ノーリツ鋼機買い集めた医療・シニア・農業事業の連続譲渡と「ものづくり」への集約
- 概要
- 2018年から2020年にかけて、ノーリツ鋼機が2010年代前半に買い集めた医療・シニア・農業・保険の事業を相次いで手放し、コア事業を『ものづくり』に絞り込んだ判断。売却と並行してDJ機器のAlphaThetaを取得した。
- 内容
- 2020年2月に日本再生医療、3月にアグリ・フード事業、8月にハルメクホールディングス、9月にデンタルホールディング、11月に日本共済を手放した。同年4月にはAlphaThetaを株式取得約350億円で子会社化している。
- 含意
- 買った本人ではなく、買っていない経営者が売る側に回った。2022年2月にはJMDC株式の一部譲渡でコア事業を『ものづくり』と再定義し、2024年5月のプリメディカ譲渡で医療分野から完全に退いた。
筆者の見解
売る役を誰が引き受けたか
買った事業を売る作業は、買った本人には難しい。取得の判断を否定することになり、社内では前任者の実績の引きはがしにも見える。ノーリツ鋼機ではその役を、2018年に外から来た岩切隆吉氏が引き受けた。西本博嗣氏が会長として残りながら執行を離れた形は、創業家が方向づけを保持したまま、個別の売却判断からは距離を置く仕組みとして働いたとみられる。
売却の対価が製造業の買収に回された点で、この2年は撤退というより両替に近い。医療とシニアで集めた事業は、DJ機器とイヤホンとペン先に姿を変えた。2020年8月にMBOで独立したハルメクは、その後もシニア女性誌の発行を続けている。ノーリツ鋼機の側に残ったのは、売上1,192億円と営業利益率17.4%という、写真処理機器の最盛期を上回る数字であった。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
- M&A Online(2020年3月2日)
- M&A Online(2020年7月7日)
- M&A Online(2020年8月3日)
- 日本M&Aセンター M&Aニュース(2020年8月3日)「ノーリツ鋼機、連結子会社およびグループ企業の全株式譲渡へ、MBOも実施」
- ノーリツ鋼機 通期決算説明会資料(2021年12月期・2022年12月期)
- ノーリツ鋼機 有価証券報告書【沿革】/各期 有価証券報告書(連結)