ソニー:ソニーグループへの改称とソニー・ホンダモビリティ設立
2021年〜ソニーグループへの改称と調整後EBITDA累計4.3兆円、戦略投資1.3兆円の配分
2021年4月1日、ソニー株式会社は商号をソニーグループ株式会社へ改めた。同じ日に、エレクトロニクスとイメージセンサーの事業は吸収分割で完全子会社へ移した。本社の手元に残した役割は、事業ポートフォリオの管理とキャピタルアロケーション、事業間のシナジー創出、人材と技術への投資の4つだった。会長兼社長CEOの吉田憲一郎氏はのちに、各事業が感動を共通項に等距離で結びつく形を目指した再編だと説明した。人事制度も各事業体の裁量に大きく委ね、事業ごとに自立して成長を追う前提を置いた。電機の本社として続いた序列を外し、6つの事業を同じ距離から比べて資本を配る持株会社に改めたと推察される。
- ソニーグループ 有価証券報告書 第104期(2021年3月期)【沿革】【重要な後発事象】
- [1]2021年4月1日 商号をソニー株式会社からソニーグループ株式会社(Sony Group Corporation)へ変更
- ソニーグループ 有価証券報告書 第105期(2022年3月期)【企業結合等関係】
- [2]2021年4月1日 エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業をソニー株式会社へ、イメージング&センシング・ソリューション事業をソニーセミコンダクタソリューションズへ、吸収分割で承継(承継会社はいずれも完全子会社)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第104期(2021年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- [3]グループ本社の主なミッションは事業ポートフォリオ管理とキャピタルアロケーション、グループシナジーと事業インキュベーションによる価値創出、人材と技術への投資
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』CEOメッセージ
- [4]2021年4月にグループアーキテクチャーを再編し、グループ本社からエレクトロニクス事業を分社化。各事業が「感動」をキーワードに等距離でつながることを目指した
- ソニーグループ 2022年度 サステナビリティ説明会 質疑応答(2022年9月15日)
- [5]新しい経営形態のもとで各事業体が自らの足で立ち成長を追求することを定め、必要な人材・人事制度を考えることについて各事業体に裁量を委ねた
2021年5月の経営方針説明会で、ソニーは2021〜2023年度の第四次中期経営計画を示した。柱に据えたのは、調整後EBITDAの3年累計4.3兆円と2兆円以上の戦略投資だった。EBITDAを選んだのは、金融分野まで含めて測れ、投資を促す指標でもあるからだった。質疑では、第三次中計のセグメント別営業利益目標が形骸化したと投資家が指摘した。吉田氏は数字を外へ示す是非に触れ、『3年という時間軸は経営の目標としては短すぎ、環境の変化としては長すぎると思う』と答えた。4.3兆円には戦略投資が生む利益を入れず、ベースラインとして見るよう求めた。事業別の約束を外して全社の稼ぐ力と投資の枠だけを示したのは、環境の変化に応じて資本を動かす余地を残すためだったのだろう。
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』
- [6]第四次中期経営計画の期間は2021年度〜2023年度、3年間累計調整後EBITDAの目標は4.3兆円
- ソニーグループ 2021年度 経営方針説明会 質疑応答(2021年5月26日)
- [7]第四次中期経営計画の経営指標として、調整後EBITDAの3年累計4.3兆円、戦略投資2兆円以上を発表
- [8]EBITDAは金融分野を取り込めること、投資を促す指標であることから採用
- [9]投資家が、第三次中期経営計画のセグメント別営業利益目標はほとんど意味がなくなったと指摘
- [10]3年の時間軸で経営指標を外部に示すのが経営にとって適切かについては議論の余地があると回答
- [11]3年累計4.3兆円には戦略投資からのEBITDAを含まず、ベースラインと考えてほしいと説明
計画の時点では、IP・DTC・テクノロジーの3領域に投資の優先順位を置かないとしていた。1年後の2022年5月には、実際の重点はIPの側にあると説明した。音楽カタログの取得はリスクもリターンも低くROICを押し下げるが、中期の成長のために続けると答えた。2023年には足元のM&A市場を理由に、戦略投資の計画を約10%減の1.8兆円へ改めた。一方でイメージセンサーを主とする設備投資は、1.9兆円へ積み増した。3年間に実行した戦略投資は自社株買いを除いて約1.3兆円で、約4分の3がエンタテインメントへ向かい、最大の配分先は音楽だった。3年累計の調整後EBITDAは5.1兆円となり、目標を19%上回った。
- ソニーグループ 2021年度 経営方針説明会 質疑応答(2021年5月26日)
