KDDI:CDMAへの一本化とツーカー・パワードコム合併による顧客基盤の取得
PDC除却からJ:COM327万世帯の取得へ
2002年〜PDC設備の一括除却と、着うたによるコンテンツ収入の開拓
2002年3月、KDDIはauの通信方式をCDMAへ一本化し、旧方式のPDCの携帯電話設備をすべて除却した。同月に公表した中期経営計画2002は、事業構造改革の第一にこの除却を置いていた。対象となった基地局やネットワークの設備1,283億円は、2002年3月期の特別損失に落とされる。端末の廃棄及び評価損268億円と合わせ、au事業の構造改革費用は1,551億円、全社では1,854億円にのぼった。稼働している設備を帳簿から外す代わりに、以後の減価償却費と通信設備使用料を断ち切る組み替えである。原資には新宿本社ビルなど4棟の証券化で得た売却益1,437億円を充てた。同期の連結当期純利益は130億円まで落ちている。
- KDDI アニュアルレポート2002(事業構造改革)
- [1]2002年3月、auの通信方式をCDMAへ一本化し、PDC方式の携帯電話設備をすべて除却した
- [2]2002年3月に公表した中期経営計画2002は、事業構造改革の第一にPDC設備の除却を置いた
- [3]除却した基地局・ネットワーク等の設備1,283億円を2002年3月期の特別損失に計上した
- [4]au事業の構造改革費用は1,551億円(PDC設備の除却1,283億円と端末の廃棄及び評価損268億円)、全社では1,854億円
- [5]構造改革費用の原資に、新宿本社ビル等4棟の証券化による売却益1,437億円を充てた
- KDDI 有価証券報告書 第22期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [6]2002年3月期の連結営業収益は2兆8,338億円、当期純利益は130億円
一本化の受け皿となる第三世代のCDMA2000 1xは、2002年3月11日に33都道府県477市区町村で始まった。同じ年の12月、KDDIは携帯電話向けの音楽配信サービス「着うた」を投入する。コンテンツを自社で開発する道は採らず、事業者が開発したくなる条件を整える側に回った。1xの速度なら不満なくダウンロードでき、割引を使えば1曲70〜80円で済む。データを端末の外へ持ち出せない仕組みのため、権利管理の環境も揃っていた。小野寺正社長はのちに、コンテンツの開発は『餅は餅屋』で自社ですべて開発するのは不可能に近いと述べている。着うたのダウンロードは2003年8月までに累計700万件へ達した。
- KDDI ニュースリリース 2002年3月11日「第3世代携帯電話(CDMA2000 1x)を全国主要都市で開始」
- [7]2002年3月11日、第3世代のCDMA2000 1xを33都道府県477市区町村で開始した
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- [8]2002年12月、携帯電話向け音楽配信サービス「着うた」を開始した
- [11]着うたのダウンロードは2003年8月時点で累計700万件に達した
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- [9]1xの速度で不満なくダウンロードでき、割引サービスを使えば1曲当たり70〜80円程度で済んだ
- [10]データを携帯電話の外へ持ち出せない仕組みのため、DRM(デジタル権利管理)の環境も整っていた
2003年度、auの年間契約純増数は初めてNTTドコモを上回った。純増シェアは49%に達したが、累積の契約数シェアはおよそ2ポイントしか縮まっていなかった。小野寺正社長は、1社が50%以上のシェアを持つ市場は日本と韓国くらいだと述べ、追撃が容易でないことを認めている。社内では2002年に、営業本部の下にあったカスタマーサービス本部を独立させていた。顧客の要望より自社の都合を通す対応が営業の配下で常態化しており、取扱説明書を直せば問い合わせが減るという見方に立った組み替えである。PDC関連の費用が消えた2004年3月期の連結当期純利益は1,170億円へ戻った。
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- [12]2004年3月期(2003年度)、auの年間契約純増数でNTTドコモを上回り国内首位となった
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- [13]2003年度の純増シェアは49%だが、累積シェアの差は約2ポイントしか縮まっていない
- [14]小野寺正社長は、1社が50%以上のシェアを持つ市場は日本と韓国くらいだと述べ、追撃は容易でないとした
- [15]2002年、営業本部の下にあったカスタマーサービス本部を独立させた
- [16]コールセンターでは自社の都合を通す対応が常態化しており、取扱説明書そのものに問題があることが問い合わせの多さを招いていた
- KDDI 有価証券報告書 第22期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [17]2004年3月期の連結当期純利益は1,170億円
参考文献[1]-[17]
- KDDI アニュアルレポート2002(事業構造改革)
- [1]2002年3月、auの通信方式をCDMAへ一本化し、PDC方式の携帯電話設備をすべて除却した
- [2]2002年3月に公表した中期経営計画2002は、事業構造改革の第一にPDC設備の除却を置いた
