日本板硝子:総額6160億円のピルキントン買収とアポロ系ファンドによる非公開化
2006年〜持分法の距離を詰めた全株取得と借入れの重さ
2006年2月27日、日本板硝子は約20%を持つ英ピルキントン社の全株式を取得する手続きの開始を決めた。買収価格は1株165ペンスで、保有分を除く買収総額は約3585億円、同社の借入金の借り換えなどを含む所要資金は約6160億円にのぼる。資金は英国での借入れ約3180億円、日本での借入れ450億円、転換社債型新株予約権付社債1100億円などでまかなった。統合後の板ガラスの世界シェアは、ピルキントン社の約11%に日本板硝子の約4%を足して約14%となる見込みだった。20%出資のもとでは、自動車分野の共同開発は進んでいた一方、建築分野には実績が無かった。手続きは英国裁判所の認可を経て、2006年6月16日に完了した。
- 日本板硝子 ニュースリリース「英国ピルキントン社の買収手続き開始について」(2006年2月27日)
- [1]2006年2月27日、約20%を出資する英ピルキントン社の全株式取得に向けた買収手続きの開始を決議した
- [2]買収価格は1株165ペンス(約340円)、既保有分を除く買収総額は約18億ポンド(約3,585億円)、既存有利子負債の借り換えや諸経費を含む所要資金は総額約30億ポンド(約6,160億円)であった
- [3]資金は英国での新規銀行借入約3,180億円、日本での新規銀行借入450億円、無担保転換社債型新株予約権付社債1,100億円、手元資金・有価証券売却約889億円などで調達する計画であった
- [4]板ガラス市場の売上高世界シェアはピルキントン社約11%、日本板硝子約4%で、統合後は約14%と推定した
- 日本板硝子 2006年7月6日説明会 主なQ&A
- [5]自動車分野では以前から共同開発を行っていたが、建築分野では実績がなく、20%出資の段階では限界があったと説明した
- 日本板硝子 有価証券報告書 第141期(2007年3月期)【企業結合等関係】
- [6]スキーム・オブ・アレンジメントによる買収手続きは2006年6月16日の英国裁判所の最終認可をもって完了した
2006年11月には、2007年4月からの4カ年の中期経営計画を発表した。最終年度の2011年3月期に売上高9000億円、営業利益550億円を目標とし、2006年3月期の売上高2659億円から3倍を超える規模を見込んでいる。2007年度から10年間を3段階に分け、第1段階は財務の健全性を取り戻しながら生産性と品質で競合との差をつける期間と位置づけた。配当より借入れの削減を優先する方針も、買収直後の説明会で示している。同月の説明会では、欧州の建築用ガラスの需給が引き締まり、稼働率が85%を超えていると答えた。買収初年度の業績は想定を上回ったが、財務の回復を第1段階の目標に掲げた時点で、借入れの重さは経営の前提になっていたとみられる。
- 日本板硝子 ニュースリリース「新中期経営計画(2007年4月〜2011年3月)の策定について」(2006年11月21日)
- [7]2006年11月21日に2007年4月から始まる4カ年の新中期経営計画を策定・公表した
- [8]2011年3月期の目標は売上高9,000億円、営業利益550億円、当期利益310億円、ROE6%以上で、2006年3月期実績は売上高2,659億円、営業利益84億円であった
- [9]2007年度から2016年度までを3段階に分け、第1段階(4年間)は財務の健全性を回復させつつ生産性・品質の向上に重きを置き他社との差別化を図るとした
- 日本板硝子 2006年7月6日説明会 主なQ&A
- [10]配当については当面は借入削減を優先すると説明した
- 日本板硝子 2006年11月21日説明会 主なQ&A
- [11]欧州ではドイツ・東欧・ロシアなどで建築用ガラスの需給が非常にタイトで、稼働率は85%を超えていた
統合は組織から進み、2007年4月に建築用と自動車用を合わせた世界一体の板ガラス事業を設け、同年10月には情報電子とガラス繊維もその組織へ統合した。同時にCEOとCOOの職を新設し、藤本勝司社長がCEOに、ピルキントン社出身のスチュアート・チェンバース副社長がCOOに就任している。2008年6月には藤本勝司氏が取締役会長へ移り、チェンバース氏が社長兼CEOとなった。同じ月に委員会設置会社へ移行し、執行と監督を分けた。買収した側の社長が会長に退き、買収された側の幹部が執行の頂点に立つ人事である。
- 日本板硝子 ニュースリリース「CEO・COOの設置及び代表取締役の異動について」(2007年9月27日)
- [12]2007年4月1日付で建築用と自動車用から成る統合グローバルフラットグラス事業を設置し、同年10月1日付で情報電子とガラス繊維から成る機能性ガラス材料事業も統合した
