NOK イーグル工業との共同持株会社設立 32%出資の関連会社にとどめてきたメカニカルシールの旧部門と、オイルシールの本体とを一つの持株会社の下に並べる経営の一体化

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時期 2025年11月
当時の社長 鶴正雄
論点 持分法適用関連会社との関係とシール事業の体制
何をなぜ決めたか
概要

2025年11月10日、NOKの取締役会は、持分法適用関連会社のイーグル工業と共同株式移転で完全親会社を設けることを決議し、経営統合契約を結んだ。株式移転比率は1対1で、両社の株主に持株会社の株式を1株ずつ割り当てる。2026年6月の両社の定時株主総会で株式移転計画の承認を得て、10月1日にNOK Groupを設立した。

鶴正雄社長は同日でNOKの代表取締役を退き、NOK Groupの代表取締役に就いた。NOKは上場会社の立場を持株会社へ譲り、イーグル工業と並ぶ事業会社になる。

背景

イーグル工業は1964年、NOKのメカニカルシール製造部門が独立して日本シールオールとして設立され、1982年に東京証券取引所へ上場した。NOKは2025年9月末で発行済株式の32.03%を持ち、自動車向け製品の国内販売代理店を務めていたが、役員の兼任はなかった。ゴムのオイルシールと、金属・セラミックのメカニカルシールは材質も製品機能も異なり、研究開発・生産・販売は両社が別々に進めてきた。統合の理由に挙げたのは、回転機械の軸封部を封じる機能が、総合的な観点で「シーリング・ソリューション」として共通するという結論だった。

内容

比率は、NOKが選んだ大和証券とイーグル工業が選んだみずほ証券が、市場株価分析とDCF法で算定したレンジをもとに決めた。NOKがイーグル工業のその他の関係会社にあたるため、イーグル工業には上場規程の「MBO等に係る遵守事項」が及び、社外取締役4名と社外有識者1名の特別委員会から、一般株主にとって公正であるとの答申を得た。持株会社には戦略機能と間接部門を集め、NOKとイーグル工業は事業会社として各々の事業に専念する。株式移転計画の賛成率は、NOKで99.88%、イーグル工業で92.91%だった。

含意

統合の合意は、事務機器用ロール製品事業の譲渡、政策保有株式の売却と同じ時期に重なった。唐突な話ではないかという問いに、鶴正雄社長は 『今年度最終年度に入って降って湧いたように動き出したということではなく、当初からしっかりと準備をして動き出したことが、最終年度の成果として今出てきている』 と答えている。2026年5月には、統合会社の中期経営計画の最終年度にあたる2029年3月期に、両社単独の利益の単純合算を2桁%以上上回る営業利益を出す目標を示し、効果はまずコスト面に出ると見込んだ。2026年3月期の両社の単純合算は売上高9,159億円で、2031年の創立90周年に向けて掲げる売上高1兆円にはなお届かない。

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筆者の見解
筆者の見解

買うのではなく、並んで親を作る

3割強を持つ関連会社を取り込むだけなら、NOKが残りの株式を買い取って子会社にする道もありえた。それでも鶴正雄社長が選んだのは、NOK自身も上場会社の座を降り、1964年に切り出したイーグル工業と同じ一株で持株会社の下に並ぶ形だった。比率1対1の株式移転は、親が子を呑む買収の構図を避け、イーグル工業の一般株主と経営陣に対等な統合として受け入れさせるための作法だったと思われる。それでもイーグル工業の賛成率は92.91%と、NOKの99.88%より約7ポイント低い。

もっとも、イーグル工業の利益はすでに持分法を通じてNOKの経常利益に入っていた。2026年3月期の持分法による投資利益は9,482百万円で、経常利益の19.0%を占める。統合で新たに得るのは、残る約7割の持分というより、二つの上場会社に分かれていた投資配分の決定権のほうだろう。持株会社が、M&Aを含む事業投資とキャッシュ・フローの配分をグループ全体で決める体制になった。その成否を測る統合会社の中期経営計画は、本稿の時点でまだ示されていない。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

業績の推移
持分法による投資利益と経常利益

NOK:持分法による投資利益と経常利益

(百万円) 持分法による投資利益経常利益 備考
2021年3月期 △1218,339 持分法は投資損失12。イーグル工業以外の関連会社を含む全社の額
2022年3月期 3,47246,168
2023年3月期 6,14426,557
2024年3月期 9,12740,285
2025年3月期 8,79048,057
2026年3月期 9,48249,835 経営統合を決議した期。持分法の利益は経常利益の19.0%
経常利益と、持分法による投資利益の比率
経常利益(百万円)持分法による投資利益率(%)

出所:NOK 有価証券報告書 第115〜120期(2021年3月期〜2026年3月期)【連結損益計算書】【主要な経営指標等の推移】

NOKとイーグル工業の売上高と営業利益

NOK:NOKとイーグル工業の売上高と営業利益

(百万円) NOK売上高イーグル工業売上高NOK営業利益イーグル工業営業利益 備考
2021年3月期 596,369130,51314,467− イーグル工業の営業利益は有価証券報告書で照合できていない
2022年3月期 682,507140,84231,337− イーグル工業の営業利益は有価証券報告書で照合できていない
2023年3月期 709,956157,38015,3789,264
2024年3月期 750,502167,04222,9128,107
2025年3月期 766,859168,17237,2648,494
2026年3月期 738,434177,48832,99013,468 経営統合を決議した期。単純合算は売上高915,922、営業利益46,458
両社の売上高(単純合算)
NOK売上高(百万円)イーグル工業売上高(百万円)

出所:NOK 有価証券報告書 第115〜120期(2021年3月期〜2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】 / イーグル工業 有価証券報告書(2025年3月期・2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】 / NOK 臨時報告書(2025年11月11日)イーグル工業の最近3年間の売上高・営業利益

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参考文献
出典・参考
  • NOK 有価証券報告書 第115〜119期(2021年3月期〜2025年3月期)【連結損益計算書】【主要な経営指標等の推移】
  • NOK 有価証券報告書 第120期(2026年3月期)【沿革】
  • イーグル工業 有価証券報告書(2025年3月期・2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】
  • NOK 適時開示「NOK株式会社とイーグル工業株式会社との共同持株会社設立(株式移転)による経営統合に関する統合契約書の締結及び株式移転計画の作成について」
  • NOK 臨時報告書「臨時報告書(株式移転の決定)」
  • イーグル工業 臨時報告書「臨時報告書(株主総会の議決権行使結果)」
  • NOK 臨時報告書「臨時報告書(株主総会の議決権行使結果)」
  • NOK 臨時報告書「臨時報告書(代表取締役の異動)」
  • NOK 決算説明会 質疑応答「2026年3月期 第2四半期決算説明会」
  • NOK 決算説明会 質疑応答「2026年3月期 決算説明会」
  • NOK 有価証券報告書「第120期(2026年3月期)【経営上の重要な契約等】【関係会社の状況】【主要な経営指標等の推移】」

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