光通信系K891の非公開化TOBへの賛同(2026年・レオパレス21の決断)

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レオパレス21:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
上場を保った単独の改革から、光通信など3社連合の傘下での改革への転換2026年9月14日、レオパレス21の取締役会は、K891による公開買付けに賛同し、株主と新株予約権者に応募を推奨すると決議した。買付価格は1株1,000円、新株予約権は1個99,900円で、前営業日の終値657円に52.21%を上乗せした水準である。K891は2026年3月に設立された会社で、光通信が全株を保有するK892の完全子会社である。決済の前に光通信が34.0%、MBKパートナーズのファンドとNECキャピタルソリューション系のファンドが33.0%ずつを出資する。

何をなぜ決めたか:上場を保った単独の改革から、光通信など3社連合の傘下での改革への転換

概要

2026年9月14日、レオパレス21の取締役会は、K891による公開買付けに賛同し、株主と新株予約権者に応募を推奨すると決議した。買付価格は1株1,000円、新株予約権は1個99,900円で、前営業日の終値657円に52.21%を上乗せした水準である。K891は2026年3月に設立された会社で、光通信が全株を保有するK892の完全子会社である。決済の前に光通信が34.0%、MBKパートナーズのファンドとNECキャピタルソリューション系のファンドが33.0%ずつを出資する。

公開買付けは9月15日から10月30日までの30営業日で行われ、応募は207,044,870株と下限の158,716,000株を上回って成立した。決済開始日の11月9日付でK891は議決権の63.35%を持つ親会社となり、2位株主だった千鳥合同会社(15.45%)は主要株主でなくなる。

背景

買い手の中心は筆頭株主の光通信である。2022年4月からUH Partners 2などを通じて純投資として株式を取得し、公表時点で所有割合18.11%の59,188,300株を保有していた。2025年10月28日に非公開化を検討していると伝え、12月19日に1株800円以上を想定する意向表明書を提出した。会社は12月26日、独立社外取締役3名と社外監査役1名の特別委員会を設置した。

この間、もう一つの大株主との関係も動いていた。2020年11月、Fortressの関連事業体である千鳥合同会社に普通株式84,507,000株を第三者割当で発行し、同社が10%以上を持つ限り事業計画にその事前承認を要する契約を締結していた。2025年5月27日には自己株式の公開買付けを決議し、137,072,803株を71,552百万円で取得した。取締役会はこれを特定株主による支配の回避と位置づけていた。その前の2020年2月には、レノなどが取締役10名の解任を求めて臨時株主総会を請求していた。

内容

価格は4度引き上げられた。2026年4月10日に3社連名で1株800円を示し、5月28日に900円以上、6月5日に950円以上、7月6日に1,000円を提示した。特別委員会はその後も再提案を求めたが、3社連合は1,000円を最大かつ最終の価格とし、会社は9月10日に応諾を回答した。千鳥合同会社は全株の応募に、光通信系の3株主は不応募に合意し、下限は所有割合48.56%に設定された。

取締役会は全員一致で決議したが、Fortressの役職を兼ねる山下明男氏と劉勁氏は審議に加わらなかった。同じ日、シルバー事業2社の全株式を日本革新投資に、あすか少額短期保険の議決権50%を光通信系のインシュラントグループに譲渡する契約も結んだ。あすか少額短期保険は譲渡後も連結子会社にとどまる。

いつ何が起きたか12件
筆者考察
考察

考察:支配の回避から支配の受け入れへ

この決断は、不祥事から立ち直りつつある上場会社が、残る構造改革を市場の評価のもとで進めるか、支配を譲って市場の外で進めるかという問いへの答えである。レオパレス21は後者を選んだ。管理戸数は約57万戸から約54万戸へ減少し、新リース会計基準は一括借上げのビジネスモデルの再構築を迫る。オーナーへの還元や開発の拡充は当面の収益を圧迫し、上場のままでは株価が実行の制約になる。取締役会は、光通信の商材と3社の資金を得る代わりに、上場と独立を放棄した。ただし株式併合は終わっておらず、成否を判定する段階にはない。

