三菱UFJフィナンシャル・グループ:MUFGユニオンバンクの売却と貸金庫窃取事件
2015年〜指名委員会等設置会社への移行と、バンクダナモンへの出資
2015年6月、三菱UFJフィナンシャル・グループは定時株主総会で定款を改め、指名委員会等設置会社へ移った。それまでは取締役会の下に任意の委員会を置き、提言を受ける体制だった。移行後は法定の指名・報酬・監査の3委員会を置き、業務執行の決定を執行役へ委ねて取締役会を監督に絞った。社長の平野信行氏は同年の統合報告書で三つの課題を挙げ、二つ目を『The second challenge is to strengthen global corporate governance.』(訳:二つ目の課題はグローバルな企業統治の強化である)とした。海外が主な収益源になるほど各国の規制への対応が重くなり、社外取締役の目が要るという理屈だった。海外の当局と投資家に通じる監督の形を、委員会の法定化で先に整えたとみられる。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第10期(2015年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [1]2015年6月の定時株主総会で定款を変更し、指名委員会等設置会社へ移行した
- [2]2014年度は取締役会傘下に任意のガバナンス委員会・指名報酬委員会・監査委員会・リスク委員会を置き、取締役会へ提言する体制だった
- [3]法定の指名委員会・報酬委員会・監査委員会を設置し、業務執行の決定を執行役へ委ねて取締役会を監督に専念させた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2015(CEO Message)
- [4]Group CEOの平野信行氏が前中期経営計画(2012〜2014年度)で明らかになった三つの課題の二つ目にグローバルなコーポレート・ガバナンスの強化を挙げた
- [5]海外事業が収益をけん引するなか各国の金融規制への対応が欠かせず、ステークホルダーの代表として独立社外取締役の役割が特に重要だとした
2017年12月、三菱東京UFJ銀行はインドネシアのバンクダナモン株73.8%の段階取得を契約し、まず19.9%を約1,334億円で得た。2018年に20.1%を約1,323億円で買い増して持分法の関連会社とした。2019年4月の第三段階で54.0%を約3,970億円で加え、94.0%を持つ連結子会社にした。平野氏は2018年の報告書で、タイのアユタヤ銀行に続き比・インドネシアの2行への出資が域内の網の土台になったとした。2020年の統合報告書は『これまで私たちは国内の低成長を補うために新たな成長を求め、ASEANの商業銀行を中心に戦略出資を行ってきました』とこの流れを振り返った。その2020年には株価の下落を受け、ダナモンののれん2,128億円を全額償却した。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第13期(2018年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [6]2017年、ダナモン株73.8%の取得へ条件付株式売買契約を結んだ(戦略出資の公表は2017年12月26日)
- [7]第一段階で19.9%を約1,334億円で取得した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)【追加情報】
- [8]2018年、第二段階で20.1%を約1,323億円で追加取得し、40.0%を保有して持分法適用関連会社とした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【企業結合等関係】
- [9]2019年、第三段階で54.0%を約3,970億円で追加取得し、94.0%を保有して連結子会社化した(連結子会社化は2019年4月)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2018(MUFG Report 2018「Message from the CEO」)
- [10]2013年に取得したアユタヤ銀行(クルンシィ)の成長に加え、フィリピンのセキュリティバンクとインドネシアのバンクダナモンへの投資が域内ネットワークの基盤を築いたとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2020(MUFG Report 2020「CEOメッセージ」)
- [11]国内の低成長を補うため、ASEANの商業銀行を中心に戦略出資を行ってきたとし、バンクダナモン子会社化でASEANの商業銀行プラットフォームが完成したとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 決算説明会資料(2020年5月20日)「2019年度決算 投資家説明会」
- [12]2020年、株価下落でダナモンののれんを全額償却した(償却額2,128億円)
