第3章 年〜年

ニデック:三協精機・Valeo買収と車載への中核事業の転換

2000年〜流体動圧軸受の量産と、ニューヨーク上場を経て傘下に入れた三協精機

2000年、日本電産はハードディスク装置(HDD)用モータの軸受を玉軸受から流体動圧軸受へ切り替え、量産を始めた。HDDの高密度化と大容量化の要求に応える移行で、流体の圧力で軸を浮かせて騒音と振動を抑える方式だった。同年5月の時点で、日本電産は松下寿電子工業とともに年内の量産開始を計画し、三協精機製作所も同じ市場を狙っていた。移行は成功し、日本電産はHDD用モータの首位の座を保った。一方で日本電産は、流体動圧軸受の成否が主力事業を左右すると見て、失敗に備えてHDD以外の分野で企業買収を進めた。2000年には安川電機の子会社だったY-E Driveを取得し、電動パワーステアリング用モータの生産も始めた。

  • 日本電産 統合報告書2021
    • [1]2000年より流体動圧軸受技術を用いたHDD用モータの量産を開始
    • [2]HDDの高密度化・大容量化の要求に応えるため流体動圧軸受を採用。流体の動圧で軸を浮揚させ、ボールベアリングより低騒音・低振動
    • [4]新技術(流体動圧軸受)への移行が成功し、HDD用モーターメーカーとしてトップの座を固めた
  • 日経産業新聞(2000年5月16日)
    • [3]HDD用モーター最大手の日本電産や松下寿電子工業が流体軸受モーターを年内に量産する計画。三協精機も積極的
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [5]FDB採用のHDDモータ開発の成否は主力事業にとって極めて重要で、失敗に備えHDD以外の分野でM&Aを行い事業を多角化
    • [6]2000年 Y-E Drive(安川電機の子会社、OA用DCサーボモータ)を取得/2000年 電動パワーステアリング用モータの生産を開始

2001年9月、日本電産はニューヨーク証券取引所に株式を上場した。日本企業では15社目の上場で、先行した企業にはソニー、ホンダ、トヨタがあった。永守重信社長は、資金の調達は東京証券取引所で足りるとしたうえで、上場の動機を為替に置いた。円相場が1990年代に1ドル80円を割り込んだのを機に、日本経済の停滞に引きずられないよう、世界基準で経営できる体制への移行を決めたという。米国の投資家やアナリストからは、米証券取引委員会(SEC)の基準で決算を作れば信頼が高まると勧められていた。準備の過程で買収した22社をすべて連結し、在庫と資産を時価で評価し直した。上場は同時多発テロの直後に重なり、株価が4,000円を割ったため、株式の売り出しは見送った。

  • 日経ビジネス 2002年2月18日号
    • [7]2001年9月 ニューヨーク証券取引所に株式上場
    • [9]資金集めは東証で十分と永守社長が説明
    • [10]1990年代に1ドル80円を切ってから、日本と一緒に沈没しないよう世界基準で行ける体制を考えた(永守社長)
    • [11]米国の投資家・アナリストからSEC基準の決算の方が信頼性が高まると言われ、ニューヨーク上場を決めた
    • [12]上場準備で買収した22社を全部連結し、在庫・資産を時価評価で落とした
    • [13]上場はテロ直後で株価が4,000円を切っていたため売り出しをいったんやめた
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちに」(2012年)
    • [8]2001年ニューヨーク証券取引所上場。ソニー、ホンダ、トヨタ等に続き日本企業として15社目

2003年10月、日本電産は三協精機製作所の第三者割当増資を引き受け、5,780万株を取得して筆頭株主となった。長野県諏訪市で創立した三協精機も、2001年11月に工場を再編して流体動圧軸受モータに経営資源を集中していた。だが2001年に47億円を投じたフィリピン工場は受注不足で稼働率が上がらず、2003年7月には人員削減に追い込まれた。当時は大企業や銀行が、業績の振るわない子会社を積極的に売り出すようになっていた。永守重信社長は2002年の時点で、日本電産が買収すれば従業員を解雇せずに企業を立て直せるという考えを示していた。2004年1月の2回目の割当で三協精機は子会社となり、2005年10月に日本電産サンキョーへ商号を改めた。