- [13]2007年10月1日付でCEOとCOOを新設し、藤本勝司が社長兼CEO、スチュアート・チェンバースが副社長兼COOに就任した
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動に関するお知らせ」(2009年8月26日)
- [14]藤本勝司は2008年6月に取締役会長となり、チェンバースが代表執行役社長兼CEOを務めた
- 日本板硝子 有価証券報告書 第160期(2026年3月期)【沿革】
- [15]2008年に委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)へ移行した
参考文献[1]-[15]
- 日本板硝子 ニュースリリース「英国ピルキントン社の買収手続き開始について」(2006年2月27日)
- [1]2006年2月27日、約20%を出資する英ピルキントン社の全株式取得に向けた買収手続きの開始を決議した
- [2]買収価格は1株165ペンス(約340円)、既保有分を除く買収総額は約18億ポンド(約3,585億円)、既存有利子負債の借り換えや諸経費を含む所要資金は総額約30億ポンド(約6,160億円)であった
- [3]資金は英国での新規銀行借入約3,180億円、日本での新規銀行借入450億円、無担保転換社債型新株予約権付社債1,100億円、手元資金・有価証券売却約889億円などで調達する計画であった
- [4]板ガラス市場の売上高世界シェアはピルキントン社約11%、日本板硝子約4%で、統合後は約14%と推定した
- 日本板硝子 2006年7月6日説明会 主なQ&A
- [5]自動車分野では以前から共同開発を行っていたが、建築分野では実績がなく、20%出資の段階では限界があったと説明した
- [10]配当については当面は借入削減を優先すると説明した
- 日本板硝子 有価証券報告書 第141期(2007年3月期)【企業結合等関係】
- [6]スキーム・オブ・アレンジメントによる買収手続きは2006年6月16日の英国裁判所の最終認可をもって完了した
- 日本板硝子 ニュースリリース「新中期経営計画(2007年4月〜2011年3月)の策定について」(2006年11月21日)
- [7]2006年11月21日に2007年4月から始まる4カ年の新中期経営計画を策定・公表した
- [8]2011年3月期の目標は売上高9,000億円、営業利益550億円、当期利益310億円、ROE6%以上で、2006年3月期実績は売上高2,659億円、営業利益84億円であった
- [9]2007年度から2016年度までを3段階に分け、第1段階(4年間)は財務の健全性を回復させつつ生産性・品質の向上に重きを置き他社との差別化を図るとした
- 日本板硝子 2006年11月21日説明会 主なQ&A
- [11]欧州ではドイツ・東欧・ロシアなどで建築用ガラスの需給が非常にタイトで、稼働率は85%を超えていた
- 日本板硝子 ニュースリリース「CEO・COOの設置及び代表取締役の異動について」(2007年9月27日)
- [12]2007年4月1日付で建築用と自動車用から成る統合グローバルフラットグラス事業を設置し、同年10月1日付で情報電子とガラス繊維から成る機能性ガラス材料事業も統合した
- [13]2007年10月1日付でCEOとCOOを新設し、藤本勝司が社長兼CEO、スチュアート・チェンバースが副社長兼COOに就任した
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動に関するお知らせ」(2009年8月26日)
- [14]藤本勝司は2008年6月に取締役会長となり、チェンバースが代表執行役社長兼CEOを務めた
- 日本板硝子 有価証券報告書 第160期(2026年3月期)【沿革】
- [15]2008年に委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)へ移行した
2009年〜金融危機後の欧州減産と外国人社長2代の交代
2008年の金融危機で欧州の需要は30%以上失われ、日本板硝子は欧州で大規模な事業の縮小に踏み切った。2009年5月の時点で、フィンランドの1窯を閉じ、イタリアのベニスの1窯を生産停止とし、英国の1窯の再稼働を延ばしており、合わせて欧州の生産能力の20%にあたる。同じ説明会では、欧州の建築用ガラスを約30%値上げすると表明した。2009年3月期の当期純損失は284億円、2010年3月期は413億円となった。資本の手当てとして、2009年夏にUDS系の投資事業組合へ300億円のA種優先株式を割り当て、金融機関から475億円の長期資金を借り入れている。
- 日本板硝子 2020年3月期通期決算に関する主なご質問(2020年5月22日)
