クラレ:レーヨン停止とCalgon Carbonなどの買収による機能材料への転換
2001年〜73年続いたレーヨン生産の停止と、クラリアントから買収したポバール・PVB事業
クラレは2001年2月末にレーヨンの生産を止め、需要家の求めに応じた在庫を積み終えてから事業を閉じた。倉敷工場で長繊維の生産を始めた1928年から数えて、73年目の撤退だった。判断を下したのは、前任の松尾博人氏が会長へ移った2000年6月に社長を継いだ和久井康明氏だった。2001年の年報は撤退の理由を『In February 2001 Kuraray ceased production of rayon, having decided that there was no prospect of a future improvement in the profitability of this product.』(訳:2001年2月、この製品の収益性が今後改善する見込みはないと判断し、レーヨンの生産を停止した)と記した。同じ年度には中国などから安い繊維製品が流れ込んで国内外の価格が下がり、クラレは構造改革に伴う特別損失8,872百万円を計上した。2001年4月に始めた5か年計画「G-21」は、世界で高いシェアを持つビニルアセテート系の事業で成長を求める方針を掲げた。
- Kuraray Annual Report 2001「Review of Operations(Rayon)」
- [1]2001年2月末 レーヨンの生産を停止し、需要家の求めた在庫を積み終えて事業を終了
- Kuraray Annual Report 2002「History」
- [2]1928年 倉敷工場でレーヨン長繊維の生産を開始/2000年度 レーヨン事業を終了
- 日経ビジネス 2004年2月16日号
- [3]松尾博人氏の社長在任は1993年6月〜2000年6月(2004年時点で会長)
- Kuraray Annual Report 2001「To Our Shareholders」
- [4]2001年2月 将来の収益改善の見込みが無いと判断しレーヨンの生産を停止(会長 松尾博人・社長 和久井康明の署名)
- [5]2000年度 中国などからの低価格品の増加で繊維製品の価格が国内外で下落/構造改革費用の特別損失8,872百万円
- Kuraray Annual Report 2002「To Our Shareholders」
- [6]2001年度から5か年の中期経営計画「G-21」を開始。高シェアのビニルアセテート系事業(ポバール・エバール・クラロン)など強い分野で成長を求める
2001年12月、クラレはスイスのクラリアントからポバールとPVBの事業を買収し、独フランクフルトにKuraray Specialities Europeを設けた。この取得で、グループのポバールの年産能力は144,000トンから194,000トンへ増えた。買った事業はクラリアントが1997年に独ヘキストから引き継いだもので、開発・製造・販売に通じた人員も一緒に移った。日本とアジアが中心だったポバール事業は、この取得で欧州にも拠点を得た。当時クラレのポバールとポバールフィルムは、ともに世界で首位のシェアを持っていた。2004年時点でポバールの世界シェアは33%に上り、自動車のフロントガラス用中間膜の素材にも使われていた。祖業を閉じて浮いた経営資源を、首位にある事業の規模と地域の拡大へ振り向けた判断だったとみられる。
- Kuraray Annual Report 2002「History」
- [7]2001年 独フランクフルトにKuraray Specialities Europe GmbHを設立、Clariant AGのPVA・PVB事業を取得
- Kuraray Annual Report 2002「Interview with President of Poval Company」
- [8]KSE設立でグループのポバール年産能力が144,000トンから194,000トンへ
- [9]取得したPVA関連事業はクラリアントが1997年にヘキストから取得したもの。開発・製造・販売の経験者が移籍
- [10]ポバール事業はそれまで日本とアジアが中心。KSEで欧州に強い拠点を得た
- [11]ポバールとポバールフィルムはそれぞれ世界シェア首位
- 日経ビジネス 2004年2月16日号
- [12]ポバールの世界シェア33%。用途は織物・紙の加工剤、接着剤、自動車フロントガラス用中間膜素材など