  • 日本電産サンキョー 有価証券報告書 第82期(2006年3月期)【沿革】【発行済株式総数、資本金等の推移】
    • [14]2003年10月1日 第三者割当増資57,800,000株を日本電産が引き受け筆頭株主に
  • 日経新聞長野「三協精機の工場再編、次世代モーターに力」(2001年11月27日)
    • [15]三協精機は工場再編の末、次世代の基幹製品と位置付ける流体軸受(FDB)モーターに経営資源を集中
  • 日経新聞長野「三協精機が人員削減」(2003年7月29日)
    • [16]FDBモーター生産の伸び悩みが主因。2001年に47億円を投じたフィリピン工場が受注不足で稼働率が上がらず人員削減
  • 日経ビジネス 2003年8月18日号
    • [17]大企業や銀行が業績の振るわない子会社を積極的に売り出すようになり、三協精機への資本参加は業界再編の次の段階
  • 日経ビジネス 2002年2月18日号
    • [18]100円割れ企業も日本電産が買えば500円にでき、従業員をクビにしなくて済むと永守社長が発言
  • 日本電産 有価証券報告書 第33期(2006年3月期)【沿革】【関係会社の状況】
    • [19]2004年1月 三協精機製作所を子会社化(議決権55.6%)/2005年10月 日本電産サンキョーへ商号変更
参考文献[1]-[19]
  • 日本電産 統合報告書2021
    • [1]2000年より流体動圧軸受技術を用いたHDD用モータの量産を開始
    • [2]HDDの高密度化・大容量化の要求に応えるため流体動圧軸受を採用。流体の動圧で軸を浮揚させ、ボールベアリングより低騒音・低振動
    • [4]新技術(流体動圧軸受)への移行が成功し、HDD用モーターメーカーとしてトップの座を固めた
  • 日経産業新聞(2000年5月16日)
    • [3]HDD用モーター最大手の日本電産や松下寿電子工業が流体軸受モーターを年内に量産する計画。三協精機も積極的
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [5]FDB採用のHDDモータ開発の成否は主力事業にとって極めて重要で、失敗に備えHDD以外の分野でM&Aを行い事業を多角化
    • [6]2000年 Y-E Drive(安川電機の子会社、OA用DCサーボモータ)を取得/2000年 電動パワーステアリング用モータの生産を開始
  • 日経ビジネス 2002年2月18日号
    • [7]2001年9月 ニューヨーク証券取引所に株式上場
    • [9]資金集めは東証で十分と永守社長が説明
    • [10]1990年代に1ドル80円を切ってから、日本と一緒に沈没しないよう世界基準で行ける体制を考えた(永守社長)
    • [11]米国の投資家・アナリストからSEC基準の決算の方が信頼性が高まると言われ、ニューヨーク上場を決めた
    • [12]上場準備で買収した22社を全部連結し、在庫・資産を時価評価で落とした
    • [13]上場はテロ直後で株価が4,000円を切っていたため売り出しをいったんやめた
    • [18]100円割れ企業も日本電産が買えば500円にでき、従業員をクビにしなくて済むと永守社長が発言
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちに」(2012年)
    • [8]2001年ニューヨーク証券取引所上場。ソニー、ホンダ、トヨタ等に続き日本企業として15社目
  • 日本電産サンキョー 有価証券報告書 第82期(2006年3月期)【沿革】【発行済株式総数、資本金等の推移】
    • [14]2003年10月1日 第三者割当増資57,800,000株を日本電産が引き受け筆頭株主に
  • 日経新聞長野「三協精機の工場再編、次世代モーターに力」(2001年11月27日)
    • [15]三協精機は工場再編の末、次世代の基幹製品と位置付ける流体軸受(FDB)モーターに経営資源を集中
  • 日経新聞長野「三協精機が人員削減」(2003年7月29日)
    • [16]FDBモーター生産の伸び悩みが主因。2001年に47億円を投じたフィリピン工場が受注不足で稼働率が上がらず人員削減
  • 日経ビジネス 2003年8月18日号
    • [17]大企業や銀行が業績の振るわない子会社を積極的に売り出すようになり、三協精機への資本参加は業界再編の次の段階
  • 日本電産 有価証券報告書 第33期(2006年3月期)【沿革】【関係会社の状況】
    • [19]2004年1月 三協精機製作所を子会社化(議決権55.6%)/2005年10月 日本電産サンキョーへ商号変更

