クリエイトSDホールディングス 医薬品と食品の併売店へ転換 創業家によらない外部プロ経営者への継承と、店舗の型の刷新
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何をなぜ決めたか
- 概要
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2012年8月、創業者の山本久雄氏は世襲によらず、他社で社長を務めた薬剤師の廣瀬泰三氏を社長に据え、自らは代表取締役会長として残った。廣瀬氏が進めたのは、来店頻度の高い食料品で客を集め、調剤と医薬品で利益を取る店づくりである。就任した期のドラッグストア事業では、食料品の売上が654億円と構成比36.0%を占め、医薬品の18.1%を大きく上回っていた。
- 背景
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1983年5月に有限会社みどりドラッグストアとして創業した会社は、神奈川県内に高密度のドミナントを築いた。だが各社とも積極的な新規出店と事業統合で業容を拡大し、改正薬事法の施行と医薬品のインターネット販売の原則解禁で異業種の参入も予想された。地域に密着したドラッグストアを実現するためのドミナントエリアの確立と強化が課題に挙がるなか、山本久雄氏は創業家に後継の適任を求めず、調剤とドラッグストアの双方を経営した外部の専門家を招いた。
- 内容
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廣瀬氏は1981年にエーザイへ入社し、1990年にコーエイドラッグを設立して社長、2007年に住商ドラッグストアーズの社長を務めた薬剤師である。2011年6月に事業会社クリエイトエス・ディーへ社長付で入社し、同年8月に取締役、2012年2月に副社長、同年8月にクリエイトSDホールディングスと事業会社の代表取締役社長へ就任した。前任の若尾鐵志郎氏は取締役相談役へ退き、山本久雄氏は代表取締役会長として残った。
- 含意
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調剤薬局はドラッグストアへの併設を中心として出店し、食料品等生活必需品の取扱商品を拡充する——掲げた二本柱は店舗の数に出た。就任した2013年5月期のドラッグストアは379店舗で、併設した調剤薬局は64店舗。2018年5月期には559店舗中149店舗になった。連結売上高は同じ期間に1,819億円から2,681億円へ、2025年5月期には4,570億円へ広がっている。
いつ何が起きたか 6件
筆者の見解
会社を継がせず、足りない専門性を外から迎える
この判断の核心は、一代でチェーンを築いた創業者が、事業を身内へ継がせる道を採らず、自社に薄かった調剤経営の専門性を外から迎えた点にある。神奈川県内の高密度なドミナントは山本久雄氏が築いた強みだったが、医薬分業が進むなかでその密度を稼ぎに変えるには、処方箋を扱う調剤と食料品を統括する業態づくりの経験が要った。山本久雄氏は会長にとどまり、4,665,355株の持株で求心力を保ちながら、日々の采配を他社で社長を務めた薬剤師に委ねている。成功した創業者が、自らの手で後継を身内の外へ求めた点に、この承継の性格がうかがえる。
もっとも、外部から社長を迎えれば転換が進むわけではない。調剤薬局を併設した店が就任期の64店から2018年5月期には149店へ増えたのは、山本久雄氏が会長として持株と信任で背後を固め、神奈川で築いた店舗網という土台を渡したからだろう。地場で一代を築いた同族企業が、次の経営を誰に託すか——身内か、外部の専門家か。クリエイトSDのこの選択は、規模の拡大へ向かう手前で、承継の設計そのものを経営の主題に据えた点で示唆に富む。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
社長交代と店づくりの転換
社長交代と店づくりの転換
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 社長の交代 | 2012年8月 | 持株会社と事業会社クリエイトエス・ディーの代表取締役社長に同時に就任した |
| 新しい社長 | 廣瀬泰三氏 | 薬剤師。創業家の出身ではない |
| 前任の社長 | 若尾鐵志郎氏 | 交代後は取締役相談役として残った |
| 創業者の処遇 | 代表取締役会長を継続 | 山本久雄氏。1983年5月に有限会社みどりドラッグストアを設立した創業者 |
| 新社長の前職 | 住商ドラッグストアーズ 代表取締役社長 | 1981年エーザイ入社、1990年コーエイドラッグを設立して社長、2007年から同社 |
| 入社から就任まで | 1年2か月 | 2011年6月に社長付で入社、同年8月に取締役、2012年2月に副社長 |