2003年6月、クラレは社外の2人で構成する経営諮問会議を設け、あわせて執行役員制度を導入した。経営の監督と業務の執行を切り分け、意思決定を速めることが狙いだった。2004年12月には独HT TroplastからPVBフィルムの事業を買収した。PVBフィルムは建築や自動車の合わせ安全ガラスに使われ、当時これを製造できる会社は世界に4社しかなかった。特殊樹脂・フィルム担当の常務取締役は、取得によって『the acquisition also gave the Kuraray Group an integrated manufacturing structure in the downstream businesses from vinyl acetate forward.』(訳:酢酸ビニルから先の川下事業まで一貫して生産する体制をグループにもたらした)と答えた。年報はこの事業が欧州中心であることを認めつつ、米国とアジアへ広げ、上流のPVAとの技術の相乗効果を生かす方針を示した。
- Kuraray Annual Report 2003「To Our Shareholders」
- [13]2003年6月 監査機能の拡充、社外2人による経営諮問会議の新設、執行役員制度の導入
- [14]経営の監督機能と業務執行を分離し意思決定を速めることが目的
- Kuraray Annual Report 2005「To Our Shareholders」
- [15]2004年12月 独HT Troplast AGからPVBフィルム事業を取得
- [18]HT Troplastから取得したPVBフィルム事業は欧州中心。米国・アジアへ展開し、上流のPVAとの技術的相乗効果を生かす
- Kuraray Annual Report 2005「Expansion and Status of Facilities in the Chemicals and Resins Business」
- [16]PVBフィルムは建築・自動車用の合わせ安全ガラスに使用。世界でPVBフィルムを製造するのは4社のみ
- [17]取得の目的はポバール関連事業の強化・拡大。酢酸ビニルから川下までの一貫生産体制を得た(特殊樹脂・フィルム担当 常務取締役の回答)
参考文献[1]-[18]
- Kuraray Annual Report 2001「Review of Operations(Rayon)」
- [1]2001年2月末 レーヨンの生産を停止し、需要家の求めた在庫を積み終えて事業を終了
- Kuraray Annual Report 2002「History」
- [2]1928年 倉敷工場でレーヨン長繊維の生産を開始/2000年度 レーヨン事業を終了
- [7]2001年 独フランクフルトにKuraray Specialities Europe GmbHを設立、Clariant AGのPVA・PVB事業を取得
- 日経ビジネス 2004年2月16日号
- [3]松尾博人氏の社長在任は1993年6月〜2000年6月(2004年時点で会長)
- [12]ポバールの世界シェア33%。用途は織物・紙の加工剤、接着剤、自動車フロントガラス用中間膜素材など
- Kuraray Annual Report 2001「To Our Shareholders」
- [4]2001年2月 将来の収益改善の見込みが無いと判断しレーヨンの生産を停止(会長 松尾博人・社長 和久井康明の署名)
- [5]2000年度 中国などからの低価格品の増加で繊維製品の価格が国内外で下落/構造改革費用の特別損失8,872百万円
- Kuraray Annual Report 2002「To Our Shareholders」
- [6]2001年度から5か年の中期経営計画「G-21」を開始。高シェアのビニルアセテート系事業(ポバール・エバール・クラロン)など強い分野で成長を求める
- Kuraray Annual Report 2002「Interview with President of Poval Company」
- [8]KSE設立でグループのポバール年産能力が144,000トンから194,000トンへ
- [9]取得したPVA関連事業はクラリアントが1997年にヘキストから取得したもの。開発・製造・販売の経験者が移籍
- [10]ポバール事業はそれまで日本とアジアが中心。KSEで欧州に強い拠点を得た
- [11]ポバールとポバールフィルムはそれぞれ世界シェア首位
- Kuraray Annual Report 2003「To Our Shareholders」
- [13]2003年6月 監査機能の拡充、社外2人による経営諮問会議の新設、執行役員制度の導入
- [14]経営の監督機能と業務執行を分離し意思決定を速めることが目的
- Kuraray Annual Report 2005「To Our Shareholders」
- [15]2004年12月 独HT Troplast AGからPVBフィルム事業を取得
- [18]HT Troplastから取得したPVBフィルム事業は欧州中心。米国・アジアへ展開し、上流のPVAとの技術的相乗効果を生かす
- Kuraray Annual Report 2005「Expansion and Status of Facilities in the Chemicals and Resins Business」
