RS Technologies 山東有研RS半導体材料の完全子会社化 持分法適用の12インチウェーハ合弁を中国の上場子会社へ株式交換で統合し、大口径プライムウェーハの経営を一体化する選択

更新:

時期 2026年9月
論点 中国の12インチプライムウェーハ事業の経営体制の一体化
何をなぜ決めたか
概要

2026年9月11日、RS Technologiesの取締役会と、連結子会社・有研半導体硅材料股份公司(北京市)の董事会は、持分法適用会社の山東有研RS半導体材料有限公司(徳州市)を完全子会社にする株式交換を決議した。有研半導体硅材料が株式交換完全親会社になり、山東有研RSの株式の一部は現金で取得し、残りを株式交換で取得する。異動は2027年の予定で、上海証券取引所の審査通過と中国証券監督管理委員会の登録同意が前提となる。

背景

山東有研RSは2020年3月に設立され、同年7月にRS Technologiesが出資して持分法適用会社とした。有研科技集団と徳州匯達半導体股権投資基金、徳州市政府を加えた4者の合弁で、12インチのプライムウェーハとテストウェーハを作る。一方、8インチ以下を手がける山東有研半導体材料有限公司は2018年8月に設立された連結子会社(議決権の85.0%)で、同じ徳州市に別の会社として並んでいた。

内容

目的に挙げたのは、プライムウェーハ事業の経営体制の一体化である。経営管理と意思決定の効率化に加え、調達・生産・販売のシナジー、顧客基盤の相互活用、サプライチェーンの強化を掲げた。割当ての内容と対価の額は確定しておらず、独立した第三者算定機関の評価を参考に協議する。山東有研RSの株主は、徳州匯達半導体股権投資基金が43.8%、有研科技集団有限公司が28.1%、有研半導体硅材料が28.1%である。

含意

山東有研RSの売上高は2023年12月期の62百万元から2025年12月期の208百万元へ3倍超に伸びたが、営業損失は3期とも201百万元から219百万元の規模にあり、純損失は168百万元に及ぶ。立ち上げ期の12インチ量産の損失を、利益を出す8インチ以下の事業と同じ連結へ取り込む決断になる。RS Technologiesの持分法による投資損失は2025年12月期に1,082百万円まで膨らんでおり、連結後は持分法の損失が営業損益の側へ移る。

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筆者の見解
筆者の見解

損失を抱えた合弁を、上場子会社の中で引き受ける

この株式交換は、拡張の新しい一歩というより、すでに育ててきた合弁の負担を誰の帳簿で持つかの組み替えであるように読める。山東有研RSはRS Technologiesにとって28.1%を間接に持つだけの持分法適用会社で、損失は持分の範囲でしか入らなかった。完全子会社にすれば12インチの立ち上げ費用は連結の営業損益へ直接入るが、同じ徳州市で8インチ以下を作る山東有研半導体材料と経営を一体にし、調達や顧客をまたいで使えるようになる。持分法の損失が1,082百万円まで膨らんだ今、帳簿の外に置くより内側で管理するほうが合理的だと判断したのだろう。

もっとも、足元の数字は重い。山東有研RSは売上高が3倍超になっても3期連続で200百万元前後の営業損失を出しており、黒字化の時期は臨時報告書に書かれていない。割当ての内容も対価の額も未定で、上場する有研半導体硅材料が新株を出すとすれば、RS Technologiesの持分は薄まる可能性もあるとみられる。審査通過が前提という条件も含め、12インチの損失を連結で抱え込む決断が報われるかは、2027年以降の量産の立ち上がりにかかっている。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
持分法による投資損失の推移

RS Technologies:持分法による投資損失の推移

(百万円) 持分法による投資損失 備考
2021年12月期 13 営業外費用「その他」から独立掲記へ組み替えた値。千円単位の開示を百万円未満切り捨て
2022年12月期 74
2023年12月期 292
2024年12月期 685
2025年12月期 1,082 4期連続で増え、2021年12月期の80倍超。主要な持分法適用会社は山東有研RS
持分法による投資損失
持分法による投資損失(百万円)

出所:RS Technologies 有価証券報告書 第21期〜第24期(連結損益計算書)

山東有研RS半導体材料の業績

RS Technologies:山東有研RS半導体材料の業績

(百万元) 売上高営業損益当期純損益 備考
2023年12月期 62△118△50
2024年12月期 104△219△162
2025年12月期 208△201△168 売上高は2年で3倍超。営業損失は3期続く

出所:RS Technologies 臨時報告書(2026年9月11日提出)「当該株式交換の相手会社」の最近3年間の業績

プライムシリコンウェーハ製造販売事業(8インチ以下が主。山東有研RSは含まない)

RS Technologies:プライムシリコンウェーハ製造販売事業(8インチ以下が主。山東有研RSは含まない)

(百万円) 売上高セグメント利益セグメント資産 備考
2021年12月期 13,3772,54153,142
2022年12月期 20,6575,99695,788 山東の新工場が稼働し増収。売上高は前期比54.4%増
2023年12月期 17,2583,742100,768 需要減で減収減益
2024年12月期 18,9844,743116,144
2025年12月期 18,7784,159123,166 中国市場の競争による単価低下で、売上高は横ばい、利益は減った
プライムウェーハ事業の売上高と利益率
売上高(百万円)セグメント利益率(%)

出所:RS Technologies 有価証券報告書 第21期〜第24期(セグメント情報等)

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参考文献
出典・参考
  • RS Technologies 臨時報告書「連結子会社の株式交換・特定子会社の異動・連結子会社による子会社取得(2026年9月11日提出)」
  • RS Technologies 有価証券報告書「第24期(2025年12月期)【沿革】【関係会社の状況】【連結損益計算書】【セグメント情報等】」
  • RS Technologies 有価証券報告書「第23期(2024年12月期)【連結損益計算書】【セグメント情報等】」
  • RS Technologies 有価証券報告書「第22期(2023年12月期)【事業の内容】【関係会社の状況】【連結損益計算書】」
  • RS Technologies 有価証券報告書「第21期(2022年12月期)【連結損益計算書】【表示方法の変更】」

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