神戸物産:沼田博和の社長就任と太陽光発電への参入
2012年〜沼田博和氏への承継と、借入で拡大した国内工場網
2012年2月、創業者の沼田昭二氏は代表取締役社長の座を長男の沼田博和氏に譲り、自らは会長兼CEOに就任した。博和氏は1980年11月生まれで、就任時は31歳だった。2009年4月の入社から2年10か月での就任で、取締役にはその約1年前に就任していた。引き継いだ2012年10月期は連結売上高1,574億円のうち1,557億円を業務スーパー事業が占め、会社はほぼ1つの事業でできていた。同じ年の12月に株式は大阪証券取引所市場第一部へ指定され、2013年7月には現物市場の統合に伴って東京証券取引所市場第一部へ移った。創業者を会長に残したまま、社長交代と上場市場の格上げを同じ時期に重ねた承継だったとみられる。
- 神戸物産 有価証券報告書【役員の状況】(2025年10月期)
- [1]沼田昭二氏が2012年2月に代表取締役社長を長男の沼田博和氏へ譲り、会長兼CEOとなった
- [2]沼田博和氏は1980年11月16日生まれ
- [3]沼田博和氏は2009年4月入社、2011年1月取締役、2012年2月代表取締役社長
- 神戸物産 有価証券報告書(2012年10月期・連結)【セグメント情報】
- [4]2012年10月期の連結売上高は1,574億12百万円、うち業務スーパー事業の売上高は1,557億05百万円
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [5]2012年に大阪証券取引所市場第1部に上場
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [6]2013年7月、大証と東証の現物市場統合に伴い東京証券取引所市場第一部に上場
交代後の数年、グループは食品工場を持つ会社の取得と設立を重ねた。2012年12月にほくと食品を買い取り、2013年には豊田乳業と富士麺業を設立し、関原酒造も傘下に入れた。2014年4月に菊川を加え、同年8月の外部調査では100%出資の国内食品工場が21か所と食品小売業で最多になった。2015年10月末には、国内外の工場を持つ会社が22社・25工場に並んだ。上流では北海道に約1,570ヘクタール、エジプトに約2,900ヘクタールの農地を持ち、岡山と群馬で養鶏も営んだ。これらを統合する目標として、農業から小売までを一つのグループで担う六次産業型の製販一体を掲げた。自社製の商品を増やし、原価の決定権を仕入先に渡さない構えだったとみられる。
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [7]2012年12月以降、食品工場を持つ子会社の取得・設立を続けた
- [8]2012年12月ほくと食品を全株取得、2013年1月豊田乳業設立、2013年5月富士麺業設立・関原酒造を全株取得
- [9]2014年4月菊川を全株取得
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [10]2014年8月の大手調査機関の調査で、国内の100%出資食品工場の所有数21は食品小売業界で最多
- [11]2015年10月31日時点で国内外のグループ工場は合計22社・25工場
- [12]農業用地は北海道で約1,570ha、エジプトで約2,900ha。岡山県と群馬県で養鶏を行う(2015年10月31日現在)
- 神戸物産 平成27年10月期 決算短信(2015年12月)
- [13]グループ目標として六次産業による製販一体の確立を掲げ、積極的なM&Aを実行した
工場網を広げる最中の2013年10月期、円安で輸入品の仕入価格が上がり、連結営業利益は19億56百万円と前期から53.8%減った。業務スーパー事業のセグメント利益も、2012年10月期の61億12百万円から41億40百万円に下がった。投資の資金は借入に依存し、自己資本比率は2011年10月期の28.7%から2015年10月期の11.1%へ低下した。2015年10月期には長期借入金が204億06百万円増え、同じ期に市場からの自社株買いを2度行った。2017年10月期でも自己資本比率は16.6%、D/Eレシオは3.4倍だった。同年12月の中期経営計画は、D/Eレシオを2020年10月期に2.0倍以下へ下げる目標を置いた。工場と輸入の双方を抱える構造が、為替と借入の両面で揺れやすかったのだろう。
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【業績等の概要】【セグメント情報】
- [14]2013年10月期は円安に伴う仕入価格の高騰などで業績が悪化した
- [15]2013年10月期の連結営業利益は19億56百万円、前期比53.8%減
- [16]業務スーパー事業のセグメント利益は2012年10月期61億12百万円、2013年10月期41億40百万円
