非資源事業へのシフト(2017年・双日の決断)

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双日:業績の推移
売上高(億円)税引前利益率(%)
資源市況に業績が振られない収益構造への、収益モデルの組み替え2017年6月に社長へ就任した藤本昌義社長のもとで、双日が資源価格の上下に業績が振られにくい非資源分野へ事業構成を傾け、上位商社との規模の差を機能と独自色で埋めようとした戦略。他社の後追いを避ける"双日らしさ"を掲げ、ベトナムの食料・リテール、省エネ、水産などを積み上げた。2024年に社長を承継した植村幸祐社長は、これを"カタマリ戦略"として引き継いだ。

何をなぜ決めたか:資源市況に業績が振られない収益構造への、収益モデルの組み替え

概要

2017年6月に社長へ就任した藤本昌義社長のもとで、双日が資源価格の上下に業績が振られにくい非資源分野へ事業構成を傾け、上位商社との規模の差を機能と独自色で埋めようとした戦略。他社の後追いを避ける"双日らしさ"を掲げ、ベトナムの食料・リテール、省エネ、水産などを積み上げた。2024年に社長を承継した植村幸祐社長は、これを"カタマリ戦略"として引き継いだ。

背景

双日は2004年にニチメンと日商岩井の統合で発足し、1兆5000億円を超える有利子負債を抱えた財務再建に十年近くを費やした。2016年3月期の連結売上高は1兆6580億円、当期純利益は365億円で、資源権益と取扱高で先行する三菱商事・三井物産・伊藤忠商事とは収益力に差があった。資源市況の振れに左右される総合商社の収益構造から、距離を置く必要があった。

内容

藤本昌義氏(社長)は大手五社との正面競合を避け、規模より機能を重んじる非資源分野へ投資を向けた。副業解禁・社内起業・ジョブ型雇用を商社で先んじて入れ、若手の新規事業を促した。植村幸祐氏(社長)は点在する事業を線から面、さらに塊へ統合する"カタマリ戦略"を掲げ、中期経営計画2026で三カ年平均の当期純利益1200億円超・成長投資6000億円超・自己資本利益率12%超を目標と定めた。

いつ何が起きたか8件
筆者考察
考察

考察:規模を追わず、独自色で収益を上げるという選択

双日の非資源差別化は、規模で上位商社に及ばない中堅商社が、資源市況の振れという総合商社共通のリスクからどう身を守り、どこで独自に稼ぐかという問いへの一つの答えであった。藤本昌義社長が掲げた"双日らしさ"は当初、輪郭のつかみにくい標語でもあったが、非資源分野の利益が積み上がり、発足以来の最高益となって表れたことで、実体を伴う路線へと変わった。規模を追う競争から降り、事業のつながりで稼ぐという選び方は、下位に置かれた商社が生き残るための現実的な解の一つとみられる。

もっとも、この路線がどこまで通用するかは、なお見きわめの途中にある。非資源の利益を"実力として1000億円超"に育てるという目標は、資源市況の追い風を除いた地力で立てられるかを問う。植村幸祐社長が継いだ"カタマリ戦略"も、点在する事業を本当に一つの塊としてまとめ、上位商社に対抗しうる厚みを生めるかどうかで評価が定まる。ニチメンと日商岩井の統合、そして十年の財務再建を経た双日にとって、規模ではなく独自色で商社の存在意義を示せるかは、これからの十年が答えを出す課題として残っている。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
当時の取締役7名

取締役7名(2017年6月株主総会決議)

役員名役職
取締役業務執行担当領域
佐藤洋二商社取締役:代表取締役業務執行:会長担当:
原大金融取締役:取締役業務執行:会長担当:
藤本昌義商社取締役:代表取締役業務執行:会長担当:
石倉洋子学者取締役:取締役業務執行:担当:
北爪由紀夫官僚取締役:取締役業務執行:担当:
水井聡商社取締役:業務執行:執行役員担当:社長補佐、米州、欧州・ロシアNIS管掌
田中精一商社取締役:業務執行:執行役員担当:CFО、主計、営業経理、財務、IR、フィナンシャルソリューション管掌
この一覧は2017年6月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
  • 双日「中期経営計画2026」(2024年5月1日公表)
  • 双日 ニュースリリース(2023年11月22日)「ベトナムの業務用食品卸最大手 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化について」

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