三菱UFJフィナンシャル・グループの直近の動向と展望

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三菱UFJフィナンシャル・グループの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

過去最高益と中長期ROE12%目標

2025年3月期、MUFGは親会社株主純利益1兆8,629億円、経常収益13兆6,300億円、経常利益2兆6,694億円の過去最高益を計上した。2023年3月期の1兆1,165億円、2024年3月期の1兆4,908億円から積み上げた数字で、前中計のROE目標7.5%を上回る水準である。2025年5月、亀澤CEOは中長期ROE目標を12%程度と提示した。株価3,100円・時価総額30兆円程度を視野に入れる設計である。マイナス金利時代の7.5%目標は到達水準にあり、金利上昇下の次の目標として12%という水準を掲げた。日本の金融機関で初めて国際水準のROEに近づく目標設定で、過去最高益の積み上げと並行して資本効率の改善に舵を切った。マイナス金利時代からの改善カーブを、金利正常化下で加速させる絵柄である。

中長期12%に到達するには営業純益を1兆円程度伸ばす必要があり、その半分は資金収益向上やオーガニック成長で、残り半分はAM/IS・デジタル・アジア等の成長領域への投資、および投資銀行ビジネスで作る構想である。亀澤CEOは「前中計では、資本市場の評価を得るために最低限必用な水準としてROE目標を7.5%とした。当初は意欲的な目標と考えていたが、マイナス金利環境下において収益の多様化を進めるため、リスクリターンの向上や手数料収益の拡大、デジタルやAM/IS領域での投資に取り組んできた。その結果、金利が上がり始めた現在では、10%が視野に入るまで改善している」(決算説明会 FY2024)と説明する。マイナス金利時代に進めた収益多様化が金利正常化の流れと合わさり、ROE改善に結びついた構図である。

参考文献
  • 決算説明会 FY2024
  • 決算説明会 FY2024-2Q
  • 決算説明会 FY2024 Investors Day
  • 有価証券報告書

政策保有株式売却と「第4の柱」としてのAM

2024年11月、MUFGは政策保有株式の売却目標を当初の3,500億円から7,000億円に倍増させ、2024年3月末残高からの半減を今中計期間中に前倒すと発表した。保有残高20%未満の達成時期も前倒し、株式含み益のボラティリティを資本運営から切り離す転換である。同時期、コーポレートバンキング部門では行政処分を受け、グループ間連携におけるモニタリング態勢の不備が課題として浮かび上がった。統合運営の規模と複雑性が、ガバナンスの新たな論点を生んでいる。グループ各社の情報共有やリスク管理の枠組みをどう統一するかは、4メガのなかで最大のMUFGにとって構造的な経営課題に当たる。政策株売却の加速は資本運営の自由度を上げる一方、事業ポートフォリオとガバナンスの両面で宿題が残った。

2024年4月、MUFGは三菱UFJアセットマネジメント(MUAM)を信託子会社からMUFG持株会社直下に移管し、AM事業を「第4の柱」とする構造転換を始動した。AuMを約38兆円から60兆円程度に引き上げ、個人投資家向けeMAXIS Slimシリーズで新NISAの受け皿に据える戦略である。デジタル領域ではダイレクトMAU2027年3月1,000万人を目標に掲げ、グループ5,700万人の顧客基盤を活用したロイヤリティプログラムを並走させる。1870年に岩崎弥太郎の海運業から始まった金融業が、2020年代には銀行・信託・証券・AMの4本柱に骨格を組み替える流れにあり、AMを第4の柱に据える設計は1996年からの統合連鎖が一段落した次の経営論点を示している。1656年の鴻池両替店から数えて370年に及ぶ蓄積が、新NISA時代の運用ビジネスに振り向けられる構図である。

参考文献
  • 決算説明会 FY2024
  • 決算説明会 FY2024-2Q
  • 決算説明会 FY2024 Investors Day
  • 有価証券報告書

参考文献・出所

日本会社史総覧 1995/11 三菱銀行
日本会社史総覧 1995/11 三和銀行
有価証券報告書
決算説明会 FY2024
読売新聞 1969/01/04
読売新聞 1972/01/23
臨増東洋経済 1973
決算説明会 FY2024 Investors Day
決算説明会 FY2024-2Q