技術と設備投資
戦後の日本企業は、技術を海外から導入し、設備資金を主力銀行から借りて生産能力を増やしてきた。外貨は政府が割り当て、技術援助契約の認可も増設の時期の調整も行政が担った。設備の見込み違いは償却を通じて何年もかけて表面化したため、各社は需要に先行する投資を連鎖させることができた。
1950年代から1960年代には、千葉・福山・水島の製鉄所やコンビナートへの大型設備投資が相次ぎ、技術は東レや日立製作所のように海外企業との提携で導入した。1960年代後半に資本自由化と排ガス規制が重なったのが研究開発への注力の転機であり、マツダやホンダは導入ではなく自社技術を選んだ。1980年代には、山之内製薬や日亜化学工業が自社で創製した技術を持つに至った。石油危機後に汎用品の設備が余ると、三井化学の浮島への集約のような生産拠点の再編が始まった。
現在は、設備が陳腐化するまでの年数が短くなり、回収できない設備は減損として一期で処理される。特許は輸入技術の対価ではなく、ライセンス供与で収入を生む無形資産として扱われる。需要に先行して能力を置く判断は変わらないが、予測を誤ったときの損失はすぐに決算に現れる。
論点と年代
研究開発への注力
米Ontoと資本業務提携カーライル系ファンドが保有する株式27%の提携先への移管と、株主構成の入れ替え米Resonant社ののれん減損XBAR技術の取得をねらった買収と、のれん438億円が消えた結末Magna AI合弁設立Wistron・NVIDIAとのソブリンAI進出と法人事業のTrendAIブランド化エイチアンドエフとビアメカニクス買収687億円で大型プレスと基板の微細穴明を獲得日産自動車との統合協議打切経営の一体化構想へ着手しながら二カ月弱で引き返した判断DSP-100の受注開始前工程で失った首位の、後工程のデジタル露光での立て直しSwitch2の投入主力ハードの世代交代と、次の商戦を担う後継機への切り替え米Ampere買収で半導体強化米国の半導体設計会社を65億ドルで取り込む事業基盤の強化
新技術量産への設備投資
日産自動車との統合協議打切経営の一体化構想へ着手しながら二カ月弱で引き返した判断中期計画「MTP3」始動AI・HBMテスト需要ブームへの先行投資と過去最高益研究拠点の横浜集約富士御殿場・鎌倉の両研究所の閉鎖と、創薬機能を一カ所に集約する選択
51件を見る研究開発のための資本提携
米Ontoと資本業務提携カーライル系ファンドが保有する株式27%の提携先への移管と、株主構成の入れ替え英ロイバントとの提携戦略的提携によるスミトバントの子会社化と、相手方株式11%の取得日本電気の子会社化公開買付けによる、その他の関係会社から親会社への関係の転換
15件を見る大型設備投資
VCファンドとKIBANの設立スタートアップへの出資と北米の精密部品加工拠点カリフォルニア新工場投資蓄積した資金を北米即席麺の増産へ振り向ける能力投資「VISION2030」策定売上高2,000億円・営業利益500億円を掲げる中期経営計画の始動USスチールを完全子会社化政治の壁を越えて完遂した約2兆円のクロスボーダー買収日産自動車との統合協議打切経営の一体化構想へ着手しながら二カ月弱で引き返した判断Rhodes Ridge鉄鉱石への参画20年交渉した未開発鉱床の権益40%を約8,000億円で取得し、豪州鉄鉱石を積み増した高輪ゲートウェイシティ開発品川車両基地跡地の再開発による、不動産を第3の柱とする布石名古屋駅地区再開発の見直し事業化を決定した再開発計画の、施工難による再検証・見直しへの着手
隣接領域への設備投資
高輪ゲートウェイシティ開発品川車両基地跡地の再開発による、不動産を第3の柱とする布石CSL Plasmaとの原料血漿採取の協業米国280超の採取センターへのRikaの一斉導入による単一顧客型の参入完全仮想化でMNO参入既存3社に挑む第4の携帯事業者としての自前網の構築
32件を見る祖業転換への設備投資
半導体セラミックスへ転換製造装置用部材に注力するデジタル社会領域への事業構成の組み替え石油化学製品へ生産転換ガソリン依存からの脱却と、10年2000億円を投じる製油所改造野洲事業所の開設と半導体装置の増産印刷機器の会社による、半導体の洗浄・塗布装置の量産への先行投資
20件を見る生産拠点の再編
アパレル事業の構造改革主力事業の再構築と、機能ソリューション・メディカルへの中核の移行Re:Nissanで7工場統廃合2万人規模の人員削減と生産体制の縮小に踏み切った経営再建計画スウィンドン工場の閉鎖英国欧州完成車生産からの全面撤退浜北工場の閉鎖創業地・国内二輪生産の本社工場への集約神戸製鉄所の上工程休止加古川製鉄所への一貫工程の集約狭山工場の寄居工場への集約最初の四輪工場の閉鎖と、電動化に備えた新工場への国内生産の一本化水島エチレンセンターの1基化自社のエチレン設備の停止と、三菱化学との運営会社からの原料購入イリノイ工場の閉鎖現地生産の看板を下ろし、米国での自社生産から全面撤退
生産拠点の再編の30件を見る