ソニー:ハワード・ストリンガー体制の営業赤字と過去最大の純損失
2005年〜1万人削減と2,000億円のコスト削減、PS3が生んだゲーム分野2,323億円の損失
2005年6月、出井伸之氏から経営を引き継ぎ、ハワード・ストリンガー氏が会長兼CEO、中鉢良治氏が社長兼エレクトロニクスCEOに就任した。前体制の中期経営方針トランスフォーメーション60は、固定費の削減こそ計画どおりに進めたが、エレクトロニクスの収益性を戻せなかった。新経営陣は100日間の事業精査を経て、2005年9月に新たな中期経営方針を示した。目標は2007年度の連結営業利益率5%で、構造改革費用と一時的な費用を除いて測る。約束には、2,000億円のコスト削減、65製造拠点のうち11拠点の閉鎖・統合、1万人の人員削減、1,200億円の資産売却が並んだ。エレクトロニクスはカンパニー制を廃して事業本部に改め、商品戦略から販売までの権限をエレクトロニクスCEOへ集めた。
- ソニー『アニュアルレポート 2005』
- [1]2005年6月22日 出井伸之氏が最高顧問へ退き、ストリンガー氏が代表執行役会長兼CEO、中鉢良治氏が代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOに就任
- [2]トランスフォーメーション60で構造改革による固定費削減は計画どおり進んだが、エレクトロニクスの収益性は十分に回復せず
- ソニー『アニュアルレポート 2006』
- [3]新経営陣は就任後100日間の事業精査を経て、2005年9月に東京とニューヨークで中期経営方針を発表
- [4]2007年度までに連結営業利益率5%(構造改革および一時的な費用を除く)を目標に設定
- [5]コミットメント:コスト削減2,000億円、65製造拠点のうち11拠点の閉鎖・統合、製品モデル数20%削減、10,000人の人員削減、非戦略資産1,200億円の売却
- [6]エレクトロニクスの従来のカンパニー制を2005年6月に廃止して事業本部中心の組織に改め、商品戦略・技術・調達・生産・販売の権限をエレクトロニクスCEOに集中
成長に向けた注力領域には、ハイディフィニション映像とブルーレイディスク、Cellを積んだプレイステーション 3(PS3)が据えられた。PS3は2006年11月に発売され、2006年度末までに550万台を出荷した。BDドライブに欠かせない青紫色レーザーでは、生産上の問題も起きた。ゲーム分野の営業損益は、前の期の87億円の利益から2,323億円の損失へ転じた。ノートPC用リチウムイオン電池パックの自主回収と交換にも512億円の引当てが要った。連結営業利益は2007年3月期に718億円となり、前の期の1,913億円から減った。一方でエレクトロニクスは、一時的な費用を除く営業利益率4%の目標に1年前倒しで届いている。
- ソニー『アニュアルレポート 2006』
- [7]成長戦略の集中分野としてハイディフィニション(HD)、BD、Cell技術、PS3の導入成功を最優先課題に設定
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- [8]2006年11月 PS3発売と同時にPlayStation Networkを開始
- ソニー『アニュアルレポート 2007』
- [9]PS3は2006年度末までに550万台を出荷
- [10]PS3のBDドライブに用いる青紫色レーザーで生産上の問題が発生
- [11]ゲーム分野の営業損益 2006年3月期87億円の利益、2007年3月期2,323億円の損失
- [12]ノートPC用リチウムイオン電池パックの自主回収・自主交換プログラムに512億円を引き当て
- [15]エレクトロニクスの営業利益率4%(構造改革および一時的な費用を除く)の目標を1年前倒しで達成
- ソニー 有価証券報告書(2007年3月期)
- [13]2007年3月期 連結営業利益718億円
- ソニー 有価証券報告書(2006年3月期)
- [14]2006年3月期 連結営業利益1,913億円
