度の計画は、ガス・LNG販売と分散型エネルギー事業の3事業で、2010年度に売上高450億円程度を目指した。電気の域外へ出てくる競争相手に対し、発電用燃料の調達網を販売へ転用する策であったとみられる。
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [21]2004年4月に高圧500kW以上、2005年4月に高圧全数のお客さまに自由化範囲が拡大
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [22]2005年4月から「日本卸電力取引所」と「電力系統利用協議会」の運用開始。ガス事業においても自由化範囲の拡大や託送制度整備等の制度変更
- 中部電力 経営計画「平成18年度 経営の目指すもの」(2006年3月)
- [23]2000年6月にエル・エヌ・ジー中部を設立しLNGのタンクローリー販売を開始。発電用燃料のLNGと発電所周辺のガス導管を活用し2001年よりガス販売を開始
- [25]ガス事業・LNG販売事業・分散型エネルギー事業の三事業合計で2010年度に450億円程度の売上高を目指す
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- [24]2001年8月に北陸電力をはじめとする3社とともに北陸エルネスを設立し、北陸地域におけるLNGの販売事業に進出
海外では、アジアを中心とする電力インフラ整備のコンサルティングで毎年4億円程度の収益を上げていた。2003年度にアジアのクリーンエネルギー投資ファンドへの参画を決め、2004年度にはカタールの発電・海水淡水化プロジェクト(1,025MW)に参画した。2006年度の計画は2010年度までの5年間を海外エネルギー事業の発展期と位置づけ、2006年2月にタイのバンコクへ海外事務所を開設した。国内では2005〜14年度の10年間に、他社開発電源からの受電を含め400万kWを超える電源を開発する計画を立てた。その中核となる新名古屋火力8号系列は2005年7月に着工し、発電効率約51%の1500℃級ガスタービンによるコンバインドサイクルを採用した。
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [26]主にアジアの国々における電力インフラ整備等のコンサルティングを展開し、毎年4億円程度の収益を計上
- [27]2003年度に「グローバル・アジア・クリーンエナジーサービスファンド」への参画を決定
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [28]2004年度にカタールにおける発電・海水淡水化プロジェクト(1,025MW)に参画
- [30]2005〜2014年度の10年間で原子力など他社開発電源からの受電を含め400万kWを超える電源を開発
- 中部電力 経営計画「平成18年度 経営の目指すもの」(2006年3月)
- [29]2010年度までの5年間を「海外エネルギー事業の発展期」と位置付け。2006年2月にタイのバンコクに海外事務所を開設
- [31]新名古屋火力発電所8号系列は2005年7月に着工し、発電効率約51%の1500℃級ガスタービンによるコンバインドサイクル発電方式を採用
2004年度の計画は、上越火力1号系列126.5万kWの使用開始を2012年度とした。2010年の年報は、上越火力1・2号系列の高効率コンバインドサイクルが年間約60万tのLNG使用と約160万tのCO2排出を減らす見込みと記した。上越火力と燃料関連設備への投資を続けるなかで、2009年度の火力の総合熱効率は46.21%と国内最高水準を保った。2006年度の計画は、定格熱出力一定運転で浜岡3〜5号機の電気出力を増やしたことも効率化の成果に挙げた。設備投資を絞る一方で、火力の更新投資は燃料費とCO2排出を同時に抑える高効率機へ集中させたとみられる。
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [32]電源設備計画で上越火力発電所1号系列126.5万kWの使用開始を2012年度とした
- 中部電力 Annual Report 2010(2010年)
- [33]上越火力1・2号系列の高効率コンバインドサイクルにより年間約60万tのLNG使用と約160万tのCO2排出を削減
- [34]上越火力発電所の建設や燃料関連インフラへの投資を行いつつ、2009年度の総合熱効率は46.21%(LHV基準)と国内トップクラスを維持
