上場企業の経営論点>ガバナンス・経営体制
プロ経営者の招聘
外部から経営者を迎える人事は、長く再建の最終手段として使われてきた。1965年の証券不況では、日本興業銀行が日高輝氏を送り込んで山一證券の再建責任を引き受け、主力行が人を出すことを金融支援の見返りとした。1982年、朝日麦酒は住友銀行副頭取だった村井勉氏を迎えて組織を立て直している。1999年のルノーとの資本提携と2010年の稲盛和夫氏による日本航空の再建は、破綻の淵にある会社ほど外部の経営者へ権限を集めることを示した。2010年代に入ると招聘は平時へ移り、資生堂は魚谷雅彦氏に、武田薬品工業はクリストフ・ウェバー氏に経営を委ねた。カルビーの松本晃氏のように、危機のない会社が収益管理の作法ごと経営者を招く人事も定着した。
財務諸表のどこを見るか
「役員の状況」の略歴欄を最初に読む。前職の社名と在籍年数が書かれるため、社内で育った経営者か外から迎えた経営者かを判別できる。次に役員報酬を見る。外部招聘では固定報酬の比率が下がり、業績連動報酬と株式報酬の設計が細かく書かれるので、算定指標、支給の上限、報酬1億円以上の個別開示を確かめたい。新株予約権の発行要項に権利行使条件が載れば、在任年数と株価への連動が読める。指名報酬委員会の構成も併せて見る。
2020年代
2010年代
杉本雅史氏を社外招聘 創業家が会長として代表権を残し、執行を武田出身の社外人材へ委ねた交代 大田嘉仁氏の会長招聘 不適切な会計処理を受けた取締役会の刷新と、京セラ出身 収益体質改革の断行 松本晃氏の主導による、数字で管理する経営への作り替え 鴻海傘下で戴正呉氏が再建 経営体制の入れ替えと、構造改革による自己資本の立て直し 46店閉店と桑野光正登用 一斉閉店を伴う構造改革 外国人CEOウェバー氏招聘 トップの外部登用に踏み切ったグローバル経営体制への転換 魚谷雅彦氏を招聘 外部のプロ経営者に経営を委ねる決断と、「VISION 2020」の始動 Sunrise主導のMBO 創業者の退場と、投資ファンドを主導役に据えた非公開化 「データ経営」への転換 土屋哲雄の参画と、あわせて掲げた「しない経営」への転換 医薬品と食品の併売店へ転換 創業家によらない外部プロ経営者への継承と、店舗の型の作り替え 萩平和巳への社長承継 創業者・江口新氏の退任と、経営コンサル出身者を迎えた外部登用 藤森義明氏をCEO招聘 米GE出身の経営者を迎えての創業家からの経営権の移譲 佐藤英志氏を社長起用 公認会計士出身のトップ登用と、持株会社制への移行による統治の組み替え アメーバ経営で再建 会社更生法下での稲盛和夫氏の招聘と、フィロソフィによる意識の作り替え
2000年代
カーライル・ペプシコとの資本提携 外部資本を迎え入れた業務提携と、東証一部への上場 ピルキントン出身者を社長起用 買収先出身者と外部招聘による外国人社長2代の起用と委員会設置会社への移行 米ユニシス株の全売却 保有株の全売却による日米合弁体制の解消と独立経営への移行 三菱商事から後継者招聘 社長職の世襲を退け、自己株式の処分と引き換えに三菱商事から後継を迎えた承継 エバ・チェンへ社長承継 創業者スティーブ・チャンからの社長兼CEO職の引き継ぎ サーベラス出資での再建 後藤高志氏の招聘と、持株会社体制への移行によるグループ再建 SIerから上流コンサルへ転換 発案者が自ら事業を立ち上げる社内独立の風土づくりと、事業構造の作り替え 藤田田氏の退場 創業者の退場を経た、米本社による直接統治体制への移行 西武百貨店と経営統合 かつての商売敵との統合による、ミレニアムリテイリング傘下入り 米サーベラス筆頭株主化 ソフトバンク保有株の売却を経た普通銀行への転換と再上場 公的資金1.96兆円受入 預金保険法102条の初適用による公的資金約1兆9,600億円の受け入れと、外部招聘した細谷英二会長のもとでのリテール銀行再建 第一サントリーファーマ設立 酒類大手の医薬品事業部門を分社化して受け止める共同出資会社の発足 エクロート氏の構造改革 ダイムラー主導で進んだ、聖域を設けない再建計画の断行 玉塚元一氏の登用 柳井正氏の社長退任と経営の世代交代 アイワイバンク銀行設立 金利差ではなくATM受入手数料を収益の柱に据えた銀行の設計 西武との合併構想 破綻処理から再建へ——興銀が招いた和田繁明氏が描いた百貨店再編の設計図