- [16]リーマン・ショックや欧州債務危機の時期には欧州で30%以上の需要が消失し、大きなリストラを実施した
- 日本板硝子 2009年3月期決算説明会 主な質疑(2009年5月20日)
- [17]フィンランドの1窯を閉鎖、イタリア・ベニスの1窯を生産停止、英国の1窯の再稼働を延期し、欧州の生産能力の20%に相当した
- [18]欧州での建築用ガラスを約30%値上げすることを表明した
- 日本板硝子 有価証券報告書 第144期(2010年3月期)
- [19]連結当期純損失は2009年3月期28,392百万円、2010年3月期41,313百万円であった
- 日本板硝子 ニュースリリース「優先株式発行および資金調達の状況について」(2009年8月10日)
- [20]UDSコーポレート・メザニン投資事業有限責任組合などへの第三者割当で300億円のA種優先株式を発行し、2009年7〜8月に総額475億円の長期資金を調達した
社長兼CEOのチェンバース氏は、家庭の事情を理由に2009年9月末で退任し、藤本勝司会長が社長兼CEOへ戻った。後任には、米デュポンに1970年に入社し、アジア太平洋や電子・情報技術の部門を率いたクレイグ・ネイラー氏を外から迎え、2010年6月に社長兼CEOへ据えた。ネイラー社長は全社の戦略を見直したうえで、2010年11月に2014年3月期までの戦略的経営計画(SMP)を発表した。目標には、ネット借入れをEBITDAの4.5倍から3倍未満へ下げ、EBITA利益率を5%から10%超へ上げることを並べた。投資の重点は太陽電池用ガラス、南米、東欧などの新興市場に置いている。
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動に関するお知らせ」(2009年8月26日)
- [21]チェンバースは家庭の事情により2009年9月末日で代表執行役社長兼CEOを退任し、10月1日付で藤本勝司取締役会長が後任に就いた
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役及び取締役の異動に関するお知らせ」(2010年4月15日)
- [22]1970年に米デュポンへ入社し、アジア太平洋地区担当上席副社長や電子・情報技術部門担当上席副社長を務めたクレイグ・ネイラーが、2010年6月29日付で取締役代表執行役社長兼CEOに就任する予定とされた
- 日本板硝子 ニュースリリース「戦略的経営計画(SMP)について」(2010年11月4日)
- [23]新CEOクレイグ・ネイラーの下で数カ月の戦略レビューを経て、2012年3月期〜2014年3月期の戦略的経営計画(SMP)を策定した
- [24]SMPの財務目標はEBITA利益率5%から10%超、ネット借入/EBITDA 4.5倍から3倍未満、ROEゼロから10%台前半であった
- [25]SMPの優先投資分野は建築用ガラスで太陽電池用ガラス・Low-Eガラス・南米、自動車用ガラスで南米・東欧・メキシコであった
SMPの2年目、欧州市場の悪化と太陽電池用ガラスの数量不足を受け、2012年2月に売上高見通しを5600億円へ下げた。同時に、間接部門を中心にグループで3500人を減らし、設備投資を2年間は償却費の水準に抑える収益改善策を打ち出した。2012年4月にはネイラー氏が社長兼CEOを退き、情報電子の出身で改善策を率いていた吉川恵治副社長が後を継いだ。交代の狙いは、すでに着手していた改善策の速度を上げ、業績の回復を早めることにあった。翌月の説明会では、改善策の実行期間を約3年から2年程度に縮める方針を示している。外部から招いた社長が2代続けて任期半ばで去り、執行の主導権は日本の生え抜きへ戻った。
- 日本板硝子 2012年3月期第3四半期 連結決算説明資料(2012年2月2日)
- [26]ソーラー用ガラスの数量が見込みを大きく下回り欧州市場が悪化したため、2012年3月期の売上見通しを5,600億円に修正した
- [27]間接人員を中心にグループ全体で3,500名の削減、向こう2年間の設備投資を有形資産償却費レベルに抑制する収益性改善施策を発表した
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動(社長兼CEOの選任等)について」(2012年4月18日)
- [28]2012年4月18日付でクレイグ・ネイラーが代表執行役社長兼CEOを退任し、情報電子カンパニー出身でCPMOを務めていた吉川恵治が社長兼CEOに就任した
- [29]異動の理由は、収益改善施策のスピードを速め早期の業績回復を目指すためとされた
- 日本板硝子 2012年3月期決算説明会 主な質疑項目(2012年5月10日)
