ニデック ニデックコンポーネンツのカーライルへの売却 旧コパル電子の全株式の、カーライル系ファンドへの1,029億円での譲渡

更新:

時期 2026年10月
当時の社長 戒田理夫
論点 経営改革5か年プランに基づく事業ポートフォリオ改革
何をなぜ決めたか
概要

2026年10月1日、ニデックは取締役会で、完全子会社ニデックコンポーネンツの全株式66,302,120株をTCG2603へ譲渡すると決議し、同日に契約を結んだ。TCG2603は投資会社カーライルの関連ファンドが間接的に保有する会社で、譲渡価額は102,980百万円である。譲渡は12月1日の予定で、議決権の所有割合は100%から0%になり、ニデックコンポーネンツは特定子会社から外れる。

背景

ニデックは2025年に発覚した不適切会計の調査を経て、2026年3月期に減損損失6,321億円を計上し、営業損益は5,190億円の赤字となった。2026年5月には経営改革指針「"Re-Definition"ニデック経営改革5か年プラン」を公表し、経営資源を中核事業と重点成長領域へ配分する事業ポートフォリオ改革を掲げた。9月29日には岸田光哉氏が社長を辞任し、戒田理夫氏が社長執行役員に就いている。

内容

ニデックコンポーネンツは1967年4月にコパル電子として設立され、1998年のニデックの資本参加と2014年の完全子会社化を経て、グループの電子部品事業の一角を担ってきた。産業機器向けの圧力センサ・スイッチ・トルクセンサ・エンコーダを手がけ、ポリゴンミラーの外販では世界トップクラスのシェアを持つ。会社は、半導体製造装置や協働ロボットの市場で大規模な設備・研究開発投資と機動的な判断が要るとして、外部パートナーの下での独立した成長を選んだ。

含意

ニデックコンポーネンツの2026年3月期は売上高32,092百万円・営業利益5,465百万円で、純資産は67,319百万円だった。譲渡価額はこの純資産の約1.5倍にあたる。一方で売上高は2024年3月期の37,712百万円から2期で約15%減り、営業利益率は20.4%から17.0%へ下がっていた。連結業績への影響は精査中として、会社は売却損益の見込みを示していない。

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筆者の見解
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成長領域に重なる子会社を手放す

この売却で目を引くのは、手放した事業が負け筋の事業ではなかった点である。ニデックコンポーネンツは2026年3月期も営業利益率17.0%を保ち、主な納め先の半導体製造装置と協働ロボットは、同じ日の決算説明会でニデック自身が資源を移す先に挙げた「AI・半導体領域」や「フィジカルAI」と重なる。それでも会社は、この市場で勝ち続けるには大規模な投資と速い判断が要ると述べ、その役をカーライルに委ねた。グループの中で投資の順番を待たせるより、外で資金を得るほうが同社の伸びにつながると判じたのだろう。

一方で、ニデックの側から見れば、この売却は財務を立て直す手段でもあったと思われる。2026年3月期に6,321億円の減損損失を出した会社にとって、純資産の約1.5倍にあたる1,029億円の現金化は小さくない。決算説明会は今後の方針に財務基盤の早期回復を掲げており、稼いでいる子会社を高い値で売ることは、その最も確実な一手になる。ただし、売上高は2期で約15%減っていた。この価格が事業の伸びを評価した値なのか、底を打つ前の見切りなのかは、カーライルの下での数年が示すことになる。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
ニデックコンポーネンツの業績

ニデック:ニデックコンポーネンツの業績

(百万円) 売上高営業利益当期純利益純資産総資産 備考
2024年3月期 37,7127,7006,12063,16472,238 1株当たり配当金25.4円
2025年3月期 32,6176,6244,15564,65171,029 1株当たり配当金18.7円
2026年3月期 32,0925,4653,69067,31974,180 1株当たり配当金13.8円。純資産は譲渡価額102,980の約65%
ニデックコンポーネンツの売上高と営業利益率
売上高(百万円)営業利益率(%)

出所:ニデック 2026年10月1日 適時開示「子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」(当該会社の最近3年間の経営成績及び財務状況)

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参考文献
出典・参考

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