- 神戸物産 平成27年10月期 決算短信(2015年12月)
- [17]自己資本比率は平成23年10月期28.7%、平成27年10月期11.1%
- [18]平成27年10月期に長期借入金が204億06百万円増加。2014年12月〜2015年1月と2015年7月〜10月に市場買付で自己株式を取得
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [19]2017年10月期実績は自己資本比率16.6%・D/Eレシオ3.4倍
- [20]中期経営計画の2020年10月期目標は自己資本比率20%以上・D/Eレシオ2.0倍以下
参考文献[1]-[20]
- 神戸物産 有価証券報告書【役員の状況】(2025年10月期)
- [1]沼田昭二氏が2012年2月に代表取締役社長を長男の沼田博和氏へ譲り、会長兼CEOとなった
- [2]沼田博和氏は1980年11月16日生まれ
- [3]沼田博和氏は2009年4月入社、2011年1月取締役、2012年2月代表取締役社長
- 神戸物産 有価証券報告書(2012年10月期・連結)【セグメント情報】
- [4]2012年10月期の連結売上高は1,574億12百万円、うち業務スーパー事業の売上高は1,557億05百万円
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [5]2012年に大阪証券取引所市場第1部に上場
- [10]2014年8月の大手調査機関の調査で、国内の100%出資食品工場の所有数21は食品小売業界で最多
- [11]2015年10月31日時点で国内外のグループ工場は合計22社・25工場
- [12]農業用地は北海道で約1,570ha、エジプトで約2,900ha。岡山県と群馬県で養鶏を行う(2015年10月31日現在)
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [6]2013年7月、大証と東証の現物市場統合に伴い東京証券取引所市場第一部に上場
- [7]2012年12月以降、食品工場を持つ子会社の取得・設立を続けた
- [8]2012年12月ほくと食品を全株取得、2013年1月豊田乳業設立、2013年5月富士麺業設立・関原酒造を全株取得
- [9]2014年4月菊川を全株取得
- 神戸物産 平成27年10月期 決算短信(2015年12月)
- [13]グループ目標として六次産業による製販一体の確立を掲げ、積極的なM&Aを実行した
- [17]自己資本比率は平成23年10月期28.7%、平成27年10月期11.1%
- [18]平成27年10月期に長期借入金が204億06百万円増加。2014年12月〜2015年1月と2015年7月〜10月に市場買付で自己株式を取得
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【業績等の概要】【セグメント情報】
- [14]2013年10月期は円安に伴う仕入価格の高騰などで業績が悪化した
- [15]2013年10月期の連結営業利益は19億56百万円、前期比53.8%減
- [16]業務スーパー事業のセグメント利益は2012年10月期61億12百万円、2013年10月期41億40百万円
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [19]2017年10月期実績は自己資本比率16.6%・D/Eレシオ3.4倍
- [20]中期経営計画の2020年10月期目標は自己資本比率20%以上・D/Eレシオ2.0倍以下
2012年〜屋根の太陽光から木質バイオマスへ、縮んだ発電計画
2012年11月、兵庫県の自社施設の屋根に29キロワットの太陽光設備を据え、発電事業に参入した。この設備の初期投資は1,000万円で、見込んだ売電額は年100万円だった。続いて兵庫県稲美町に出力1〜2.4メガワットの発電所を3か所設け、北海道のむかわ町と芦別、福岡県の上毛町へ用地を広げた。2014年1月には福岡県川崎町の約8万平方メートルに田川第一・第二発電所を開設し、約4メガワットで年1億7,570万円の売電を見込んだ。2基の初期投資は計13億2,400万円、回収には10年4か月を要する計算だった。屋根の試みを1年余りでメガワット単位の用地投資へ切り替えた点に、交代直後の判断の速さがうかがえる。
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [21]2012年11月、新規事業として太陽光発電事業を開始
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [22]クック屋根太陽光発電所(兵庫県)は29kW、初期投資1,000万円、想定売電額年100万円
- 神戸物産 適時開示「福岡県田川(第一・第二)太陽光発電所の稼働開始に関するお知らせ」(2014年1月24日)