3カ年の最終年度にあたる2008年3月期、連結売上高は2005年3月期比23%増の8兆8,714億円、営業利益は3,745億円となった。営業利益率は4.2%で、目標の5%には届かなかった。当期純利益は前年度比192%増の3,694億円と過去最高を記録している。会社は主因を、日本株の下落によるソニー生命保険の金融資産の評価損に求めた。エレクトロニクスの営業利益率は5.4%と目標の4%を上回り、人員・拠点・資産売却・コストの約束もすべて果たした。ゲーム分野は損失のままだったが、損益は前年度から1,000億円を超えて改善した。削減で積み上げた利益の多くを、PS3の立ち上げ損失が相殺した3年間だった。
- ソニー『アニュアルレポート 2008』
- [16]2008年3月期 連結売上高8兆8,714億円(2005年3月期比23%増)
- [18]2007年度の連結営業利益率4.2%、目標の5%にわずかに届かず
- [19]2008年3月期 当期純利益3,694億円(前年度比192%増、過去最高)
- [20]未達の主因はソニー生命保険の一般勘定における転換社債の評価損益の悪化と株式の減損
- [21]エレクトロニクス分野の営業利益率5.4%(目標4%)、資産売却・コスト削減・製品カテゴリー削減・人員削減・工場統廃合の目標をすべて達成
- [22]2007年度のゲーム分野は損失を計上したが、前年度比1,000億円超の損益改善
- ソニー 有価証券報告書(2008年3月期)
- [17]2008年3月期 連結営業利益3,745億円
参考文献[1]-[22]
- ソニー『アニュアルレポート 2005』
- [1]2005年6月22日 出井伸之氏が最高顧問へ退き、ストリンガー氏が代表執行役会長兼CEO、中鉢良治氏が代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOに就任
- [2]トランスフォーメーション60で構造改革による固定費削減は計画どおり進んだが、エレクトロニクスの収益性は十分に回復せず
- ソニー『アニュアルレポート 2006』
- [3]新経営陣は就任後100日間の事業精査を経て、2005年9月に東京とニューヨークで中期経営方針を発表
- [4]2007年度までに連結営業利益率5%(構造改革および一時的な費用を除く)を目標に設定
- [5]コミットメント:コスト削減2,000億円、65製造拠点のうち11拠点の閉鎖・統合、製品モデル数20%削減、10,000人の人員削減、非戦略資産1,200億円の売却
- [6]エレクトロニクスの従来のカンパニー制を2005年6月に廃止して事業本部中心の組織に改め、商品戦略・技術・調達・生産・販売の権限をエレクトロニクスCEOに集中
- [7]成長戦略の集中分野としてハイディフィニション(HD)、BD、Cell技術、PS3の導入成功を最優先課題に設定
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- [8]2006年11月 PS3発売と同時にPlayStation Networkを開始
- ソニー『アニュアルレポート 2007』
- [9]PS3は2006年度末までに550万台を出荷
- [10]PS3のBDドライブに用いる青紫色レーザーで生産上の問題が発生
- [11]ゲーム分野の営業損益 2006年3月期87億円の利益、2007年3月期2,323億円の損失
- [12]ノートPC用リチウムイオン電池パックの自主回収・自主交換プログラムに512億円を引き当て
- [15]エレクトロニクスの営業利益率4%(構造改革および一時的な費用を除く)の目標を1年前倒しで達成
- ソニー 有価証券報告書(2007年3月期)
- [13]2007年3月期 連結営業利益718億円
- ソニー 有価証券報告書(2006年3月期)
- [14]2006年3月期 連結営業利益1,913億円
- ソニー『アニュアルレポート 2008』
- [16]2008年3月期 連結売上高8兆8,714億円(2005年3月期比23%増)
- [18]2007年度の連結営業利益率4.2%、目標の5%にわずかに届かず
- [19]2008年3月期 当期純利益3,694億円(前年度比192%増、過去最高)
- [20]未達の主因はソニー生命保険の一般勘定における転換社債の評価損益の悪化と株式の減損
- [21]エレクトロニクス分野の営業利益率5.4%(目標4%)、資産売却・コスト削減・製品カテゴリー削減・人員削減・工場統廃合の目標をすべて達成