2018年4月、三菱東京UFJ銀行は商号を三菱UFJ銀行に改めた。頭取は前年6月に就任した三毛兼承氏だった。平野氏は同年の報告書で、利ざやの縮小などで業績が振るわなかったことを認め、『We’re still not resilient enough to absorb adversity on a great scale, and we’ve been too slow to change.』(訳:大きな逆境に耐える強さがなく、変化も遅すぎた)と総括した。改革の軸は2017年に公表した6か年計画で、国内銀行業務の作業量をおよそ30%、9,500人分減らすとした。店舗網を絞り、銀行・信託・証券の窓口を一つの拠点に集める方針も示した。旧行の名を連ねた商号を改めたのは、国内の構造改革へ軸足を移す合図だったと推察される。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【沿革】
- [13]2018年4月、株式会社三菱東京UFJ銀行は株式会社三菱UFJ銀行に商号変更した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- [14]三毛兼承氏は2017年6月に三菱東京UFJ銀行の頭取に就任した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2018(MUFG Report 2018「Message from the CEO」)
- [15]国内のリテール・法人向け業務の利ざや縮小などを業績不振の要因に挙げ、逆境を吸収する強さが足りず変化が遅すぎたことが本当の理由だとした
- [16]2017年に国内銀行業務の一部を自動化する6か年計画を公表し、作業量を約30%(9,500人相当)減らすとした
- [17]店舗網を合理化しつつ、銀行・信託・証券のサービスを共同拠点で提供するモデルを進めるとした
参考文献[1]-[17]
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第10期(2015年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [1]2015年6月の定時株主総会で定款を変更し、指名委員会等設置会社へ移行した
- [2]2014年度は取締役会傘下に任意のガバナンス委員会・指名報酬委員会・監査委員会・リスク委員会を置き、取締役会へ提言する体制だった
- [3]法定の指名委員会・報酬委員会・監査委員会を設置し、業務執行の決定を執行役へ委ねて取締役会を監督に専念させた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2015(CEO Message)
- [4]Group CEOの平野信行氏が前中期経営計画(2012〜2014年度)で明らかになった三つの課題の二つ目にグローバルなコーポレート・ガバナンスの強化を挙げた
- [5]海外事業が収益をけん引するなか各国の金融規制への対応が欠かせず、ステークホルダーの代表として独立社外取締役の役割が特に重要だとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第13期(2018年3月期)【経営上の重要な契約等】
- [6]2017年、ダナモン株73.8%の取得へ条件付株式売買契約を結んだ(戦略出資の公表は2017年12月26日)
- [7]第一段階で19.9%を約1,334億円で取得した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)【追加情報】
- [8]2018年、第二段階で20.1%を約1,323億円で追加取得し、40.0%を保有して持分法適用関連会社とした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【企業結合等関係】
- [9]2019年、第三段階で54.0%を約3,970億円で追加取得し、94.0%を保有して連結子会社化した(連結子会社化は2019年4月)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2018(MUFG Report 2018「Message from the CEO」)
- [10]2013年に取得したアユタヤ銀行(クルンシィ)の成長に加え、フィリピンのセキュリティバンクとインドネシアのバンクダナモンへの投資が域内ネットワークの基盤を築いたとした
- [15]国内のリテール・法人向け業務の利ざや縮小などを業績不振の要因に挙げ、逆境を吸収する強さが足りず変化が遅すぎたことが本当の理由だとした
- [16]2017年に国内銀行業務の一部を自動化する6か年計画を公表し、作業量を約30%(9,500人相当)減らすとした
- [17]店舗網を合理化しつつ、銀行・信託・証券のサービスを共同拠点で提供するモデルを進めるとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2020(MUFG Report 2020「CEOメッセージ」)
- [11]国内の低成長を補うため、ASEANの商業銀行を中心に戦略出資を行ってきたとし、バンクダナモン子会社化でASEANの商業銀行プラットフォームが完成したとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 決算説明会資料(2020年5月20日)「2019年度決算 投資家説明会」
- [12]2020年、株価下落でダナモンののれんを全額償却した(償却額2,128億円)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【沿革】
- [13]2018年4月、株式会社三菱東京UFJ銀行は株式会社三菱UFJ銀行に商号変更した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- [14]三毛兼承氏は2017年6月に三菱東京UFJ銀行の頭取に就任した