- [3]除却した基地局・ネットワーク等の設備1,283億円を2002年3月期の特別損失に計上した
- [4]au事業の構造改革費用は1,551億円(PDC設備の除却1,283億円と端末の廃棄及び評価損268億円)、全社では1,854億円
- [5]構造改革費用の原資に、新宿本社ビル等4棟の証券化による売却益1,437億円を充てた
- KDDI 有価証券報告書 第22期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [6]2002年3月期の連結営業収益は2兆8,338億円、当期純利益は130億円
- [17]2004年3月期の連結当期純利益は1,170億円
- KDDI ニュースリリース 2002年3月11日「第3世代携帯電話(CDMA2000 1x)を全国主要都市で開始」
- [7]2002年3月11日、第3世代のCDMA2000 1xを33都道府県477市区町村で開始した
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- [8]2002年12月、携帯電話向け音楽配信サービス「着うた」を開始した
- [11]着うたのダウンロードは2003年8月時点で累計700万件に達した
- [12]2004年3月期(2003年度)、auの年間契約純増数でNTTドコモを上回り国内首位となった
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- [9]1xの速度で不満なくダウンロードでき、割引サービスを使えば1曲当たり70〜80円程度で済んだ
- [10]データを携帯電話の外へ持ち出せない仕組みのため、DRM(デジタル権利管理)の環境も整っていた
- [13]2003年度の純増シェアは49%だが、累積シェアの差は約2ポイントしか縮まっていない
- [14]小野寺正社長は、1社が50%以上のシェアを持つ市場は日本と韓国くらいだと述べ、追撃は容易でないとした
- [15]2002年、営業本部の下にあったカスタマーサービス本部を独立させた
- [16]コールセンターでは自社の都合を通す対応が常態化しており、取扱説明書そのものに問題があることが問い合わせの多さを招いていた
2004年〜ツーカー・DDIポケットの整理と、電力系事業者からの固定基盤の取り込み
auと同じ市場に自社の別ブランドが並ぶ状態は、2004年から順に解かれた。2004年10月、KDDIは子会社ディーディーアイポケットのPHS事業を譲渡する。翌2005年10月にはツーカーセルラー3社と合併し、東名阪で音声通話を中心に営んできた事業を本体へ取り込んだ。小野寺正社長はその年の春、両社ともauと『棲み分けができなければ共食いになるので、持っている理由はありません』と述べ、売却も本体への吸収もあり得ると説明していた。DDIポケットの定額データ通信はパソコンや携帯情報端末への接続を想定していた。ツーカーは話せればよいという層を狙い、当面の棲み分けは成り立っていた。それでも二つのブランドを別に持つ理由は、2002年の一本化で既に薄れていた。
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- [18]2004年10月、ディーディーアイポケットのPHS事業を譲渡した
- [19]2005年10月、ツーカーセルラー3社と合併した
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- [20]DDIポケットの定額データ通信はパソコンやPDAへの接続を想定し、auの定額制は電子メールと情報閲覧に絞っていた
- [21]ツーカーは「話せればいい」というローエンドの利用者を狙い、音声通話を中心に事業を展開していた
移動体に収益を頼りながら、固定通信は手放されなかった。2006年1月、KDDIは電力系の通信事業者パワードコムと合併し、法人向けの回線網を取り込んだ。翌2007年1月には東京電力の光ネットワーク・カンパニーの事業を承継し、関東の光ファイバー設備を引き受けている。小野寺正社長は2004年の時点で、固定と携帯の区別は客から見れば関係がなく、技術の側から見た分け方にすぎないと述べていた。切り離す考えは『そのつもりは毛頭ありません』と明言し、むしろ固定を持つことが強みになるという見立てに立っている。自社で敷き直すのではなく、電力会社が敷いた設備を買う形で固定の基盤を厚くした。
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- [22]2006年1月、株式会社パワードコムと合併した
- [23]2007年1月、東京電力の光ネットワーク・カンパニーの事業を承継した
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- [24]小野寺正社長は、固定と携帯の区別は顧客から見れば関係がなく技術側から見た分け方にすぎず、いずれ境界線はなくなると述べた
- [25]固定通信を切り離す考えはなく、むしろ固定を持っていることが強みになるとした
重複の整理と固定の買い足しは、連結の規模を押し上げた。2006年3月期の営業収益は3兆608億円、営業利益2,966億円、当期純利益1,905億円で、従業員は14,021人だった。2007年3月期には営業収益3兆3,352億円、営業利益3,447億円となり、従業員も14,358人へ増えている。ただし取り込んだ資産がそのまま使えたわけではない。2006年3月期には、合併で引き受けたツーカーのPDC設備等について1,142億円の減損損失を計上した。2002年に自社のPDCを1,283億円で落とした会社が、4年後に他社のPDCをもう一度落としたことになる。
