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海外撤退

海外からの撤退は、損失として決算に現れる仕組みが整うまで、経営の議題になりにくかった。東京海上HDは1894年、ロンドンの引受損失を払込資本金の半額切り捨てで処理し、引受量より危険の選別を優先した。戦後も撤退は個別の判断にとどまる。大丸は奥田務氏のもとで海外百貨店から撤退し、三菱地所は米ロックフェラーグループへの出資から5年で退いている。これを一変させたのが2000年代の減損会計である。撤退はのれんの減損損失とセグメント区分の消滅として決算に現れ、日本郵政は豪トール買収で巨額の減損を計上し、トクヤマはマレーシアの多結晶シリコン事業を全株譲渡した。第一三共は印ランバクシーの子会社化を解消、三菱UFJFGはユニオンバンクを売却、電通グループは英イージス買収の減損でM&A路線を転換している。撤退の遅れは減損の額で値付けされ、進出の可否と同じ重さで問われる。

財務諸表のどこを見るか

損益計算書の特別損失を起点にする。事業整理損・関係会社株式売却損・減損損失のどれで処理したかによって、撤退が売却か清算か減損かに分かれる。減損なら注記で資産グループの単位と回収可能価額の算定方法を読み、割引率と将来キャッシュ・フローの前提が前期からどう動いたかを確かめる。セグメント情報は前期と並べ、区分そのものが消えていないかを見る。連結範囲の変更に関する注記では除外された子会社名と事由を追い、為替換算調整勘定の損益への振り替えも押さえる。

2020年代

2026年 ホンダ 脱エンジン宣言の撤回 2040年目標の事実上の取り下げと、上場来初の最終赤字 2025年 亀田製菓 MGCの全株式譲渡 保有していた米国子会社 Mary's Gone Crackers からの撤退 2024年 電通G イージス買収の巨額減損 海外事業(電通インターナショナル)の巨額減損とM&A路線の転換 2024年 メルカリ 米国縮小とメルカリ ハロ投入 海外の拡大に区切りをつけ、成長の軸を国内へ戻す転換 2024年 コーセーHD 小林一俊の中国事業整理 中国生産子会社の持分譲渡と、在庫処分・店舗整理 2024年 ヤマハ 国内製造子会社の吸収合併 生産機能の国内集約 2023年 住友ファーマ ラツーダ特許切れで北米半減 総額1,809億円の減損計上と、北米人員半減・パイプライン圧縮による構造改革 2022年 関西ペイント アクゾへのアフリカ事業譲渡撤回 いったん公表した事業譲渡の白紙撤回と、対象事業の手元への残留 2022年 ANYCOLOR インド事業を休止 海外4極から2極への絞り込みと、インドネシア・韓国グループの本体統合 2022年 三菱UFJFG ユニオンバンク売却 MUFG——米西海岸リテールからの撤退と法人取引への集中 2021年 ホンダ スウィンドン工場の閉鎖 英国欧州完成車生産からの全面撤退 2020年 GMOペイメントゲートウェイ MACROKIOSKからの撤退 マレーシアで抱えた子会社の全株式譲渡と海外事業の整理

2010年代

2019年 アリアケジャパン 米子会社をKerryへ譲渡 現地子会社の全株式売却による米国市場からの撤退 2019年 日立製作所 「ホライズンプロジェクト」撤退 英国での原発事業の凍結と、海外原発路線の断念 2019年 リロG BGRSの買収と撤退 グローバルリロケーション事業への参入と、5年での撤退 2017年 トクヤマ OCIへ全株譲渡し撤退 マレーシアの多結晶シリコン事業の減損確定と完全撤退 2015年 ラクス Rigniteの譲渡撤退 米国子会社の全株式売却によるSNSマーケティング事業の打ち切り 2015年 デンカ DuPont事業の譲受 三井物産との共同出資によるクロロプレンゴム事業の取り込みと、米国合弁会社の設立 2015年 第一三共 ランバクシー子会社化解消 複眼経営を捨て、がんに絞る——中山讓治氏の選択と集中 2015年 日本郵政 豪トールを買収 国際物流への進出と、そのつまずきとしての巨額減損 2015年 IDOM 豪州新車ディーラー撤退 マルチブランド展開への参入と、7年で下した全面撤退の判断 2014年 豊田合成 独メテオール社の資産譲受 シーリング事業の欧州拡張と、5年後の連結除外 2013年 ガンホー・オンライン・エンターテイメント Supercellの買収 ソフトバンクとの共同出資による取り込みと、1年後の売却 2012年 ポーラ・オルビスHD 豪ジュリークの買収 化粧品会社の取り込みによる、初の本格的な海外M&Aへの踏み出し 2011年 住友金属鉱山 シエラゴルダ鉱山を譲渡 チリでの権益取得から、二度の減損を経た全持分の売却までの撤退

2000年代

1990年代

1980年代

1950年代

1900年代

1890年代

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