2019年〜亀澤宏規社長の就任と、MUFGユニオンバンクのUSバンコープへの売却
2019年4月、三毛兼承氏は三菱UFJ銀行の頭取を兼ねたまま持株会社の社長に就任した。同じ2019年、豪州を拠点とする資産運用会社ファースト・センティア・インベスターズ(FSI)を子会社にし、グローバルな資産運用の足場とした。2019年度の戦略出資はバンクダナモン、FSI、Grab社の3件だった。案件を採り上げる目線は、出資から一定期間のうちに資本コストを上回る利益を得られるかに置くと説明した。2025年5月の説明会では、運用子会社の運用資産の伸びに加えて買収先の成長も見込めると答えた。利ざやに頼らない手数料の収益源を、国外の運用会社の買収で厚くしようとしたのだろう。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- [18]2019年4月、三毛兼承氏が代表執行役社長に就任した(三菱UFJ銀行頭取を兼任)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【企業結合等関係】
- [19]2019年8月、三菱UFJ信託銀行がColonial First State Group Limitedの主要完全子会社9社を取得して連結子会社とし、同年9月にブランド名をFirst Sentier Investorsへ変えた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2020(MUFG Report 2020「CEOメッセージ」)
- [20]グローバルアセットマネジメントの領域で、前年度にオーストラリアをベースとする資産運用会社ファースト・センティア・インベスターズを買収したとした
- [21]2019年度にバンクダナモン、FSI、Grab社への出資を行った
- [22]戦略出資では、出資後一定期間内に資本コストを上回るリターンが得られることを案件の採り上げの目線としているとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度通期決算 投資家説明会 主なQ&A(2025年5月)
- [23]受託財産関連領域では、MUAMのAuMが順調に増えていることに加え、買収先の成長も期待できるとした
2020年4月、三毛氏は1年で社長を退任して副会長に移り、亀澤宏規氏が代表執行役社長グループCEOに就任した。亀澤氏はグループCOOとグループCDTOを兼ねる執行役で、頭取を経ないまま社長となった。2017年に新設のCDTOに就任し、業務のデジタル化やGrab社への出資を手がけた経歴だった。就任時の2019年度は、業務純益が5年ぶりに増えた一方、当期純利益は前年度比3,445億円減の5,281億円に減少していた。亀澤氏は店舗を含むチャネルや事務を見直してデジタル化を進め、経費の構造も改めるとした。収益が細るなかで、デジタルで事務と店舗を作り替えてきた人に舵を預けたのではないか。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【役員の状況】
- [24]2020年4月、亀澤宏規氏が取締役代表執行役社長グループCEOに就任した
- [25]2020年、三毛兼承氏は代表執行役副会長となり、三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員を続けた。持株会社社長と銀行トップの兼務を1年で解いた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)・第15期(2020年3月期)【役員の状況】
- [26]グループCOOとグループCDTOを兼ねてデジタル改革を担っていた執行役を、頭取を経ないまま持株会社の社長に据えた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2020(MUFG Report 2020「CEOメッセージ」)
- [27]2017年にデジタルを担当するCDTOという新設ポストに就き、業務のデジタル化に取り組み、Akamai社とのアライアンスやGrab社への出資を実現した
- [28]約9兆円のリスクアセット(規制最終化ベース)を削減したなかで、業務純益が5年ぶりの増益に転じた
- [29]2019年度の当期純利益は、ASEANのパートナーバンクののれん一括償却を主因に前年度比3,445億円減益の5,281億円だった
- [30]国内リテール領域で店舗を含むチャネル、UI/UX、事務プロセスやシステムを見直してデジタル化を進め、コスト構造改革を推し進めるとした
2021年9月、三菱UFJフィナンシャル・グループはMUFGユニオンバンク(MUB)の全株式を、USバンコープ(USB)へ譲る契約を結んだ。お知らせは、デジタル対応のIT投資がかさみ、競争力の維持に一定の規模が求められる事業環境を背景に挙げた。そのうえで『米国においては、MUB を売却し、法人取引を中心とした事業ポートフォリオへシフトすることが、資本効率を高め株主価値の最大化に資するとの結論にいたりました』とした。法人向けのGCIB事業は譲渡から外し、三菱UFJ銀行の米国内支店などへ移すとした。2022年12月に譲渡は完了し、現金55億米ドルとUSB株式約44百万株を受け取った。2024年度中間期の説明会では、米国の法人向け業務がMUB売却による減収を既に取り返したと答えた。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ お知らせ(2021年9月21日)「MUFG Union Bank 株式の譲渡契約締結および U.S. Bancorp 株式の取得について」
