アンビスホールディングス 医心館の西日本47施設を譲渡 西日本エリアを中心とする47施設の会社分割とNSSK-Altair1への全株売却、首都圏・東日本への経営資源の集中

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時期 2026年9月
論点 全国展開してきた医心館の地域絞り込みと、譲渡対価による財務基盤の強化
何をなぜ決めたか
概要

2026年9月28日、アンビスホールディングスは取締役会で、医心館のうち西日本エリアを中心とする47施設の事業を切り出し、日本産業推進機構グループが出資する株式会社NSSK-Altair1へ譲渡することを決議した。事業は新設した2社へ吸収分割で承継させ、2社の全株式を合計17,400百万円で譲渡する。実行は2026年11月16日の予定で、全国へ広げてきた医心館を首都圏・東日本へ集める判断である。

背景

医心館は末期がん患者や人工呼吸器を使う患者など医療依存度の高い人を受け入れる在宅施設で、療養病床などの医療資源が乏しく切迫度の高い東日本から展開してきた。中期経営計画「Amvis 2025」では西日本を含む広範な地域へ開設を広げ、2025年9月期に開設した29事業所のうち10事業所は兵庫から宮崎までの8県に置いた。事業所数は130、定員は6,706人に達していた。

内容

譲渡する事業の売上高は11,522百万円(2025年9月期)で、連結売上高49,174百万円の23.4%にあたる。2026年9月期の第3四半期累計では、譲渡する47施設が売上100億円、残る91施設が280億円だった。

承継させる資産は2社で21,534百万円、負債は10,183百万円(2026年6月30日時点)。譲渡益は2027年9月期に出る見込みで、額は精査中にある。

含意

借入金の承継による88億円の減少、リース負債の1億円の減少、譲渡対価の受領による170億円の現金増加で、2026年6月末に301億円だったネットデットは42億円へ縮む試算である。資金は医療機関の経営支援を行う総合医療支援事業へ振り向け、医心館では新規開設エリアを絞る。

2026年9月期の営業利益予想は3,800百万円で、前期の6,162百万円から減る計画。稼働率は既存施設が73.8%、新規施設が41.6%にとどまる。

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筆者の見解
筆者の見解

全国展開を、どこで止めるか

この判断は撤退というより、医心館という資本集約型の事業の置き場所を決め直したものと読める。西日本を含む全国展開は中期経営計画の柱だったが、2026年9月期の営業利益予想は3,800百万円と前期から4割近く減り、新規施設の稼働率は41.6%にとどまる。開設を急ぐほど採用費と人件費が先に膨らむ構造のなかで、47施設を手放して借入金88億円を外すのは、開設の速度を落とす代わりに財務の余地を買う選択だったと思われる。

もっとも、軽くなった資本が次の収益源を育てられるかは、まだ結果が出ていない。成長の担い手に据えた総合医療支援事業の売上は、2026年9月期の第3四半期累計で897百万円と、医心館の37,393百万円の2%台にすぎない。譲渡の理由には、介護・ホスピス領域に経験を持つNSSKの傘下のほうが施設の成長に資するという判断も挙がるが、残る91施設は稼働率の立て直しが先である。全国で開く道を閉じた分、集中する東日本で収益を戻せるかが問われる。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
売上高と営業利益の推移

アンビスホールディングス:売上高と営業利益の推移

(百万円) 売上高営業利益 備考
2021年9月期 15,3343,784
2022年9月期 23,0726,132
2023年9月期 31,9858,630
2024年9月期 42,47510,612 営業利益率25.0%。事業所は104に増えた
2025年9月期 49,1746,162 営業利益は前期比41.9%減。採用費と人件費で販管費が2,179増
売上高と営業利益率
売上高(百万円)営業利益率(%)

出所:アンビスホールディングス 有価証券報告書 第7期〜第9期(2021年9月期〜2025年9月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】

医心館の事業所数と定員の推移

アンビスホールディングス:医心館の事業所数と定員の推移

(事業所・人) 事業所数定員 備考
2021年9月期 482,289 有価証券報告書提出日現在の数
2022年9月期 653,176 有価証券報告書提出日現在の数
2023年9月期 824,098 有価証券報告書提出日現在の数
2024年9月期 1045,248 2024年9月末の数
2025年9月期 1306,706 2025年9月末の数。この期に29事業所を開設
2026年9月期 1377,108 2026年6月末の数。うち47施設を譲渡する
医心館の事業所数
事業所数(事業所・人)

出所:アンビスホールディングス 有価証券報告書 第7期〜第9期【事業の内容】 / アンビスホールディングス 2026年9月期第3四半期決算説明資料

借入金・リース債務と総資産の推移

アンビスホールディングス:借入金・リース債務と総資産の推移

(百万円) 借入金リース債務総資産 備考
2021年9月期 8,9673,78131,922 借入金は短期借入金・1年内返済予定・長期借入金の合計
2022年9月期 12,7104,72341,767
2023年9月期 17,3945,65955,559
2024年9月期 24,3797,36971,799
2025年9月期 31,7398,41283,947 借入金は前期比7,360増。自己資本比率は43.0%へ低下
借入金とリース債務
借入金(百万円)リース債務(百万円)

出所:アンビスホールディングス 有価証券報告書 第7期〜第9期(連結貸借対照表)

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参考文献
出典・参考

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