- [16]PVBフィルムは建築・自動車用の合わせ安全ガラスに使用。世界でPVBフィルムを製造するのは4社のみ
- [17]取得の目的はポバール関連事業の強化・拡大。酢酸ビニルから川下までの一貫生産体制を得た(特殊樹脂・フィルム担当 常務取締役の回答)
2008年〜伊藤文大社長が買収した米MonoSolとデュポンのビニルアセテート事業、伊藤正明社長の就任
2012年6月、クラレは洗濯・食器洗い用の個包装洗剤に使う水溶性PVAフィルムの最大手、米MonoSolを買収した。社長の伊藤文大氏は2008年4月に就任し、2012年度からは3か年計画GS-IIIを進めていた。買収の狙いは、光学用ポバールフィルムの強みに産業用を加え、ポバールフィルムで世界首位に立つことにあった。米国では個包装洗剤の市場が伸びており、MonoSolの事業もそれにつれて広がっていた。同じ年度には、シェールガスによる原料調達の有利さを見込み、米テキサス州にポバール樹脂工場を建てることも決めた。樹脂の売り先となるフィルムを自ら持ち、米国での一貫生産を組み上げる狙いだったと推察される。
- Kuraray Annual Report 2013「An Interview with the President」
- [19]2012年6月 個包装洗剤用の水溶性PVAフィルムで首位の米MonoSol, LLCを取得
- [21]中期経営計画GS-III(2012年度〜2014年度)を実行
- [22]光学用ポバールフィルムの強みを補い、産業用ポバールフィルムで世界のリーダーを目指す買収
- [24]2012年度 シェール由来の資源調達の有利さを見込み、米テキサス州にポバール樹脂の生産設備の建設を決定
- クラレ 有価証券報告書 第130期(2011年3月期)【役員の状況】
- [20]伊藤文大氏 平成20年(2008年)4月 代表取締役社長就任
- Kuraray Annual Report 2013「Acquisition of MonoSol」
- [23]米国の個包装洗剤市場の成長でMonoSolの事業が拡大
クラレは2013年11月に米デュポンの合わせガラス材料・ビニル事業の取得で合意し、2014年6月に移管を終えた。この取得で、クラレは米国にPVAとエバールの原料である酢酸ビニルの生産拠点を得た。取得した事業には、中間膜のBUTACITEや建築用の高強度中間膜SentryGlasが含まれていた。伊藤文大社長は2014年の年報で、最優先の課題として『Early generation of synergy with the glass laminating solutions/vinyls business we acquired from DuPont of the United States is the top issue for our management.』(訳:米デュポンから取得した合わせガラス材料・ビニル事業との相乗効果を早く出すことが、経営の最重要課題である)と記した。この取得と海外での増産により、酢酸ビニル事業は世界4極で生産する体制となった。米国でも原料のPVB樹脂から中間膜まで自前で賄えるようにし、合わせガラス材料での競争優位を固める狙いだったと考えられる。
- Kuraray Annual Report 2014「An Interview with Kuraray President Fumio Ito」
- [25]2013年11月 DuPontの合わせガラス材料・ビニル事業の取得で合意、2014年6月 移管完了
- [26]取得によりPVA・エバールの原料である酢酸ビニルの米国生産拠点を得る。既存の酢酸ビニル事業との相乗効果
- [28]DuPontから取得した事業との相乗効果の早期発現が経営の最重要課題
- Kuraray FACT BOOK 2015「主要製品」
- [27]合わせガラス用中間膜 TROSIFOL/BUTACITE、SentryGlas(DuPontの登録商標)を扱う。2014年 DuPontのビニルアセテート関連事業を買収
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「An Interview with Kuraray President Masaaki Ito」
- [29]GS-IIIでDuPontのGLS事業の取得や海外拠点の増産により酢酸ビニル事業の4極のグローバル体制を築いた
伊藤正明氏は2015年1月1日に社長に就任し、同じ月に3か年計画GS-STEPを始めた。計画は世界に存在感を持つ高収益のスペシャリティ化学企業を目標像に掲げ、前計画で打った施策の成果を刈り取ることに重点を置いた。クラリーノは2014年度に黒字となり、新事業を除けば赤字の事業は無くなった。M&Aの考え方を問われると、『For M&A, we should think like a batter and make sure we do not miss a good pitch.』(訳:M&Aは打者のように考え、好球を見逃さないようにすべきだ)と答えた。GS-STEPはM&Aの数値目標を置かず、酢酸ビニルとイソプレンの中核に足場を残したまま新しい領域へ半歩ずつ出る方針をとった。2015年には豪Plantic Technologiesを買収し、生鮮食品の包装などに使う植物由来のバリア材を加えた。この買収には、業績目標に応じて最大86.7百万ドルを追加で払う条項が付いていた。