- [31]2021年9月21日、MUAHを通じて保有するMUBの全株式をUSBへ譲渡する株式譲渡契約を締結した
- [32]MUBを取り巻く事業環境は、デジタル化対応によるIT投資の必要性などから、競争力の維持・強化に一定のスケールが求められる状況だとした
- [33]経営資源の最適配置の観点から、米国ではMUBを売却し法人取引中心の事業ポートフォリオへシフトすることが資本効率を高め株主価値の最大化に資すると結論した
- [34]GCIB事業と関連する市場業務などは譲渡に含めず、三菱UFJ銀行の米国内支店または関連会社へ移管するとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ お知らせ(2022年12月2日)「MUFG Union Bank 株式の譲渡および U.S. Bancorp 株式の取得の完了について」
- [35]2022年12月に株式譲渡が完了し、現金55億米ドルとUSB株式約44百万株を受領した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度中間期決算 投資家説明会 主なQ&A
- [36]米国のホールセールビジネスは立ち位置を確立し、MUB売却による減収影響を既に取り返しているとした
参考文献[18]-[36]
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- [18]2019年4月、三毛兼承氏が代表執行役社長に就任した(三菱UFJ銀行頭取を兼任)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【企業結合等関係】
- [19]2019年8月、三菱UFJ信託銀行がColonial First State Group Limitedの主要完全子会社9社を取得して連結子会社とし、同年9月にブランド名をFirst Sentier Investorsへ変えた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2020(MUFG Report 2020「CEOメッセージ」)
- [20]グローバルアセットマネジメントの領域で、前年度にオーストラリアをベースとする資産運用会社ファースト・センティア・インベスターズを買収したとした
- [21]2019年度にバンクダナモン、FSI、Grab社への出資を行った
- [22]戦略出資では、出資後一定期間内に資本コストを上回るリターンが得られることを案件の採り上げの目線としているとした
- [27]2017年にデジタルを担当するCDTOという新設ポストに就き、業務のデジタル化に取り組み、Akamai社とのアライアンスやGrab社への出資を実現した
- [28]約9兆円のリスクアセット(規制最終化ベース)を削減したなかで、業務純益が5年ぶりの増益に転じた
- [29]2019年度の当期純利益は、ASEANのパートナーバンクののれん一括償却を主因に前年度比3,445億円減益の5,281億円だった
- [30]国内リテール領域で店舗を含むチャネル、UI/UX、事務プロセスやシステムを見直してデジタル化を進め、コスト構造改革を推し進めるとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度通期決算 投資家説明会 主なQ&A(2025年5月)
- [23]受託財産関連領域では、MUAMのAuMが順調に増えていることに加え、買収先の成長も期待できるとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【役員の状況】
- [24]2020年4月、亀澤宏規氏が取締役代表執行役社長グループCEOに就任した
- [25]2020年、三毛兼承氏は代表執行役副会長となり、三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員を続けた。持株会社社長と銀行トップの兼務を1年で解いた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)・第15期(2020年3月期)【役員の状況】
- [26]グループCOOとグループCDTOを兼ねてデジタル改革を担っていた執行役を、頭取を経ないまま持株会社の社長に据えた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ お知らせ(2021年9月21日)「MUFG Union Bank 株式の譲渡契約締結および U.S. Bancorp 株式の取得について」
- [31]2021年9月21日、MUAHを通じて保有するMUBの全株式をUSBへ譲渡する株式譲渡契約を締結した
- [32]MUBを取り巻く事業環境は、デジタル化対応によるIT投資の必要性などから、競争力の維持・強化に一定のスケールが求められる状況だとした
- [33]経営資源の最適配置の観点から、米国ではMUBを売却し法人取引中心の事業ポートフォリオへシフトすることが資本効率を高め株主価値の最大化に資すると結論した