- [12]IP・DTC・テクノロジーはそれぞれ重要で、特別に優先順位を設けている分野はない
- ソニーグループ 2022年度 経営方針説明会 質疑応答(2022年5月18日)
- [13]IPとDTCサービスでは、どちらかというとIP側に投資の重点を置いている
- [14]音楽カタログの買収はリスクの低い投資だがリターンも高くなく、その分ROICが下がるが、中期的かつ持続的な成長に移行するため積極的に投資している
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- [15]戦略投資は足元のM&A市場環境も考慮し、当初計画から約10%減となる1.8兆円
- [16]設備投資はイメージセンサー向けを中心に1.9兆円と当初計画から大幅に増額
- ソニーグループ 2024年度 経営方針説明会 質疑応答(2024年5月23日)
- [17]第四次中計の戦略投資の実績は自己株式取得を除き約1.3兆円、うち4分の3程度をエンタテインメントに配分
- ソニーグループ 2023年度 業績説明会 質疑応答(2024年5月14日)
- [18]第四次中計の戦略投資の構成比は音楽が最も大きく、続いてゲーム・映画がほぼ同規模
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2024』COO/CFOメッセージ
- [19]第四次中計の3年間累計の連結調整後EBITDAは5.1兆円で、当初目標4.3兆円を19%上回った
参考文献[1]-[19]
- ソニーグループ 有価証券報告書 第104期(2021年3月期)【沿革】【重要な後発事象】
- [1]2021年4月1日 商号をソニー株式会社からソニーグループ株式会社(Sony Group Corporation)へ変更
- ソニーグループ 有価証券報告書 第105期(2022年3月期)【企業結合等関係】
- [2]2021年4月1日 エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業をソニー株式会社へ、イメージング&センシング・ソリューション事業をソニーセミコンダクタソリューションズへ、吸収分割で承継(承継会社はいずれも完全子会社)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第104期(2021年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- [3]グループ本社の主なミッションは事業ポートフォリオ管理とキャピタルアロケーション、グループシナジーと事業インキュベーションによる価値創出、人材と技術への投資
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』CEOメッセージ
- [4]2021年4月にグループアーキテクチャーを再編し、グループ本社からエレクトロニクス事業を分社化。各事業が「感動」をキーワードに等距離でつながることを目指した
- ソニーグループ 2022年度 サステナビリティ説明会 質疑応答(2022年9月15日)
- [5]新しい経営形態のもとで各事業体が自らの足で立ち成長を追求することを定め、必要な人材・人事制度を考えることについて各事業体に裁量を委ねた
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』
- [6]第四次中期経営計画の期間は2021年度〜2023年度、3年間累計調整後EBITDAの目標は4.3兆円
- ソニーグループ 2021年度 経営方針説明会 質疑応答(2021年5月26日)
- [7]第四次中期経営計画の経営指標として、調整後EBITDAの3年累計4.3兆円、戦略投資2兆円以上を発表
- [8]EBITDAは金融分野を取り込めること、投資を促す指標であることから採用
- [9]投資家が、第三次中期経営計画のセグメント別営業利益目標はほとんど意味がなくなったと指摘
- [10]3年の時間軸で経営指標を外部に示すのが経営にとって適切かについては議論の余地があると回答
- [11]3年累計4.3兆円には戦略投資からのEBITDAを含まず、ベースラインと考えてほしいと説明
- [12]IP・DTC・テクノロジーはそれぞれ重要で、特別に優先順位を設けている分野はない
- ソニーグループ 2022年度 経営方針説明会 質疑応答(2022年5月18日)
- [13]IPとDTCサービスでは、どちらかというとIP側に投資の重点を置いている
- [14]音楽カタログの買収はリスクの低い投資だがリターンも高くなく、その分ROICが下がるが、中期的かつ持続的な成長に移行するため積極的に投資している
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- [15]戦略投資は足元のM&A市場環境も考慮し、当初計画から約10%減となる1.8兆円
- [16]設備投資はイメージセンサー向けを中心に1.9兆円と当初計画から大幅に増額
- ソニーグループ 2024年度 経営方針説明会 質疑応答(2024年5月23日)