- [30]リストラ施策の実行期間を約3年から2年程度に短縮する方針を示した
参考文献[16]-[30]
- 日本板硝子 2020年3月期通期決算に関する主なご質問(2020年5月22日)
- [16]リーマン・ショックや欧州債務危機の時期には欧州で30%以上の需要が消失し、大きなリストラを実施した
- 日本板硝子 2009年3月期決算説明会 主な質疑(2009年5月20日)
- [17]フィンランドの1窯を閉鎖、イタリア・ベニスの1窯を生産停止、英国の1窯の再稼働を延期し、欧州の生産能力の20%に相当した
- [18]欧州での建築用ガラスを約30%値上げすることを表明した
- 日本板硝子 有価証券報告書 第144期(2010年3月期)
- [19]連結当期純損失は2009年3月期28,392百万円、2010年3月期41,313百万円であった
- 日本板硝子 ニュースリリース「優先株式発行および資金調達の状況について」(2009年8月10日)
- [20]UDSコーポレート・メザニン投資事業有限責任組合などへの第三者割当で300億円のA種優先株式を発行し、2009年7〜8月に総額475億円の長期資金を調達した
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動に関するお知らせ」(2009年8月26日)
- [21]チェンバースは家庭の事情により2009年9月末日で代表執行役社長兼CEOを退任し、10月1日付で藤本勝司取締役会長が後任に就いた
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役及び取締役の異動に関するお知らせ」(2010年4月15日)
- [22]1970年に米デュポンへ入社し、アジア太平洋地区担当上席副社長や電子・情報技術部門担当上席副社長を務めたクレイグ・ネイラーが、2010年6月29日付で取締役代表執行役社長兼CEOに就任する予定とされた
- 日本板硝子 ニュースリリース「戦略的経営計画(SMP)について」(2010年11月4日)
- [23]新CEOクレイグ・ネイラーの下で数カ月の戦略レビューを経て、2012年3月期〜2014年3月期の戦略的経営計画(SMP)を策定した
- [24]SMPの財務目標はEBITA利益率5%から10%超、ネット借入/EBITDA 4.5倍から3倍未満、ROEゼロから10%台前半であった
- [25]SMPの優先投資分野は建築用ガラスで太陽電池用ガラス・Low-Eガラス・南米、自動車用ガラスで南米・東欧・メキシコであった
- 日本板硝子 2012年3月期第3四半期 連結決算説明資料(2012年2月2日)
- [26]ソーラー用ガラスの数量が見込みを大きく下回り欧州市場が悪化したため、2012年3月期の売上見通しを5,600億円に修正した
- [27]間接人員を中心にグループ全体で3,500名の削減、向こう2年間の設備投資を有形資産償却費レベルに抑制する収益性改善施策を発表した
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動(社長兼CEOの選任等)について」(2012年4月18日)
- [28]2012年4月18日付でクレイグ・ネイラーが代表執行役社長兼CEOを退任し、情報電子カンパニー出身でCPMOを務めていた吉川恵治が社長兼CEOに就任した
- [29]異動の理由は、収益改善施策のスピードを速め早期の業績回復を目指すためとされた
- 日本板硝子 2012年3月期決算説明会 主な質疑項目(2012年5月10日)
- [30]リストラ施策の実行期間を約3年から2年程度に短縮する方針を示した
2014年〜付加価値品への転換と債務の株式化による上場からの退出
2014年5月、日本板硝子は付加価値の高い製品へ経営資源を集める「VAガラスカンパニー」を長期の戦略ビジョンに掲げた。2018年3月期までの中期経営計画では、ネット借入れを3791億円から3000億円へ減らし、営業利益を224億円から600億円へ伸ばすとした。2020年にはコロナ禍で需要が落ち、欧州の自動車用ガラスでのれんと無形資産の減損を計上し、千葉とマレーシアの窯の休止も決めている。2021年5月には、2024年3月期までの3年間を構造改革の期間とする「リバイバル計画24」を公表した。世界で2000人を超える人員削減を進め、2021年3月末の自己資本比率は7.6%まで下がった。
- 日本板硝子 ニュースリリース「NSGグループ長期戦略ビジョン及び中期経営計画について」(2014年5月15日)
- [31]2014年5月15日、高付加価値(VA)製品の開発と拡販に経営資源を注力するVAガラスカンパニーへの変革を戦略ビジョンとして設定した