2005年〜ヴァレオとエマソンのモータ事業買収と、売上高1兆283億円への到達

2006年12月、日本電産はフランスのヴァレオからモータ&アクチュエータ事業を買収した。日本電産は2000年度に電動パワーステアリング用モータの量産を始めていたが、参入障壁が高く、車載の顧客を増やせずにいた。ヴァレオの事業を取り込んだことで、車載モータの販路は大きく広がった。日本電産は燃費と環境の規制強化が、電動パワーステアリング用モータの需要を押し上げると見ていた。2007年4月には日立製作所の子会社だった日本サーボに資本参加し、小型モータの製造を加えた。2012年度上期には中国の江蘇凱宇汽車電器に51%を出資し、ブラシ付きの電動パワーステアリング用モータを加えた。

  • 日本電産 有価証券報告書 第34期(2007年3月期)【沿革】
    • [20]2006年12月 Valeo S.A.のモータ&アクチュエータ事業を買収
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [21]電動パワーステアリング用モータは参入障壁が高く顧客数を増やすのが難しかった
    • [22]2006年のValeoのモータ部門買収で市場が大きく広がった
    • [24]2007年 日本サーボ(日立製作所の子会社、小型モータ製造)を取得
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちに」(2012年)
    • [23]電動パワステ用モータは2000年度量産開始。燃費・環境規制が追い風
    • [25]2012年度上期 江蘇凱宇汽車電器へ51%出資。狙いはブラシ付電動パワステ用モータ

2009年3月期、日本電産の連結売上高は6,108億円となり、前期の7,421億円から1,313億円減少した。2010年9月、日本電産は米国エマソン・エレクトリックのモータ・コントロール事業を買収した。取得したのは家電・産業機械向けのモータと、プラント制御用の大型モータの事業だった。2007年のスマートフォン、2010年のタブレットの発売を境に、パソコンとHDDの世界出荷台数は減少に転じていた。2012年の中期戦略は、2011年度に6,823億円だった売上高を2015年度に1.2兆円とする目標を掲げた。精密小型モータに偏った構成を、車載や家電・商業・産業用を含む4つの事業群へ組み替える計画だった。景気後退でHDD向けの売上が大きく振れたことが、事業構成の組み替えを急がせたと思われる。

  • 日本電産 有価証券報告書 第36期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
    • [26]連結売上高 2008年3月期7,421億円→2009年3月期6,108億円(米国会計基準)
  • 日本電産 有価証券報告書 第38期(2011年3月期)【沿革】
    • [27]2010年9月 Emerson Electric Co.のモータ・コントロール事業を買収
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [28]2010年 Emerson Electricのモータ&コントロール事業:家電・産業機械向けモータ、プラント制御用大型モータ等
  • 日本電産 統合報告書2021
    • [29]2007年のスマートフォン、2010年のタブレット発売を契機にPCとHDDの世界出荷台数は減少に転じた
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちに」(2012年)
    • [30]新中期戦略目標:2011年度売上高6,823億円→2015年度1.2兆円
    • [31]ポートフォリオ転換:2011年度の1本柱(精密小型モータ)から2015年度の4本柱(精密小型・車載・家電商業産業用・その他)へ

2014年3月、日本電産はホンダエレシスを買収し、車載用の電子制御ユニット(ECU)の技術を取り込んだ。日本電産は電動パワーステアリング用モータとエレシスのECUを一体にし、モジュールやシステムの販売へ事業を多角化した。モータ単体を納める二次部品メーカーから、一次部品メーカーへの転換をめざした。2015年12月の説明会資料では車載用電子部品の市場を40兆円とし、未参入の領域がまだ多いと示した。同じ資料で、車載の2020年度の売上高目標を7,000億〜1兆円とした。エレシスは、のちにEV用トラクションモータシステム「E-Axle」のインバータ開発を担った。2015年3月期の連結売上高は1兆283億円となり、初めて1兆円を超えた。