- KDDI 有価証券報告書 第22期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [26]2006年3月期の連結営業収益3兆608億円、営業利益2,966億円、当期純利益1,905億円、従業員14,021人
- [28]2006年3月期にツーカーのPDC設備等について減損損失1,142億円を計上した
- KDDI 有価証券報告書 第23期(2007年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [27]2007年3月期の連結営業収益3兆3,352億円、営業利益3,447億円、従業員14,358人
参考文献[18]-[28]
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- [18]2004年10月、ディーディーアイポケットのPHS事業を譲渡した
- [19]2005年10月、ツーカーセルラー3社と合併した
- [22]2006年1月、株式会社パワードコムと合併した
- [23]2007年1月、東京電力の光ネットワーク・カンパニーの事業を承継した
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- [20]DDIポケットの定額データ通信はパソコンやPDAへの接続を想定し、auの定額制は電子メールと情報閲覧に絞っていた
- [21]ツーカーは「話せればいい」というローエンドの利用者を狙い、音声通話を中心に事業を展開していた
- [24]小野寺正社長は、固定と携帯の区別は顧客から見れば関係がなく技術側から見た分け方にすぎず、いずれ境界線はなくなると述べた
- [25]固定通信を切り離す考えはなく、むしろ固定を持っていることが強みになるとした
- KDDI 有価証券報告書 第22期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [26]2006年3月期の連結営業収益3兆608億円、営業利益2,966億円、当期純利益1,905億円、従業員14,021人
- [28]2006年3月期にツーカーのPDC設備等について減損損失1,142億円を計上した
- KDDI 有価証券報告書 第23期(2007年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [27]2007年3月期の連結営業収益3兆3,352億円、営業利益3,447億円、従業員14,358人
2010年〜ジュピターテレコム327万世帯の取得と、住友商事との共同経営への移行
2010年1月25日、KDDIはLiberty Global, Inc.グループと譲渡契約を結び、ジュピターテレコムへの資本参加を決めた。2月19日に取得したのは、J:COMの株式そのものではなかった。LGIグループがその株式を保有する米国のLLC3社の持分の全部で、取得価額は3,616億5,500万円である。承継したJ:COM株式は2,592,511株、議決権所有割合は30.9%にとどまる。2009年12月末に327万世帯を抱える国内最大のケーブルテレビ統括運営会社が、持分法適用関連会社となった。取得資金は自己資金と借入金等で賄われ、有利子負債は1兆967億円と前期末から2,218億円増えている。自社で光を敷き足す代わりに、到達済みの世帯数を買った。
- KDDI 適時開示 2010年1月25日「株式会社ジュピターテレコムへの資本参加について」
- [29]2010年1月25日、Liberty Global, Inc.グループと譲渡契約を締結し、ジュピターテレコムへの資本参加を決めた
- KDDI 有価証券報告書 第26期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [30]取得対象はジュピターテレコムの株式ではなく、LGIグループがその株式を保有する米国LLC3社の持分の全部だった
- [31]2010年2月19日に米国LLC3社の持分の全部を361,655百万円で取得した
- [32]承継したジュピターテレコム株式は2,592,511株、議決権所有割合は30.9%
- [33]ジュピターテレコムは1995年設立の国内最大手MSOで、2009年12月末の総加入世帯数は327万世帯。持分法適用関連会社となった
- [34]取得資金は自己資金及び借入金等で調達し、有利子負債は1兆967億円と前期末から2,218億円増加した
議決権30.9%では、経営権までは動かなかった。承継した株式のうち458,714株は取得より前に信託銀行へ信託譲渡されており、議決権の行使に関与できない。KDDIが掲げたのは戦略的パートナーシップの構築で、固定・移動・放送を融合したサービスをケーブルテレビの顧客へ広げることだった。2011年4月には、ケーブルプラス電話の卸を使う「J:COM PHONEプラス」がJ:COMのサービスエリアで順次始まる。取得に使った中間持株会社4社は2011年3月期に清算し、清算所得法人税491億7,700万円を未払金へ計上した。既存株主と並んで待つ3年が、ここから始まった。