| 就任期末の持株数 | 21,300株 | 山本久雄氏は4,665,355株、山本いつ子氏は1,045,355株を保有する |
| 店の型 | 医薬品・化粧品・食料品・日用雑貨品の販売と調剤 | ドラッグストア事業の主な業務 |
| 調剤の出し方 | ドラッグストアへの併設を中心として出店 | ドラッグストアとの相乗効果を高める |
| 食料品の位置づけ | 食料品等生活必需品の取扱商品の拡充 | 買上商品配達サービスの導入店舗拡大とあわせ、地域の潜在ニーズに応える |
| 就任期末の店舗数 | ドラッグストア379店舗 | うちFC2店舗。調剤専門薬局23店舗、ドラッグストアへの併設調剤薬局64店舗 |
| 就任期の食料品売上 | 65,463百万円 | ドラッグストア事業の構成比36.0%。医薬品は32,958百万円で18.1% |
出所:クリエイトSDホールディングス 有価証券報告書 第15期(2012年5月期)・第16期(2013年5月期)【役員の状況】【事業の内容】【対処すべき課題】【生産、受注及び販売の状況】
店舗数と調剤薬局の併設
クリエイトSDホールディングス:店舗数と調剤薬局の併設
| (店) | ドラッグストア店舗数 | 調剤専門薬局 | ドラッグストアへの併設調剤薬局 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2010年5月期 | 307 | 12 | 29 | 直営305店舗とFC2店舗の合計 |
| 2011年5月期 | 329 | 17 | 32 | |
| 2012年5月期 | 354 | 22 | 39 | うちFC2店舗。廣瀬泰三氏の社長就任はこの期の期末後 |
| 2013年5月期 | 379 | 23 | 64 | 期中の2012年8月に社長が交代。併設調剤薬局は1年で25店増えた |
| 2014年5月期 | 419 | 25 | 88 | |
| 2015年5月期 | 446 | 30 | 109 | |
| 2016年5月期 | 471 | 31 | 111 | うちFC2店舗 |
| 2017年5月期 | 509 | 32 | 125 | |
| 2018年5月期 | 559 | 36 | 149 |
出所:クリエイトSDホールディングス 有価証券報告書 第13〜21期(業績等の概要・期末の店舗数)
ドラッグストア事業の品目別売上
クリエイトSDホールディングス:ドラッグストア事業の品目別売上
| (百万円) | 医薬品 | 化粧品 | 食料品 | 日用雑貨品 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2009年5月期 | 20,068 | 18,035 | 35,386 | 20,267 | 第12期は決算期の変更により2008年12月からの6か月間 |
| 2010年5月期 | 29,643 | 25,755 | 47,104 | 28,302 | |
| 2011年5月期 | 30,081 | 26,315 | 50,709 | 29,511 | |
| 2012年5月期 | 30,838 | 27,934 | 59,791 | 31,402 | 食料品の構成比は35.2% |
| 2013年5月期 | 32,958 | 29,335 | 65,463 | 33,092 | 食料品の構成比36.0%に対し、医薬品は18.1% |
| 2014年5月期 | 34,213 | 31,132 | 72,424 | 35,733 | |
| 2015年5月期 | 49,309 | 31,780 | 80,886 | 37,505 | この期から医薬品に調剤薬局を含む。OTC35,522・調剤薬局13,787の合計 |
| 2016年5月期 | 54,195 | 33,669 | 88,727 | 39,810 | |
| 2017年5月期 | 58,130 | 35,643 | 95,528 | 41,739 | |
| 2018年5月期 | 65,044 | 37,449 | 104,819 | 43,932 |
出所:クリエイトSDホールディングス 有価証券報告書 第12〜21期(事業別品目別売上実績)
同じ問いに直面した会社
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参考文献
- クリエイトSDホールディングス 有価証券報告書「第16期(2013年5月期)【役員の状況】【事業の内容】【対処すべき課題】【生産、受注及び販売の状況】」
- クリエイトSDホールディングス 有価証券報告書「第15期(2012年5月期)【役員の状況】」
- クリエイトSDホールディングス 有価証券報告書「第18期(2015年5月期)【生産、受注及び販売の状況】」
- クリエイトSDホールディングス 中期経営計画「Next STAGE 2030」