名古屋銀行との経営統合で基本合意(2026年・しずおかFGの決断)

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論点 提携先の地銀を傘下に迎えるか
しずおかFG:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
アライアンスから資本統合へ進む、愛知の地銀との2バンク体制

何をなぜ決めたか:アライアンスから資本統合へ進む、愛知の地銀との2バンク体制

概要

2026年3月27日、しずおかフィナンシャルグループ(FG)と名古屋銀行は、それぞれの取締役会で経営統合に向けた協議・検討を進めることを決議し、基本合意書を結んだ。しずおかFGを完全親会社、名古屋銀行を完全子会社とする株式交換を2028年4月1日を目処に行い、持株会社のもとに静岡銀行と名古屋銀行が並ぶ2バンク体制とする。

株式交換比率はデューディリジェンスと第三者算定機関の株価算定を経て、2027年3月予定の最終契約までに決める。本稿の時点で最終契約は結ばれておらず、比率も統合後の商号も決まっていない。

背景

静岡銀行と名古屋銀行は2022年4月に包括業務提携「静岡・名古屋アライアンス」を結び、2023年6月には総額5億円の「静岡・名古屋アライアンスファンド」を共同で設けた。静岡銀行は名古屋銀行株210,800株を、名古屋銀行はしずおかFG株430,100株を持ち合う。アライアンスの収益効果は目標130億円に対し、4年目終了時点で126億円(5年換算)に達し、進捗率は97%に届いていた。両行の店舗網の重複は限られ、静岡県から首都圏へ広げてきたしずおかFGにとって、愛知県は手薄な市場であった。

内容

統合は両行の上場を一つにまとめる形で、名古屋銀行株は効力発生日に先立ち東京・名古屋の両証券取引所で上場廃止となる予定である。しずおかFGは簡易株式交換で株主総会の承認を省く見込みだが、比率によっては該当しない可能性を残した。米国に一定以上の株主がいるため、Form F-4の登録届出書を米国証券取引委員会へ出す手続きも要る。

両社の社長・頭取を共同委員長とする統合準備委員会を置き、2027年12月に名古屋銀行の臨時株主総会を開く日程を示した。

含意

柴田久社長は統合の決め手に、預金量90兆円規模の愛知県市場と、そこで約10%のシェアを持つ名古屋銀行の顧客基盤を挙げた。愛知県内で静岡銀行が貸出を伸ばすことはあまり想定せず、証券・コンサルティング・不動産投資顧問などグループ会社の機能を名古屋銀行の顧客へ届けて手数料収益を増やす構想を示している。

統合後の利益水準について、柴田久社長は 『統合後の利益水準は両社の単純合算ではなく、1+1 が 3 以上になる姿を目指していきたい』 と語った。もっとも定量的な効果は2027年3月の最終合意の時点で示すとしており、2026年4月に公表した第2次中期経営計画も統合の影響を織り込んでいない。

いつ何が起きたか 7件
当時の取締役 10名

当時の取締役(2025年6月株主総会決議)

考察:預金の厚い銀行を迎える統合
考察

考察:預金の厚い銀行を迎える統合

この統合は、地方銀行どうしの規模の足し算というより、貸出に比べて預金の厚い銀行を傘下に迎える判断と読める。2026年3月期の預貸率は、しずおかFGの91.6%に対し名古屋銀行は80.1%にとどまり、同行の預金は5年で約1.4兆円増えた。柴田久社長が統合の決め手に愛知県の預金量を挙げ、獲得した預金をより採算の高い資産で運用するALMを語っているのは、貸出を伸ばしてきたしずおかFGが資金の調達基盤を広げる意味を重く見ているためだと思われる。

もっとも、基本合意の段階で示されたのは日程と体制の骨格だけで、交換比率も相乗効果の数字もまだ無い。名古屋地区は金利水準が低く、預貸金だけではROEを高めにくいとしずおかFG自身が認めており、グループ会社の手数料収益をどこまで上乗せできるかが統合の値打ちを決めることになる。4年でアライアンスの収益効果126億円を積み上げた実績が、資本を一つにした後にどこまで伸びるのかは、2027年3月の最終契約で示される数字を待つほかない。

Yutaka Sugiura, 2026年10月
数字で見る 3表

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図と表

しずおかFG:名古屋銀行の預金と貸出金

名古屋銀行の預金(百万円)預貸率(%)

名古屋銀行の預金は5年で3.9兆円から5.4兆円へ増え、預貸率は80.1%

しずおかFG:名古屋銀行の預金と貸出金
(百万円) 名古屋銀行の預金名古屋銀行の貸出金 備考
2021年3月期 3,940,6543,164,983 預金は前期末から4,331億円増
2022年3月期 4,027,4173,338,572
2023年3月期 4,281,7183,626,289 4月に静岡銀行と静岡・名古屋アライアンスを締結
2024年3月期 4,513,1313,780,857
2025年3月期 4,790,1833,990,329
2026年3月期 5,381,2074,310,294 3月にしずおかFGと経営統合の基本合意。預金は前期末から5,910億円増
出所:名古屋銀行 有価証券報告書 第103〜108期(2021年3月期〜2026年3月期)(連結貸借対照表)
出所:名古屋銀行 有価証券報告書 第103〜108期(2021年3月期〜2026年3月期)(連結貸借対照表)

しずおかFG:しずおかフィナンシャルグループの預金と貸出金

しずおかFGの預金(百万円)預貸率(%)

しずおかFGの預貸率は2023年3月期の85.8%から91.6%へ上昇

しずおかFG:しずおかフィナンシャルグループの預金と貸出金
(百万円) しずおかFGの預金しずおかFGの貸出金 備考
2023年3月期 11,705,07010,037,128 2022年10月の設立後、最初の期
2024年3月期 11,853,07010,393,864
2025年3月期 11,781,51510,672,814 預金は前期末から716億円減
2026年3月期 12,210,04211,185,408 3月に名古屋銀行と経営統合の基本合意
出所:しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第1〜4期(2023年3月期〜2026年3月期)(連結貸借対照表)
出所:しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第1〜4期(2023年3月期〜2026年3月期)(連結貸借対照表)

しずおかFG:名古屋銀行の経常収益と経常利益

名古屋銀行の経常収益(百万円)名古屋銀行の経常利益率(%)

名古屋銀行の経常利益は2026年3月期に280億円、経常利益率は22.6%

しずおかFG:名古屋銀行の経常収益と経常利益
(百万円) 名古屋銀行の経常収益名古屋銀行の経常利益 備考
2021年3月期 69,0509,876
2022年3月期 77,76215,721
2023年3月期 79,76511,495
2024年3月期 101,27614,513
2025年3月期 102,78820,899
2026年3月期 124,45628,081 基本合意を結んだ期。連結業務純益は22,019で前期比10,133増
出所:名古屋銀行 有価証券報告書 第103〜108期(2021年3月期〜2026年3月期)(連結損益計算書・業績の分析) / しずおかフィナンシャルグループ 臨時報告書(2026年3月27日)
出所:名古屋銀行 有価証券報告書 第103〜108期(2021年3月期〜2026年3月期)(連結損益計算書・業績の分析) / しずおかフィナンシャルグループ 臨時報告書(2026年3月27日)
当時の取締役 10名

当時の取締役(2025年6月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考

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