- KDDI 有価証券報告書 第26期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [35]承継した株式のうち458,714株は取得前に信託銀行へ信託譲渡されており、議決権の行使に関与できない
- [36]取得の理由は戦略的パートナーシップの構築で、FMBC(固定・移動・放送の融合)のサービスをケーブルテレビの顧客へ広げることにあった
- KDDI 有価証券報告書 第27期(2011年3月期)【主な資産及び負債の内容】
- [37]2011年4月、ケーブルプラス電話の卸を使う「J:COM PHONEプラス」をジュピターテレコムのサービスエリアで順次開始した
- [38]ジュピターテレコム株式を保有していた中間持株会社4社を2011年3月期に清算し、清算所得法人税49,177百万円を未払金に計上した
2012年10月24日、KDDIは住友商事と株主間契約を結び、両社でジュピターテレコム株式の公開買付けを実施することを決議した。買付けは2013年4月に終わり、J:COMは連結子会社となる。出資比率は住友商事と50対50で、入り口で支配を取らなかったことが、争った相手と組み直す余地を残した。連結の総資産は2014年3月期に4兆9,457億円へ増え、このうち8,607億円がJ:COMの連結によるものだった。営業収益は3兆6,622億円から4兆3,336億円へ、従業員は20,238人から27,073人へ増えている。2014年6月にはJ:COMとジャパンケーブルネットが合併し、ケーブルテレビ事業は1社へ集約された。
- KDDI 有価証券報告書 第29期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [39]2012年10月24日、住友商事と株主間契約を締結し、両社でジュピターテレコム株式の公開買付けを実施することを決議した
- [40]公開買付けは2013年4月に終了し、ジュピターテレコムは連結子会社となった。住友商事との出資比率は50対50
- [43]2014年6月、ジュピターテレコムとジャパンケーブルネットが合併した
- KDDI 有価証券報告書 第31期(2015年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [41]2014年3月期の連結総資産は4兆9,457億円。ジュピターテレコムの連結により860,757百万円増加した
- [42]連結営業収益は2013年3月期3兆6,622億円から2014年3月期4兆3,336億円へ、従業員は20,238人から27,073人へ増加した
参考文献[29]-[43]
- KDDI 適時開示 2010年1月25日「株式会社ジュピターテレコムへの資本参加について」
- [29]2010年1月25日、Liberty Global, Inc.グループと譲渡契約を締結し、ジュピターテレコムへの資本参加を決めた
- KDDI 有価証券報告書 第26期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [30]取得対象はジュピターテレコムの株式ではなく、LGIグループがその株式を保有する米国LLC3社の持分の全部だった
- [31]2010年2月19日に米国LLC3社の持分の全部を361,655百万円で取得した
- [32]承継したジュピターテレコム株式は2,592,511株、議決権所有割合は30.9%
- [33]ジュピターテレコムは1995年設立の国内最大手MSOで、2009年12月末の総加入世帯数は327万世帯。持分法適用関連会社となった
- [34]取得資金は自己資金及び借入金等で調達し、有利子負債は1兆967億円と前期末から2,218億円増加した
- [35]承継した株式のうち458,714株は取得前に信託銀行へ信託譲渡されており、議決権の行使に関与できない
- [36]取得の理由は戦略的パートナーシップの構築で、FMBC(固定・移動・放送の融合)のサービスをケーブルテレビの顧客へ広げることにあった
- KDDI 有価証券報告書 第27期(2011年3月期)【主な資産及び負債の内容】
- [37]2011年4月、ケーブルプラス電話の卸を使う「J:COM PHONEプラス」をジュピターテレコムのサービスエリアで順次開始した
- [38]ジュピターテレコム株式を保有していた中間持株会社4社を2011年3月期に清算し、清算所得法人税49,177百万円を未払金に計上した
- KDDI 有価証券報告書 第29期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [39]2012年10月24日、住友商事と株主間契約を締結し、両社でジュピターテレコム株式の公開買付けを実施することを決議した
- [40]公開買付けは2013年4月に終了し、ジュピターテレコムは連結子会社となった。住友商事との出資比率は50対50
- [43]2014年6月、ジュピターテレコムとジャパンケーブルネットが合併した
- KDDI 有価証券報告書 第31期(2015年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- [41]2014年3月期の連結総資産は4兆9,457億円。ジュピターテレコムの連結により860,757百万円増加した
- [42]連結営業収益は2013年3月期3兆6,622億円から2014年3月期4兆3,336億円へ、従業員は20,238人から27,073人へ増加した
筆者考察