- [22]2007年度のゲーム分野は損失を計上したが、前年度比1,000億円超の損益改善
- ソニー 有価証券報告書(2008年3月期)
- [17]2008年3月期 連結営業利益3,745億円
2008年〜1.8兆円の投資計画と2,278億円の営業損失、ソニーBMGの完全子会社化
2008年6月、ストリンガー氏と中鉢氏に、ゲーム子会社社長の平井一夫氏を加えた3人が、2010年度までの中期経営方針を発表した。使命には、ネットワークに対応した機器とエンタテインメントを届ける世界の主導企業になることを掲げた。3年間で約1.8兆円を戦略分野へ投じ、うち約9,000億円をイメージャーや電池などのコンポーネント・半導体に充てる。液晶テレビなど4事業にPC、BD関連、コンポーネント・半導体を加え、売上高1兆円の事業を7つにする計画も入った。財務目標は2010年度末に連結ROE 10%とし、営業利益率5%を収益性の下限と位置づけた。BRICs諸国の売上高は、2010年度末までに倍の2兆円へ広げるとした。
- ソニー『アニュアルレポート 2008』
- [23]2008年6月 ストリンガー氏・中鉢氏・平井一夫氏が構造改革プランの成果を報告し、2008〜2010年度の中期経営方針を発表
- [25]3年間で約1.8兆円を戦略分野に投資、うち約9,000億円をコンポーネント・半導体事業に投入
- [26]液晶テレビ・デジタルイメージング・ゲーム・携帯電話にPC・BD関連・コンポーネント・半導体を加え、1兆円事業を7つにする計画
- [27]2010年度末までに連結ROE 10%、営業利益率5%を収益性のベースライン
- [28]BRICs諸国での年間売上高を2010年度末までに倍増の2兆円に拡大(ソニー・エリクソン、ソニーBMGを含む)
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- [24]ミッションはネットワーク対応のコンスーマーエレクトロニクス、エンタテインメントおよびサービスを提供するグローバルなリーディングカンパニー
計画の初年度にあたる2009年3月期、売上高は12.9%減の7兆7,300億円となり、営業損益は2,278億円の損失に転じた。7,031億円の悪化のうち、円高の影響が約2,790億円、ソニー・エリクソンなど持分法適用会社の悪化が1,259億円を占めた。日本株の急落で金融分野の損益も538億円悪化した。構造改革費用に754億円を計上し、当期純損益は989億円の損失となった。前年度の純利益には、ソニーフィナンシャルホールディングスの上場で得た810億円の持分変動益が含まれていた。同じ期の2008年10月、ソニーはベルテルスマンが持つソニーBMGの持分50%を取得した。2004年8月に折半出資で発足した音楽の合弁は、完全子会社としてソニーの連結に戻った。
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- [29]2009年3月期 売上高7兆7,300億円(前年度比12.9%減)、営業損失2,278億円
- [30]営業損益は前年度比7,031億円悪化。うち円高の影響約2,790億円、ソニー・エリクソンなど持分法適用会社の悪化1,259億円
- [31]日本の株式相場の大幅下落による金融分野の損益悪化538億円
- [32]構造改革費用754億円を営業費用に計上、当期純損失989億円
- [33]前年度はソニーフィナンシャルホールディングスの上場にともなう持分変動益810億円を計上
- [36]持分取得後、同社はSony Music Entertainmentに社名変更しソニーグループの一員に
- ソニー Form 20-F(2011年3月期)
- [34]2008年10月1日 Bertelsmann AGが保有するSONY BMGの持分50%を取得
- [35]SONY BMGは2004年8月1日に50対50の合弁として発足
