ゴルフ参入を、成長市場への相乗りとみるのは当たらない。ヨネックスが持ち込んだのは資本でも販路でもなく、バドミントンラケットへの世界初のアルミ採用から始まり、グラスファイバー・カーボンファイバー・ボロン繊維へと積み上げた素材と成形の技術であった。木の浮きが樹脂に置き換わるのを見抜けず大失敗した経営者が、素材の切り替えを自ら仕掛ける側へ回ったところに、この判断の芯があるとみられる。
もっとも、ゴルフが収益源として自立したとは言いにくい。参入から12年を経ても市場シェアは3%・業界7位にとどまり、米山稔社長が掲げた5%も遠かった。それでも売上の3分の1を担う規模までは育った。多角化の成否は市場の大きさよりも持ち込める技術の中身で決まる——ヨネックスのゴルフ参入は、その一例として読むことができる。