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「To Our Shareholders and Investors」
- [30]伊藤正明氏 2015年1月1日 代表取締役社長就任。決算期変更で2015年1月から新年度、中期経営計画GS-STEP(2015〜2017年度)開始
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「An Interview with Kuraray President Masaaki Ito」
- [31]GS-STEPは「a high-profit specialty chemical company with a global presence」を目指し、GS-IIIの施策を結実させ高収益を実現することを基本方針とする
- [32]人工皮革クラリーノが2014年度に黒字化し、新事業を除き赤字事業が無くなった
- [33]M&Aは好機を逃さず、良い案件・相手・時機がそろえば実行する
- [34]GS-STEPにM&Aの数値目標は無い。中核の酢酸ビニル・イソプレンに足場を置きつつ新領域へ半歩ずつ拡大
- Kuraray FACT BOOK 2015「沿革」
- [35]2015年 豪Plantic Technologies Ltd.を買収
- Kuraray Annual Report 2016「Our Business Portfolio」
- [36]PLANTIC 生鮮食品包装や工業用途に使う植物由来のバリア材
- Kuraray Annual Report 2016「Notes to Consolidated Financial Statements」
- [37]Plantic Technologies Limitedの取得に業績目標に応じ最大86.7百万ドルを追加で支払うアーンアウト条項
参考文献[19]-[37]
- Kuraray Annual Report 2013「An Interview with the President」
- [19]2012年6月 個包装洗剤用の水溶性PVAフィルムで首位の米MonoSol, LLCを取得
- [21]中期経営計画GS-III(2012年度〜2014年度)を実行
- [22]光学用ポバールフィルムの強みを補い、産業用ポバールフィルムで世界のリーダーを目指す買収
- [24]2012年度 シェール由来の資源調達の有利さを見込み、米テキサス州にポバール樹脂の生産設備の建設を決定
- クラレ 有価証券報告書 第130期(2011年3月期)【役員の状況】
- [20]伊藤文大氏 平成20年(2008年)4月 代表取締役社長就任
- Kuraray Annual Report 2013「Acquisition of MonoSol」
- [23]米国の個包装洗剤市場の成長でMonoSolの事業が拡大
- Kuraray Annual Report 2014「An Interview with Kuraray President Fumio Ito」
- [25]2013年11月 DuPontの合わせガラス材料・ビニル事業の取得で合意、2014年6月 移管完了
- [26]取得によりPVA・エバールの原料である酢酸ビニルの米国生産拠点を得る。既存の酢酸ビニル事業との相乗効果
- [28]DuPontから取得した事業との相乗効果の早期発現が経営の最重要課題
- Kuraray FACT BOOK 2015「主要製品」
- [27]合わせガラス用中間膜 TROSIFOL/BUTACITE、SentryGlas(DuPontの登録商標)を扱う。2014年 DuPontのビニルアセテート関連事業を買収
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「An Interview with Kuraray President Masaaki Ito」
- [29]GS-IIIでDuPontのGLS事業の取得や海外拠点の増産により酢酸ビニル事業の4極のグローバル体制を築いた
- [31]GS-STEPは「a high-profit specialty chemical company with a global presence」を目指し、GS-IIIの施策を結実させ高収益を実現することを基本方針とする