- [23]稲美町第一〜第三(1.0〜2.4MW)、むかわ町汐見・大成、芦別、上毛町の各太陽光発電所が稼働
- [24]田川(第一・第二)太陽光発電所は福岡県田川郡川崎町、設置面積約80,000㎡、出力約4MW、売電予定額1億7,570万円/年、2014年1月24日稼働
- [25]田川第一・第二はそれぞれ初期投資6億6,200万円、投資回収年数10年4ヶ月
2014年1月時点の計画では、稼働中と建設中の計19.4メガワットに加え、福島県17メガワットと仙台35メガワットの用地も確保していた。これらを合わせた出力は71.4メガワット、初期投資は212億5,700万円に達し、見込む売電額は年27億円を超えた。2015年7月末には、経済産業省の許可と電力会社の認可を355メガワット以上取得したと公表した。大分県九重町では地熱の開発に着手して2017年7月に売電を始め、北海道白糠町ではヤナギなど早生木を燃やす木質バイオマス発電を計画した。売電の価格が制度で固定される事業を、店舗の売上に左右されない収益源と位置づけていたとみられる。
- 神戸物産 適時開示「福岡県田川(第一・第二)太陽光発電所の稼働開始に関するお知らせ」(2014年1月24日)
- [26]2014年1月時点で稼働中12.2MW、建設中7.2MW、実施計画中(土地取得済)として福島県17MW・仙台第一35MW
- [27]稼働中・建設中・実施計画中の合計は71.4MW、初期投資額212億5,700万円、実効売電額(予想)年27億3,228万円
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [28]2015年7月31日現在、経済産業省の許可及び電力会社の認可を355MW以上取得
- [30]北海道白糠郡白糠町でヤナギなど早生木を活用する木質バイオマス発電事業を計画
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [29]大分県玖珠郡九重町の自社地熱井で地熱発電に取り組み、2017年7月より売電を開始
太陽光の稼働は2015年10月末に13か所15.6メガワットで、2017年10月末でも13か所15.9メガワットにとどまった。この間に福岡県の発電所は5か所から1か所に減り、滋賀・大阪・徳島・茨城に新設した。2019年10月末は16か所約22.0メガワットで、2014年に描いた71.4メガワットの3割ほどだった。白糠町の木質バイオマス発電所は2017年3月に起工し、2018年8月に約6.2メガワットで稼働した。事業の売上高は2013年10月期に1,500万円で、損益は1億64百万円の赤字だった。2019年10月期には売上高23億41百万円、セグメント利益3億61百万円の黒字に転じた。設備の数を追う計画は縮んだが、制度価格で売れる電力は業務スーパー以外の利益源として根づいた。
- 神戸物産 平成27年10月期 決算短信(2015年12月)
- [31]平成27年10月末現在、太陽光発電所は計13か所で約15.6MW
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [32]2017年10月末現在、太陽光発電所は計13か所で約15.9MW
- [33]福岡県の稼働中発電所は2015年7月末5か所、2017年10月末1か所。2017年10月末には滋賀・大阪・徳島・茨城に各1か所
- 神戸物産 2019年10月期 決算短信(2019年12月)
- [34]2019年10月末の稼働中太陽光発電所は計16か所、約22.0MW
- 神戸物産 2018年10月期 決算短信(2018年12月)
- [35]白糠町の木質バイオマス発電所は2017年3月起工、2018年8月稼働、約6.2MW
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【業績等の概要】【セグメント情報】
- [36]エコ再生エネルギー事業の2013年10月期売上高15百万円・セグメント損失1億64百万円
- 神戸物産 有価証券報告書(2019年10月期・連結)【セグメント情報】
- [37]エコ再生エネルギー事業の2019年10月期売上高23億41百万円・セグメント利益3億61百万円
参考文献[21]-[37]
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [21]2012年11月、新規事業として太陽光発電事業を開始
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [22]クック屋根太陽光発電所(兵庫県)は29kW、初期投資1,000万円、想定売電額年100万円
- [28]2015年7月31日現在、経済産業省の許可及び電力会社の認可を355MW以上取得
- [30]北海道白糠郡白糠町でヤナギなど早生木を活用する木質バイオマス発電事業を計画