- [17]第四次中計の戦略投資の実績は自己株式取得を除き約1.3兆円、うち4分の3程度をエンタテインメントに配分
- ソニーグループ 2023年度 業績説明会 質疑応答(2024年5月14日)
- [18]第四次中計の戦略投資の構成比は音楽が最も大きく、続いてゲーム・映画がほぼ同規模
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2024』COO/CFOメッセージ
- [19]第四次中計の3年間累計の連結調整後EBITDAは5.1兆円で、当初目標4.3兆円を19%上回った
2022年〜Bungie買収36億ドルとソニー・ホンダモビリティへの50%出資、Destiny 2の減損とAFEELAの中止
ソニーは米ゲーム開発会社Bungieの買収を2022年7月に完了した。2月の決算説明会で示した対価36億ドルのうち約3分の1は、従業員株主の継続雇用を条件とする繰延支払とリテンション報酬に充てた。Epic Gamesへは少数出資にとどめながらBungieは全株を取る理由を問われ、会社側は『IPにもフェアバリューがあると思う。ソニーが投資することで将来アップサイドが作れるかどうかを基準に考えたい』と答えた。上積みの中身は、複数機種への展開とライブサービス運営の力を自社スタジオ群が学ぶことと、IPを映画や音楽へ広げることだった。対価の3分の1を在籍に結びつけた設計からは、作品よりも開発と運営の人材を買う案件だったと読める。
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2022』CEOメッセージ
- [20]2022年7月にライブゲームサービスを得意とするBungie, Inc.の買収を完了
- ソニーグループ 2021年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2022年2月2日)
- [21]Bungie買収の対価は36億ドル
- [22]買収対価の約3分の1は従業員株主に対する継続雇用を条件とした繰延支払対価やリテンション関連の報酬
- [23]Epic Gamesは少数持分の取得、Bungieは全株式の取得。ゲームIP取得の基準を問う質問に対し、ソニーが投資することで将来アップサイドを作れるかを基準に考えると回答
- [24]Bungieの様々なプラットフォームにコンテンツを展開する能力、ライブサービスを開発・運営する能力をプレイステーションスタジオが学びたいとし、IPをゲームに限らずマルチユースすることもアップサイドに挙げた
2022年11月には早期の減損の可能性を問われ、会社側は『減損は恣意的に判断するものではなく、環境の変化によって決まる』と答えた。2023年のCOO/CFOメッセージも、Bungieの知見を共有してライブサービスの開発と運営の力を高めると掲げた。2024年2月には、コストのかけ方や開発日程の説明責任に改善の余地があると認めた。同年8月の構造改革では、人員をDestiny 2と新作Marathonへ絞った。独立した環境を与える当初の方針は、2025年8月にPlayStation Studiosの一員という位置づけへ改まった。2025年11月、Destiny 2の成果が買収時の見込みを下回ったとして、Bungieの無形・有形の固定資産を減損した。
- ソニーグループ 2022年度第2四半期決算説明会 質疑応答(2022年11月1日)
- [25]金融市場の変化によりBungieを早期に減損する判断もあり得るかとの質問に、Bungieについてマクロ環境を受けた大きな変化は現時点ではなく、実行済の投資に格別の懸念はないと回答
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- [26]1st Partyゲームポートフォリオの強化・拡充に向け、Bungieの知見の共有を進め、ライブサービスゲームの開発・運営力を強化する
- ソニーグループ 2023年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2024年2月14日)
- [27]Bungieについて、コストのかけ方や開発スケジュールに対する説明責任の果たし方など、ビジネスの観点から見ると改善の余地があるのが率直な印象と回答
- ソニーグループ 2024年度第1四半期決算説明会 質疑応答(2024年8月7日)
- [28]Bungieの構造改革を発表。『Destiny 2』と新しいライブサービスタイトル『Marathon』の開発にリソースを集中し、それ以外の機能と開発はプレイステーションスタジオへ移管
- ソニーグループ 2025年度第1四半期決算説明会 質疑応答(2025年8月7日)
- [29]Bungieのガバナンスは買収時点では独立した環境を提供する考え方だったが、構造改革などを経て統合が進み、PlayStation Studiosの一員としての役割にシフト
- ソニーグループ 2025年度第2四半期決算説明会 質疑応答(2025年11月11日)
- [30]『Destiny 2』が買収時の期待に届かなかったことに対し、Bungieの無形固定資産及び有形固定資産を対象に減損。のれんはG&NS分野全体で評価するため減損リスクは現時点でない