- [34]GCIB事業と関連する市場業務などは譲渡に含めず、三菱UFJ銀行の米国内支店または関連会社へ移管するとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ お知らせ(2022年12月2日)「MUFG Union Bank 株式の譲渡および U.S. Bancorp 株式の取得の完了について」
- [35]2022年12月に株式譲渡が完了し、現金55億米ドルとUSB株式約44百万株を受領した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度中間期決算 投資家説明会 主なQ&A
- [36]米国のホールセールビジネスは立ち位置を確立し、MUB売却による減収影響を既に取り返しているとした
2023年〜元行員による貸金庫からの窃取と、半沢淳一社長への交代
2024年度中間期の親会社株主純利益は、コロナ前の2017〜2019年のおよそ2倍に達した。同じ年のInvestors Dayでは、グループ間の連携をめぐる行政処分について、法令遵守の意識の浸透と監視の態勢が不十分だったと認めた。2024年11月、三菱UFJ銀行は練馬・玉川の両支店で貸金庫を管理していた元行員が、顧客の現金や金を窃取していたと公表した。窃取は2023年3月から2024年10月まで続き、予備鍵や開閉の管理が甘く、支店・本部・子会社のどの牽制も働かなかった。12月16日には金融庁から銀行法第24条に基づく報告徴求を受けた。利益の回復に比べ、現場の管理の作り直しは追いついていなかったとうかがえる。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度中間期決算 投資家説明会 主なQ&A
- [37]2024年度中間期の親会社株主純利益はコロナ前の2017〜2019年の約2倍まで拡大した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFG Investors Day 2024 主なQ&A
- [38]行政処分について、グループ間の連携を進めるなかで法令遵守の意識浸透やモニタリングの態勢整備が不十分であったと認識しているとした
- 三菱UFJ銀行 お知らせ(2025年1月16日)「元行員の不祥事に関する対応状況・再発防止策等について」
- [39]2024年11月、三菱UFJ銀行は練馬・玉川両支店で貸金庫を管理していた元行員が顧客の貸金庫から現金や金を窃取していた事案を公表した
- [40]窃取は2023年3月から2024年10月まで続いた。予備鍵管理や入退室・開閉の管理に不備があり、拠点内・本部・子会社のいずれの牽制も働かなかった
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第20期(2025年3月期)【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [41]2024年12月16日、金融庁が三菱UFJ銀行に銀行法第24条に基づく報告徴求を発出した
2025年1月16日、頭取の半沢淳一氏が率いる三菱UFJ銀行は、再発防止策などを盛り込んだ報告書を金融庁に出した。策の中心は予備鍵を本部で一括して保管することで、支店・本部・子会社の牽制の強化や人事運営の見直しも並べた。持株会社の報酬委員会は2024年度に役員の処分と報酬の減額を決めた。監査委員会は第20期に真因分析をもとにした改善策の実行状況を注視し、第21期にはその浸透と定着へ視点を移した。鍵の保管という仕組みを作った後は、それを緩ませない運用が問われ続けると考えられる。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- [42]半沢淳一氏は2021年4月に三菱UFJ銀行頭取に就任した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第20期(2025年3月期)【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [43]2025年1月16日、報告徴求に基づき再発防止策等を含む報告書を金融庁へ提出した
- [45]報酬委員会が2024年度に役員処分・報酬減額を決定した
- [46]監査委員会は第20期に、真因分析に基づく改善対応策の実行状況等を引き続き注視するとした
- 三菱UFJ銀行 お知らせ(2025年1月16日)「元行員の不祥事に関する対応状況・再発防止策等について」
- [44]予備鍵の本部一括保管を含む重層的な再発防止策を策定し、拠点内・本部・子会社の牽制強化、人事運営の見直し、法令遵守意識の再徹底を掲げた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第21期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [47]監査委員会は第21期に、改善対応策の浸透及び定着状況を引き続き注視するとした
2026年4月、三菱UFJ銀行の頭取を5年務めた半沢淳一氏が、持株会社の代表執行役社長グループCEOに就任した。1988年に三菱銀行へ入り、MUFG発足時には持株会社の統合企画室で統合の実務を担った経歴だった。就任後の統合報告書で、半沢氏は設立当初の目標を引いて『「グローバルトップ5」という目標を今こそやり遂げるべく、そこへ向かう道筋をつけたいと考えています』と記した。金融に留まらず、顧客と社会の課題解決を起点とする総合サービスグループへ進む方針も掲げた。2025年5月の説明会では、中長期のROE目標を12%程度とし、11%程度まではオーガニックな成長で届くと説明していた。事件の後始末を担った頭取に、信頼の回復と成長の両方を託した人事と読める。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2026(ディスクロージャー誌「CEOメッセージ」)