- [32]人工皮革クラリーノが2014年度に黒字化し、新事業を除き赤字事業が無くなった
- [33]M&Aは好機を逃さず、良い案件・相手・時機がそろえば実行する
- [34]GS-STEPにM&Aの数値目標は無い。中核の酢酸ビニル・イソプレンに足場を置きつつ新領域へ半歩ずつ拡大
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「To Our Shareholders and Investors」
- [30]伊藤正明氏 2015年1月1日 代表取締役社長就任。決算期変更で2015年1月から新年度、中期経営計画GS-STEP(2015〜2017年度)開始
- Kuraray FACT BOOK 2015「沿革」
- [35]2015年 豪Plantic Technologies Ltd.を買収
- Kuraray Annual Report 2016「Our Business Portfolio」
- [36]PLANTIC 生鮮食品包装や工業用途に使う植物由来のバリア材
- Kuraray Annual Report 2016「Notes to Consolidated Financial Statements」
- [37]Plantic Technologies Limitedの取得に業績目標に応じ最大86.7百万ドルを追加で支払うアーンアウト条項
2017年〜約1218億円で買収に合意した米カルゴン・カーボンと、川原仁社長の中期経営計画PASSION 2026
2017年9月21日、クラレは活性炭で世界最大手の米Calgon Carbonと、全株式を取得する契約を結んだ。取得額は約1,107百万ドル(約1,218億円)で、全額を借入で賄う計画だった。クラレはGS-STEPのもとで「水・環境」「エネルギー」「光学・電子」を事業拡大の重点領域に定めていた。2017年1月には活性炭子会社のクラレケミカルを吸収合併し、炭素材料事業部を新設していた。クラレはヤシ殻系の活性炭を得意とし、Calgon Carbonは瀝青炭系と木質系の品ぞろえと大きな生産能力を持っていた。リリースは狙いを『we aim to grow our carbon materials business as one of our future core businesses.』(訳:炭素材料事業を将来の中核事業の一つに育てることを目指す)と記した。買収は当初見込みの2017年12月から遅れ、2018年3月に完了した。
- クラレ ニュースリリース「Acquisition of Calgon Carbon」(2017年9月21日)
- [38]2017年9月21日 世界最大の活性炭メーカーCalgon Carbonの全株式取得で合意・契約締結
- [39]取得額 約1,107百万ドル(約1,218億円、1株21.5ドル)、全額を借入で調達。完了見込み2017年12月
- [40]GS-STEPのもと「aqua and environment」「energy」「optics and electronics」を事業拡大の重点戦略領域に設定
- [43]炭素材料事業を将来の中核事業の一つに育てることが買収の目的
- クラレレポート 2019「キーパーソンに聞く 炭素材料事業」
- [41]2017年1月 活性炭子会社クラレケミカルを吸収合併し炭素材料事業部を新設
- [42]クラレはヤシ殻活性炭が得意で瀝青炭系・木質系は限定的。カルゴン・カーボンは瀝青炭系・木質系をそろえ、瀝青炭系の生産能力が大きい
- クラレレポート 2019「トップステートメント」
- [44]2018年3月 カルゴン・カーボン社の買収を完了
2018年5月、米国子会社の工場で火災が起き、外部委託業者の作業員が負傷して損害賠償の民事訴訟が起こされた。火災は米国のPVBフィルム事業にも響き、クラレは新興国での需要開拓を続けて補った。2019年12月期、クラレは訴訟関連損失50,590百万円を特別損失に計上した。同じ期には保険差益11,374百万円を特別利益に計上した。訴訟は2023年4月、却下の見込みだった1人を除く全原告との和解が成り、同年1〜9月期に訴訟関連損失7,675百万円を追加で計上した。残る1人も2023年7月に訴えの却下が認められ、火災から5年あまりで訴訟は決着した。買収で広げた米国の拠点の操業管理が、利益を大きく左右する経営課題となったのだろう。
- クラレ 四半期報告書 第143期第3四半期(2023年7月1日〜9月30日)【事業等のリスク】
- [45]2018年5月 米国子会社で外部委託業者の作業員の負傷を伴う火災事故が発生し、損害賠償を求める民事訴訟が提起
- [50]2023年7月 残る1名の訴え却下の申立てが認められ、本件訴訟は解決
- クラレレポート 2019「トップステートメント」
- [46]PVBフィルムは米国工場の火災の影響を受けたが、新興国での需要開拓を継続
- クラレ 有価証券報告書 第139期(2019年12月期)連結損益計算書
