日本ビクターの設立で注目すべきは、米ビクターが代理店経由の輸入販売ではなく現地法人を設立した点にある。製造・販売を一体で運営する体制を日本市場に構築し、ブランド管理と供給体制を自社で握る構造を早期に築いた。1930年には三菱・住友の財閥資本も取り込んでいる。ただし、法人設立から十…
日本ビクターの株主構成は、わずか16年で米RCA→日産財閥→東芝と二度の資本移動を経験した。外資排除という戦時統制の要請が最初の移転を生み、日産の事業的関心の薄さが二度目の移転を生んだ。東芝の取得は音響・映像技術との補完関係を見込んだものであったが、日本ビクターにとっては経営の主…
日本ビクターの経営再建で興味深いのは、レコード販売で構築した全国の専門店網を新製品の販路として活用した点にある。松下電器の資本注入を受けつつ、自社の既存チャネルを基盤にテレビやラジオへ品目を拡大するV1計画は、限られた資源の中で成長を図る現実的な戦略であった。ただし、テレビ市場で…
VHSの標準化で注目すべきは、技術的な優劣よりも陣営形成の戦略が規格競争の帰趨を決めた点にある。松下電器の量産力と販売網がVHS陣営に加わったことで、競争は技術の比較から供給能力と対応メーカー数の競争へと変質した。日本ビクターは欧米の大手メーカーへのOEM供給によりグローバルでの…
S-VHSの投入は、VHS規格の主導企業が価格下落に対して規格進化で対抗しようとした試みであった。しかし、円高と韓国メーカーの低価格攻勢という構造的変化に対して、高付加価値モデルの投入だけでは収益悪化を止められなかった。世界標準を握った企業が利益を確保できないという矛盾は、規格支…
日本ビクターの経営統合は、規格主導企業が規格の陳腐化とともに存在意義を失うという構造を示している。VHSで世界標準を握った時期が事業の頂点であり、DVDへのデジタル転換後は次の柱を見出せないまま長期低迷に陥った。松下電器は過半株式を保有しながらグループ内再建を断念し、ケンウッドと…