- 中部電力 経営計画「平成18年度 経営の目指すもの」(2006年3月)
- [35]定格熱出力一定運転を実施し、2006年1月の実績で3号機平均1.7万kW、4号機平均0.5万kW、5号機3.2万kWの電気出力を増加
参考文献[21]-[35]
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [21]2004年4月に高圧500kW以上、2005年4月に高圧全数のお客さまに自由化範囲が拡大
- [26]主にアジアの国々における電力インフラ整備等のコンサルティングを展開し、毎年4億円程度の収益を計上
- [27]2003年度に「グローバル・アジア・クリーンエナジーサービスファンド」への参画を決定
- [32]電源設備計画で上越火力発電所1号系列126.5万kWの使用開始を2012年度とした
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [22]2005年4月から「日本卸電力取引所」と「電力系統利用協議会」の運用開始。ガス事業においても自由化範囲の拡大や託送制度整備等の制度変更
- [28]2004年度にカタールにおける発電・海水淡水化プロジェクト(1,025MW)に参画
- [30]2005〜2014年度の10年間で原子力など他社開発電源からの受電を含め400万kWを超える電源を開発
- 中部電力 経営計画「平成18年度 経営の目指すもの」(2006年3月)
- [23]2000年6月にエル・エヌ・ジー中部を設立しLNGのタンクローリー販売を開始。発電用燃料のLNGと発電所周辺のガス導管を活用し2001年よりガス販売を開始
- [25]ガス事業・LNG販売事業・分散型エネルギー事業の三事業合計で2010年度に450億円程度の売上高を目指す
- [29]2010年度までの5年間を「海外エネルギー事業の発展期」と位置付け。2006年2月にタイのバンコクに海外事務所を開設
- [31]新名古屋火力発電所8号系列は2005年7月に着工し、発電効率約51%の1500℃級ガスタービンによるコンバインドサイクル発電方式を採用
- [35]定格熱出力一定運転を実施し、2006年1月の実績で3号機平均1.7万kW、4号機平均0.5万kW、5号機3.2万kWの電気出力を増加
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- [24]2001年8月に北陸電力をはじめとする3社とともに北陸エルネスを設立し、北陸地域におけるLNGの販売事業に進出
- 中部電力 Annual Report 2010(2010年)
- [33]上越火力1・2号系列の高効率コンバインドサイクルにより年間約60万tのLNG使用と約160万tのCO2排出を削減
- [34]上越火力発電所の建設や燃料関連インフラへの投資を行いつつ、2009年度の総合熱効率は46.21%(LHV基準)と国内トップクラスを維持
2005年〜芦浜の白紙撤回、浜岡5号機の運転開始と、1・2号機の運転終了による1,536億円の特別損失
2000年2月、三重県の北川正恭知事は芦浜原子力発電所の計画について『原子力発電の必要性は認めるが、足掛け37年間にわたり苦しんでいる地域の人たちの声を受けて判断し、白紙に戻すという結論に達した』と表明した。中部電力は2001年度の計画で、30年余りにわたり取り組んできた芦浜原子力発電所計画を断念せざるをえなくなったと記した。1964年の内定から36年、芦浜は着工に至らないまま計画から外れた。原子力の増設は浜岡に集まり、5号機は改良型沸騰水型軽水炉の138万kWとして2005年1月18日に営業運転を開始した。浜岡5号機の建設では、機器メーカーの工場で機器や配管をモジュールブロック化し、現地での作業量を大幅に減らした。立地の選択肢を失った原子力は、東海地震の想定震源域に立つ浜岡1地点へ設備を積み増す構造になったとみられる。
- 火力原子力発電 51巻3号(2000年3月)「展望 エネルギー問題に難題重なる」(火力原子力発電技術協会)
- [36]2000年2月 三重県知事が芦浜原子力発電所計画を白紙に戻すとの結論を表明
- 中部電力 経営計画「平成13年度 経営の目指すもの」(2001年)
- [37]昨年(2000年)、30年余りの永きにわたり取り組んできた芦浜原子力発電所計画を断念せざるをえないこととなった
- 中部電力20年史(中部電力、1971年)
- [38]1964年7月 芦浜内定を発表
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [39]電源設備計画で浜岡原子力発電所5号(ABWR・改良型沸騰水型軽水炉)138万kW