- [47]2019年12月期 特別損失に訴訟関連損失50,590百万円
- [48]2019年12月期 特別利益に保険差益11,374百万円
- クラレ 四半期報告書 第143期第3四半期(2023年7月1日〜9月30日)【経営成績の状況】
- [49]2023年4月 却下見込みの1名を除く全原告と和解。2023年1〜9月期に訴訟関連損失7,675百万円を特別損失に計上
2021年1月、1984年入社でビニルアセテート樹脂カンパニー長などを務めた川原仁氏が社長に就任した。クラレは創立100周年の2026年を見据え、長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」をすでに定めていた。ビジョンは競争優位の追求、新たな事業領域の拡大、グループ総合力の強化の3つを基本方針とした。2018年に始めた前計画PROUD 2020は、これに環境への貢献を加えた4つを主要な経営戦略に据えていた。川原仁社長のもとで2022年初めに始めたPASSION 2026は、サステナビリティを機会とすることを第一の課題に掲げた。残る2つの課題は、つながりから生まれるイノベーションと、人と組織の変革だった。買収で寄せ集めた事業を一つのグループとして動かすことが、100周年に向けた課題に据えられたと思われる。
- クラレ 有価証券報告書 第141期(2021年12月期)【役員の状況】
- [51]川原仁氏 1984年4月入社、2018年1月 ビニルアセテート樹脂カンパニー長、2021年1月 代表取締役社長就任
- クラレレポート 2019「トップステートメント」
- [52]創立100周年の2026年を見据えた長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」を策定
- [53]Kuraray Vision 2026の基本方針は「競争優位の追求」「新たな事業領域の拡大」「グループ総合力強化」の3つ
- [54]2018年度開始の中期経営計画「PROUD 2020」は長期ビジョンの基本方針に「環境への貢献」を加えた4つの主要経営戦略
- Kuraray Report 2023「Management Review」
- [55]2022年初めに開始した中期経営計画「PASSION 2026」の3つの課題は Sustainability as an opportunity、Innovations starting from networking、Transformation of people and organization
- [56]2022年初めに開始した中期経営計画「PASSION 2026」の3つの課題は Sustainability as an opportunity、Innovations starting from networking、Transformation of people and organization
参考文献[38]-[56]
- クラレ ニュースリリース「Acquisition of Calgon Carbon」(2017年9月21日)
- [38]2017年9月21日 世界最大の活性炭メーカーCalgon Carbonの全株式取得で合意・契約締結
- [39]取得額 約1,107百万ドル(約1,218億円、1株21.5ドル)、全額を借入で調達。完了見込み2017年12月
- [40]GS-STEPのもと「aqua and environment」「energy」「optics and electronics」を事業拡大の重点戦略領域に設定
- [43]炭素材料事業を将来の中核事業の一つに育てることが買収の目的
- クラレレポート 2019「キーパーソンに聞く 炭素材料事業」
- [41]2017年1月 活性炭子会社クラレケミカルを吸収合併し炭素材料事業部を新設
- [42]クラレはヤシ殻活性炭が得意で瀝青炭系・木質系は限定的。カルゴン・カーボンは瀝青炭系・木質系をそろえ、瀝青炭系の生産能力が大きい
- クラレレポート 2019「トップステートメント」
- [44]2018年3月 カルゴン・カーボン社の買収を完了
- [46]PVBフィルムは米国工場の火災の影響を受けたが、新興国での需要開拓を継続
- [52]創立100周年の2026年を見据えた長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」を策定
- [53]Kuraray Vision 2026の基本方針は「競争優位の追求」「新たな事業領域の拡大」「グループ総合力強化」の3つ
- [54]2018年度開始の中期経営計画「PROUD 2020」は長期ビジョンの基本方針に「環境への貢献」を加えた4つの主要経営戦略
- クラレ 四半期報告書 第143期第3四半期(2023年7月1日〜9月30日)【事業等のリスク】