- [48]2026年4月、半沢淳一氏がグループCEOに就任した。銀行頭取を5年務めた
- [49]1988年に三菱銀行へ入行し、MUFG発足時は持株会社の統合企画室で三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスの統合業務を担当した
- [50]MUFG設立当初に掲げていたグローバルトップ5という目標をやり遂げるべく、道筋をつけたいとした
- [51]金融サービスを提供するグループに留まらず、社会やお客さまの課題解決を起点に総合サービスグループへ進化したいとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度通期決算 投資家説明会 主なQ&A(2025年5月)
- [52]中長期ROE目標を12%程度とし、11%程度まではオーガニックな成長で伸ばせるとした
参考文献[37]-[52]
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度中間期決算 投資家説明会 主なQ&A
- [37]2024年度中間期の親会社株主純利益はコロナ前の2017〜2019年の約2倍まで拡大した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFG Investors Day 2024 主なQ&A
- [38]行政処分について、グループ間の連携を進めるなかで法令遵守の意識浸透やモニタリングの態勢整備が不十分であったと認識しているとした
- 三菱UFJ銀行 お知らせ(2025年1月16日)「元行員の不祥事に関する対応状況・再発防止策等について」
- [39]2024年11月、三菱UFJ銀行は練馬・玉川両支店で貸金庫を管理していた元行員が顧客の貸金庫から現金や金を窃取していた事案を公表した
- [40]窃取は2023年3月から2024年10月まで続いた。予備鍵管理や入退室・開閉の管理に不備があり、拠点内・本部・子会社のいずれの牽制も働かなかった
- [44]予備鍵の本部一括保管を含む重層的な再発防止策を策定し、拠点内・本部・子会社の牽制強化、人事運営の見直し、法令遵守意識の再徹底を掲げた
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第20期(2025年3月期)【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [41]2024年12月16日、金融庁が三菱UFJ銀行に銀行法第24条に基づく報告徴求を発出した
- [43]2025年1月16日、報告徴求に基づき再発防止策等を含む報告書を金融庁へ提出した
- [45]報酬委員会が2024年度に役員処分・報酬減額を決定した
- [46]監査委員会は第20期に、真因分析に基づく改善対応策の実行状況等を引き続き注視するとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- [42]半沢淳一氏は2021年4月に三菱UFJ銀行頭取に就任した
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第21期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- [47]監査委員会は第21期に、改善対応策の浸透及び定着状況を引き続き注視するとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2026(ディスクロージャー誌「CEOメッセージ」)
- [48]2026年4月、半沢淳一氏がグループCEOに就任した。銀行頭取を5年務めた
- [49]1988年に三菱銀行へ入行し、MUFG発足時は持株会社の統合企画室で三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスの統合業務を担当した
- [50]MUFG設立当初に掲げていたグローバルトップ5という目標をやり遂げるべく、道筋をつけたいとした
- [51]金融サービスを提供するグループに留まらず、社会やお客さまの課題解決を起点に総合サービスグループへ進化したいとした
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度通期決算 投資家説明会 主なQ&A(2025年5月)
- [52]中長期ROE目標を12%程度とし、11%程度まではオーガニックな成長で伸ばせるとした
2015年〜2026年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 億円 | 利益率 | |||
| 2015年03月期 | 連結 | 56,384 | n/a | 17,130 | 17,130 | 10,338 | 18.3% | n/a |
| 2016年03月期 | 連結 | 57,144 | +1.3% | 15,395 | 15,395 | 9,514 | 16.6% | n/a |