- [41]浜岡5号機ではあらかじめ機器メーカー工場内で機器・配管類をモジュールブロック化し、現地での作業量を大幅に削減
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [40]2005年1月18日 浜岡原子力発電所5号機が営業運転を開始
2008年12月22日の取締役会で、中部電力は浜岡原子力発電所1・2号機の運転終了と6号機の建設を内容とするリプレース計画を決めた。6号機は2018年度から5年以内の運転開始を目標とし、全号機の使用済燃料を置く乾式貯蔵施設の建設もあわせて計画した。出力54万kWの1号機と84万kWの2号機は、2009年1月30日をもって発電用の電気工作物として廃止された。運転終了に伴う損失1,536億円は2009年3月期の特別損失に計上され、減損した設備の回収可能価額は転用や売却が困難として零円とされた。2009年8月には駿河湾で起きた地震で浜岡原子力発電所が運転を停止し、火力の発電量が増えた。初期の小型2基を補強して残すより、大型の新設1基へ置き換える選択であったとみられる。
- 中部電力 有価証券報告書 第85期(2009年3月期)【設備の状況】【連結損益計算書関係】
- [42]2008年12月22日の取締役会で浜岡原子力発電所1・2号機の運転終了と6号機の建設等を内容とするリプレース計画等を決定
- [44]1号機540千kW・2号機840千kWは2009年1月30日をもって発電用の電気工作物としては廃止
- [45]運転終了に伴う損失1,536億円を2009年3月期の特別損失に計上。減損の回収可能価額は他への転用や売却が困難なため零円
- 中部電力 Annual Report 2010(2010年)
- [43]2008年12月に1・2号機の運転終了を決め、6号機を2018年度から5年以内に運転開始する計画を策定。1・2号機の運転終了にあわせ全号機の使用済燃料の乾式貯蔵施設の建設を計画
- [46]2009年8月の駿河湾の地震により浜岡原子力発電所が運転を停止し、火力発電電力量が増加
参考文献[36]-[46]
- 火力原子力発電 51巻3号(2000年3月)「展望 エネルギー問題に難題重なる」(火力原子力発電技術協会)
- [36]2000年2月 三重県知事が芦浜原子力発電所計画を白紙に戻すとの結論を表明
- 中部電力 経営計画「平成13年度 経営の目指すもの」(2001年)
- [37]昨年(2000年)、30年余りの永きにわたり取り組んできた芦浜原子力発電所計画を断念せざるをえないこととなった
- 中部電力20年史(中部電力、1971年)
- [38]1964年7月 芦浜内定を発表
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- [39]電源設備計画で浜岡原子力発電所5号(ABWR・改良型沸騰水型軽水炉)138万kW
- [41]浜岡5号機ではあらかじめ機器メーカー工場内で機器・配管類をモジュールブロック化し、現地での作業量を大幅に削減
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- [40]2005年1月18日 浜岡原子力発電所5号機が営業運転を開始
- 中部電力 有価証券報告書 第85期(2009年3月期)【設備の状況】【連結損益計算書関係】
- [42]2008年12月22日の取締役会で浜岡原子力発電所1・2号機の運転終了と6号機の建設等を内容とするリプレース計画等を決定
- [44]1号機540千kW・2号機840千kWは2009年1月30日をもって発電用の電気工作物としては廃止
- [45]運転終了に伴う損失1,536億円を2009年3月期の特別損失に計上。減損の回収可能価額は他への転用や売却が困難なため零円
- 中部電力 Annual Report 2010(2010年)
- [43]2008年12月に1・2号機の運転終了を決め、6号機を2018年度から5年以内に運転開始する計画を策定。1・2号機の運転終了にあわせ全号機の使用済燃料の乾式貯蔵施設の建設を計画
- [46]2009年8月の駿河湾の地震により浜岡原子力発電所が運転を停止し、火力発電電力量が増加
筆者考察