- 神戸物産 適時開示「福岡県田川(第一・第二)太陽光発電所の稼働開始に関するお知らせ」(2014年1月24日)
- [23]稲美町第一〜第三(1.0〜2.4MW)、むかわ町汐見・大成、芦別、上毛町の各太陽光発電所が稼働
- [24]田川(第一・第二)太陽光発電所は福岡県田川郡川崎町、設置面積約80,000㎡、出力約4MW、売電予定額1億7,570万円/年、2014年1月24日稼働
- [25]田川第一・第二はそれぞれ初期投資6億6,200万円、投資回収年数10年4ヶ月
- [26]2014年1月時点で稼働中12.2MW、建設中7.2MW、実施計画中(土地取得済)として福島県17MW・仙台第一35MW
- [27]稼働中・建設中・実施計画中の合計は71.4MW、初期投資額212億5,700万円、実効売電額(予想)年27億3,228万円
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [29]大分県玖珠郡九重町の自社地熱井で地熱発電に取り組み、2017年7月より売電を開始
- [32]2017年10月末現在、太陽光発電所は計13か所で約15.9MW
- [33]福岡県の稼働中発電所は2015年7月末5か所、2017年10月末1か所。2017年10月末には滋賀・大阪・徳島・茨城に各1か所
- 神戸物産 平成27年10月期 決算短信(2015年12月)
- [31]平成27年10月末現在、太陽光発電所は計13か所で約15.6MW
- 神戸物産 2019年10月期 決算短信(2019年12月)
- [34]2019年10月末の稼働中太陽光発電所は計16か所、約22.0MW
- 神戸物産 2018年10月期 決算短信(2018年12月)
- [35]白糠町の木質バイオマス発電所は2017年3月起工、2018年8月稼働、約6.2MW
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【業績等の概要】【セグメント情報】
- [36]エコ再生エネルギー事業の2013年10月期売上高15百万円・セグメント損失1億64百万円
- 神戸物産 有価証券報告書(2019年10月期・連結)【セグメント情報】
- [37]エコ再生エネルギー事業の2019年10月期売上高23億41百万円・セグメント利益3億61百万円
2013年〜ジー・コミュニケーション取得による外食への出口拡大
2013年2月15日、寿司・居酒屋・焼肉などの外食店を営むジー・コミュニケーションと、スポンサーとして資金と資本を入れる基本合意を結んだ。4月30日には新設のクックイノベンチャーがジー・コミュニケーションの全株式を取得し、上場3社を含む外食・教育の会社群が連結に入った。取得原価は44億05百万円で、議決権比率は18.9%、優先株式を含む持分は45.45%だった。企業結合の主な理由として、グループ工場で作った食材を相手の外食店舗へ供給し業績を広げることを挙げた。2016年1月の説明会では、輸入食材と自社工場の商品を約800店舗に流す構図を示した。業務スーパーに次ぐ食材の出口を、自前の業態を育てずに既存チェーンの買収で一度に得た判断だった。
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【企業結合等関係】
- [38]2013年2月15日、ジー・コミュニケーションとスポンサーとして資金提供・資本参加を行う基本合意書を締結。被取得企業は寿司・居酒屋・焼肉等の業態を展開
- [39]2013年4月30日、新設のクックイノベンチャーがジー・コミュニケーションの全株式を取得し、上場3社を含む外食・教育事業の10社を連結子会社とした
- [40]取得原価4,405,107千円、取得した議決権比率18.9%、優先株式を含めた持分比率45.45%
- [41]企業結合の主な理由はグループで生産した食材をジー・コミュニケーショングループの外食事業に提供し業績拡大を図るため
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [42]輸入食材や自社グループ工場の商品をジー・コミュニケーションの外食店舗約800店舗に提供
クックイノベンチャー事業の売上高は、通期で連結した2014年10月期に345億74百万円となり、業務スーパーに次ぐ規模になった。2014年にはジー・テイスト、ジー・ネットワークス、さかいの3社を統合した。それでも売上高は減り続け、2017年10月期は324億27百万円だった。セグメント利益は2015年10月期の13億85百万円が最も多く、2017年10月期は10億75百万円だった。同じ期の業務スーパー事業は売上高2,170億40百万円で利益157億61百万円を上げ、利益率は外食の2倍を超えた。自前で育てた神戸クック事業も、2013年から2017年まで5期続けて営業損失を出した。食材の出口としては機能しても、利益の厚みでは本業に届かない事業だったとみられる。
