米山有沙氏が社長就任(2022年・ヨネックスの決断)

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論点社長職を創業家へ戻すか
ヨネックス:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
社長職の7年ぶりの創業家復帰と、代表権を会長に残した継承

何をなぜ決めたか:社長職の7年ぶりの創業家復帰と、代表権を会長に残した継承

概要

ヨネックスは2022年4月1日、創業者・米山稔氏の孫にあたる米山有沙氏を代表取締役社長に登用した。1987年6月28日生まれで、就任時は34歳。前任の林田草樹氏は同日付で取締役を退任して相談役に移り、代表取締役会長の米山勉氏は代表権を持ったまま残った。社長職は2015年6月に米山家以外へ初めて渡っており、7年ぶりに創業家へ戻ったことになる。

指名委員会は設置しておらず、取締役候補は代表取締役が原案を作り、取締役会の審議を経て株主総会に付議する。交代の理由は、有価証券報告書にもコーポレート・ガバナンス報告書にも書かれていない。

背景

社長職は創業家の内側で渡ってきた。1997年6月に創業者・米山稔氏から弟の米山宏作氏へ、2007年6月に稔氏の長男・米山勉氏へと移っている。米山勉氏が引き継いだのは、第49期(2006年3月期)に固定資産の減損などで51億8,235万円の当期純損失を計上した直後の会社であった。

2015年6月、米山勉氏は代表取締役会長へ回り、1980年3月入社で大阪支店長・営業本部長を務めた林田草樹氏が社長に就任した。連結売上高は就任翌期の541億円から退任期の744億円へ伸び、2021年12月にはタイのテニスボール事業会社を子会社化している。

内容

米山有沙氏は2016年3月に米国法人YONEX CORPORATIONへマーケティングマネージャーとして入社し、2018年1月にシニア・マーケティングマネージャー、2019年4月に執行役員兼マーケティング本部副本部長となった。2021年4月に米国法人の取締役、同年6月の定時株主総会で本体の取締役に選ばれ、マーケティング本部長とグローバル戦略室長を兼ねている。

社長就任は2年の取締役任期の途中にあたり、株主総会ではなく代表取締役の異動として行われた。就任時の取締役は7名でうち社外は2名、2022年3月期の取締役会は13回開催された。任意の諮問機関は報酬諮問委員会だけで、社外取締役が委員長を務める。

含意

就任後の4期は連続して最高の売上高を更新した。連結売上高は2023年3月期の1,070億円から2026年3月期には1,636億円へ、営業利益は100億円から165億円へ伸びている。連結従業員数は2,403人から2,980人、提出会社の平均年間給与は522万円から641万円になった。

伸びの中身はアジアに寄っている。顧客の所在地でみた2026年3月期の売上高はアジアが994億円で全体の6割を占め、うち中国が778億円。日本は419億円、北米は74億円にとどまる。

いつ何が起きたか8件
当時の取締役8名

当時の取締役(2021年6月株主総会決議)

考察:代表権を手放さない中継ぎ
考察

考察:代表権を手放さない中継ぎ

2015年の交代を、創業家経営からプロ経営者への切り替えと読むのは早い。林田草樹氏が社長に就任した時点で米山勉氏は代表権を持つ会長として残り、代表者の一角は創業家に置かれたままであった。社長の椅子だけを外へ渡したこの形は、翌2016年に米国法人へ入った米山有沙氏が経験を積む時間を確保する意味も持っていたのだろう。同氏は2021年6月に取締役となり、その10か月後に代表取締役の異動として社長へ就任している。指名委員会は置かず、取締役候補の原案は代表取締役が作る仕組みのままで、承継の設計は取締役会の外に残された。

もっとも、この7年を待機の期間と片づけるのは公平でない。連結売上高は541億円から744億円へ伸び、タイのテニスボール事業会社の取り込みも林田草樹氏の在任中に決まっており、就任後の4期連続の最高更新はその土台の上にある。ただ、伸びた先はアジアに偏っている。顧客の所在地でみた2026年3月期の売上高は、アジアが全体の6割にあたる994億円で、うち中国が778億円を占める。創業家が代表権を握り続けるかどうかより、この一極をどう組み替えるかで次の評価は決まるといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る2表

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図と表

ヨネックス:従業員数と平均年間給与の推移

提出会社従業員数(人)子会社の従業員数(人)平均年間給与(千円)
ヨネックス:従業員数と平均年間給与の推移
(人)連結従業員数提出会社従業員数臨時雇用者数平均年間給与(千円)備考
2017年3月期1,7101,2181905,108前期比122人増の主な理由は海外現地採用従業員の増加
2018年3月期1,7371,2411905,199
2019年3月期1,7951,2801904,947
2020年3月期1,8151,2771854,962
2021年3月期1,7851,2311694,597
2022年3月期2,4031,1802625,2232022年4月1日に社長交代。連結の618人増はタイのテニスボール事業会社の子会社化による
2023年3月期2,5901,2413315,552
2024年3月期2,6331,2653795,727
2025年3月期2,7521,3515246,012
2026年3月期2,9801,4676746,412
出所:ヨネックス 有価証券報告書 第60〜69期(従業員の状況)
出所:ヨネックス 有価証券報告書 第60〜69期(従業員の状況)

経緯と対応

経緯と対応
科目概要備考
社長交代の実施日2022年4月1日林田草樹氏は同日付で取締役を退任し、相談役に就任した
新社長の役職代表取締役社長 社長執行役員就任前は取締役執行役員マーケティング本部長兼グローバル戦略室長
新社長の経歴1987年6月28日生、2016年3月入社米国法人YONEX CORPORATIONに入社。2019年4月執行役員、2021年6月取締役
新社長と創業家の関係代表取締役会長 米山勉氏の長女戸籍上の氏名は米山有沙。役員一覧の表記はアリサ ヨネヤマ
前社長の在任期間2015年6月〜2022年3月1980年3月入社。1997年6月取締役、2013年6月代表取締役専務を経て社長に就任
代表取締役の構成会長と社長の2名米山勉氏は2015年6月から代表取締役会長。交代後も代表権を保持している
取締役会の構成取締役7名(うち社外2名)女性2名・外国籍1名。定款の員数は15名以内。2022年3月期の開催は13回
取締役の任期2年2021年6月24日の定時株主総会の終結の時から2年。その任期の途中で社長に就任した
指名委員会の関与設置なし任意の諮問機関は報酬諮問委員会のみ。指名委員会は今後必要に応じ検討とする
取締役候補の指名手続代表取締役が候補者の原案を作成取締役会で審議して候補者を決定し、株主総会に付議する
代表取締役の解任要件定めなし解任が相当と判断される場合は取締役会で十分に審議を尽くしたうえで決議する
後継者計画開示なしコーポレート・ガバナンス報告書に補充原則4-1③の記載がない
交代の理由記載なし有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書のいずれにも書かれていない
出所:ヨネックス 有価証券報告書 第65期(2022年3月期)【役員の状況】【コーポレート・ガバナンスの概要】・コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2022年4月1日更新)
当時の取締役8名

当時の取締役(2021年6月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考

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