ジョイフル本田との共同持株会社設立(2026年・アークランズの決断)

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論点 トップ人事の譲歩と引き換えに統合するか
アークランズ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
社長・会長職の相手方への委譲と、対等の精神による共同持株会社化

何をなぜ決めたか:社長・会長職の相手方への委譲と、対等の精神による共同持株会社化

概要

2026年4月14日、アークランズは取締役会で、ジョイフル本田と共同株式移転により共同持株会社を設け、対等の精神の下で経営統合する基本合意書の締結を決議し、同日に締結した経営判断。アークランズ株1株に持株会社株1株、ジョイフル本田株1株に1.15株を割り当て、交付する新株は138,085,675株を見込む。両社は持株会社の完全子会社となって上場を廃止し、持株会社がテクニカル上場する。効力発生日は当初2027年3月1日とした。

背景

アークランズの規模は買収で膨らんできた。2020年にLIXILビバを公開買付けで取得して子会社とし、2022年9月に吸収合併して現商号に改めた。2025年6月にはペッツファーストホールディングスを完全子会社とした。ただ小売事業の利益は細っている。2026年2月期の営業収益は276,722百万円と前期比8.4%増えたが、セグメント利益は4,496百万円と19.1%減った。ジョイフル本田とは2001年に北海道のジョイフルエーケーを共同で設立し、2006年にはホンダ産業(現ジョイフル本田)が持つ新潟店の営業を譲り受けた間柄にある。

内容

持株会社は監査役会設置会社とし、取締役9名のうち5名を社外取締役とする。代表取締役会長にジョイフル本田取締役顧問の本田理氏、代表取締役社長にジョイフル本田の平山育夫社長が就き、アークランズからは坂本晴彦会長が代表取締役副社長、伊野公敏取締役管理本部長が取締役に入る。グローバルグループ代表の坂本勝司氏は相談役となる。本店はアークランズが連絡場所とするさいたま市浦和区上木崎に置く。アークランズの算定機関SMBC日興証券の市場株価法の算定は1.14〜1.17で、合意した1.15はこの幅に収まる。

含意

2026年2月期の連結売上高341,141百万円は、ジョイフル本田の2025年6月期の単体売上高128,980百万円を大きく上回る。それでも持株会社の会長・社長の2つの代表職は相手方に渡し、自社は副社長の座を取った。統合の芯に置いたのは、両社の構想に賛同するホームセンターを集める「専門店集合型ホームセンター構想」である。その後、2025年6月に完全子会社としたペッツファーストホールディングスに不適切な会計処理の疑義が判明し、アークランズは外部専門家だけで構成する特別調査委員会を設けた。2026年7月3日、最終契約と株式移転計画の日程は未定に改められた。

いつ何が起きたか 7件
当時の取締役 9名

当時の取締役(2025年5月株主総会決議)

考察:大きいほうが代表職を譲った統合
考察

考察:大きいほうが代表職を譲った統合

売上高で見れば、アークランズはジョイフル本田の2倍を超える。それでも持株会社の会長と社長はジョイフル本田から出し、アークランズは副社長と本店の所在地を取った。対等の精神をうたう統合で、大きいほうが代表職を譲るのは珍しい。坂本晴彦会長が選んだのは規模の主導権ではなく、1.6%まで細った小売事業の利益率を、単体で6%台を保つ相手の店づくりで立て直す道だったとみられる。移転比率の1.15が市場株価の算定の幅に収まったのも、条件では争わず人事で折り合った結果だろう。

もっとも、その前提を揺らしたのはアークランズ自身の買収だった。ペッツファーストホールディングスは坂本会長が会長CEOを兼ねる子会社で、不適切な会計処理の疑義によって最終契約は先へ延びた。ジョイフル本田は7月3日の取締役会で日程を未定に改め、統合の諸条件を精査し直すとしている。調査の結果次第では、1.15という比率や代表職の配分が組み直される余地も残る。統合が実現するかは、本稿の時点では決まっていない。

Yutaka Sugiura, 2026年10月
数字で見る 3表

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図と表

アークランズ:ジョイフル本田の業績(単体)

売上高(百万円)営業利益率(%)

単体の営業利益率は2023年6月期の9.0%から2026年6月期は6.8%へ下がった

アークランズ:ジョイフル本田の業績(単体)
(百万円) 売上高営業利益 備考
2022年6月期 123,555− 営業利益を有報の逐語で照合できていない
2023年6月期 123,36211,095
2024年6月期 126,89410,568
2025年6月期 128,98010,748
2026年6月期 130,1468,880 基本合意を締結した期。この期から連結決算へ移行し、表は単体の値
出所:アークランズ 臨時報告書(2026年5月1日提出、株式移転の決定)。2023年6月期〜2025年6月期 / ジョイフル本田 有価証券報告書 第50期・第51期(主要な経営指標等の推移、損益計算書)
出所:アークランズ 臨時報告書(2026年5月1日提出、株式移転の決定)。2023年6月期〜2025年6月期 / ジョイフル本田 有価証券報告書 第50期・第51期(主要な経営指標等の推移、損益計算書)

アークランズ:小売事業セグメントの推移

外部顧客への営業収益(百万円)セグメント利益率(%)

小売事業の利益率は2026年2月期に1.6%まで下がり、セグメント利益は4,496百万円

アークランズ:小売事業セグメントの推移
(百万円) 外部顧客への営業収益セグメント利益 備考
2024年2月期 253,8625,977
2025年2月期 255,2705,559
2026年2月期 276,7224,496 2025年6月にペッツファーストHDを完全子会社化
出所:アークランズ 有価証券報告書 第56期・第57期【セグメント情報】
出所:アークランズ 有価証券報告書 第56期・第57期【セグメント情報】

アークランズ:アークランズの大株主(2026年2月28日)

  • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9%
  • 有限会社武蔵 6%
  • 日本カストディ銀行(信託口) 4%
  • アークランズ取引先持株会 4%
  • 坂本勝司 2%
  • 坂本晴彦 2%
  • 坂本洋司 2%
  • その他 71%

坂本勝司氏・坂本晴彦氏・坂本洋司氏の持株比率は計6.03%、上位10名は34.36%

アークランズ:アークランズの大株主(2026年2月28日)
(%) 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.01
有限会社武蔵 6.15
日本カストディ銀行(信託口) 3.9
アークランズ取引先持株会 3.5
坂本勝司 2.4
アークランズ従業員持株会 2.22
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505223 2.05
坂本晴彦 1.99
坂本洋司 1.64
野村信託銀行(投信口) 1.5
出所:ジョイフル本田 臨時報告書(2026年5月1日提出、株式移転の決定)。自己株式を除く発行済株式に占める割合
出所:ジョイフル本田 臨時報告書(2026年5月1日提出、株式移転の決定)。自己株式を除く発行済株式に占める割合
当時の取締役 9名

当時の取締役(2025年5月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考
  • アークランズ 臨時報告書「臨時報告書(株式移転の決定)」
  • ジョイフル本田 臨時報告書「臨時報告書(株式移転の決定)」
  • アークランズ 有価証券報告書「第57期(2026年2月期)【沿革】【セグメント情報】【重要な後発事象】」
  • アークランズ 有価証券報告書「第56期(2025年2月期)【セグメント情報】」
  • ジョイフル本田 有価証券報告書「第51期(2026年6月期)【主要な経営指標等の推移】【損益計算書】【重要な後発事象】」

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