この一件で問われたのは、保険料の水準そのものよりも、価格を他社と合わせることを異常と感じなくなっていた組織の感覚だっただろう。行政処分の根拠に挙がったのは独占禁止法に抵触すると考えられる行為と、その背景にある態勢上の問題であり、個々の担当者の逸脱ではなく態勢が名指しされた。持株会社が内部統制委員会をグループ監査委員会へ改組したのも、個別の不正を潰すためではなく、各社の再発防止策が実際に回っているかを確かめる機能を取締役会の直下へ置き直す動きだったと読める。
もっとも、慣行の解消がどこまで進んだのかを外から測る手立ては乏しい。課徴金の額は開示されず、業績についても本件を理由とした見直しは行っていないとされたままである。火災保険の元受正味保険料が翌期に9.21%伸びたことは、料率改定が通るようになった証しとも、競争のかたちが変わった証しとも読める。むしろ注目すべきは、再発防止の過程で自ら掘り当てた情報漏えい事案により二度目の命令を受けた経緯のほうだろう。不都合を自分で見つけられる状態には戻りつつある、とみてよいのかもしれない。