スルガ銀行 クレディセゾンとの資本業務提携 ノジマの持株を買い戻して解いた提携に代わる、ノンバンクのクレディセゾンを15%強の筆頭株主に迎える相互出資

更新:

時期 2023年5月
当時の社長 嵯峨行介
論点 創業家が抜けた後の安定株主と、縮んだ貸出の立て直し
何をなぜ決めたか
概要

2023年5月18日、スルガ銀行の取締役会はクレディセゾンとの資本業務提携契約の締結を決議した。自己株式35,089,000株を1株488円、総額17,123百万円で同社に第三者割当で処分し、発行済株式総数の15.12%を持たせる。同時にクレディセゾンの自己株式8,224,700株(同社発行済株式の4.44%)を15,495百万円で取得した。

払込みは7月3日に完了し、クレディセゾンは同日付で主要株主・筆頭株主・その他の関係会社となった。

背景

創業家との資本関係を2019年10月に解いた同じ月、ノジマが主要株主となった。2019年5月に業務提携の基本合意を、2020年5月に資本業務提携の合意書を結び、2021年3月末の持株は42,854千株(18.49%)に達した。しかし2022年3月9日、スルガ銀行はToSTNeT-3でノジマから43,414千株を17,441百万円で買い取り、ノジマは主要株主でなくなった。家電量販店の顧客接点を生かすはずの提携は2年足らずで資本関係を失い、筆頭株主の席は1年余り空いた。

内容

業務提携の柱は、セゾン支店の設立とクレディセゾンによる銀行代理業の取得、セゾンプラチナ・ビジネスカードの共同事業化、住宅ローン、不動産ファイナンスの4つである。資本面では、クレディセゾンは書面承諾なく議決権の15.9%を超えて買い増さず、スルガ銀行は同社の割合を15.0%未満に下げる行為に承諾を要する。

取締役は相互に1名を推薦でき、推薦された候補は独立社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会の審査を経る。

含意

2026年3月期には、クレディセゾンとのローン・パーティシペーション取引が33,326百万円、同社が保証する住宅ローンが37,813百万円に達した。自己株式の取得で議決権の総数が縮み、同社の議決権比率は19.0%まで上がったため、2025年5月の公開買付けで同社は5,648,100株を応募し、持株は29,440千株(17.19%)に戻った。

同じ分母の縮小で、インダス・キャピタル・パートナーズが2026年7月に議決権の11.15%を持つ主要株主となり、10月に9.98%へ下げて外れている。

いつ何が起きたか 10件
筆者の見解
筆者の見解

株主の席を、業務の相手で埋める

創業家が去った後のスルガ銀行にとって、筆頭株主は単なる資本の出し手ではなく、縮んだ貸出をどこから埋めるかという問いの答えだったと思われる。ノジマとの提携は顧客接点を掲げながら2年足らずで資本関係を失い、17,441百万円の買い戻しで幕を引いた。嵯峨行介社長が次に選んだのは、自らもカードと保証で個人金融を営むクレディセゾンで、相互に株を持ち、議決権を15%台に固める契約を最初から書き込んだ。持株の上下限を契約で縛ったことに、ノジマでの失敗の学習が見て取れる。

もっとも、資本の上限を固めたことは、その後の資本政策の足かせにもなった。自己株式を買えば分母が縮み、クレディセゾンの比率は19.0%まで上がって、公開買付けで5,648,100株を引き取らなければならなかった。同じ縮小がインダス・キャピタル・パートナーズを一時10%超の主要株主に押し上げている。新しい中期経営計画は提携を第5の収益の柱に据えたが、ローン・パーティシペーションは2026年3月期に減っており、提携が貸出の厚みをどこまで戻すかはまだ見えない。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
事業会社の大株主の所有株式数

スルガ銀行:事業会社の大株主の所有株式数

(千株) ノジマクレディセゾン 備考
2019年3月期 11,564− ノジマは第2位で4.99%
2020年3月期 42,854− ノジマが筆頭株主で18.49%
2021年3月期 42,854− ノジマ18.49%
2024年3月期 −35,089 提携を決議した期。7月に払込み、18.19%
2025年3月期 −35,089 自己株式の取得で比率が19.07%に上昇
2026年3月期 −29,440 公開買付けに5,648,100株を応募し17.19%
事業会社の大株主の所有株式数
ノジマ(千株)クレディセゾン(千株)

出所:スルガ銀行 有価証券報告書 第208〜215期(2019年3月期〜2026年3月期)【大株主の状況】 / スルガ銀行 有価証券報告書 第211期(2022年3月期)【関連当事者情報】

経常収益と当期純利益

スルガ銀行:経常収益と当期純利益

(百万円) 経常収益経常利益当期純利益 備考
2019年3月期 139,635△74,342△97,146 業務改善命令を受けた期
2020年3月期 118,00841,76325,324
2021年3月期 99,79123,11321,433
2022年3月期 92,07210,5967,960
2023年3月期 92,40313,26610,576
2024年3月期 91,44720,64115,375 提携を決議した期
2025年3月期 91,09226,15920,177
2026年3月期 109,91235,51834,728 クレディセゾン保証の住宅ローン37,813を受託
経常収益と当期純利益率
経常収益(百万円)当期純利益率(%)

出所:スルガ銀行 有価証券報告書 第211期(2022年3月期)・第215期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】

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参考文献
出典・参考

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