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [43]クックイノベンチャー事業の売上高は2013年10月期169億05百万円、2014年10月期345億74百万円
- [45]クックイノベンチャー事業の売上高は2017年10月期324億27百万円
- [46]クックイノベンチャー事業の営業利益は2015年10月期13億85百万円、2017年10月期10億75百万円
- [47]業務スーパー事業の2017年10月期は売上高2,170億40百万円、営業利益157億61百万円
- [48]神戸クック事業の営業損益は2013年10月期から2017年10月期まで毎期損失
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [44]2014年、ジー・テイスト、ジー・ネットワークス及びさかいの3社が経営統合し、存続会社をジー・テイストとした
2018年10月期のクックイノベンチャー事業は、居酒屋離れと人手不足のなかで不採算店を閉じ、売上高は274億54百万円と15.3%減った。2019年10月期は焼肉の「肉匠坂井」の出店で304億66百万円まで戻したが、人件費と原材料の上昇は続いた。その間に神戸物産は、2018年5月にFCの惣菜店「馳走菜」1号店を堺市に、12月には直営の「プレミアムカルビ」1号店を川崎市に開いた。馳走菜は業務スーパーへの併設で広げ、2019年10月末には10店舗となった。業務スーパーは2017年12月の中期経営計画で2020年10月期に850店舗を目標に置き、2019年10月末で845店舗に達した。外食の軸足は、買収した他社の業態から、自社工場と店舗網に直結する自前の業態へ移り始めていたのだろう。
- 神戸物産 2018年10月期 決算短信(2018年12月)
- [49]クックイノベンチャー事業は居酒屋離れや人材不足のなか不採算店舗の閉鎖等を進め、2018年10月期売上高274億54百万円(前年同期比15.3%減)
- 神戸物産 2019年10月期 決算短信(2019年12月)
- [50]2019年10月期は人件費上昇や原材料価格高騰が続くなか「肉匠坂井」を出店し、売上高304億66百万円(同11.0%増)
- [52]「馳走菜」は業務スーパーに併設して多店舗展開し、2019年10月末の総店舗数は10店舗
- [54]2019年10月末の業務スーパー総店舗数は845店舗
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [51]2018年5月FC契約で「馳走菜」1号店を堺市中区に開店、2018年12月直営で「プレミアムカルビ」1号店を川崎市宮前区に開店
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [53]中期経営計画で業務スーパーの店舗数を2017年10月末の780店舗から2020年10月期に850店舗へ増やす目標
参考文献[38]-[54]
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【企業結合等関係】
- [38]2013年2月15日、ジー・コミュニケーションとスポンサーとして資金提供・資本参加を行う基本合意書を締結。被取得企業は寿司・居酒屋・焼肉等の業態を展開
- [39]2013年4月30日、新設のクックイノベンチャーがジー・コミュニケーションの全株式を取得し、上場3社を含む外食・教育事業の10社を連結子会社とした
- [40]取得原価4,405,107千円、取得した議決権比率18.9%、優先株式を含めた持分比率45.45%
- [41]企業結合の主な理由はグループで生産した食材をジー・コミュニケーショングループの外食事業に提供し業績拡大を図るため
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)
- [42]輸入食材や自社グループ工場の商品をジー・コミュニケーションの外食店舗約800店舗に提供
- [44]2014年、ジー・テイスト、ジー・ネットワークス及びさかいの3社が経営統合し、存続会社をジー・テイストとした
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- [43]クックイノベンチャー事業の売上高は2013年10月期169億05百万円、2014年10月期345億74百万円
- [45]クックイノベンチャー事業の売上高は2017年10月期324億27百万円
- [46]クックイノベンチャー事業の営業利益は2015年10月期13億85百万円、2017年10月期10億75百万円
- [47]業務スーパー事業の2017年10月期は売上高2,170億40百万円、営業利益157億61百万円
- [48]神戸クック事業の営業損益は2013年10月期から2017年10月期まで毎期損失
