パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス ユニーの完全子会社化 PPIHへの改称——総合スーパー大手を呑み2兆円企業

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時期 2018年10月
当時の社長 大原孝治
論点 規模拡大と企業アイデンティティ
何をなぜ決めたか
概要

2019年1月、ドンキホーテホールディングスが大原孝治社長のもとで総合スーパー大手ユニーを完全子会社化し、翌2月に商号を"パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス"(PPIH)へ改めた経営判断。グループ店舗数は600店に達した。

背景

時間消費型のディスカウントとPB・電子マネーで増収増益を重ねたドンキホーテHDは、2018年6月期に連結売上高9,415億円。さらなる規模拡大には、食品に強く中京圏に地盤を持つ大型GMSが要り、2007年の長崎屋で得たGMS運営の型を、より大きな規模で回す相手を探していた。

内容

2017年8月に資本・業務提携を締結し、同年11月にユニー株の40%を取得して持分法適用関連会社とした。2019年1月4日に残る60%を301億円で取得して完全子会社化。2段階の取得原価501億円は企業結合時の時価純資産を下回り、のれんではなく負ののれん発生益が立った。翌2月に商号から"ドン・キホーテ"を外して環太平洋を志向するPPIHへ改め、店舗ブランドの"ドン・キホーテ"は事業会社に残した。

含意

2019年6月期の連結売上高は1兆3,289億円と前期比41.1%増。アピタ・ピアゴはダブルネームの業態転換店"MEGAドン・キホーテUNY"へ順次切り替わり、2023年6月には62店を数えた。レジと基幹システムを入れ替えて個店ごとに値付けと仕入れを変えられるようにし、仕入れの帳合統合と本社・本部の統合で費用を圧縮した。連結売上高は2024年6月期に2兆円を超えた。長崎屋で試したGMS取り込みの型を、最大規模で反復した買収である。

いつ何が起きたか 9件
筆者の見解
筆者の見解

名を外して間口を広げる

この決断で際立つのは、規模の拡大と自社の位置づけの描き直しを同時に進めたことである。2007年の長崎屋で身につけた、総合スーパーをMEGA業態へ作り替える手法を、はるかに大きなユニーで繰り返した。長崎屋の取得でグループ店舗数が200店に届いた2007年に対し、ユニーの取り込みでは一気に600店へ伸びた。自らの弱みを、相手を資産ごと取得して補うというドン・キホーテのM&Aの型は、ユニーの買収で確立された。また、商号から"ドン・キホーテ"を外した判断には、国内のディスカウンターという顔を、環太平洋の小売業へ広げる宣言の意味があった。

もっとも、総合スーパーの再生は転換後の運営力に左右され、規模の拡大がそのまま収益に結びつくわけではない。連結売上高が2兆円を超えた後も、ユニー店舗の業態転換と海外事業の育成は続く。法人名から"ドンキ"を外してまで掲げた環太平洋の看板に実態が追いつくかどうかは、その後のHD傘下の事業成果にかかっており、これらの事業をどう統制するかという新しい課題に向き合うことになる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
買収の条件

買収の条件

科目 概要 備考
被取得企業 ユニー株式会社 衣・食・住・余暇にわたる総合小売業のチェーンストア
取得の法的形式 現金を対価とする株式取得 取得企業を決定した根拠も現金を対価として株式を取得したこと
第1段階の株式譲渡実行日 2017年11月21日 発行済株式総数の40%にあたる80,000株を取得し持分法適用関連会社とした
企業結合日 2019年1月4日 みなし取得日は2019年1月1日。連結は同日から2019年6月30日まで
取得後の議決権比率 100% 企業結合直前に所有していた40%に、企業結合日に60%を追加取得した
第1段階分の取得原価 20,066百万円 追加取得直前に保有していた株式の企業結合日における時価
第2段階分の取得原価 30,098百万円 企業結合日に追加取得した株式の時価
取得原価 50,164百万円 2段階の合計。いずれも現金を対価とする取得
段階取得に係る差益 3,906百万円 第39期は暫定で1,424百万円。第40期の確定で2,482百万円増えた
取得関連費用 413百万円 アドバイザリー費用等
受け入れた資産 570,692百万円 流動234,802・固定335,890。確定で土地が3,533百万円増えた
引き受けた負債 463,037百万円 流動214,084・固定248,953。確定で未払金が3,723百万円増えた
負ののれん発生益 5,646百万円 第39期は暫定で9,315百万円。第40期の確定で3,669百万円減った
通期換算した売上高 662,069百万円 期首に結合したと仮定した第39期の概算額。監査証明を受けていない
通期換算した営業利益 28,723百万円 同じ仮定による概算額。経常利益26,406、当期純利益19,568

出所:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 有価証券報告書 第39期(2019年6月期)・第40期(2020年6月期)【企業結合等関係】/ドンキホーテホールディングス 有価証券報告書 第38期(2018年6月期)【経営上の重要な契約等】

ユニー由来の事業の業績(総合スーパー事業)

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス:ユニー由来の事業の業績(総合スーパー事業)

(百万円) 売上高営業利益 備考
2019年6月期 266,0587,039 連結はみなし取得日の2019年1月1日から。売上高は6か月分
2020年6月期 491,62116,992 通期連結の初年度。売上高は前年同期比84.8%増
2021年6月期 449,98916,599 ダブルネーム店への業態転換が進み売上高は8.5%減
2022年6月期 429,59814,579 収益認識会計基準の適用で売上高が1,637百万円減っている
総合スーパー事業の売上高と営業利益率
売上高(百万円)営業利益率(%)

出所:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 有価証券報告書 第39〜42期(セグメント情報)

のれんと無形固定資産の推移

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス:のれんと無形固定資産の推移

(百万円) のれん無形固定資産合計総資産 備考
2014年6月期 6,33215,356432,135 提携前。のれんは長崎屋など過去の買収から生じた残高
2015年6月期 7,40917,529505,666
2016年6月期 6,85217,005560,568
2017年6月期 5,36315,888642,868 ユニー株の取得前。のれんは償却が進み毎期減っていた
2018年6月期 17,60028,247806,778 のれんの増加は米QSI社の買収分13,794。ユニーは持分法のまま
2019年6月期 17,21637,6021,282,100 総資産は第40期有報の前期列(確定後)。第39期の原表示は1,278,567
2020年6月期 15,93536,8831,297,231 総資産は棚卸資産の評価方法変更による遡及修正後。原表示は1,298,948
2021年6月期 55,41178,6671,370,115 のれんの増加は米GRCY社の買収分。数値は第42期有報の前期列を採った
2022年6月期 61,75986,2171,383,678
2023年6月期 61,00288,5301,481,058
2024年6月期 62,57494,6471,498,410
のれんと無形固定資産
のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)

出所:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 有価証券報告書 第34〜44期(連結貸借対照表)

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参考文献
出典・参考

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