この賛同は、6年にわたる大株主との関係の帰結である。2020年2月、レノなどが取締役10名の解任を求めて臨時株主総会を請求した。同じ年の11月、会社は千鳥合同会社に84,507,000株を割り当てて資本を得たが、事業計画に同社の事前承認を要する契約を負った。2025年5月には自己株式137,072,803株を71,552百万円で取得し、取締役会はこれを特定株主による支配の回避と位置づけた。その1年4か月後に、筆頭株主を中心とする3社連合への支配の移転を受け入れた。会社が避けたかったのは支配そのものより、改革の条件を示さない株主による支配だったとみられる。

同じ年のMCJのMBOと比べると、上乗せの厚さと買い手の性格が異なる。MCJの公開買付価格1株2,200円は前営業日の終値に38.45%を上乗せした水準で、創業者が主導する非公開化だった。レオパレス21の1,000円は前営業日の終値657円に52.21%を上乗せし、買い手の中心は経営陣ではなく筆頭株主の事業会社である。光通信は約54万戸の入居者への商材の提供を、シナジーの第一に掲げた。800円から4度の引き上げに応じられたのは、投資の回収だけでなく、自社の商材の販路として管理物件を評価した買い手だったためと考えられる。

Yutaka Sugiura, 2026年11月

数字で見る

レオパレス21:連結業績と純資産の推移

レオパレス21:連結業績と純資産の推移

売上高(百万円)経常利益率(%)

経常利益は5期で黒字化し348億円に達したが、純資産は自己株式の取得で464億円へ縮小

レオパレス21:連結業績と純資産の推移
(百万円)売上高経常利益純資産額総資産額備考
2022年3月期398,366△2,15111,034145,430
2023年3月期406,4496,52632,922166,548
2024年3月期422,67119,47671,679205,000
2025年3月期431,83126,93688,268216,625
2026年3月期444,82034,84246,393176,574自己株式137,072,803株を71,552百万円で取得
出所:レオパレス21 有価証券報告書 第53期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【自己株式の取得等の状況】
出所:レオパレス21 有価証券報告書 第53期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【自己株式の取得等の状況】
当時の取締役10名

取締役10名(2026年6月株主総会議決)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務宮尾文也取締役:代表取締役業務執行:社長執行役員担当:開発事業本部長
早島真由美取締役:取締役業務執行:常務執行役員担当:事業推進本部長
山下明男ファンド取締役:取締役業務執行:担当:
劉勁ファンド取締役:取締役業務執行:担当:
竹倉慎二取締役:取締役業務執行:執行役員担当:経営管理本部長、開発事業本部副本部長
持田直道金融取締役:取締役業務執行:常務執行役員担当:賃貸営業本部長
独立役員中村裕取締役:取締役業務執行:担当:
渡邊顯法曹取締役:取締役業務執行:担当:
柴田拓美金融取締役:取締役業務執行:担当:
石井歓金融取締役:取締役業務執行:担当:
この一覧は2026年6月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • レオパレス21 有価証券報告書 第53期(2026年3月期)【経営上の重要な契約等】
  • レオパレス21 有価証券報告書 第53期(2026年3月期)【自己株式の取得等の状況】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
  • レオパレス21 臨時株主総会招集ご通知(2020年2月7日)・臨時株主総会の議案に対する当社取締役会の意見・臨時報告書(2020年3月2日提出)
  • レオパレス21 有価証券報告書 第53期(2026年3月期)【自己株式の取得等の状況】
  • レオパレス21 有価証券報告書 第53期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【自己株式の取得等の状況】
  • レオパレス21 意見表明報告書「意見表明報告書(株式会社K891による公開買付け)」
  • K891 公開買付届出書「公開買付届出書(レオパレス21株式)」
  • K891 公開買付報告書「公開買付報告書(レオパレス21株式)」
  • レオパレス21 臨時報告書「親会社及び主要株主の異動に関する臨時報告書」
  • レオパレス21 訂正臨時報告書「特定子会社の異動に関する臨時報告書の訂正報告書」
  • レオパレス21 有価証券報告書「第53期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【経営上の重要な契約等】【自己株式の取得等の状況】【コーポレート・ガバナンスの状況等】」

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