モビリティへの参入では、戦略投資枠に数えるほどの資本を入れない形を先に決めていた。2022年2月の質疑では、電池の自社開発も車両の製造設備も販売・整備の網も持たないと答えた。同年5月には、車体の製造には知見がないため提携先と組むのが良いとした。9月に本田技研工業と折半でソニー・ホンダモビリティを設立し、持分法の適用会社として連結の外に置いた。2026年5月にAFEELAの開発と発売が中止となり、会社側は車内を娯楽の場に変えるという仮説を試してきたと振り返った。経験を積んだ人材は、ホンダとソニーの両社へ戻ると述べた。連結の外に置いた設計が、撤退の損失を持分の範囲に収めたと思われる。
- ソニーグループ 2021年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2022年2月2日)
- [31]モビリティ事業はアセットライトをイメージしており、中期経営計画の2兆円の戦略投資枠にVISION-S関連の投資が入るかを議論する規模の投資は全く考えていない
- [32]バッテリーの自社開発、車両自体の製造設備、販売・メンテナンスのインフラを自前で持つことは考えていない
- ソニーグループ 2022年度 経営方針説明会 質疑応答(2022年5月18日)
- [33]モビリティについて、車体製造等については知見がないためパートナーと組むのが良いと考えている
- ソニーグループ 有価証券報告書 第106期(2023年3月期)【沿革】
- [34]2022年3月 本田技研工業とモビリティ分野での戦略的提携の協議を開始、2022年9月 ソニー・ホンダモビリティを設立(ソニーの出資比率50%)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第107期(2024年3月期)【研究開発活動】
- [35]ソニー・ホンダモビリティは持分法適用会社
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2026年5月8日)
- [36]AFEELAの開発・発売の中止を踏まえた質問に対し、自動運転で車内空間にエンタテインメント空間としての価値が出てくるという仮説を置いて実験的に取り組んできたと回答
- [37]経験を積んだ人材がホンダとソニーの両社に一度戻ることになると回答
参考文献[20]-[37]
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2022』CEOメッセージ
- [20]2022年7月にライブゲームサービスを得意とするBungie, Inc.の買収を完了
- ソニーグループ 2021年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2022年2月2日)
- [21]Bungie買収の対価は36億ドル
- [22]買収対価の約3分の1は従業員株主に対する継続雇用を条件とした繰延支払対価やリテンション関連の報酬
- [23]Epic Gamesは少数持分の取得、Bungieは全株式の取得。ゲームIP取得の基準を問う質問に対し、ソニーが投資することで将来アップサイドを作れるかを基準に考えると回答
- [24]Bungieの様々なプラットフォームにコンテンツを展開する能力、ライブサービスを開発・運営する能力をプレイステーションスタジオが学びたいとし、IPをゲームに限らずマルチユースすることもアップサイドに挙げた
- [31]モビリティ事業はアセットライトをイメージしており、中期経営計画の2兆円の戦略投資枠にVISION-S関連の投資が入るかを議論する規模の投資は全く考えていない
- [32]バッテリーの自社開発、車両自体の製造設備、販売・メンテナンスのインフラを自前で持つことは考えていない
- ソニーグループ 2022年度第2四半期決算説明会 質疑応答(2022年11月1日)
- [25]金融市場の変化によりBungieを早期に減損する判断もあり得るかとの質問に、Bungieについてマクロ環境を受けた大きな変化は現時点ではなく、実行済の投資に格別の懸念はないと回答
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- [26]1st Partyゲームポートフォリオの強化・拡充に向け、Bungieの知見の共有を進め、ライブサービスゲームの開発・運営力を強化する
- ソニーグループ 2023年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2024年2月14日)
- [27]Bungieについて、コストのかけ方や開発スケジュールに対する説明責任の果たし方など、ビジネスの観点から見ると改善の余地があるのが率直な印象と回答
- ソニーグループ 2024年度第1四半期決算説明会 質疑応答(2024年8月7日)
- [28]Bungieの構造改革を発表。『Destiny 2』と新しいライブサービスタイトル『Marathon』の開発にリソースを集中し、それ以外の機能と開発はプレイステーションスタジオへ移管
