この判断の妙は、直営化の規模を意図的に小さくとどめたところにある。FCモデルの強みは、加盟店の資本で売り場を広げ、本部は仕入と製造に集中できる資本効率にあった。だがその代償として、本部は店頭という実験室を持たない。セルフレジも自動発注も省エネ設備も、加盟店への提案として持ち込む限り、失敗のリスクを他人に負わせることになる。数店の直営は、この構造の欠落をFCの利点を損なわずに埋める、最小限の装置であると推察される。
直営店を持つ小売本部は珍しくないが、多くはFCと直営の比率そのものが経営の変数になる。神戸物産の場合、直営小売の売上は一貫して全体の1%未満で、比率を動かす気配がない。実験は直営で、展開はFCでという分業が崩れないのは、1,000店の均質な網に一括で展開できることこそが検証の価値を最大にするからであろう。天下茶屋と横浜いずみで確かめた答えが、次はどの店頭の風景を変えるか——実験店という装置は、FC専業のまま業態を更新し続けるための、この会社なりの回答といえる。