- [32]2018年3月期の目標はネット借入3,000億円(2014年3月期3,791億円)、営業利益600億円(同224億円)、売上高6,700億円以上であった
- 日本板硝子 2020年3月期通期決算に関する主なご質問(2020年5月22日)
- [33]2020年3月期に欧州などの自動車用ガラス事業でのれん・無形資産の減損を計上し、建築用ガラス事業のアジアで千葉とマレーシアの窯の休止を決定した
- 日本板硝子「2021年3月期通期決算および新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」」(2021年5月13日)
- [34]2021年5月13日、2024年3月までの3年間を構造改革期とする新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」を公表した
- [35]グローバルで2,000人超の人員削減を計画通り進め、2021年3月末の自己資本比率は7.6%であった
2023年3月期の第2四半期には、ピルキントン買収で生じたのれんと無形資産のうち、欧州の自動車用ガラス事業の分について488億円の減損損失を計上している。同期は営業利益348億円の増益を確保しながら、純損失は338億円となり、自己資本比率は10.2%に下がった。2024年5月の中期経営計画「2030 Vision:Shift the Phase」では、2027年3月期に営業利益640億円を掲げ、太陽電池パネル用ガラスの窯を4基から6基へ増やす想定を置いている。A種種類株式の償還は、有利子負債の返済を優先したあとで判断するとした。2026年3月期の時点で、この2027年3月期の目標の達成は極めて厳しい状況にあった。
- 日本板硝子「2023年3月期通期決算概要」(2023年5月12日)
- [36]2023年3月期第2四半期に、欧州の自動車用ガラス事業についてピルキントン買収に伴うのれん・無形資産の減損損失488億円を個別開示項目に計上した
- [37]2023年3月期の営業利益は348億円(前年度比74.2%増)、純損失は338億円、自己資本比率は10.2%であった
- 日本板硝子 中期経営計画「2030 Vision:Shift the Phase」説明会に関する主なご質問(2024年5月13日)
- [38]2027年3月期の営業利益640億円を財務目標とし、太陽電池パネル用ガラスの生産窯は2024年3月期の4窯から2027年3月期に6窯へ増える想定とした
- [39]当面は有利子負債の返済を優先し、A種種類株式の償還は金融費用が低下した段階で総合的に判断するとした
- 日本板硝子 2026年3月期決算短信(2026年5月11日)
- [40]2027年3月期の財務目標(営業利益640億円、有利子負債4,420億円、自己資本比率15%など)について、その達成は極めて厳しい状況とした
2026年3月24日、日本板硝子はアポロ系の投資ファンドが持つ特別目的会社Lumina Japan Acquisitionに、総額約1650億円の新株を第三者割当で発行すると決めた。割当先は議決権の72.07%を握り、残る株主には株式併合で1株500円の金銭を渡して、上場を廃止する。三井住友銀行など4行も1400億円を出資し、その資金で同額の借入れを返す擬似DESを組み合わせた。過去5年の最終赤字は累計約284億円にのぼり、2026年3月末までに返済期限を迎える1000億円超の借入れは、現在の資本構成のままでは借り換えも容易でなかった。ピルキントン買収で負った借入れを20年かけても返しきれず、最後は資本の注入と引き換えに株式市場から退出した。
- 日本板硝子 2026年3月期決算短信(2026年5月11日)
- [41]2026年3月24日の取締役会で、Apollo系ファンドが保有する特別目的会社Lumina Japan Acquisition株式会社を割当先とする払込総額約1,650億円の第三者割当による普通株式の発行を決議した
- 日本板硝子 有価証券報告書 第160期(2026年3月期)【重要な契約等】【追加情報】
- [42]割当予定先は議決権の72.07%を保有する親会社となり、普通株式122,222,222株を1株に併合して割当予定先以外の株主に1株当たり500円の金銭を交付し、普通株式は上場廃止となる見込みとされた
- [43]三井住友銀行・日本政策投資銀行・みずほ銀行・三井住友信託銀行の4行が出資先組合などを通じて1,400億円を払い込み、同額の借入債務を弁済する擬似DESを予定した
- [44]過去5年間で累積約284億円の最終赤字を計上し、2026年3月末までに返済期限を迎える1,000億円超の借入金は現状の資本構成では借り換えを含む返済が容易ではなかった
参考文献[31]-[44]