- ソニーグループ 2025年度第1四半期決算説明会 質疑応答(2025年8月7日)
- [29]Bungieのガバナンスは買収時点では独立した環境を提供する考え方だったが、構造改革などを経て統合が進み、PlayStation Studiosの一員としての役割にシフト
- ソニーグループ 2025年度第2四半期決算説明会 質疑応答(2025年11月11日)
- [30]『Destiny 2』が買収時の期待に届かなかったことに対し、Bungieの無形固定資産及び有形固定資産を対象に減損。のれんはG&NS分野全体で評価するため減損リスクは現時点でない
- ソニーグループ 2022年度 経営方針説明会 質疑応答(2022年5月18日)
- [33]モビリティについて、車体製造等については知見がないためパートナーと組むのが良いと考えている
- ソニーグループ 有価証券報告書 第106期(2023年3月期)【沿革】
- [34]2022年3月 本田技研工業とモビリティ分野での戦略的提携の協議を開始、2022年9月 ソニー・ホンダモビリティを設立(ソニーの出資比率50%)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第107期(2024年3月期)【研究開発活動】
- [35]ソニー・ホンダモビリティは持分法適用会社
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2026年5月8日)
- [36]AFEELAの開発・発売の中止を踏まえた質問に対し、自動運転で車内空間にエンタテインメント空間としての価値が出てくるという仮説を置いて実験的に取り組んできたと回答
- [37]経験を積んだ人材がホンダとソニーの両社に一度戻ることになると回答
2023年〜ソニーフィナンシャルグループのパーシャル・スピンオフと持分16.4%、戦略投資枠1.8兆円とTSMCとの合弁
2023年5月18日、ソニーは金融事業のパーシャル・スピンオフの検討開始を公表した。約4,000億円で完全子会社としてから3年足らずでの転換で、質疑ではまずその理由が問われた。会社側は、金融事業の中長期の成長には投資が要り、イメージセンサーとエンタテインメントでも次元の違う投資が見込まれると答えた。大型の長期資金に備え、金融が独自に資金を調達できる形が要るという判断もあった。保有株を市場で少しずつ売る道は、『恒常的にオーバーハングといわれる状態を作り、手足を縛ることになりかねない』として退けた。大口で売れば戦略的投資家や競合が買い手となるため、その道も採らなかった。検討を始めると決めたのは同年2月中旬だったという。
- ソニーグループ 有価証券報告書 第107期(2024年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- [38]2023年5月18日 ソニーグループ経営方針説明会で金融事業のパーシャル・スピンオフの検討開始を発表
- ソニーグループ 2023年度 経営方針説明会 質疑応答(2023年5月18日)
- [39]4,000億円を投じて完全子会社化した金融事業のパーシャル・スピンオフを検討する理由を投資家が質問
- [40]金融事業のさらなる中長期的な成長・拡大には投資が必要。イメージセンサーやエンタテインメントの領域でもこれまでと違う次元の投資が必要になることを中期的に考える必要がある
- [42]保有株式を市場で売却すると株価上昇を抑える大きな圧力になり、恒常的にオーバーハングの状態を作るため現実的ではなかった
- [43]大きな持分を売却するには戦略的投資家や競合他社が買い手候補になるが、金融事業をグループの中から外すつもりはない
- [44]パーシャル・スピンオフの検討を開始したほうが良いと考えたのは2023年2月中旬で、その後取締役会と複数回議論して検討開始を決めた
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- [41]大型の長期資金のニーズには独自の資金調達能力の強化が必要となることから、金融事業のパーシャル・スピンオフの検討を開始。2〜3年後の実行を想定
分離の実行は、2023年4月から社長COO兼CFOを務め、2025年4月に社長CEOへ就いた十時裕樹氏の下で進んだ。CEOの交代は吉田氏の推薦を受け、2025年1月の取締役会が全会一致で決めた。同年2月の質疑で会社側は、ソニーが持ち続けて双方が伸びるかどうかを事業の見直しの物差しに挙げ、金融の分離をその実例とした。5月の説明資料は目的を、エンタテインメント3事業とイメージセンサーへの資本配分の集中と、金融の成長で膨らんだバランスシートの最適化に置いた。持分の一部を残して株主へ配る方式は国内初だった。2025年9月29日にソニーフィナンシャルグループが上場し、10月1日に持分16.4%を残して連結から外れた。
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』CEOメッセージ
- [45]2023年4月に十時裕樹が代表執行役社長COO兼CFOに就任