  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [32]2014年 Honda Elesysを取得(車載用電子制御ユニット=ECU)
    • [33]電動パワーステアリング用モータと2014年にグループ入りした日本電産エレシスのECUを統合し、モジュール・システムの高付加価値品を開発
    • [34]モータ単体の生産・販売からモジュール・システムへ、Tier2からTier1への転換をめざした
    • [37]EV用駆動システムE-Axleでは日本電産エレシスがインバータの開発を担当
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちにする経営」(2015年12月)
    • [35]車載用電子部品は40兆円の市場規模、未参入領域はまだ沢山
    • [36]2020年度の製品群別売上高目標で車載7,000億円〜1兆円
  • 日本電産 有価証券報告書 第42期(2015年3月期)【主要な経営指標等の推移】
    • [38]2015年3月期 連結売上高1兆283億円(2014年度に1兆円突破)
参考文献[20]-[38]
  • 日本電産 有価証券報告書 第34期(2007年3月期)【沿革】
    • [20]2006年12月 Valeo S.A.のモータ&アクチュエータ事業を買収
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [21]電動パワーステアリング用モータは参入障壁が高く顧客数を増やすのが難しかった
    • [22]2006年のValeoのモータ部門買収で市場が大きく広がった
    • [24]2007年 日本サーボ(日立製作所の子会社、小型モータ製造)を取得
    • [28]2010年 Emerson Electricのモータ&コントロール事業:家電・産業機械向けモータ、プラント制御用大型モータ等
    • [32]2014年 Honda Elesysを取得(車載用電子制御ユニット=ECU)
    • [33]電動パワーステアリング用モータと2014年にグループ入りした日本電産エレシスのECUを統合し、モジュール・システムの高付加価値品を開発
    • [34]モータ単体の生産・販売からモジュール・システムへ、Tier2からTier1への転換をめざした
    • [37]EV用駆動システムE-Axleでは日本電産エレシスがインバータの開発を担当
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちに」(2012年)
    • [23]電動パワステ用モータは2000年度量産開始。燃費・環境規制が追い風
    • [25]2012年度上期 江蘇凱宇汽車電器へ51%出資。狙いはブラシ付電動パワステ用モータ
    • [30]新中期戦略目標:2011年度売上高6,823億円→2015年度1.2兆円
    • [31]ポートフォリオ転換:2011年度の1本柱(精密小型モータ)から2015年度の4本柱(精密小型・車載・家電商業産業用・その他)へ
  • 日本電産 有価証券報告書 第36期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
    • [26]連結売上高 2008年3月期7,421億円→2009年3月期6,108億円(米国会計基準)
  • 日本電産 有価証券報告書 第38期(2011年3月期)【沿革】
    • [27]2010年9月 Emerson Electric Co.のモータ・コントロール事業を買収
  • 日本電産 統合報告書2021
    • [29]2007年のスマートフォン、2010年のタブレット発売を契機にPCとHDDの世界出荷台数は減少に転じた
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちにする経営」(2015年12月)
    • [35]車載用電子部品は40兆円の市場規模、未参入領域はまだ沢山
    • [36]2020年度の製品群別売上高目標で車載7,000億円〜1兆円
  • 日本電産 有価証券報告書 第42期(2015年3月期)【主要な経営指標等の推移】
    • [38]2015年3月期 連結売上高1兆283億円(2014年度に1兆円突破)

2016年〜ルロア・ソマーの買収と、吉本浩之・関潤・小部博志と4年で3人替わった社長

日本電産は中期戦略目標「Vision2020」で、2020年度に連結売上高2兆円をめざした。2015年12月の説明会資料は営業利益率15%を併せて掲げ、2兆円のうち約5,000億円を新規の買収で上積みするとした。2017年、日本電産はエマソン・エレクトリックから、フランスの発電機・産業用モータ事業と英国のドライブ事業を買収した。フランスの事業は日本電産ルロア・ソマーホールディングとなり、交流発電機やモータ、可変速ドライブを手がけた。同年3月には、グループ各社のブランドロゴをNidecに統一した。翌4月にはドイツの冷蔵庫用コンプレッサーメーカー、セコップを1億8,500万ユーロで買収すると公表した。2017年度には家電・商業・産業用の売上高が、創業以来の主力だった精密小型モータを上回った。

