レオパレス21 アズ・ライフケアの全株式譲渡 シルバー事業の日本革新投資系ファンドへの売却と、賃貸事業への集中

更新:

時期 2026年9月
当時の社長 宮尾文也
論点 赤字が続く介護事業の切り離しと、賃貸事業への集中
何をなぜ決めたか
概要

2026年9月14日、レオパレス21が取締役会で、シルバー事業を担う特定子会社のアズ・ライフケアとアズ・レジデンスの全株式を、日本革新投資がサービスを提供するファンドを株主とするSPCへ譲渡すると決議した経営判断。両社は議決権の100%を持つ完全子会社で、異動は2026年10月30日の予定。

背景

シルバー事業は2005年1月にシルバー事業部を創設して始めた。2013年12月にアズ・ライフケアを設立し、2022年11月には事業の一部をここへ吸収分割した。営業損益は2012年3月期から2026年3月期まで15期続けて赤字で、2026年3月期も売上高136億5,200万円に対し営業損失10億6,200万円だった。

2025年5月公表の中期経営計画「New Growth 2028」は、稼働率の向上と運営の安定化による早期の黒字化を掲げていた。2026年1月には、22施設の事業をアズ・レジデンスへ吸収分割し、2026年4月に効力が生じている。

内容

譲渡の対象は、あずみ苑などの介護施設を運営するアズ・ライフケア(資本金100百万円)と、2025年6月に設立したアズ・レジデンス(資本金192百万円)の2社。あわせて、損害保険の子会社あすか少額短期保険は、議決権株式の半分にあたる373株をインシュラントグループへ譲渡し、連結子会社から持分法適用関連会社へ移る(異動は2026年11月6日の予定)。

含意

2026年3月期のシルバー事業は売上高の3.1%、施設数は85。賃貸事業の営業利益443億円に対し、シルバー事業は10億円余りの営業損失を出していた。買い手の対価は臨時報告書に記載がない。介護を手放して賃貸事業へ集中する道を選んだ一方、2026年3月期末に1,031人いたシルバー事業の従業員と入居者の行き先は、買い手の運営に委ねることになる。

いつ何が起きたか 8件
筆者の見解
筆者の見解

21年続けた介護から手を引く

2005年にシルバー事業へ入ったのは、賃貸の入居者を軸にした「人と住まい」の事業を広げる一歩だったと思われる。しかし15期連続の営業赤字が示すのは、賃貸で育てた仕組みが介護では利益に結びつかなかったことだろう。中計で早期黒字化を掲げ、8か月後に22施設を子会社へ分けたのは経営課題の明確化のためとされるが、結果として売却の受け皿を整える手順にもなったとみられる。

もっとも、売却の理由そのものは臨時報告書に書かれておらず、対価も開示されていない。赤字の事業を買い手がどう黒字化するのか、入居者と職員の暮らしがどう引き継がれるのかは、いまの資料からは読み取れない。あすか少額短期保険を半分だけ残す形とあわせ、賃貸事業への集中がどこまで進むかは、異動後の連結決算で確かめる段階にある。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
シルバー事業セグメントの推移

レオパレス21:シルバー事業セグメントの推移

(百万円) 売上高営業損益セグメント資産減損損失 備考
2022年3月期 14,258△7893,2613
2023年3月期 13,941△1,2084,1372 11月にシルバー事業の一部をアズ・ライフケアへ吸収分割
2024年3月期 14,007△6214,164−
2025年3月期 13,726△8033,79519
2026年3月期 13,652△1,0623,94815 施設数は85。22施設を4月にアズ・レジデンスへ分割
シルバー事業の売上高と営業利益率
売上高(百万円)営業損益率(%)

出所:レオパレス21 有価証券報告書 第49期〜第53期(セグメント情報、報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報)

同じ問いに直面した会社
参考文献
出典・参考
  • レオパレス21 臨時報告書「特定子会社の異動に関する臨時報告書(アズ・ライフケア、アズ・レジデンス、あすか少額短期保険)」
  • レオパレス21 中期経営計画「中期経営計画「New Growth 2028」」
  • レオパレス21 有価証券報告書「第53期(2026年3月期)【沿革】【事業の内容】【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】」
  • レオパレス21 有価証券報告書「第33期(2006年3月期)【事業の概況】」

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