池田泉州ホールディングスとの経営統合で基本合意(2026年・滋賀銀行の決断)

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滋賀銀行:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
総資産で上回る地銀の、相手持株会社の子会社への移行と上場の終了2026年10月29日、滋賀銀行は取締役会で、池田泉州ホールディングス(HD)を株式交換完全親会社、自行を株式交換完全子会社とする経営統合に向けて協議・検討を進めることを基本合意すると決議した。池田泉州HDの商号を変更して統合持株会社とし、滋賀銀行は池田泉州銀行とともにその傘下の銀行子会社となる。両行は統合後も存続して商号と本店所在地を変えず、合併も予定していない。滋賀銀行の普通株式は、効力発生日に先立ち東京証券取引所で上場廃止となる予定である。

何をなぜ決めたか:総資産で上回る地銀の、相手持株会社の子会社への移行と上場の終了

概要

2026年10月29日、滋賀銀行は取締役会で、池田泉州ホールディングス(HD)を株式交換完全親会社、自行を株式交換完全子会社とする経営統合に向けて協議・検討を進めることを基本合意すると決議した。池田泉州HDの商号を変更して統合持株会社とし、滋賀銀行は池田泉州銀行とともにその傘下の銀行子会社となる。両行は統合後も存続して商号と本店所在地を変えず、合併も予定していない。滋賀銀行の普通株式は、効力発生日に先立ち東京証券取引所で上場廃止となる予定である。

株式交換比率はデュー・ディリジェンスと両社が起用する第三者算定機関の算定を踏まえ、最終契約の締結までに決める。統合持株会社の商号・代表者・役員構成も最終契約で定める。日程は2027年4月に最終契約、同年12月に両社の臨時株主総会、2028年4月1日に効力発生を予定し、関係当局の許認可や米国証券取引委員会へのForm F-4の提出が前提となる。本稿の時点で最終契約は結ばれていない。

背景

滋賀銀行は1933年10月に百卅三銀行と八幡銀行の対等合併で設立された。主な営業地域は滋賀県・京都府で、大阪府・兵庫県を地盤とする池田泉州HDとは2017年にATMの相互無料化を始めていた。2019年5月には地域トップ地銀の広域連携である「TSUBASAアライアンス」に参加した。2026年4月17日には池田泉州HDと資本業務提携「池田泉州・滋賀アライアンス」を締結し、相互の株式取得割合は0.5%〜1%程度を想定した。店舗は大阪府で池田泉州銀行81・滋賀銀行5、滋賀県で滋賀銀行85・池田泉州銀行0と重複が少ない。

2026年3月期の連結ROEは滋賀銀行が4.46%、池田泉州HDが7.10%だった。滋賀銀行は2026年5月に2029年3月期の連結ROE目標を「6%以上」から「8%以上」へ引き上げた。ありあけキャピタルは2025年4月に滋賀銀行株5.31%の大量保有を報告し、2026年5月の変更報告書で保有割合を6.48%とし、保有目的に資本政策・組織再編などの提案を加えた。同じ変更報告書の時点で池田泉州HD株も10.80%保有していた。

内容

同じ10月29日、滋賀銀行はアリアケ・マスター・ファンドと、池田泉州HDの普通株式30,523,100株を約366億円で取得する株式譲渡契約を締結した。取得は10月30日の予定で、保有は2,331,500株(議決権所有割合0.84%)から32,854,600株(同11.81%)になる。この取得は金融商品取引法の「公開買付けに準ずる行為として政令で定める買集め行為」に当たる。目的は統合の実現に向けた両社の関係強化と企業価値の向上で、当期の連結業績への影響は軽微とした。

2026年3月31日時点の連結総資産は滋賀銀行が7兆6,690億円、池田泉州HDが6兆5,959億円、連結純資産は5,090億円と2,539億円である。2026年9月30日時点の時価総額は7,068億円と3,213億円で、子会社となる滋賀銀行のほうが大きい。単純合算では総資産14.2兆円、預金等残高11.8兆円、貸出金残高9.5兆円の規模となる。

含意

統合の目的は、二つのブランドと地域の顧客との関係を基に「関西圏を広域にカバーする地域密着型金融グループ」として地域金融力を高めることにある。4月の提携以降、両社は経営資源の配分や成長投資を一体的かつ中長期的に行うことが持続的な成長につながるという認識を共有した。提携による連携効果は2030年度までの5年間で累計100億円を見込むが、統合による追加的な相乗効果はこの額に含まない。

統合が2027年3月期の連結業績に与える影響は軽微と見込む。10月23日には報道を受け、統合の検討は事実だが具体的に決定した事実はないと公表していた。同じ年の3月27日には、しずおかフィナンシャルグループ(FG)が2022年4月から提携してきた名古屋銀行と基本合意し、総資産15兆8,784億円のしずおかFGが6兆2,355億円の名古屋銀行を2028年4月1日を目途に株式交換で完全子会社とする。

いつ何が起きたか12件
筆者考察
考察

考察:総資産で上回る銀行が子会社となる統合

この決断は、地方銀行が単独の上場を続けるか、隣接地域の地銀と一つの持株会社のもとに並ぶかという問いへの答えである。滋賀銀行は統合を選び、しかも自行を子会社とする側に置いた。2026年3月末の連結総資産は7兆6,690億円で池田泉州HDの6兆5,959億円を上回り、時価総額も7,068億円と3,213億円で2倍以上の差がある。同じ日に約366億円で池田泉州HD株を取得し、議決権の11.81%を持つ予定とした。親子の向きで劣る分を、相手方の議決権の保有で補う判断と読める。最終契約は2027年4月の予定で、結論はまだ出ていない。

