ベトナムに現地法人設立(2025年・神戸物産の決断)

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論点 中国依存の調達網をどう分散するか
神戸物産:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
4か国目の現地法人のホーチミンへの設置と、社内システム開発の海外への移管

何をなぜ決めたか:4か国目の現地法人のホーチミンへの設置と、社内システム開発の海外への移管

概要

2025年10月17日、ホーチミン市にKOBEBUSSAN VIETNAM COMPANY LIMITEDを100%出資で設立し、連結子会社に加えた。資本金は10百万円、報告セグメントは業務スーパー事業で、事業の内容は社内システムの開発。現地法人を設立する国は中国・エジプト・ミャンマーに続いて4か国目となった。前期の2024年12月2日には食品・資材の輸出入を担うKB TRADINGを横浜市西区に設立しており、この2社が当連結会計年度に新たに連結の範囲へ入っている。

背景

海外拠点の系譜は調達から始まっている。1992年7月に大連福来休食品有限公司を遼寧省へ、2000年3月には東南アジアにおける生産拠点の開拓のため神戸物産(香港)有限公司を、2004年2月に神戸物産(安丘)食品有限公司を山東省へ置いた。2006年10月にエジプト、2013年11月にミャンマーへ現地法人を設立したのも、中国以外の生産地を持つためだった。PB商品は国内外の連結子会社で製造するものと、海外に拠点を開設する協力工場から直輸入するものからなる。

内容

ベトナム法人が担うのは商品の調達ではなく社内システムの開発で、同じ業務スーパー事業のセグメントに属しながら役割は前3か国と異なる。調達の分散を受け持つのは前期に設立したKB TRADINGと協力工場網のほうである。業務スーパーそのものも国外へ出ており、香港2店舗、マレーシア2店舗に対しベトナムは14店舗と、3か国のなかで最も出店が進んでいる。日本の商品を輸出しているため、各地域に適した品揃えと価格帯をパートナー企業と探る段階にある。

含意

2025年10月期は、為替が落ち着いたことに加え、仕入れ先を切り替えて原価を下げたことが売上総利益率を押し上げ、分散の効果は価格面に出はじめている。もっとも、分散は進めた分だけ揺り戻してもいる。PB商品の仕入れを地域別に見ると最大は中国で、依存を減らそうと他国での商品開拓に力を入れてきたが、直近約1〜2年で中国の比率が再び上がったのは、他国が値上げに動くなかで中国が値下げを持ちかけ、品質も安定しているからである。

いつ何が起きたか 7件
当時の取締役 11名

当時の取締役(2025年1月株主総会決議)

考察:保険としての分散、引力としての中国
考察

考察:保険としての分散、引力としての中国

この設立を調達分散の一手として読むと、事業の内容とずれる。ベトナム法人が担うのは社内システムの開発であり、商品を買う機能はKB TRADINGと協力工場網のほうに置かれている。それでもこの一手が海外戦略の文脈に収まるのは、神戸物産にとって海外拠点が一貫して「安く作る/安く回す」ための装置だったからだとみられる。1992年に遼寧省へ工場を建設したのは安い製造のため、2000年に香港法人を設立したのは東南アジアの生産拠点を開拓するためで、今回は開発費の置き場所を国外へ移したという系譜の延長にある。資本金10百万円という規模は、その小ささ自体が実験の性格を語っている。

もっとも、分散が調達の実勢を変えたかといえば、答えは逆を向いている。PB商品の仕入で最も割合が大きい国は依然として中国で、依存度を下げる開拓を続けながら、直近約1〜2年ではむしろ中国のシェアが再び高まった。他国が値上げするなかで値下げの提案が来る以上、安さを競争の軸に据える限り最も安く安定して作れる国へ戻る引力は消えない。2025年10月期に売上総利益率を押し上げたのは為替の安定と調達先の変更で、分散は価格交渉の材料として効いている。中国依存という構造が動くかどうかは、なお先の期で測られることになる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
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図と表

神戸物産:業務スーパー事業の売上高・セグメント利益・設備投資額

売上高(百万円)セグメント利益率(%)
神戸物産:業務スーパー事業の売上高・セグメント利益・設備投資額
(百万円) 売上高セグメント利益有形固定資産及び無形固定資産の増加額 備考
2020年10月期 320,11026,4497,962
2021年10月期 355,46631,0357,040
2022年10月期 396,29631,6124,835
2023年10月期 446,90834,1396,572
2024年10月期 489,10237,3507,398 12月にKB TRADINGを設立。連結の範囲に入るのは翌期から
2025年10月期 530,50943,5068,205 10月にベトナム法人を設立。全体の設備投資額は9,252百万円
出所:神戸物産 有価証券報告書 第35〜40期(セグメント情報・設備投資等の概要) / 所在地別の売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えるため記載が省略されている
出所:神戸物産 有価証券報告書 第35〜40期(セグメント情報・設備投資等の概要) / 所在地別の売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えるため記載が省略されている

現地法人設立の条件

現地法人設立の条件
科目 概要 備考
設立した会社 KOBEBUSSAN VIETNAM COMPANY LIMITED 当連結会計年度において新たに設立し、連結の範囲に含めた
設立日 2025年10月17日 決算期末の2025年10月31日の2週間前にあたる
所在地 ベトナム ホーチミン市
出資比率 100.0% 全額を直接所有し、間接所有・緊密な者等の所有はない
資本金 10百万円
事業の内容 社内システムの開発 報告セグメントは業務スーパー事業に属する
前期に設立した輸出入子会社 KB TRADING株式会社(2024年12月2日) 横浜市西区、資本金9百万円、出資比率100.0%。食品・資材の輸出入を担う
現地法人の所在国 中国・エジプト・ミャンマー・ベトナムの4か国 このほかの国や地域に対しても商品の供給等を行っている
出所:神戸物産 有価証券報告書 第40期(2025年10月期)【沿革】【関係会社の状況】【事業等のリスク】
出所:神戸物産 有価証券報告書 第40期(2025年10月期)【沿革】【関係会社の状況】【事業等のリスク】
当時の取締役 11名

当時の取締役(2025年1月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考
  • 神戸物産 有価証券報告書「第40期(2025年10月期)【関係会社の状況】」
  • 神戸物産 有価証券報告書「第40期(2025年10月期)【沿革】【事業等のリスク】」
  • 神戸物産 有価証券報告書「第40期(2025年10月期)【セグメント情報】【設備投資等の概要】」
  • 神戸物産 決算説明会 質疑応答「2024年10月期 決算説明会 質疑応答」
  • 神戸物産 決算説明会 質疑応答「中期経営計画に関する説明会 質疑応答」
  • 神戸物産 決算説明会 質疑応答「2025年10月期 決算説明会 質疑応答」

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