2002年以降のKDDIが速く動けたのは、自分で持つ範囲を狭めたからである。稼働中のPDC設備1,283億円を一期で落としてCDMAへ寄せ、音楽配信ではコンテンツを自社で作らず、事業者が作りたくなる料金と権利管理の条件だけを整えた。固定通信では自社網を敷き足す代わりに、パワードコムと東京電力の光ネットワーク事業を引き受けている。どれも抱える資産と工程を減らす判断であり、減らした分だけ次の一手までの距離は短くなった。2003年度に純増シェア49%で初めてNTTドコモを上回ったとき、KDDIが持っていたのは他社より優れた技術ではなく、捨てる順番の決まった資産だったと思われる。
もっとも、自前をやめて縮められたのは時間であって、順位ではなかった。純増で首位に立った2004年の時点でも累積の契約数シェアは約2ポイントしか動いておらず、小野寺正氏自身が追撃は容易でないと認めている。2010年にジュピターテレコムへ3,616億円を投じたのは、自社で光を敷いて327万世帯へ届くのに要る年数を、金額へ置き換えたからだろう。しかも取得したのはJ:COM株そのものではなく米国LLC3社の持分で、議決権は30.9%にとどまった。支配を取らずに入り、3年待って住友商事と組み直し、2013年4月に連結子会社とした。急ぐために自前をやめた会社が、最後は待つことで基盤を取っている。
- 連結・日本基準。2015年3月期のみ表示科目が売上高。出所は有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】。
- 2014年3月期の増加には、2013年4月にジュピターテレコムを連結子会社としたことが含まれる。
2002年〜2015年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 利益率 | 億円 | 億円 | |||
| 2002年03月期 | 単体 | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a |
| 2003年03月期 | 単体 | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a |
| 2004年03月期 | 単体 | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a |
| 2005年03月期 | 単体 | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a |
| 2006年03月期 | 連結 | 30,608 | n/a | 2,966 | 9.7% | 2,940 | 1,905 | n/a |
| 2007年03月期 | 連結 | 33,352 | +9.0% | 3,447 | 10.3% | 3,509 | 1,867 | n/a |
| 2008年03月期 | 連結 | 35,962 | +7.8% | 4,005 | 11.1% | 4,079 | 2,177 | n/a |
| 2009年03月期 | 連結 | 34,975 | ▲2.7% | 4,432 | 12.7% | 4,405 | 2,227 | n/a |
| 2010年03月期 | 連結 | 34,421 | ▲1.6% | 4,439 | 12.9% | 4,229 | 2,127 | n/a |
| 2011年03月期 | 連結 | 34,345 | ▲0.2% | 4,719 | 13.7% | 4,407 | 2,551 | n/a |
| 2012年03月期 | 連結 | 35,720 | +4.0% | 4,776 | 13.4% | 4,512 | 2,386 | n/a |
| 2013年03月期 | 連結 | 36,622 | +2.5% | 5,127 | 14.0% | 5,144 | 2,414 | n/a |
| 2014年03月期 | 連結 | 43,336 | +18.3% | 6,632 | 15.3% | 6,629 | 3,220 | n/a |
| 2015年03月期 | 連結 | 42,700 | ▲1.5% | 6,657 | 15.6% | n/a | 4,279 | n/a |
出所:有価証券報告書
出典・参考
11件
- KDDI アニュアルレポート2002(事業構造改革)
- KDDI ニュースリリース 2002年3月11日「第3世代携帯電話(CDMA2000 1x)を全国主要都市で開始」
- KDDI 有価証券報告書 第22期(2006年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- KDDI 有価証券報告書 第23期(2007年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- KDDI 有価証券報告書 第26期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】
- KDDI 有価証券報告書 第27期(2011年3月期)【主な資産及び負債の内容】
- KDDI 有価証券報告書 第29期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】
- KDDI 有価証券報告書 第31期(2015年3月期)【主要な経営指標等の推移】
- KDDI 有価証券報告書【沿革】
- 日経ビジネス 2004年5月10日号
- KDDI 適時開示 2010年1月25日「株式会社ジュピターテレコムへの資本参加について」