この決断の核心は、一度限りの入札戦術ではなく、1970年代から積み重ねてきた操業実績と、政府の資源外交が組み合わさって初めて動いた点にあると思われる。仏トタルに次ぐ枠を日本が得た背景には、中韓にはない現地での長年の信頼関係があったとみられ、40年という異例の契約期間は、単発の交渉力ではなく蓄積の結果として読み解ける。資源自主開発比率の引き上げという政府目標と、企業の権益獲得が同じ方向を向いた事例であったといえる。
もっとも、40年という長期権益は、その分だけ資源価格の変動や地政学リスクにも長く晒され続ける。ADCO鉱区の権益構成はその後も中国企業の参入などで変遷しており、資源国の政策や国際情勢が変われば、権益の位置づけも揺れうる。半世紀にわたる操業実績で得た長期契約が、次の半世紀でどのような意味を持つかは、なお資源価格と国際関係の動向にかかっているのだろう。