  • 日本電産 統合報告書2021
    • [39]前中期戦略目標「Vision2020」のターゲットは連結売上高2兆円
    • [42]日本電産ルロア・ソマーホールディング社:交流発電機、モータ、可変速ドライブ、産業向け自動化ソリューション
    • [45]2017年度に家電・商業・産業用事業の売上高が精密小型モータ事業を上回った
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちにする経営」(2015年12月)
    • [40]2020年度 売上高2兆円・営業利益率15%の新中期戦略目標。新規M&A約5,000億円を含む
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [41]2017年 Emerson Electricのモータ・発電機事業(フランス)とドライブ事業(英国)を取得
  • 日本電産 有価証券報告書 第44期(2017年3月期)【沿革】
    • [43]2017年3月 グループ会社のコーポレートブランドロゴをNidecに統一
  • 日本電産 IR資料「セコップグループ(Secop Holding GmbH他3社)買収に関する参考資料」(2017年4月26日)
    • [44]セコップグループ(冷蔵庫用コンプレッサー)を取得価格185百万ユーロ(企業価値ベース)で買収

2018年6月、吉本浩之氏が代表取締役社長執行役員(COO)に就任し、永守重信氏は代表取締役会長(CEO)となった。吉本浩之氏は日商岩井、カルソニックカンセイ、日産自動車を経て、2015年3月に日本電産へ入社していた。2019年、日本電産はEV用のトラクションモータシステム「E-Axle」の量産を始めた。2017年に広州汽車グループから受注し、工場も設備もない状態から約16か月で量産に入った。2020年4月、社長は日産自動車で執行役副最高執行責任者を務めた関潤氏へ替わった。永守重信会長は2021年6月にCEOの職責を関潤社長へ移し、『経営手法は私と非常によく似ており、即断即決ができること、リーダーシップがあること、そして人間性においてもCEOにふさわしいと判断しました。』と記した。関潤社長はCEO就任にあたり、『新中期戦略目標「Vision2025」の達成には、車載事業の高成長が不可欠となります。』と書いた。永守重信会長は、車載を次の主力に育てる後継者を自動車業界の経験者に求めたのだろう。

  • 日本電産 有価証券報告書 第45期(2018年3月期)【役員の状況】
    • [46]2018年6月 吉本浩之 代表取締役社長執行役員最高執行責任者、永守重信 代表取締役会長最高経営責任者
    • [47]吉本浩之:1991年日商岩井、2008年カルソニックカンセイ、2012年日産自動車、2015年3月日本電産入社
  • 日本電産 統合報告書2021
    • [48]EV用駆動モータシステム「E-Axle」を開発し2019年から量産を開始
    • [49]2017年に広州汽車グループから受注したE-Axleは、工場も設備も人員もない状態から16か月ほどで量産を開始
    • [51]2021年6月 永守会長がCEOの職責を関社長に譲った
    • [52]関潤氏が最高経営責任者に就任した際のメッセージ(統合報告書2021所収)
  • 日本電産 有価証券報告書 第47期(2020年3月期)【役員の状況】
    • [50]関潤:1986年日産自動車入社、2019年12月執行役副最高執行責任者、2020年1月日本電産入社、2020年4月社長執行役員兼COO