自由化が中部電力に迫ったのは、地域独占のもとで積み上げた原価を、価格で選ばれる市場の水準まで引き下げることだった。2000年3月の大口自由化を前に、管内最大の需要家であるトヨタ自動車が東京電力と関西電力へ供給を打診している。2001年4月の経営改革ロードマップは2005年度までに2割のコスト削減を掲げ、同年6月には自由化対応を担った末席常務の川口文夫氏を16人抜きで社長に据えた。設備投資は1993年度の7,424億円から2004年度には1,300億円程度まで下がり、要員も2005年度末に1万6,245人となった。大型電源の建設が一巡した後だから、投資を絞っても供給力に穴が開かなかった。
削った原価は料金の引き下げへ回り、2000年10月から2006年4月まで4度の値下げが続いて、需要が伸びても売上高はほぼ横ばいで推移した。同じ時期に、原子力は立地の選択肢を失っている。2000年2月に三重県の北川正恭知事が芦浜の計画を白紙に戻すと表明し、1964年の内定から36年を費やした計画は着工に至らないまま消えた。残る浜岡には2005年1月に138万kWの5号機が加わり、2008年12月には54万kWの1号機と84万kWの2号機を止めて6号機へ置き換える決定が下る。運転終了に伴う1,536億円の特別損失は、東海地震の想定震源域にある1地点へ設備を積み増してきたことの対価だった。
- 2001年度計画は2001・02年度、2002年度計画は2002〜04年度、2004年度計画は2004〜06年度の年平均。2004年度計画は単体で1,700億円以下。
- 出所は中部電力 経営計画「平成13年度 経営の目指すもの」(2001年)、同「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)、同「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)。
2000年〜2010年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 利益率 | 億円 | |||
| 2000年03月期 | 連結 | 21,676 | n/a | n/a | 1,288 | 5.9% | 771 | n/a |
| 2001年03月期 | 連結 | 22,528 | +3.9% | n/a | 1,553 | 6.9% | 941 | n/a |
| 2002年03月期 | 連結 | 22,289 | ▲1.1% | n/a | 1,761 | 7.9% | 1,103 | n/a |
| 2003年03月期 | 連結 | 21,760 | ▲2.4% | n/a | 1,711 | 7.9% | 1,064 | n/a |
| 2004年03月期 | 連結 | 21,010 | ▲3.4% | n/a | 1,849 | 8.8% | 1,147 | n/a |
| 2005年03月期 | 連結 | 21,332 | +1.5% | n/a | 1,951 | 9.1% | 912 | n/a |
| 2006年03月期 | 連結 | 21,505 | +0.8% | 3,221 | 2,197 | 10.2% | 1,194 | n/a |
| 2007年03月期 | 連結 | 22,137 | +2.9% | 2,467 | 1,786 | 8.1% | 905 | n/a |
| 2008年03月期 | 連結 | 24,328 | +9.9% | 1,679 | 1,234 | 5.1% | 706 | n/a |
| 2009年03月期 | 連結 | 25,099 | +3.2% | 1,822 | 1,305 | 5.2% | ▲189 | n/a |
| 2010年03月期 | 連結 | 22,385 | ▲10.8% | 2,000 | 1,785 | 8.0% | 1,085 | n/a |
出所:会社年鑑、有価証券報告書
出典・参考
12件
- 中部電力 有価証券報告書 第85期(2009年3月期)【設備の状況】【連結損益計算書関係】
- 中部電力20年史(中部電力、1971年)
- 火力原子力発電 51巻3号(2000年3月)「展望 エネルギー問題に難題重なる」(火力原子力発電技術協会)
- 日経ビジネス 2001年4月9日号
- 日経ビジネス 2001年11月12日号
- 中部電力 経営計画「平成13年度 経営の目指すもの」(2001年)
- 中部電力 経営計画「平成14年度 経営の目指すもの」(2002年3月)
- 中部電力 経営計画「平成16年度 経営の目指すもの」(2004年3月)
- 中部電力 経営計画「平成17年度 経営の目指すもの」(2005年3月)
- 中部電力 経営計画「経営の概況」(2006年5月)
- 中部電力 経営計画「平成18年度 経営の目指すもの」(2006年3月)
- 中部電力 Annual Report 2010(2010年)