- 日本板硝子 ニュースリリース「NSGグループ長期戦略ビジョン及び中期経営計画について」(2014年5月15日)
- [31]2014年5月15日、高付加価値(VA)製品の開発と拡販に経営資源を注力するVAガラスカンパニーへの変革を戦略ビジョンとして設定した
- [32]2018年3月期の目標はネット借入3,000億円(2014年3月期3,791億円)、営業利益600億円(同224億円)、売上高6,700億円以上であった
- 日本板硝子 2020年3月期通期決算に関する主なご質問(2020年5月22日)
- [33]2020年3月期に欧州などの自動車用ガラス事業でのれん・無形資産の減損を計上し、建築用ガラス事業のアジアで千葉とマレーシアの窯の休止を決定した
- 日本板硝子「2021年3月期通期決算および新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」」(2021年5月13日)
- [34]2021年5月13日、2024年3月までの3年間を構造改革期とする新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」を公表した
- [35]グローバルで2,000人超の人員削減を計画通り進め、2021年3月末の自己資本比率は7.6%であった
- 日本板硝子「2023年3月期通期決算概要」(2023年5月12日)
- [36]2023年3月期第2四半期に、欧州の自動車用ガラス事業についてピルキントン買収に伴うのれん・無形資産の減損損失488億円を個別開示項目に計上した
- [37]2023年3月期の営業利益は348億円(前年度比74.2%増)、純損失は338億円、自己資本比率は10.2%であった
- 日本板硝子 中期経営計画「2030 Vision:Shift the Phase」説明会に関する主なご質問(2024年5月13日)
- [38]2027年3月期の営業利益640億円を財務目標とし、太陽電池パネル用ガラスの生産窯は2024年3月期の4窯から2027年3月期に6窯へ増える想定とした
- [39]当面は有利子負債の返済を優先し、A種種類株式の償還は金融費用が低下した段階で総合的に判断するとした
- 日本板硝子 2026年3月期決算短信(2026年5月11日)
- [40]2027年3月期の財務目標(営業利益640億円、有利子負債4,420億円、自己資本比率15%など)について、その達成は極めて厳しい状況とした
- [41]2026年3月24日の取締役会で、Apollo系ファンドが保有する特別目的会社Lumina Japan Acquisition株式会社を割当先とする払込総額約1,650億円の第三者割当による普通株式の発行を決議した
- 日本板硝子 有価証券報告書 第160期(2026年3月期)【重要な契約等】【追加情報】
- [42]割当予定先は議決権の72.07%を保有する親会社となり、普通株式122,222,222株を1株に併合して割当予定先以外の株主に1株当たり500円の金銭を交付し、普通株式は上場廃止となる見込みとされた
- [43]三井住友銀行・日本政策投資銀行・みずほ銀行・三井住友信託銀行の4行が出資先組合などを通じて1,400億円を払い込み、同額の借入債務を弁済する擬似DESを予定した
- [44]過去5年間で累積約284億円の最終赤字を計上し、2026年3月末までに返済期限を迎える1,000億円超の借入金は現状の資本構成では借り換えを含む返済が容易ではなかった
2006年〜2026年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 億円 | 利益率 | |||
| 2006年03月期 | 連結 | 2,659 | n/a | n/a | 104 | 78 | 2.9% | n/a |
| 2007年03月期 | 連結 | 6,815 | +156.3% | n/a | 80 | 121 | 1.8% | n/a |
| 2008年03月期 | 連結 | 8,656 | +27.0% | n/a | 304 | 504 | 5.8% | n/a |
| 2009年03月期 | 連結 | 7,394 | ▲14.6% | n/a | ▲123 | ▲284 | ▲3.8% | n/a |
| 2010年03月期 | 連結 | 5,884 | ▲20.4% | n/a | ▲286 | ▲413 | ▲7.0% | n/a |
| 2011年03月期 | 連結 | 5,772 | ▲1.9% | n/a | 77 | 17 | 0.3% | n/a |
| 2012年03月期 | 連結 | 5,522 | ▲4.3% | n/a | n/a | ▲28 | ▲0.5% | n/a |