- [45]2018年5月 米国子会社で外部委託業者の作業員の負傷を伴う火災事故が発生し、損害賠償を求める民事訴訟が提起
- [50]2023年7月 残る1名の訴え却下の申立てが認められ、本件訴訟は解決
- クラレ 有価証券報告書 第139期(2019年12月期)連結損益計算書
- [47]2019年12月期 特別損失に訴訟関連損失50,590百万円
- [48]2019年12月期 特別利益に保険差益11,374百万円
- クラレ 四半期報告書 第143期第3四半期(2023年7月1日〜9月30日)【経営成績の状況】
- [49]2023年4月 却下見込みの1名を除く全原告と和解。2023年1〜9月期に訴訟関連損失7,675百万円を特別損失に計上
- クラレ 有価証券報告書 第141期(2021年12月期)【役員の状況】
- [51]川原仁氏 1984年4月入社、2018年1月 ビニルアセテート樹脂カンパニー長、2021年1月 代表取締役社長就任
- Kuraray Report 2023「Management Review」
- [55]2022年初めに開始した中期経営計画「PASSION 2026」の3つの課題は Sustainability as an opportunity、Innovations starting from networking、Transformation of people and organization
- [56]2022年初めに開始した中期経営計画「PASSION 2026」の3つの課題は Sustainability as an opportunity、Innovations starting from networking、Transformation of people and organization
2001年〜2026年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 億円 | 利益率 | |||
| 2001年03月期 | 連結 | 3,137 | n/a | n/a | 228 | 40 | 1.3% | 米国にSEPTON Company of Americaを設立(2000/10) |
| 2002年03月期 | 連結 | 3,058 | ▲2.5% | n/a | n/a | 28 | 0.9% | ドイツにKuraray Specialities Europe GmbHを設立(2001/07) |
| 2003年03月期 | 連結 | 3,225 | +5.5% | n/a | n/a | 80 | 2.5% | 米国SEPTON Company of Americaで〈セプトン〉の生産開始(2002/09) |
| 2004年03月期 | 連結 | 3,321 | +3.0% | n/a | n/a | 151 | 4.5% | 中国に可楽麗国際貿易(上海)有限公司を設立(2004/03) |
| 2005年03月期 | 連結 | 3,548 | +6.8% | n/a | n/a | 184 | 5.2% | n/a |
| 2006年03月期 | 連結 | 3,750 | +5.7% | 383 | 328 | 211 | 5.6% | n/a |
| 2007年03月期 | 連結 | 3,852 | +2.7% | 402 | 365 | 224 | 5.8% | n/a |
| 2008年03月期 | 連結 | 4,176 | +8.4% | 481 | 428 | 255 | 6.1% | n/a |
| 2009年03月期 | 連結 | 3,767 | ▲9.8% | 293 | 268 | 129 | 3.4% | インドにKuraray India Private Limitedを設立(2008/09) |
| 2010年03月期 | 連結 | 3,328 | ▲11.7% | 305 | 289 | 163 | 4.9% | n/a |
| 2011年03月期 | 連結 | 3,631 | +9.1% | 531 | 511 | 287 | 7.9% | ブラジルにKuraray South Americaを設立(2010/07) |
| 2012年03月期 | 連結 | 3,689 | +1.6% | 547 | 539 | 314 | 8.5% | n/a |
| 2013年03月期 | 連結 | 3,694 | +0.1% | 492 | 486 | 287 | 7.8% | タイにKuraray (Thailand)を設立(2012/05) |
| 2014年12月期 | 連結 | 4,114 | +11.4% | 403 | 401 | 212 | 5.2% | n/a |
| 2015年12月期 | 連結 | 5,217 | +26.8% | 661 | 645 | 357 | 6.8% | n/a |
| 2016年12月期 | 連結 | 4,851 | ▲7.0% | 678 | 662 | 404 | 8.3% | n/a |