ストリンガー氏は2009年6月のアニュアルレポートで、『この不況により長年にわたってソニーに蓄積してきたひずみとぜい弱さが明らかになった』と書いた。2008年12月と2009年1月の対策では、全57製造事業所の約1割の削減と、エレクトロニクスの従業員約8,000人の削減を掲げた。2009年4月にはストリンガー氏が社長を兼ね、エレクトロニクスとゲームを2つの事業グループへ組み直した。2010年3月期はコスト削減3,300億円超の目標を果たし、営業利益は318億円に戻ったが、純損益は408億円の損失だった。テレビとゲームには、2010年度の黒字化が課された。会社は2012年度末までに営業利益率5%とROE 10%を達成するという目標を、改めて掲げた。
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- [37]2009年6月19日付の株主への書簡
- [38]2008年12月・2009年1月発表の施策:全57製造事業所の約10%削減、エレクトロニクス事業の従業員約8,000人の削減
- [39]2009年4月1日付の機構改革でエレクトロニクスとゲームを統合し、CPDGとNPSGの2グループに再編。ストリンガー氏は代表執行役会長兼社長CEO
- ソニー『アニュアルレポート 2010』
- [40]2009年度はグループ全体で3,300億円以上のコスト削減目標を達成、連結営業利益318億円
- [41]2010年3月期 当社株主に帰属する当期純損失408億円
- [42]2010年度に液晶テレビ事業とゲーム事業の黒字化をめざす
- [43]中期的(2012年度末まで)に営業利益率5%、ROE 10%の達成を目標に設定
参考文献[23]-[43]
- ソニー『アニュアルレポート 2008』
- [23]2008年6月 ストリンガー氏・中鉢氏・平井一夫氏が構造改革プランの成果を報告し、2008〜2010年度の中期経営方針を発表
- [25]3年間で約1.8兆円を戦略分野に投資、うち約9,000億円をコンポーネント・半導体事業に投入
- [26]液晶テレビ・デジタルイメージング・ゲーム・携帯電話にPC・BD関連・コンポーネント・半導体を加え、1兆円事業を7つにする計画
- [27]2010年度末までに連結ROE 10%、営業利益率5%を収益性のベースライン
- [28]BRICs諸国での年間売上高を2010年度末までに倍増の2兆円に拡大(ソニー・エリクソン、ソニーBMGを含む)
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- [24]ミッションはネットワーク対応のコンスーマーエレクトロニクス、エンタテインメントおよびサービスを提供するグローバルなリーディングカンパニー
- [29]2009年3月期 売上高7兆7,300億円(前年度比12.9%減)、営業損失2,278億円
- [30]営業損益は前年度比7,031億円悪化。うち円高の影響約2,790億円、ソニー・エリクソンなど持分法適用会社の悪化1,259億円
- [31]日本の株式相場の大幅下落による金融分野の損益悪化538億円
- [32]構造改革費用754億円を営業費用に計上、当期純損失989億円
- [33]前年度はソニーフィナンシャルホールディングスの上場にともなう持分変動益810億円を計上
- [36]持分取得後、同社はSony Music Entertainmentに社名変更しソニーグループの一員に
- [37]2009年6月19日付の株主への書簡
- [38]2008年12月・2009年1月発表の施策:全57製造事業所の約10%削減、エレクトロニクス事業の従業員約8,000人の削減
- [39]2009年4月1日付の機構改革でエレクトロニクスとゲームを統合し、CPDGとNPSGの2グループに再編。ストリンガー氏は代表執行役会長兼社長CEO
- ソニー Form 20-F(2011年3月期)
- [34]2008年10月1日 Bertelsmann AGが保有するSONY BMGの持分50%を取得
- [35]SONY BMGは2004年8月1日に50対50の合弁として発足
- ソニー『アニュアルレポート 2010』
- [40]2009年度はグループ全体で3,300億円以上のコスト削減目標を達成、連結営業利益318億円
- [41]2010年3月期 当社株主に帰属する当期純損失408億円
- [42]2010年度に液晶テレビ事業とゲーム事業の黒字化をめざす