- [53]中期経営計画で業務スーパーの店舗数を2017年10月末の780店舗から2020年10月期に850店舗へ増やす目標
- 神戸物産 2018年10月期 決算短信(2018年12月)
- [49]クックイノベンチャー事業は居酒屋離れや人材不足のなか不採算店舗の閉鎖等を進め、2018年10月期売上高274億54百万円(前年同期比15.3%減)
- 神戸物産 2019年10月期 決算短信(2019年12月)
- [50]2019年10月期は人件費上昇や原材料価格高騰が続くなか「肉匠坂井」を出店し、売上高304億66百万円(同11.0%増)
- [52]「馳走菜」は業務スーパーに併設して多店舗展開し、2019年10月末の総店舗数は10店舗
- [54]2019年10月末の業務スーパー総店舗数は845店舗
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- [51]2018年5月FC契約で「馳走菜」1号店を堺市中区に開店、2018年12月直営で「プレミアムカルビ」1号店を川崎市宮前区に開店
筆者考察
沼田博和氏が社長を務めた最初の8年は、業務スーパーという一本の販路に依存する会社へ、別の出口を二つ継ぎ足す試みだった。一つは売電価格が制度で決まる太陽光と木質バイオマスの発電、もう一つはジー・コミュニケーションが営む約800店舗の外食である。神戸物産が自己資本比率を11.1%まで下げてまで借りて広げた25の工場は、売り先を増やさなければ固定費の重さだけが残る。発電は店頭の客数に左右されない収入を、外食はグループ工場の稼働を支える需要を担うはずで、どちらも借入で膨らませた工場網を守る装置として置かれたとみることができる。業務スーパーが連結売上高のほぼ全てを占めていた2012年の構図を、この二つで崩そうとしたのだろう。
ただ、二つの出口の成果は分かれた。発電は71.4メガワットの計画が22メガワットに縮んでも、白糠町の木質バイオマスを加えて黒字の事業になった。外食は売上高で業務スーパーに次ぐ規模を得たものの、利益率は本業の半分を下回り、自前の神戸クックも赤字を重ねた。売電の値段は制度で決まるが、外食の値段は客と競合店の前で決まり、利益の差はこの違いから生まれたとみられる。2018年に馳走菜とプレミアムカルビを自ら開いたとき、神戸物産は外食を買って広げる方法から、業務スーパーと工場に直結する業態を自分で作る方法へ移り始めていた。買った外食と作った外食のどちらを残すかという問いを、神戸物産はこの8年のうちに抱えたのである。
2012年〜2019年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 利益率 | 億円 | 億円 | |||
| 2012年10月期 | 連結 | 1,574 | n/a | 42 | 2.7% | 47 | 21 | n/a |
| 2013年10月期 | 連結 | 1,795 | +14.0% | 20 | 1.1% | 40 | 29 | n/a |
| 2014年10月期 | 連結 | 2,140 | +19.2% | 52 | 2.4% | 61 | 23 | n/a |
| 2015年10月期 | 連結 | 2,286 | +6.8% | 68 | 3.0% | 85 | 42 | n/a |
| 2016年10月期 | 連結 | 2,393 | +4.7% | 118 | 4.9% | 87 | 46 | n/a |
| 2017年10月期 | 連結 | 2,515 | +5.1% | 146 | 5.8% | 158 | 83 | n/a |
| 2018年10月期 | 連結 | 2,672 | +6.2% | 157 | 5.9% | 158 | 104 | n/a |
| 2019年10月期 | 連結 | 2,996 | +12.1% | 192 | 6.4% | 194 | 121 | n/a |
出典・参考
12件
- 神戸物産 有価証券報告書(2012年10月期・連結)【セグメント情報】
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【業績等の概要】【セグメント情報】
- 神戸物産 有価証券報告書 第28期(2013年10月期)【企業結合等関係】
- 神戸物産 平成27年10月期 決算短信(2015年12月)
- 神戸物産 決算説明資料(2017年12月)
- 神戸物産 2018年10月期 決算短信(2018年12月)
- 神戸物産 2019年10月期 決算短信(2019年12月)
- 神戸物産 有価証券報告書(2019年10月期・連結)【セグメント情報】
- 神戸物産 有価証券報告書【役員の状況】(2025年10月期)
- 神戸物産 有価証券報告書【沿革】(2025年10月期)
- 神戸物産 適時開示「福岡県田川(第一・第二)太陽光発電所の稼働開始に関するお知らせ」(2014年1月24日)
- 神戸物産 会社説明会資料(2016年1月27日)