カナデビア舶用エンジンの品質不適切行為:特別調査委員会の設置と、6分野へ広がった不正の認定
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- 概要
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2024年7月、舶用エンジン事業を行う連結子会社で不適切行為が行われていたことが判明した。日立造船は17日付でグループから独立した外部有識者による特別調査委員会を設置し、透明性と実効性を確保した調査に入る。結果は2025年3月25日、同年4月30日、同年11月6日の三度にわたって公表され、舶用エンジンのほか可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブにも不適切行為が及んでいた。
会社はこれを本件不適切行為と呼び、6項目の再発防止策を策定して実施している。
- 背景
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掲げた再発防止策は、行為の温床を裏返した形になっている。組織の縦割り化と業務の属人化を防ぐために人事ローテーションを活性化し、長期間ひとりの担当者が同じ業務に従事しない仕組みを構築する。経験の浅い職員でも適切に業務を遂行できるよう、業務プロセスの可視化・標準化を進める。不適合報告の改ざんを防ぐデジタルツールも導入した。
不適切行為が判明した2024年7月から3か月後の同年10月、商号は日立造船からカナデビアへ改まっている。
- 内容
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2025年4月、社長を委員長とするコンプライアンス委員会の下部組織として品質コンプライアンス委員会を設置した。年4回開き、各部門の品質に関係する業務の適切性と是正措置の実施状況をモニタリングして、コンプライアンス委員会へ報告する。品質保証統括部は人員を増強し、品質保証部門と事業部門の責任と権限をISO9001規格に従って再整理した。
経営体制も動いた。指名・報酬諮問委員会は不適切行為に伴う経営体制の見直しを審議し、2025年4月1日付で会長兼CEOであった三野禎男氏が地位を変更、社内取締役は社長兼CEOの1名となった。
- 含意
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費用は2期に分かれて出た。2025年3月期は特別調査委員会等の調査費用と、今後見込まれるNOx規制・CO2規制への対応費用等の見積りで3,567百万円。2026年3月期は顧客対応費用、橋梁の経過観察費用、弁護士費用等で2,711百万円である。
舶用原動機を含む脱炭素化セグメントは、2025年3月期に売上高70,247百万円と伸ばしながらセグメント利益が101百万円まで落ち、2026年3月期は2,467百万円の損失に転じた。全社の売上高が6,452億円と過去最高を更新した期に、この区分だけが逆を向いている。
調査を自分で広げた会社が負ったもの
この案件の芯は、舶用エンジンという一事業の不正そのものよりも、調査の範囲を会社自身が広げた点にあるとみられる。発端は連結子会社1社で、そこで区切って幕を引く道もあった。実際に選んだのはグループから独立した外部有識者だけで委員会を構成することで、結果として可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブまで、主力の環境プラントを含む6分野に不適切行為が認定された。公表が2025年3月から11月まで三度に分かれたのは、調査が終わる前に分かった分から出す形をとったためだろう。
もっとも、範囲を広げた代償は数字に出ている。品質不適切行為関連費用は2期で計上が続き、脱炭素化セグメントは2026年3月期に2,467百万円の損失へ沈んだ。NOx規制・CO2規制への対応費用が見積りに含まれている以上、支出はまだ終わっていない。会長兼CEOの地位変更で経営体制は整理されたが、再発防止策の実効は品質不正再発防止推進室からの報告を取締役会が受け続けるところにしかなく、決着したと言える段階には至っていない。
Yutaka Sugiura, 2026年9月
経緯と対応
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 不適切行為の判明 | 2024年7月 | 舶用エンジン事業を行う連結子会社で行われていたことが判明した |
| 特別調査委員会の設置 | 2024年7月17日 | グループから独立した外部有識者で構成し、透明性と実効性を確保した |
| 調査結果の公表 | 2025年3月25日 | 舶用エンジン以外の事業・製品にも不適切行為があったことが判明した |
| 追加の公表 | 2025年4月30日 | 同じ調査に基づく2度目の公表 |
| さらなる公表 | 2025年11月6日 | 3度目の公表。対象の範囲がここまでで確定した |
| 対象となった事業・製品 | 舶用エンジンほか5分野 | 可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等 |
| 品質不適切行為関連費用 | 3,567百万円 | 2025年3月期。調査費用と、NOx規制・CO2規制への対応費用等の見積り |
| 品質不適切行為関連費用 | 2,711百万円 | 2026年3月期。顧客対応費用、橋梁の経過観察費用および弁護士費用等 |
| 品質不適切行為関連費用引当金 | 1,355百万円 | 2026年3月末の残高。2025年3月末は1,484百万円 |
| 品質コンプライアンス委員会 | 2025年4月に設置 | コンプライアンス委員会の下部組織。年4回開き運営状況を報告する |
| 品質不正再発防止推進室 | 設置 | 再発防止策の実行状況を定期的に取締役会へ報告する |
| 経営体制の見直し | 2025年4月1日 | 会長兼CEOの三野禎男氏が地位を変更し、社内取締役は社長兼CEOの1名へ |
| 国土交通省への報告 | 向島工場の橋梁事業 | 国土交通省への報告と適時開示を取締役会で審議した |
| 再発防止策 | 6項目 | 経営トップのコミットメント、組織風土改革、業務プロセスの改善ほか |
出所:カナデビア 有価証券報告書 第128期(2025年3月期)【対処すべき課題】【事業等のリスク】【連結損益計算書関係】・第129期(2026年3月期)【事業等のリスク】
カナデビア:脱炭素化セグメントの売上高とセグメント利益
| (百万円) | 脱炭素化の売上高 | 脱炭素化のセグメント利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2020年3月期 | − | − | 脱炭素化の区分は2022年3月期から。それ以前は機械・インフラ等に含まれる |
| 2021年3月期 | − | − | |
| 2022年3月期 | 39,889 | 401 | 舶用原動機、脱硝触媒、圧力容器等各種プロセス機器、電解・PtGを含む区分 |
| 2023年3月期 | 46,660 | 413 | |
| 2024年3月期 | 55,257 | 1,805 | |
| 2025年3月期 | 70,247 | 101 | 不適切行為の判明と特別調査委員会の設置がこの期。利益は前期比1,704減 |
| 2026年3月期 | 69,238 | △2,467 | 全社の売上高は6,452億円と過去最高。この区分だけが損失に転じた |
| 2027年3月期 | − | − | 第130期は未到来 |
| 2028年3月期 | − | − | |
| 2029年3月期 | − | − | |
| 2030年3月期 | − | − |
出所:カナデビア 有価証券報告書 第125〜129期(セグメント情報)
カナデビア:品質不適切行為関連費用と引当金
| (百万円) | 品質不適切行為関連費用 | 品質不適切行為関連費用引当金 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2020年3月期 | − | − | 計上は2025年3月期から。引当金の科目もこの期に新設された |
| 2021年3月期 | − | − | |
| 2022年3月期 | − | − | |
| 2023年3月期 | − | − | |
| 2024年3月期 | − | − | |
| 2025年3月期 | 3,567 | 1,484 | 調査費用と、今後見込まれるNOx規制・CO2規制対応費用等を見積もった |
| 2026年3月期 | 2,711 | 1,355 | 顧客対応費用、橋梁の経過観察費用および弁護士費用等 |
| 2027年3月期 | − | − | 第130期は未到来 |
| 2028年3月期 | − | − | |
| 2029年3月期 | − | − | |
| 2030年3月期 | − | − |
出所:カナデビア 有価証券報告書 第128〜129期(連結損益計算書関係・連結貸借対照表)
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