三菱UFJフィナンシャル・グループ亀澤宏規氏が社長就任:三菱UFJ銀行の頭取を経ないトップの登用と、持株会社と銀行のトップ兼務の解消

更新:

時期 2020年4月
当時の社長 三毛兼承
論点 持株会社のトップの選び方
概要

2020年4月、亀澤宏規氏が三菱UFJフィナンシャル・グループの取締役代表執行役社長グループCEOに就任した。前任の三毛兼承氏の在任は2019年4月からの1年で、社長を退任したあとは取締役代表執行役副会長となり、三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員は続けている。

亀澤宏規氏は就任の前年、代表執行役副社長としてグループCOOとグループCDTOを兼ねていた。三菱UFJ銀行では取締役副頭取執行役員までを務め、頭取の職には就任していない。

背景

持株会社の社長は長く銀行のトップと重なっていた。平野信行氏は2012年4月に三菱東京UFJ銀行頭取となり、2013年4月から持株会社の社長を兼ね、2016年4月に銀行の取締役会長へ移って持株会社に専念した。2019年4月からは取締役執行役会長である。

三毛兼承氏も2017年6月から三菱東京UFJ銀行の取締役頭取執行役員を務め、2019年4月に持株会社の社長へ就任したあとも頭取を兼ねていた。持株会社と銀行のトップが同じ人物に集まる形は、この1年まで続いている。

内容

亀澤宏規氏は1986年に三菱銀行へ入行し、2017年5月に持株会社の執行役常務、2018年5月に執行役専務となった。2018年12月にはGlobal Open Network株式会社の代表取締役最高経営責任者に就任し、2019年8月から同社会長を務めている。2019年4月に代表執行役副社長となり、翌年4月に社長へ上がった。

2019年3月期の執行役の職名は、代表執行役副社長グループCOO兼グループCDTOである。持株会社の業務全体を見る役と、デジタル改革を担う役を同時に与えられていた。

含意

新体制が掲げた経営方針のキーワードは「デジタル化」「強靭性」「エンゲージメント」の三つである。第一に置いたのは「会社のあり方をデジタル化する」ことで、非対面・ペーパーレス・印鑑レスへの対応や社員の働き方を含む、グループの運営そのものの革新を求めた。

就任年度にあたる2021年3月期の連結経常収益は6兆253億円、経常利益1兆536億円、親会社株主に帰属する当期純利益は7,770億円だった。前期の当期純利益5,281億円からは戻したものの、2018年3月期の9,896億円には届いていない。

筆者の見解

頭取の椅子を経ないという選択

この交代で動いたのは人だけではなく、持株会社のトップに至る道筋そのものだったとみられる。平野信行氏も三毛兼承氏も銀行の頭取を務めてから、あるいは務めながら持株会社の社長に就任した。亀澤宏規氏は副頭取までで、頭取の職を経ていない。銀行が背負う国内の預貸業務の重みが持株会社の意思決定にそのまま届く構造から、グループ全体の運営とデジタル改革を担った人物が上に立つ構造へ、椅子の意味が置き換わったのだろう。

もっとも、兼務が解けたことは銀行の比重が下がったことを意味しない。三毛兼承氏は副会長として頭取を続け、グループの中核事業は銀行のまま残った。掲げた三つのキーワードのうち最初の「デジタル化」が、非対面やペーパーレスといった運営の作法にとどまるのか、収益の形まで変えるのかは、就任年度の数字からはまだ読み取れない。

Yutaka Sugiura, 2026年9月

経緯と対応

科目 概要 備考
三毛兼承氏の社長就任 2019年4月 三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員を兼ねたまま、持株会社の代表執行役社長に就任した
平野信行氏のその後 取締役執行役会長 2013年4月から6年務めた社長を退き、2019年4月に会長へ移った
三毛兼承氏の在任 1年 2019年4月から2020年4月まで。持株会社の社長としては1期にとどまった
亀澤宏規氏の社長就任 2020年4月 取締役代表執行役社長グループCEO。三菱UFJ銀行の取締役も兼ねる
就任直前の職名 代表執行役副社長グループCOO兼グループCDTO 2019年3月期の執行役一覧の職名。グループ運営とデジタル改革を同時に担っていた
銀行での最高位 取締役副頭取執行役員 2019年4月から。頭取の職には就任していない
デジタル分野の経歴 Global Open Network 代表取締役CEO 2018年12月に就任し、2019年8月からは同社の代表取締役会長
三毛兼承氏のその後 取締役代表執行役副会長 三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員は引き続き務めている
新体制の方針(1) 会社のあり方をデジタル化する 非対面・ペーパーレス・印鑑レスへの対応など、運営そのものの革新を求めた
新体制の方針(2) 事業としての強靭性の重視 健全性を確保し、経営資源を強みのある領域へ重点配置する
新体制の方針(3) エンゲージメント重視の経営 変革の方向性への共感を大切にし、参画意識を持てる会社を目指すとした
指名・ガバナンス委員会の関与 取締役選任・解任の議案内容の決定 主な子会社の重要な人事も審議し、取締役会に報告・提言する
2019年度の指名・ガバナンス委員会 14回 委員長は野本弘文氏。委員5名のうち4名が社外取締役

出所:三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)・第15期(2020年3月期)【役員の状況】【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

三菱UFJフィナンシャル・グループ:連結の収益と利益

(百万円) 経常収益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益 備考
2016年3月期 5,714,4191,539,486951,402
2017年3月期 5,979,5681,360,767926,440
2018年3月期 6,068,0611,462,418989,664
2019年3月期 6,697,4021,348,043872,689 三毛兼承氏が社長に就任する直前の期
2020年3月期 7,299,0781,235,770528,151 三毛兼承氏の社長在任期。当期純利益は前期から344,538百万円減った
2021年3月期 6,025,3361,053,610777,018 亀澤宏規氏の就任年度。当期純利益は前期から248,867百万円戻した
2022年3月期 6,075,8871,537,6491,130,840
2023年3月期 9,281,0271,020,7281,116,496
2024年3月期 11,890,3502,127,9581,490,781
2025年3月期 13,629,9972,669,4831,862,946
2026年3月期 14,620,8433,410,1922,427,229
経常収益と当期純利益率
経常収益(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益率(%)

出所:三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第11〜21期(連結損益計算書)

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出典・参考
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書「第14期(2019年3月期)【役員の状況】」
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書「第15期(2020年3月期)【役員の状況】」
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書「第15期(2020年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】」
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書「第15期(2020年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」

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