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2025』CEOメッセージ
- [46]十時裕樹は2025年4月に社長CEOに就任
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2025』取締役会議長・指名委員会議長メッセージ
- [47]十時をCEOに推薦したいという吉田からの提案を受けて指名委員会が検討し、2025年1月の取締役会で交代を全会一致で決議
- ソニーグループ 2024年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2025年2月13日)
- [48]ポートフォリオの見直しの判断基準は、その事業を持っていることが互いの成長につながるのか、別の形をとった方がもっと上手くいくのか。金融事業のパーシャル・スピンオフは互いの将来の成長のために必要と判断したもの
- ソニーグループ IR「金融事業のパーシャル・スピンオフに関するQ&A」(2025年5月)
- [49]スピンオフの目的として、エンタテインメント3事業とイメージセンサー事業を軸とした成長領域へのキャピタルアロケーションの集中と、金融事業の成長に伴い拡大したバランスシートの最適化を掲げた
- ソニーグループ IR「金融事業のパーシャル・スピンオフに関するQ&A(更新版)」(2025年8月)
- [50]スピンオフ対象法人株式の一部を継続保有するパーシャル・スピンオフとして実施される事例は本邦初
- ソニーグループ 臨時報告書(2025年10月1日)
- [51]2025年9月29日 ソニーフィナンシャルグループ株式が東京証券取引所プライム市場に上場
- [52]2025年10月1日 現物配当の効力が発生し、持分比率16.4%を残してソニーフィナンシャルグループを連結除外、持分法適用の関連会社に
2024年度に始まった第五次中期経営計画は、KPIを金融分野を除く営業利益の年平均成長率と営業利益率へ移した。戦略投資枠は自社株買いを含めて3年で1.8兆円とし、会社側は第四次を未来へ投資する段階、第五次をリターンを出す段階と位置づけた。2026年5月時点で実行・意思決定を終えた戦略投資は、約1兆円強にとどまった。次期計画について会社側は、『これまで実施してきた様々な投資の成果や反省を踏まえ、適切な対象に合理的な価格で投資を継続したい』と答えた。同じ説明会では、イメージセンサーの製造を自前に限らないファブライト戦略の最初の一歩として、TSMCとの合弁を示した。金融に続いて半導体でも、事業を丸ごと抱えるか外の資本と組むかを選び直す段階へ入ったとみられる。
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2024』COO/CFOメッセージ
- [53]第五次中期経営計画(2024年度から3年間)のテーマは「境界を超える~グループ全体のシナジー最大化~」。グループ全体のKPIを金融分野を除く連結ベースの営業利益額の年平均成長率と営業利益率とした
- ソニーグループ 2024年度 経営方針説明会 質疑応答(2024年5月23日)
- [54]第五次中計では機動的な自己株式取得を含めて3年間で1.8兆円の戦略投資枠。第四次中計は未来のために投資するフェーズ、第五次中計はリターンを出していくフェーズ
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2026年5月8日)
- [55]戦略投資は本中計で1兆8,000億円の枠を設定し、現時点で実行・意思決定済の案件は約1兆円強
- [56]次期中計の考え方として、これまでの投資の成果や反省を踏まえ、適切な対象に合理的な価格で投資を継続すると回答
- [57]TSMCとのJVは、設備投資負担を抑えながら収益性を上げるためのファブライトのストラテジーのファーストステップ
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2025年5月14日)
- [58]センサーの製造設備への投資を100%自前で行うか、投資のパートナーを招くか、ファブライトなどの選択肢をとるかを常に検討している
参考文献[38]-[58]
- ソニーグループ 有価証券報告書 第107期(2024年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- [38]2023年5月18日 ソニーグループ経営方針説明会で金融事業のパーシャル・スピンオフの検討開始を発表
- ソニーグループ 2023年度 経営方針説明会 質疑応答(2023年5月18日)
- [39]4,000億円を投じて完全子会社化した金融事業のパーシャル・スピンオフを検討する理由を投資家が質問
- [40]金融事業のさらなる中長期的な成長・拡大には投資が必要。イメージセンサーやエンタテインメントの領域でもこれまでと違う次元の投資が必要になることを中期的に考える必要がある
- [42]保有株式を市場で売却すると株価上昇を抑える大きな圧力になり、恒常的にオーバーハングの状態を作るため現実的ではなかった