- [43]中期的(2012年度末まで)に営業利益率5%、ROE 10%の達成を目標に設定
2010年〜S-LCDの売却とソニー・エリクソンの完全子会社化、4,567億円の純損失と平井一夫の就任
2011年3月期の連結営業利益は1,998億円と前年度の6倍を超え、エレクトロニクスとゲームが回復を牽引した。しかし2011年5月23日、ソニーは当期純損益の見通しを約2,600億円の損失へ引き下げた。ソニー単体と国内の連結納税対象会社の繰延税金資産に、約3,600億円の評価性引当金を積んだためである。国内の各社は2008年度からの3年間で累積損失となる見込みで、東日本大震災が2011年度の収益見通しをさらに押し下げた。震災が2011年度の営業利益に与える影響は、約1,500億円と試算された。
- ソニー『アニュアルレポート 2011』
- [44]2011年3月期 連結営業利益1,998億円(前年度比6倍以上)、エレクトロニクスとゲーム関連事業が回復を牽引
- [46]ソニー単体と国内連結納税対象会社の繰延税金資産に約3,600億円の評価性引当金を計上
- ソニー 業績見通し修正の説明会スクリプト(2011年5月23日)
- [45]2011年5月23日 当社株主に帰属する当期純損益を約2,600億円の損失へ下方修正
- [47]国内連結納税グループは2008年度から3年間の累積損失となる見込みで、震災により2011年度の収益性見込みが悪化
- [48]東日本大震災が2011年度の連結営業利益に与える影響は約1,500億円と試算
テレビでは、サムスン電子と2004年4月に設立した液晶パネルの合弁S-LCDが、大型パネル調達の要だった。2011年12月に両社は新しいパネル提携へ移ることで合意し、2012年1月19日にソニーは持分のすべてを719億8,600万円で売却した。携帯電話では2012年2月15日、エリクソンが持つ合弁の持分50%を1,071億7,400万円で取得した。ソニー・エリクソンは完全子会社となり、ソニーモバイルコミュニケーションズへ改称した。S-LCD持分には600億円の減損を計上し、ソニー・エリクソンの旧持分は再評価で1,023億円の益を生んだ。2012年3月期の営業損益は673億円の損失、当期純損益は4,567億円の損失となった。テレビ事業はこれで8期続けて赤字を計上した。
- ソニー Form 20-F(2013年3月期)
- [49]S-LCDは2004年4月にサムスン電子と設立(持分50%マイナス1株)、BRAVIA向け大型液晶パネルの供給源
- [50]2011年12月に新たな液晶パネル提携への移行で合意、2012年1月19日にS-LCD株式すべてをサムスン電子へ71,986百万円(1.07兆ウォン)で売却
- [51]2012年2月15日 エリクソンが保有するソニー・エリクソンの持分50%を107,174百万円(10億5,000万ユーロ)で取得
- [53]2012年3月期 S-LCD持分の一時的でない減損損失60,019百万円を計上
- [54]ソニー・エリクソンの既存持分50%を公正価値で再評価し102,331百万円の利益を計上
- ソニー『アニュアルレポート 2012』
- [52]ソニー・エリクソンは100%子会社となり、Sony Mobile Communications ABに社名変更
- [55]2012年3月期 連結営業損失673億円、当社株主に帰属する当期純損失4,567億円
- ソニー 経営方針説明会資料(2012年4月12日)
- [56]テレビ事業は8期連続の赤字
2012年4月1日、平井一夫氏がストリンガー氏の後を継いで社長兼CEOに就任し、『ソニーを変える。ソニーは変わる。』と宣言した。4月12日の経営方針では、デジタルイメージング、ゲーム、モバイルの3領域で2014年度にエレクトロニクスの営業利益の85%を稼ぐとした。テレビは2013年度の黒字化を目標に据え、2012年度に約1万人の人員減と約750億円の構造改革費用を見込んだ。2014年度の全社目標は、売上高8兆5,000億円、営業利益率5%以上、ROE 10%である。経営体制はOne Sony, One Managementと名づけ、CEOの下のCFOら4人と意思決定をまとめた。2013年3月期は本社ビルなどの売却益で純利益430億円と5期ぶりに黒字化したが、エレクトロニクスは営業赤字のままだった。