2021年8月、日本電産は三菱重工工作機械を譲り受け、日本電産マシンツールとした。2022年には工作機械メーカーのOKKも傘下に入れた。小部博志社長は2022年の統合報告書で、『Initially, the purpose of the acquisition of these two companies was to facilitate in-house production of key parts of E-Axle.』(訳:当初、2社の買収の目的はE-Axleの主要部品の内製を進めることだった)と記した。その後、工作機械事業そのものの拡大で利益を増やす方針へ改めた。2022年4月には永守重信会長がCEOに復帰し、関潤社長は最高執行責任者となった。同年9月、1973年の設立に参加した小部博志氏が関潤氏に代わって社長に就任した。永守重信会長は同じ報告書で『In particular, finding the right personnel who will lead Nidec in the future in cooperation with all Nidec members is a crucial task for us.』(訳:とりわけ、全社員と協力して将来の日本電産を率いる人材を見つけることが重要な課題だ)と記した。車載製品では、世界の生産台数の回復が遅れていた。日本電産は後継の選定と車載の採算という2つの課題を抱えたまま、2022年を終えたとみられる。

  • 日本電産 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【沿革】
    • [53]2021年8月 三菱重工工作機械を譲受け、日本電産マシンツールを設立
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [54]2022年 OKK(汎用工作機械)を取得
    • [55]日本電産マシンツールと日本電産OKKの買収の当初の目的はE-Axle主要部品の内製化(社長メッセージ)
    • [56]現在は工作機械事業そのものを拡大して利益を増やす戦略へ転換
    • [58]2022年9月2日 取締役会で小部博志が社長に選任。創業以来の最も信頼するパートナー(永守会長)
    • [59]今後の日本電産を率いる人材の発掘が重要課題(会長メッセージ、2022年11月)
    • [60]車載製品事業で世界の生産台数の回復が遅れている
  • 日本電産 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【役員の状況】
    • [57]2022年4月 永守重信が最高経営責任者に戻り、関潤は代表取締役社長執行役員最高執行責任者に
参考文献[39]-[60]
  • 日本電産 統合報告書2021
    • [39]前中期戦略目標「Vision2020」のターゲットは連結売上高2兆円
    • [42]日本電産ルロア・ソマーホールディング社:交流発電機、モータ、可変速ドライブ、産業向け自動化ソリューション
    • [45]2017年度に家電・商業・産業用事業の売上高が精密小型モータ事業を上回った
    • [48]EV用駆動モータシステム「E-Axle」を開発し2019年から量産を開始
    • [49]2017年に広州汽車グループから受注したE-Axleは、工場も設備も人員もない状態から16か月ほどで量産を開始
    • [51]2021年6月 永守会長がCEOの職責を関社長に譲った
    • [52]関潤氏が最高経営責任者に就任した際のメッセージ(統合報告書2021所収)
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちにする経営」(2015年12月)
    • [40]2020年度 売上高2兆円・営業利益率15%の新中期戦略目標。新規M&A約5,000億円を含む
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)
    • [41]2017年 Emerson Electricのモータ・発電機事業(フランス)とドライブ事業(英国)を取得
    • [54]2022年 OKK(汎用工作機械)を取得
    • [55]日本電産マシンツールと日本電産OKKの買収の当初の目的はE-Axle主要部品の内製化(社長メッセージ)
    • [56]現在は工作機械事業そのものを拡大して利益を増やす戦略へ転換
    • [58]2022年9月2日 取締役会で小部博志が社長に選任。創業以来の最も信頼するパートナー(永守会長)
    • [59]今後の日本電産を率いる人材の発掘が重要課題(会長メッセージ、2022年11月)
    • [60]車載製品事業で世界の生産台数の回復が遅れている
  • 日本電産 有価証券報告書 第44期(2017年3月期)【沿革】
    • [43]2017年3月 グループ会社のコーポレートブランドロゴをNidecに統一
  • 日本電産 IR資料「セコップグループ(Secop Holding GmbH他3社)買収に関する参考資料」(2017年4月26日)
    • [44]セコップグループ(冷蔵庫用コンプレッサー)を取得価格185百万ユーロ(企業価値ベース)で買収
  • 日本電産 有価証券報告書 第45期(2018年3月期)【役員の状況】
    • [46]2018年6月 吉本浩之 代表取締役社長執行役員最高執行責任者、永守重信 代表取締役会長最高経営責任者
    • [47]吉本浩之:1991年日商岩井、2008年カルソニックカンセイ、2012年日産自動車、2015年3月日本電産入社
  • 日本電産 有価証券報告書 第47期(2020年3月期)【役員の状況】
    • [50]関潤:1986年日産自動車入社、2019年12月執行役副最高執行責任者、2020年1月日本電産入社、2020年4月社長執行役員兼COO
  • 日本電産 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【沿革】
    • [53]2021年8月 三菱重工工作機械を譲受け、日本電産マシンツールを設立
  • 日本電産 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【役員の状況】
    • [57]2022年4月 永守重信が最高経営責任者に戻り、関潤は代表取締役社長執行役員最高執行責任者に