滋賀銀行は1933年に百卅三銀行と八幡銀行の対等合併で生まれた銀行である。2019年5月にはTSUBASAアライアンスに参加し、資本を伴わない広域連携を選んだ。2026年4月の池田泉州・滋賀アライアンスでは相互の持株を0.5%〜1%程度にとどめ、半年後の今回、そこから資本統合へ進んだ。この間の連結ROEは4.46%にとどまり、2026年5月には目標を8%以上へ引き上げていた。提携の段階を短い間に上げたのは、単独では目標と実績の差を埋めきれないという判断の表れとみられる。

しずおかFGは2026年3月27日に名古屋銀行と基本合意し、2028年4月1日を目途に株式交換で同行を完全子会社とする。2022年4月の業務提携から資本統合へ進んだ順序も、効力発生の目途の日も今回と同じである。違いは親子の向きにある。しずおかFGは総資産15兆8,784億円で6兆2,355億円の名古屋銀行を子会社化するのに対し、滋賀銀行は規模で上回りながら相手の持株会社の子会社となる。「対等の関係」を掲げたこの統合の意味は、最終契約で統合持株会社の代表者と役員構成がどう決まるかで定まることになるだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

数字で見る

滋賀銀行:両社の連結総資産の推移

滋賀銀行:両社の連結総資産の推移

滋賀銀行(百万円)池田泉州HD(百万円)

2026年3月期末の総資産は滋賀銀行が7兆6,690億円で、親会社となる側を上回る

滋賀銀行:両社の連結総資産の推移
(百万円)滋賀銀行池田泉州HD備考
2022年3月期7,537,9567,044,043
2023年3月期7,305,6986,219,089
2024年3月期7,970,5516,442,107
2025年3月期7,528,2176,431,321
2026年3月期7,669,0846,595,9812026年4月に資本業務提携。滋賀銀行が1兆円余り上回る
出所:滋賀銀行 有価証券報告書 第139期・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:滋賀銀行 有価証券報告書 第139期・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
滋賀銀行:両社の連結ROEの推移

滋賀銀行:両社の連結ROEの推移

滋賀銀行(%)池田泉州HD(%)

2026年3月期の連結ROEは滋賀銀行4.46%、池田泉州HD7.10%と差が開いた

滋賀銀行:両社の連結ROEの推移
(%)滋賀銀行池田泉州HD備考
2022年3月期3.694.62
2023年3月期3.284
2024年3月期3.424.64
2025年3月期45.52
2026年3月期4.467.1滋賀銀行は2026年5月に目標を8%以上へ引き上げ
出所:滋賀銀行 有価証券報告書 第135期〜第139期・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:滋賀銀行 有価証券報告書 第135期〜第139期・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
当時の取締役9名

取締役9名(2026年6月株主総会議決)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務久保田真也取締役:代表取締役業務執行:頭取担当:
堀内勝美取締役:代表取締役業務執行:専務担当:
遠藤良則取締役:取締役業務執行:常務担当:
戸田秀和取締役:取締役業務執行:常務担当:
田中伸幸取締役:取締役業務執行:常務担当:
高橋祥二郎取締役:取締役業務執行:会長担当:
独立役員竹内美奈子取締役:取締役業務執行:担当:非常勤
服部力也金融取締役:取締役業務執行:担当:非常勤
鎌田沢一郎金融取締役:取締役業務執行:担当:非常勤
この一覧は2026年6月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • 滋賀銀行 公式サイト「沿革」(2026年10月)
  • 滋賀銀行 公式サイト「沿革」(2026年10月)/滋賀銀行 有価証券報告書 第138期(2025年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
  • 滋賀銀行 有価証券報告書 第139期(2026年3月期)・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 滋賀銀行 有価証券報告書 第139期(2026年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
  • ありあけキャピタル 変更報告書(池田泉州ホールディングス株式、2026年5月13日提出)
  • ありあけキャピタル 大量保有報告書(滋賀銀行株式、2025年4月14日提出)
  • 滋賀銀行 有価証券報告書 第139期・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 滋賀銀行 有価証券報告書 第135期〜第139期・池田泉州ホールディングス 有価証券報告書 第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】
  • 滋賀銀行・池田泉州ホールディングス 適時開示「株式会社滋賀銀行と株式会社池田泉州ホールディングスの経営統合に関する基本合意について」
  • 滋賀銀行 適時開示「株式会社池田泉州ホールディングス(証券コード8714)株式の買集め行為に該当する株式取得に関するお知らせ」
  • 滋賀銀行 適時開示「一部報道について」
  • 滋賀銀行・池田泉州ホールディングス ニュースリリース「滋賀銀行と池田泉州ホールディングスによる資本業務提携の締結について」
  • しずおかフィナンシャルグループ・名古屋銀行 適時開示「経営統合に関する基本合意について」
  • 滋賀銀行 臨時報告書「臨時報告書(株式交換の決定)」
  • 池田泉州ホールディングス 臨時報告書「臨時報告書(株式交換の決定)」
  • ありあけキャピタル 大量保有報告書「変更報告書(滋賀銀行株式・池田泉州ホールディングス株式)」
  • 滋賀銀行 有価証券報告書「第139期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】【大株主の状況】」
  • 池田泉州ホールディングス 有価証券報告書「第17期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】」

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