- [43]大きな持分を売却するには戦略的投資家や競合他社が買い手候補になるが、金融事業をグループの中から外すつもりはない
- [44]パーシャル・スピンオフの検討を開始したほうが良いと考えたのは2023年2月中旬で、その後取締役会と複数回議論して検討開始を決めた
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- [41]大型の長期資金のニーズには独自の資金調達能力の強化が必要となることから、金融事業のパーシャル・スピンオフの検討を開始。2〜3年後の実行を想定
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』CEOメッセージ
- [45]2023年4月に十時裕樹が代表執行役社長COO兼CFOに就任
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2025』CEOメッセージ
- [46]十時裕樹は2025年4月に社長CEOに就任
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2025』取締役会議長・指名委員会議長メッセージ
- [47]十時をCEOに推薦したいという吉田からの提案を受けて指名委員会が検討し、2025年1月の取締役会で交代を全会一致で決議
- ソニーグループ 2024年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2025年2月13日)
- [48]ポートフォリオの見直しの判断基準は、その事業を持っていることが互いの成長につながるのか、別の形をとった方がもっと上手くいくのか。金融事業のパーシャル・スピンオフは互いの将来の成長のために必要と判断したもの
- ソニーグループ IR「金融事業のパーシャル・スピンオフに関するQ&A」(2025年5月)
- [49]スピンオフの目的として、エンタテインメント3事業とイメージセンサー事業を軸とした成長領域へのキャピタルアロケーションの集中と、金融事業の成長に伴い拡大したバランスシートの最適化を掲げた
- ソニーグループ IR「金融事業のパーシャル・スピンオフに関するQ&A(更新版)」(2025年8月)
- [50]スピンオフ対象法人株式の一部を継続保有するパーシャル・スピンオフとして実施される事例は本邦初
- ソニーグループ 臨時報告書(2025年10月1日)
- [51]2025年9月29日 ソニーフィナンシャルグループ株式が東京証券取引所プライム市場に上場
- [52]2025年10月1日 現物配当の効力が発生し、持分比率16.4%を残してソニーフィナンシャルグループを連結除外、持分法適用の関連会社に
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2024』COO/CFOメッセージ
- [53]第五次中期経営計画(2024年度から3年間)のテーマは「境界を超える~グループ全体のシナジー最大化~」。グループ全体のKPIを金融分野を除く連結ベースの営業利益額の年平均成長率と営業利益率とした
- ソニーグループ 2024年度 経営方針説明会 質疑応答(2024年5月23日)
- [54]第五次中計では機動的な自己株式取得を含めて3年間で1.8兆円の戦略投資枠。第四次中計は未来のために投資するフェーズ、第五次中計はリターンを出していくフェーズ
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2026年5月8日)
- [55]戦略投資は本中計で1兆8,000億円の枠を設定し、現時点で実行・意思決定済の案件は約1兆円強
- [56]次期中計の考え方として、これまでの投資の成果や反省を踏まえ、適切な対象に合理的な価格で投資を継続すると回答
- [57]TSMCとのJVは、設備投資負担を抑えながら収益性を上げるためのファブライトのストラテジーのファーストステップ
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2025年5月14日)
- [58]センサーの製造設備への投資を100%自前で行うか、投資のパートナーを招くか、ファブライトなどの選択肢をとるかを常に検討している
筆者考察
第四次中期経営計画は、事業別の利益目標をやめ、全社の調整後EBITDAの累計と戦略投資の枠だけを約束した。数字は目標を19%上回って閉じたが、個々の大型投資の成否はその総額とは別に決まった。Bungieは買収から3年余りで固定資産を減損し、ソニー・ホンダモビリティはAFEELAの開発と発売を止めた。第五次中計がKPIを営業利益の成長率と利益率へ移し、会社自身が投資の反省に触れるようになったのは、投資の量より回収の質を問う段階へ入ったからである。
この6年間の再編は、事業ごとに持ち方を決め直す作業だった。電機と半導体は完全子会社へ切り出し、モビリティは折半の合弁で連結の外に置き、金融は完全子会社にした3年後に16.4%を残して株主へ配った。イメージセンサーではTSMCとの合弁で製造を自前に限らない道へ踏み出した。2021年のソニーグループへの改称は、各事業を等距離に並べて資本の配り方を選び直すための枠組みになった。