2000年〜2022年の業績

決算期 区分 売上高 営業利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 億円 利益率
2000年03月期 連結 n/a n/a n/a n/a n/a n/a
2001年03月期 連結 2,810 n/a n/a 64 2.3% n/a
2002年03月期 連結 2,986 +6.3% n/a 64 2.1% n/a
2003年03月期 連結 3,290 +10.2% n/a 114 3.5% n/a
2004年03月期 連結 3,290 0.0% n/a 114 3.5% n/a
2005年03月期 連結 4,858 +47.7% 537 334 6.9% n/a
2006年03月期 連結 5,368 +10.5% 534 409 7.6% n/a
2007年03月期 連結 6,296 +17.3% 640 399 6.3% n/a
2008年03月期 連結 7,421 +17.9% 768 411 5.5% n/a
2009年03月期 連結 6,108 ▲17.7% 520 283 4.6% n/a
2010年03月期 連結 5,874 ▲3.8% 783 519 8.8% n/a
2011年03月期 連結 6,759 +15.1% 929 523 7.7% n/a
2012年03月期 連結 6,823 +0.9% 709 407 6.0% n/a
2013年03月期 連結 7,092 +3.9% 134 79 1.1% n/a
2014年03月期 連結 8,751 +23.4% 845 562 6.4% n/a
2015年03月期 連結 10,283 +17.5% 1,071 760 7.4% n/a
2016年03月期 連結 11,782 +14.6% 1,193 899 7.6% n/a
2017年03月期 連結 11,993 +1.8% 1,394 1,110 9.3% n/a
2018年03月期 連結 14,590 +21.7% 1,668 1,308 9.0% n/a
2019年03月期 連結 14,754 +1.1% 1,292 1,099 7.4% n/a
2020年03月期 連結 15,348 +4.0% 1,086 584 3.8% n/a
2021年03月期 連結 16,180 +5.4% 1,600 1,219 7.5% n/a
2022年03月期 連結 19,181 +18.5% 1,704 1,357 7.1% n/a

出所:有価証券報告書

出典・参考

21件
出典・参考
  • 日本電産サンキョー 有価証券報告書 第82期(2006年3月期)【沿革】【発行済株式総数、資本金等の推移】
  • 日本電産 有価証券報告書 第33期(2006年3月期)【沿革】【関係会社の状況】
  • 日本電産 有価証券報告書 第34期(2007年3月期)【沿革】
  • 日本電産 有価証券報告書 第36期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 日本電産 有価証券報告書 第38期(2011年3月期)【沿革】
  • 日本電産 有価証券報告書 第42期(2015年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 日本電産 有価証券報告書 第44期(2017年3月期)【沿革】
  • 日本電産 有価証券報告書 第45期(2018年3月期)【役員の状況】
  • 日本電産 有価証券報告書 第47期(2020年3月期)【役員の状況】
  • 日本電産 統合報告書2021
  • 日本電産 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【沿革】
  • 日本電産 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【役員の状況】
  • 日経ビジネス 2002年2月18日号
  • 日経ビジネス 2003年8月18日号
  • 日経産業新聞(2000年5月16日)
  • 日経新聞長野「三協精機の工場再編、次世代モーターに力」(2001年11月27日)
  • 日経新聞長野「三協精機が人員削減」(2003年7月29日)
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちに」(2012年)
  • 日本電産 個人投資家向け会社説明会資料「夢をかたちにする経営」(2015年12月)
  • 日本電産 IR資料「セコップグループ(Secop Holding GmbH他3社)買収に関する参考資料」(2017年4月26日)
  • Nidec Integrated Report 2022(英文)

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