Olympicグループとの株式交換(2026年・パン・パシフィック・インターナショナルHDの決断)

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論点 市場株価を超える比率で店舗網を取得するか
パン・パシフィック・インターナショナルHD:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
市場株価の2倍超の交換比率による首都圏98店の取得

何をなぜ決めたか:市場株価の2倍超の交換比率による首都圏98店の取得

概要

2026年4月6日、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が森屋秀樹社長のもとで、首都圏で専門店・ディスカウントストア・スーパーマーケットを営むOlympicグループと株式交換契約を結んだ経営判断。Olympicグループ株1株にPPIH株1.18株を割り当て、交付した27,105,063株にはすべて自己株式を充てた。7月1日に同社と子会社29社が加わり、PPIHは議決権の100%を握った。

背景

Olympicグループの業績は細っていた。2022年2月期に19億円あった営業利益は、2025年2月期には5,100万円まで縮み、経常損益は1億6,400万円の赤字に転じた。物価高で個人消費が鈍り、異業種との価格競争と労務費・物流費の上昇が重なるなか、同社は2026年1月にみずほ銀行を通じて戦略的パートナーの入札を始めた。1月下旬に意向表明書を出した5社のなかから、PPIHが最終候補に選ばれた。

内容

統合の芯は店舗網にある。Olympicグループの店舗は約3分の2が東京都内にあり、PPIHの既存店との競合は限られる。これを"ドン・キホーテ"や"MEGAドン・キホーテ"へ転換して10年間で約250店の出店計画に充て、新業態"ロビン・フッド"の関東での面展開にも使う。仕入帳合の統一による原価低減も見込んだ。PPIHは簡易株式交換で株主総会を経ず、Olympicグループは5月28日の定時株主総会で承認し、6月29日に上場を廃止した。

含意

交換比率1.18は、PPIHが依頼した算定機関の市場株価法のレンジ0.44〜0.48を大きく上回り、統合効果を織り込んだDCF法のレンジ1.05〜2.37に収まる水準で決まった。株式取得価額は決議前営業日の終値951円で換算して257億7,700万円(概算)。PPIHは2027年6月期に業態転換20店へ94億円を充てる計画を置き、9月には全98店の転換を2029年10月までに終える方針を示した。

いつ何が起きたか 7件
当時の取締役 15名

当時の取締役(2025年9月株主総会決議)

考察:店舗の器に払った上乗せ
考察

考察:店舗の器に払った上乗せ

この統合は、業績の細った小売会社の救済というより、首都圏の立地をまとめて手に入れる出店の判断だったと思われる。営業利益5,100万円の会社に市場株価の2倍を超える比率を払えた理由は、DCF法の前提に表れている。業態転換の効果で2030年2月期に前年比443.4%の増益を見込む計画は、Olympicグループの今の稼ぎではなく、ドン・キホーテに変えた後の店の稼ぎを値付けしたものである。ユニーと長崎屋で重ねてきた転換の実績が、その上乗せを正当化する根拠になっていた。

もっとも、上乗せの回収は転換の速さと出来に懸かる。PPIHは投資回収を5〜6年と置き、全98店を2029年10月までに転換するとしたが、決算説明会では建物の老朽化で修繕投資が要り、工期が延びうることを自ら留意点に挙げている。統合直前の2027年2月期第1四半期も、Olympicグループの営業損失は3億6,400万円と前年同期から広がった。転換店が売上高2倍という見立てに届くかどうかで、この比率の妥当性が決まるのだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年10月
数字で見る 2表

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図と表

パン・パシフィック・インターナショナルHD:Olympicグループの業績の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)

営業利益は2022年2月期の1,928百万円から3期で51百万円まで縮んだ

パン・パシフィック・インターナショナルHD:Olympicグループの業績の推移
(百万円) 売上高営業利益 備考
2022年2月期 92,6561,928
2023年2月期 85,906315 収益認識会計基準を適用。前期と基準が異なる
2024年2月期 84,562190
2025年2月期 91,55751 経常損益は△164、純損益は△67
出所:Olympicグループ 有価証券報告書 第50期(2022年2月期)・第53期(2025年2月期)(主要な経営指標等の推移、連結損益計算書) / パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 臨時報告書(2026年4月7日提出)
出所:Olympicグループ 有価証券報告書 第50期(2022年2月期)・第53期(2025年2月期)(主要な経営指標等の推移、連結損益計算書) / パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 臨時報告書(2026年4月7日提出)

パン・パシフィック・インターナショナルHD:国内事業セグメントの推移

売上高(百万円)セグメント利益率(%)

国内事業は2026年6月期に売上高2,068,195百万円、利益率8.0%で統合を迎えた

パン・パシフィック・インターナショナルHD:国内事業セグメントの推移
(百万円) 売上高セグメント利益 備考
2022年6月期 1,561,98677,724 第43期有報の前期欄(変更後の区分で組替)
2023年6月期 1,620,85196,404
2024年6月期 1,763,062136,606
2025年6月期 1,896,113158,084
2026年6月期 2,068,195165,829 4月に株式交換契約を締結。Olympicグループの連結は翌期から
出所:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 有価証券報告書 第43期〜第46期(セグメント情報)
出所:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 有価証券報告書 第43期〜第46期(セグメント情報)
当時の取締役 15名

当時の取締役(2025年9月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考

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