エーザイ 欧州統括会社Eisai Europeの設立 拡大EUへの自社販売網の展開と、欧州内の資金を集約する持株会社機能を併せ持つ英国拠点の創設

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時期 2004年10月
当時の社長 内藤晴夫
論点 欧州での自社販売体制の構築と地域統括
何をなぜ決めたか
概要

2004年10月、エーザイは英国に欧州統括・持株会社Eisai Europe Limitedを設立した。狙いは拡大したEUの新市場への進出を速めることにあり、欧州全体のマネジメント体制を強め、マーケティング戦略の立案で意思決定を速める。持株会社の機能を併せ持たせたことで、欧州内の資金を効率よく回せるようにした。同社は現在も議決権100%の子会社で、資本金は184,138千英ポンド、事業は欧州統括・持株会社と医薬品の販売である。

背景

欧州への足がかりは1988年の英国子会社に始まり、1989年にドイツ、1996年にフランスへ販売子会社を置いた。1997年にアリセプト、1998年にパリエットを欧州で発売し、2001年3月期には英独仏の3販売会社の合計で初めて黒字を計上する。欧州の営業利益は前期の△998百万円から623百万円へ転じ、3か国に独自の営業基盤を築く初期の目標を果たした。2005年3月期の欧州の売上高は383億円で、うちアリセプトが272億円を占めていた。

内容

統括会社の設立と前後して、2004年3月にエラン社から北米・欧州のゾネグランの製造・開発・販売権を取得し、2005年にはイタリア・スイス・スウェーデンに販売子会社を、オーストリアとアイルランドに拠点を置いた。ゾネグランは2005年6月に欧州で発売し、拡大EUへ進む中核製品に据えた。 2006年1月には、ロンドン北部ハットフィールドに研究・臨床開発・生産・販売・欧州統括を集める戦略拠点の用地について覚書を結ぶ。総投資額は土地代を含め約150億円を見込み、拠点は2009年6月に本格稼働した。

含意

欧州の稼ぎはEMEA医薬品事業として開示され、2026年3月期の売上収益は815億円、セグメント利益は構造改革の影響で前期比15.4%減の304億円であった。品目ではレンビマ/Kisplyxが492億円、フィコンパが173億円に達し、レケンビも各国で発売が進む。 2026年10月2日、エーザイはEisai Europe Ltd.から剰余金の配当150百万ポンドを受け取ることを決めた。2027年3月期の個別決算で受取配当金約312億円を営業外収益に計上し、連結業績への影響はない。

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筆者の見解
筆者の見解

持株会社に溜めた欧州の稼ぎ

この決断は、販売子会社を一つ増やした話ではなく、欧州を国の寄せ集めから一つの事業単位へ置き直した判断だったと思われる。英独仏の3社が黒字に届いたのが2001年3月期で、統括会社はその3年半後に置かれた。持株会社の機能を持たせたのは、各国の利益を英国に集め、次の国への進出や拠点の建設に回すためだろう。ハットフィールドの約150億円の拠点も、この器があって初めて欧州の資金で組めたとみられる。

もっとも、器が実を結ぶまでには時間がかかった。2010年3月期の欧州の売上高は507億円で、連結の6%ほどにとどまる。稼ぎ手が育ったのはレンビマやフィコンパが出そろった後で、2026年3月期のセグメント利益は304億円に達した。同じ年に受け取る配当312億円は、ほぼ1年分の利益に当たる。20年余り前に置いた持株会社が、欧州で溜めた資金を本社へ戻す経路として働き始めたことになる。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
欧州の売上高と連結売上高(所在地別)

エーザイ:欧州の売上高と連結売上高(所在地別)

(億円) 欧州売上高連結売上高 備考
2000年3月期 1153,025 外部顧客に対する売上高。欧州の営業損失は998百万円
2001年3月期 1433,617 英独仏の3販売会社の合計で初の黒字。営業利益623百万円
2002年3月期 2114,317
2003年3月期 2734,666
2004年3月期 3485,002 エラン社から北米・欧州のゾネグランの権利を取得
2005年3月期 3835,330 2004年10月にEisai Europe Ltd.を設立。アリセプト272億円
2006年3月期 4556,013 2005年6月にゾネグランを欧州で発売
2007年3月期 5486,741
2008年3月期 5447,343
2009年3月期 5107,817
2010年3月期 5078,032 欧州医薬品事業の区分では495億円
欧州の売上高と連結売上高に占める比率
欧州売上高(億円)欧州売上高率(%)

出所:エーザイ アニュアルレポート2011(連結財務ハイライト) / エーザイ アニュアルレポート2001(所在地別セグメント情報)

EMEA医薬品事業の売上収益とセグメント利益

エーザイ:EMEA医薬品事業の売上収益とセグメント利益

(百万円) 売上収益セグメント利益 備考
2016年3月期 41,33110,330
2017年3月期 37,82512,514
2018年3月期 44,29815,442
2019年3月期 49,79319,743
2020年3月期 53,65122,990
2021年3月期 55,24025,695
2022年3月期 59,33940,931 翌期の有報の前期欄では利益30,137に組替
2023年3月期 72,15941,553 レンビマ/Kisplyx 309億円、ハラヴェン136億円
2024年3月期 75,98941,976 翌期の有報の前期欄では利益35,611に組替
2025年3月期 79,39735,938 2024年10月に英国でレケンビを発売
2026年3月期 81,53230,412 構造改革の影響で減益。レンビマ/Kisplyx 492億円
EMEA医薬品事業の売上収益とセグメント利益率
売上収益(百万円)セグメント利益率(%)

出所:エーザイ 有価証券報告書 第104期〜第114期【セグメント情報】(各期の当期欄・IFRS)

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参考文献
出典・参考

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