| 2017年12月期 | 連結 | 5,184 | +6.9% | 764 | 742 | 544 | 10.5% | n/a |
| 2018年12月期 | 連結 | 6,029 | +16.3% | 658 | 612 | 335 | 5.6% | n/a |
| 2019年12月期 | 連結 | 5,758 | ▲4.5% | 542 | 483 | ▲19 | ▲0.3% | n/a |
| 2020年12月期 | 連結 | 5,417 | ▲5.9% | 443 | 397 | 25 | 0.5% | n/a |
| 2021年12月期 | 連結 | 6,293 | +16.2% | 723 | 688 | 372 | 5.9% | n/a |
| 2022年12月期 | 連結 | 7,563 | +20.2% | 871 | 841 | 543 | 7.2% | n/a |
| 2023年12月期 | 連結 | 7,809 | +3.3% | 755 | 690 | 424 | 5.4% | n/a |
| 2024年12月期 | 連結 | 8,268 | +5.9% | 851 | 815 | 317 | 3.8% | n/a |
| 2025年12月期 | 連結 | 8,084 | ▲2.2% | 589 | 515 | 74 | 0.9% | n/a |
| 2026年 | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a |
出所:会社年鑑、有価証券報告書
出典・参考
27件
- クラレ 有価証券報告書 第130期(2011年3月期)【役員の状況】
- クラレ ニュースリリース「Acquisition of Calgon Carbon」(2017年9月21日)
- クラレ 有価証券報告書 第139期(2019年12月期)連結損益計算書
- クラレ 有価証券報告書 第141期(2021年12月期)【役員の状況】
- 日経ビジネス 2004年2月16日号
- Kuraray Annual Report 2001「Review of Operations(Rayon)」
- Kuraray Annual Report 2001「To Our Shareholders」
- Kuraray Annual Report 2002「History」
- Kuraray Annual Report 2002「To Our Shareholders」
- Kuraray Annual Report 2002「Interview with President of Poval Company」
- Kuraray Annual Report 2003「To Our Shareholders」
- Kuraray Annual Report 2005「To Our Shareholders」
- Kuraray Annual Report 2005「Expansion and Status of Facilities in the Chemicals and Resins Business」
- Kuraray Annual Report 2013「An Interview with the President」
- Kuraray Annual Report 2013「Acquisition of MonoSol」
- Kuraray Annual Report 2014「An Interview with Kuraray President Fumio Ito」
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「An Interview with Kuraray President Masaaki Ito」
- Kuraray Annual Report 2014/12(2015年発行)「To Our Shareholders and Investors」
- Kuraray FACT BOOK 2015「主要製品」
- Kuraray FACT BOOK 2015「沿革」
- Kuraray Annual Report 2016「Our Business Portfolio」
- Kuraray Annual Report 2016「Notes to Consolidated Financial Statements」
- クラレレポート 2019「キーパーソンに聞く 炭素材料事業」
- クラレレポート 2019「トップステートメント」
- クラレ 四半期報告書 第143期第3四半期(2023年7月1日〜9月30日)【事業等のリスク】
- クラレ 四半期報告書 第143期第3四半期(2023年7月1日〜9月30日)【経営成績の状況】
- Kuraray Report 2023「Management Review」