中部電力 碧南火力発電所の新設 ガス火力の計画から海外炭の石炭火力への転換と、70万kW3基の建設
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何をなぜ決めたか
- 概要
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1986年1月、中部電力は愛知県と碧南市に、石炭を燃料とする70万kW3基の碧南火力発電所の建設を正式に申し入れた。当初はLNGまたはLPGのガス火力として計画していた地点を、海外炭を使う中部電力初の大容量石炭火力へ切り替えた。同年10月に国の基本計画に組み入れられ、1988年6月に着工した。1号機は1991年10月18日、2号機は1992年6月12日、3号機は1993年4月22日に運転を始めた。
- 背景
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中部電力は名古屋・名港・三重・新名古屋・武豊と国内炭の石炭火力を数多く運転してきたが、価格も扱いやすさも勝る石油とLNGの火力が台頭し、1970年代半ばの武豊火力の石油への燃料転換を最後に石炭火力は姿を消した。1973年と1979年の石油危機の後、石炭は石油に比べ資源が豊富で価格も約2分の1以下となり、1980年度の経営計画大綱で石炭火力を積極的に開発する方針を打ち出し、1981年度の施設計画では石炭火力開発の早期具体化を掲げた。
- 内容
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地元との長年の立地交渉の成果もあって、石炭火力への計画転換は早く理解され、1982年2月から1983年8月まで環境調査を行った。1984年1月に70万kW2基の建設計画の概要を愛知県に提出し、隣接地を買収できることになって同年8月に3基へ改めた。環境保全を課題とした県との約1年の折衝を経て正式に申し入れ、1986年9月に碧南市が同意し、西三河と知多の計20漁協からも基本同意を得た。
漁業補償は1986年12月と1987年3月に協定を結び、1987年8月には愛知県・碧南市・西尾市・安城市・高浜市と6者で公害防止協定を締結した。
- 含意
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3基とも中部電力初の海外炭専焼の大容量機で、当面はベースロード機として運用し、長期的には負荷調整にも使えるよう部分負荷での運用を考えて設計した。低圧タービンの最終段には3,600回転機として世界で初めて40インチの長翼を採用し、公害防止協定では硫黄酸化物50ppm以下、ばいじん10mg/m³N以下を約束した。一方、1988年6月のトロント会議で二酸化炭素の排出削減が採択されてから、火力発電所、とくに石炭火力への風当たりは強まっていた。
いつ何が起きたか 9件
筆者の見解
一度手放した燃料を戻した理由
碧南の決断は、新しい発電技術の導入というより、一度手放した石炭という燃料を電源構成へ戻す決断であったとみられる。1970年代半ばに最後の石炭火力を石油へ切り替えた会社が、わずか10年ほどで海外炭の大容量火力を計画したのは、2度の石油危機で燃料を一つに頼る危うさを知ったからだろう。ガス火力として準備していた地点をそのまま石炭へ振り向けた転換は、LNGの拡大と並行して、燃料の分散をもう一段進める意図の表れと読める。
もっとも、石炭を戻す判断が形になるころには、評価の物差しが変わり始めていた。着工した1988年6月にトロント会議が二酸化炭素の排出削減を採択し、石炭火力は燃料の安定性とは別の尺度で問われるようになった。碧南に次ぐ石炭火力の候補とした清水地点では、1991年時点で景観を案じる声や反対運動が続いており、燃料の分散という合理性だけでは立地が進まない時代に入っていたとみられる。
Yutaka Sugiura, 2026年9月
業績の推移
建設の条件
建設の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 所在地 | 愛知県碧南市 | 衣浦臨海地域の埋立地 |
| 燃料 | 海外炭 | 当初はLNGまたはLPGのガス火力として計画 |
| 正式な申し入れ | 1986年1月 | 1984年1月の計画概要は70万kW2基。同年8月に3基へ改めた |
| 出力 | 各70万kW(3基) | |
| 国の基本計画への組み入れ | 1986年10月 | 第104回電源開発調整審議会 |
| 用地 | 約80ha・約46ha・約6ha | 県企業庁(1986年12月)、兼松江商と三井液化ガス(1987年2月)、昭和シェル石油(1989年10月) |
| 公害防止協定 | 硫黄酸化物50ppm以下・ばいじん10mg/m³N以下 | 1987年8月に愛知県と碧南・西尾・安城・高浜の4市の6者で締結 |
| 着工 | 1988年6月 | |
| 運転開始 | 1991年10月・1992年6月・1993年4月 | 3号機は1991年時点の目標(1993年6月)より早まった |
出所:中部電力40年史(1991年)
同じ問いに直面した会社
参考文献
- 中部電力30年史(1981年)
- 中部電力40年史(1991年)
- 中部電力 会社年鑑
- 中部電力70年史
- 中部電力 ニュースリリース「碧南火力発電所 累積発電電力量5,000億kWh達成 国内の火力発電所で最短」