| 2013年03月期 | 連結 | 5,213 | ▲5.6% | n/a | n/a | ▲343 | ▲6.6% | n/a |
| 2014年03月期 | 連結 | 6,061 | +16.3% | n/a | n/a | ▲166 | ▲2.7% | n/a |
| 2015年03月期 | 連結 | 6,267 | +3.4% | n/a | n/a | 17 | 0.3% | n/a |
| 2016年03月期 | 連結 | 6,292 | +0.4% | n/a | n/a | ▲498 | ▲7.9% | n/a |
| 2017年03月期 | 連結 | 5,808 | ▲7.7% | n/a | n/a | 56 | 1.0% | n/a |
| 2018年03月期 | 連結 | 5,989 | +3.1% | 221 | n/a | 62 | 1.0% | n/a |
| 2019年03月期 | 連結 | 6,128 | +2.3% | 369 | n/a | 133 | 2.2% | n/a |
| 2020年03月期 | 連結 | 5,562 | ▲9.2% | 212 | n/a | ▲189 | ▲3.4% | n/a |
| 2021年03月期 | 連結 | 4,992 | ▲10.2% | 131 | n/a | ▲169 | ▲3.4% | n/a |
| 2022年03月期 | 連結 | 6,006 | +20.3% | 200 | n/a | 41 | 0.7% | n/a |
| 2023年03月期 | 連結 | 7,635 | +27.1% | 348 | n/a | ▲338 | ▲4.4% | n/a |
| 2024年03月期 | 連結 | 8,325 | +9.0% | 359 | n/a | 106 | 1.3% | n/a |
| 2025年03月期 | 連結 | 8,404 | +0.9% | 165 | n/a | ▲138 | ▲1.6% | n/a |
| 2026年03月期 | 連結 | 8,795 | +4.7% | 288 | n/a | 44 | 0.5% | n/a |
出典・参考
23件
- 日本板硝子 ニュースリリース「英国ピルキントン社の買収手続き開始について」(2006年2月27日)
- 日本板硝子 有価証券報告書 第141期(2007年3月期)【企業結合等関係】
- 日本板硝子 ニュースリリース「新中期経営計画(2007年4月〜2011年3月)の策定について」(2006年11月21日)
- 日本板硝子 ニュースリリース「CEO・COOの設置及び代表取締役の異動について」(2007年9月27日)
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動に関するお知らせ」(2009年8月26日)
- 日本板硝子 2009年3月期決算説明会 主な質疑(2009年5月20日)
- 日本板硝子 ニュースリリース「優先株式発行および資金調達の状況について」(2009年8月10日)
- 日本板硝子 有価証券報告書 第144期(2010年3月期)
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役及び取締役の異動に関するお知らせ」(2010年4月15日)
- 日本板硝子 ニュースリリース「戦略的経営計画(SMP)について」(2010年11月4日)
- 日本板硝子 2012年3月期第3四半期 連結決算説明資料(2012年2月2日)
- 日本板硝子 ニュースリリース「代表執行役の異動(社長兼CEOの選任等)について」(2012年4月18日)
- 日本板硝子 2012年3月期決算説明会 主な質疑項目(2012年5月10日)
- 日本板硝子 ニュースリリース「NSGグループ長期戦略ビジョン及び中期経営計画について」(2014年5月15日)
- 日本板硝子 有価証券報告書 第160期(2026年3月期)【沿革】
- 日本板硝子 2026年3月期決算短信(2026年5月11日)
- 日本板硝子 有価証券報告書 第160期(2026年3月期)【重要な契約等】【追加情報】
- 日本板硝子 2006年7月6日説明会 主なQ&A
- 日本板硝子 2006年11月21日説明会 主なQ&A
- 日本板硝子 2020年3月期通期決算に関する主なご質問(2020年5月22日)
- 日本板硝子「2021年3月期通期決算および新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」」(2021年5月13日)
- 日本板硝子「2023年3月期通期決算概要」(2023年5月12日)
- 日本板硝子 中期経営計画「2030 Vision:Shift the Phase」説明会に関する主なご質問(2024年5月13日)