- ソニー『アニュアルレポート 2012』
- [57]2012年4月1日 平井一夫氏が代表執行役社長兼CEOに就任
- [60]2014年度目標:グループ売上高8兆5,000億円、営業利益率5%以上、ROE 10%
- [61]CFO加藤優氏・CSO斎藤端氏・根本章二氏・鈴木国正氏の4名を中心とするOne Management体制を確立
- ソニー 経営方針説明会資料(2012年4月12日)
- [58]3つの重点事業領域(デジタルイメージング・ゲーム・モバイル)で2014年度にエレクトロニクス事業の売上高の70%、営業利益の85%の創出を目指す
- [59]テレビ事業は2013年度黒字化が目標。2012年度に約1万人の人員減、構造改革費用約750億円を見込む
- ソニー『アニュアルレポート 2013』
- [62]2013年3月期 当社株主に帰属する当期純利益430億円(5期ぶりの黒字)。資産売却にともなう利益の計上などで営業利益2,301億円
- [63]2012年度はエレクトロニクス事業の営業損益の黒字化は未達成。米国本社ビル・ソニーシティ大崎などを売却
参考文献[44]-[63]
- ソニー『アニュアルレポート 2011』
- [44]2011年3月期 連結営業利益1,998億円(前年度比6倍以上)、エレクトロニクスとゲーム関連事業が回復を牽引
- [46]ソニー単体と国内連結納税対象会社の繰延税金資産に約3,600億円の評価性引当金を計上
- ソニー 業績見通し修正の説明会スクリプト(2011年5月23日)
- [45]2011年5月23日 当社株主に帰属する当期純損益を約2,600億円の損失へ下方修正
- [47]国内連結納税グループは2008年度から3年間の累積損失となる見込みで、震災により2011年度の収益性見込みが悪化
- [48]東日本大震災が2011年度の連結営業利益に与える影響は約1,500億円と試算
- ソニー Form 20-F(2013年3月期)
- [49]S-LCDは2004年4月にサムスン電子と設立(持分50%マイナス1株)、BRAVIA向け大型液晶パネルの供給源
- [50]2011年12月に新たな液晶パネル提携への移行で合意、2012年1月19日にS-LCD株式すべてをサムスン電子へ71,986百万円(1.07兆ウォン)で売却
- [51]2012年2月15日 エリクソンが保有するソニー・エリクソンの持分50%を107,174百万円(10億5,000万ユーロ)で取得
- [53]2012年3月期 S-LCD持分の一時的でない減損損失60,019百万円を計上
- [54]ソニー・エリクソンの既存持分50%を公正価値で再評価し102,331百万円の利益を計上
- ソニー『アニュアルレポート 2012』
- [52]ソニー・エリクソンは100%子会社となり、Sony Mobile Communications ABに社名変更
- [55]2012年3月期 連結営業損失673億円、当社株主に帰属する当期純損失4,567億円
- [57]2012年4月1日 平井一夫氏が代表執行役社長兼CEOに就任
- [60]2014年度目標:グループ売上高8兆5,000億円、営業利益率5%以上、ROE 10%
- [61]CFO加藤優氏・CSO斎藤端氏・根本章二氏・鈴木国正氏の4名を中心とするOne Management体制を確立
- ソニー 経営方針説明会資料(2012年4月12日)
- [56]テレビ事業は8期連続の赤字
- [58]3つの重点事業領域(デジタルイメージング・ゲーム・モバイル)で2014年度にエレクトロニクス事業の売上高の70%、営業利益の85%の創出を目指す
- [59]テレビ事業は2013年度黒字化が目標。2012年度に約1万人の人員減、構造改革費用約750億円を見込む
- ソニー『アニュアルレポート 2013』
- [62]2013年3月期 当社株主に帰属する当期純利益430億円(5期ぶりの黒字)。資産売却にともなう利益の計上などで営業利益2,301億円
- [63]2012年度はエレクトロニクス事業の営業損益の黒字化は未達成。米国本社ビル・ソニーシティ大崎などを売却
筆者考察