| 2017年03月期 | 連結 | 59,796 | +4.6% | 13,608 | 13,608 | 9,264 | 15.5% | n/a |
| 2018年03月期 | 連結 | 60,681 | +1.5% | 14,624 | 14,624 | 9,897 | 16.3% | n/a |
| 2019年03月期 | 連結 | 66,974 | +10.4% | 13,480 | 13,480 | 8,727 | 13.0% | n/a |
| 2020年03月期 | 連結 | 72,991 | +9.0% | 12,358 | 12,358 | 5,282 | 7.2% | n/a |
| 2021年03月期 | 連結 | 60,253 | ▲17.5% | 10,536 | 10,536 | 7,770 | 12.9% | n/a |
| 2022年03月期 | 連結 | 60,759 | +0.8% | 15,376 | 15,376 | 11,308 | 18.6% | n/a |
| 2023年03月期 | 連結 | 92,810 | +52.8% | 10,207 | 10,207 | 11,165 | 12.0% | n/a |
| 2024年03月期 | 連結 | 118,904 | +28.1% | 21,280 | 21,280 | 14,908 | 12.5% | n/a |
| 2025年03月期 | 連結 | 136,300 | +14.6% | 26,695 | 26,695 | 18,629 | 13.7% | n/a |
| 2026年03月期 | 連結 | 146,208 | +7.3% | 34,102 | 34,102 | 24,272 | 16.6% | n/a |
出所:有価証券報告書
出典・参考
21件
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第10期(2015年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2015(CEO Message)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第13期(2018年3月期)【経営上の重要な契約等】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2018(MUFG Report 2018「Message from the CEO」)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)【追加情報】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第14期(2019年3月期)・第15期(2020年3月期)【役員の状況】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【企業結合等関係】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2020(MUFG Report 2020「CEOメッセージ」)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 決算説明会資料(2020年5月20日)「2019年度決算 投資家説明会」
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第15期(2020年3月期)【役員の状況】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第20期(2025年3月期)【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書 第21期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 統合報告書 2026(ディスクロージャー誌「CEOメッセージ」)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【沿革】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書【役員の状況】
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ お知らせ(2021年9月21日)「MUFG Union Bank 株式の譲渡契約締結および U.S. Bancorp 株式の取得について」
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ お知らせ(2022年12月2日)「MUFG Union Bank 株式の譲渡および U.S. Bancorp 株式の取得の完了について」
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度通期決算 投資家説明会 主なQ&A(2025年5月)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2024年度中間期決算 投資家説明会 主なQ&A
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFG Investors Day 2024 主なQ&A
- 三菱UFJ銀行 お知らせ(2025年1月16日)「元行員の不祥事に関する対応状況・再発防止策等について」