2021年〜2026年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 利益率 | |||
| 2021年03月期 | 連結 | 89,993 | n/a | 11,924 | 10,296 | 11.4% | n/a |
| 2022年03月期 | 連結 | 83,967 | ▲6.7% | 12,023 | 8,821 | 10.5% | n/a |
| 2023年03月期 | 連結 | 100,958 | +20.2% | 13,024 | 10,052 | 10.0% | n/a |
| 2024年03月期 | 連結 | 112,600 | +11.5% | 12,088 | 9,705 | 8.6% | n/a |
| 2025年03月期 | 連結 | 120,349 | +6.9% | 14,072 | 11,416 | 9.5% | n/a |
| 2026年03月期 | 連結 | 124,796 | +3.7% | 14,475 | ▲3,269 | ▲2.6% | n/a |
出所:有価証券報告書
出典・参考
31件
- ソニーグループ 有価証券報告書 第104期(2021年3月期)【沿革】【重要な後発事象】
- ソニーグループ 有価証券報告書 第104期(2021年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- ソニーグループ 2021年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2022年2月2日)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第105期(2022年3月期)【企業結合等関係】
- ソニーグループ 2022年度第2四半期決算説明会 質疑応答(2022年11月1日)
- ソニーグループ 2023年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2024年2月14日)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第106期(2023年3月期)【沿革】
- ソニーグループ 2024年度第1四半期決算説明会 質疑応答(2024年8月7日)
- ソニーグループ 有価証券報告書 第107期(2024年3月期)【研究開発活動】
- ソニーグループ 有価証券報告書 第107期(2024年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- ソニーグループ 2024年度第3四半期決算説明会 質疑応答(2025年2月13日)
- ソニーグループ 2025年度第1四半期決算説明会 質疑応答(2025年8月7日)
- ソニーグループ 2025年度第2四半期決算説明会 質疑応答(2025年11月11日)
- ソニーグループ 2021年度 経営方針説明会 質疑応答(2021年5月26日)
- ソニーグループ 2022年度 サステナビリティ説明会 質疑応答(2022年9月15日)
- ソニーグループ 2022年度 経営方針説明会 質疑応答(2022年5月18日)
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2022』CEOメッセージ
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』CEOメッセージ
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2023』COO/CFOメッセージ
- ソニーグループ 2023年度 業績説明会 質疑応答(2024年5月14日)
- ソニーグループ 2023年度 経営方針説明会 質疑応答(2023年5月18日)
- ソニーグループ 2024年度 経営方針説明会 質疑応答(2024年5月23日)
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2024』COO/CFOメッセージ
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2025』CEOメッセージ
- ソニーグループ『コーポレートレポート 2025』取締役会議長・指名委員会議長メッセージ
- ソニーグループ IR「金融事業のパーシャル・スピンオフに関するQ&A」(2025年5月)
- ソニーグループ IR「金融事業のパーシャル・スピンオフに関するQ&A(更新版)」(2025年8月)
- ソニーグループ 臨時報告書(2025年10月1日)
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2025年5月14日)
- ソニーグループ 経営方針および業績に関する説明会 質疑応答(2026年5月8日)