ソニーはこの9年間に4度、連結営業利益率5%を目標に掲げた。期限は2005年9月の方針が2007年度、2008年6月の方針が収益性の下限、2010年の見直しが2012年度末、2012年4月の方針が2014年度だった。最も近づいたのは2008年3月期の4.2%で、翌期には2,278億円の営業損失に転じている。構造改革は毎回約束どおりに進み、人員は1万人、8,000人、1万人と削減された。それでも目標が遠のいたのは、削減した固定費の外側に、PS3の立ち上げや液晶パネルの合弁のような大きな固定的負担を抱え続けたからである。利益率を決めていたのは削減の速さではなく、抱えた投資の重さだった。
前の章で広げた合弁の枠組みも、この章で解消された。2001年から2004年に組んだソニー・エリクソン、S-LCD、ソニーBMGの3つの折半出資は、2008年と2012年に、買い取るか手放すかのどちらかで決着している。折半は損失を半分に抑える形だが、意思決定も半分になる。携帯電話は1,071億円で相手の持分を取得して3つの重点領域の1つに据え、液晶パネルは持分を売却して外部からの調達へ切り替えた。平井一夫氏の「One Sony」は、どの事業を自分の手で持つかを決め直す作業から始まっていた。
- 2005年9月 2007年度に営業利益率5%、1万人削減・2,000億円のコスト削減
- 2008年6月 3年間で約1.8兆円を投資、2010年度末にROE 10%
- 2012年4月 2014年度に売上高8兆5,000億円・営業利益率5%以上・ROE 10%
- 棒はすべて連結の売上高および営業収入(2012年3月期以降の表記は売上高)。決算期は3月期。米国会計基準。この期間の連結営業損益は2009年3月期に2,278億円、2012年3月期に673億円の損失。
- 棒の出所は各期のソニー 有価証券報告書(2006年3月期〜2013年3月期)。
2005年〜2013年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 利益率 | |||
| 2005年03月期 | 連結 | 71,596 | n/a | 1,139 | 1,638 | 2.3% | n/a |
| 2006年03月期 | 連結 | 74,754 | +4.4% | 1,913 | 1,236 | 1.7% | n/a |
| 2007年03月期 | 連結 | 82,956 | +11.0% | 718 | 1,263 | 1.5% | n/a |
| 2008年03月期 | 連結 | 88,714 | +6.9% | 3,745 | 3,694 | 4.2% | n/a |
| 2009年03月期 | 連結 | 77,299 | ▲12.9% | ▲2,278 | ▲989 | ▲1.3% | n/a |
| 2010年03月期 | 連結 | 72,139 | ▲6.7% | 318 | ▲408 | ▲0.6% | n/a |
| 2011年03月期 | 連結 | 71,812 | ▲0.5% | 1,998 | ▲2,595 | ▲3.6% | n/a |
| 2012年03月期 | 連結 | 64,930 | ▲9.6% | ▲809 | ▲4,550 | ▲7.0% | n/a |
| 2013年03月期 | 連結 | 67,955 | +4.7% | 2,421 | 415 | 0.6% | n/a |
出所:有価証券報告書
出典・参考
16件
- ソニー『アニュアルレポート 2005』
- ソニー『アニュアルレポート 2006』
- ソニー 有価証券報告書(2006年3月期)
- ソニー『アニュアルレポート 2007』
- ソニー 有価証券報告書(2007年3月期)
- ソニー『アニュアルレポート 2008』
- ソニー 有価証券報告書(2008年3月期)
- ソニー『アニュアルレポート 2009』
- ソニー『アニュアルレポート 2010』
- ソニー『アニュアルレポート 2011』
- ソニー『アニュアルレポート 2012』
- ソニー『アニュアルレポート 2013』
- ソニー Form 20-F(2011年3月期)
- ソニー 業績見通し修正の説明会スクリプト(2011年5月23日)
- ソニー 経営方針説明会資料(2012年4月12日)
- ソニー Form 20-F(2013年3月期)