双日 の歴史

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創業 2003年
母体 ニチメン+日商岩井
創業地 東京都
創業
2003年4月、総合商社のニチメンと日商岩井は株式移転で共同持株会社を設立した。ニチメンは1892年設立の綿花輸入商・日本綿花が日綿實業を経て1982年に改称し、日商岩井は1862年に岩井文助が興した雑貨舶来商と1874年創業の鈴木商店を源に、鈴木商店の破綻後に旧幹部が興した日商と岩井産業が1968年に合流して生まれた。翌2004年4月に子会社2社が合併して双日となり、2005年10月に持株会社と一本化した。三系統の商社が一つの法人へ集まったが、統合を動かしたのは事業の重なりではなく、両社の資金繰りを握る取引銀行の事情だった。
決断
痛みを先に出し切ってから事業を選ぶ、という順序を崩していない。2004年7月、西村英俊社長は総額2500億円規模の損失処理を軸とする再建計画を発表し、旧日商岩井の聖域だった航空機ファイナンスまで撤退候補に並べた。発足初年度の2005年3月期には特別損失4534億円を計上して4124億円の最終赤字を出し、優先株の発行残高は6160億円に達した。並行して、発足時に1兆5000億円を超えていた連結有利子負債を代が替わっても財務健全化を最優先に据えて圧縮し続け、2016年3月末には9227億円まで縮めている。銀行に背を押されて生まれた会社が、収益部門であっても低採算なら切るという基準を10年守り切った。
現況
資源に賭けない事業構成である。2026年3月期の連結売上高は2兆7573億円、当期純利益1036億円で、三期続けて1000億円台を保った。セグメント別の当期純利益はエネルギー・ヘルスケア319億円を筆頭に、化学200億円、航空・社会インフラ155億円、リテール・コンシューマーサービス142億円、生活産業・アグリビジネス59億円と非資源が上位を占め、金属・資源・リサイクルは48億円、自動車は53億円の赤字。2017年から非資源分野へ利益の重心を移し続けた帰結で、利益はベトナムの省エネサービスや水産、合成樹脂や工業薬品の化学トレードが運ぶ。
競合
規模では上位5社に遠く及ばない。2026年3月期の当期純利益は、伊藤忠商事9003億円、三井物産8340億円、三菱商事8005億円、住友商事6003億円、丸紅5439億円に対し、双日は1036億円で、最も近い丸紅の5分の1にも届かない。商社の淘汰と再編は繰り返されてきた。1977年に伊藤忠商事が銀行の求めで安宅産業を引き受け、2002年には丸紅が不良資産を抜本処理して再建へ動いた。双日はその系譜の末尾に立つ。資源権益の厚みで市況の上振れを取る戦い方では上位に達しない。代わりに上位が取りに行かない規模の案件を集約し、ベトナムでは業務用食品卸の最大手の全株式を取得して川下まで押さえている。
双日:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
1997年3月期2026年3月期
双日における経営の転換点(その1) Q なぜ2003年の経営統合は事業の重なりではなく銀行の都合で決まったのか
A 双日はニチメンと日商岩井が2003年4月に株式移転で共同持株会社をつくり、2004年4月に両社が合併して生まれた総合商社である。統合の当事者はいずれもUFJグループの大口融資先で、発足後の双日もその融資に依存する構図が続いた。それは計画の中身にも及んだ。双日は2004年3月末までに連結有利子負債4000億円以上・従業員7000人以上を削り、3年間の数値目標を初年度で達成していたが、同年6月以降の環境変化とUFJの意向によって計画を積み増す形へ修正している。UFJが金融庁から業務改善命令を受け、格付け機関が双日の格付けを引き下げると、短期借入依存の資金繰り懸念が一気に強まった。事業の重なりではなく銀行の資産査定が、統合の時期も再建の速度も決めていた。
双日における経営の転換点(その2) Q なぜ2004年に「聖域」だった航空機ファイナンスまで撤退候補にしたのか
A 銀行主導の統合で発足した双日は財務再建を最優先せざるを得ず、収益部門であっても低採算なら整理する例外なき選別を迫られたからである。発足時点の連結有利子負債は1兆5000億円を超えていた。2004年7月23日、西村英俊社長は保有不動産の含み損処理や低採算事業からの撤退で総額2500億円規模の損失を処理し、優先株の発行などで同規模の増資を行う新再建計画を発表した。旧日商岩井の航空機部門は「空を独占した」と言われた花形で、1990年代以降の需要減退で低採算事業の筆頭格に落ちてなお、名門の誇りをつなぐ精神的支柱としてリストラを免れてきた。その航空機ファイナンスにまで縮小・撤退候補が広げられた。規模の維持ではなく生き残りを優先する基準が、ここで確定した。
双日における経営の転換点(その3) Q なぜ2024年以降「カタマリ戦略」で非資源シフトと自己株式消却を進めるのか
A 資源市況に振られる権益依存から脱し、自前で値を付けられる事業の集合体で安定した収益力をつくるためである。2024年に社長へ就いた植村幸祐氏は、点在する事業を線から面、さらに塊へ束ねる「カタマリ戦略」を掲げ、同年5月1日に公表した中期経営計画2026へ三カ年平均の当期純利益1200億円超・成長投資6000億円超・自己資本利益率12%超を据えた。非資源分野の収益貢献額は2025年3月期に800億円を超え、翌期は900億円超を見込む一方、新規投資は非資源へ寄せ、資源分野への投資は限定的にとどめる方針である。中計2026は2030年に当期純利益2000億円・時価総額2兆円という企業価値の二倍化を先の目標に置き、2025年8月には1500万株の自己株式を消却して発行済株式数を2億2500万株から2億1000万株へ減らした

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双日の沿革2003〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
2003〜2004年UFJが決めた統合と、2500億円の損失処理西村英俊ニチメンと日商岩井の株式移転による共同持株会社の設立と、2660億円の優先株発行

2002年12月11日、日商岩井とニチメンが共同持株会社方式による経営統合の方針を発表し、2003年4月に株式移転でニチメン・日商岩井ホールディングスを設立した経営判断。2003年5月には取引金融機関6社と米国の投資銀行リーマン・ブラザーズに対し総額2660億円の優先株を発行し、2004年4月に傘下2社が合併して双日が発足した。

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西村英俊ニチメン・日商岩井が合併し双日誕生★★
西村英俊双日HDに商号変更
西村英俊総額2500億円の損失処理と、航空機ファイナンスという「聖域」への切り込み

2004年7月23日、発足間もない双日が、保有不動産の含み損処理や低採算事業からの撤退などにより総額2500億円規模の損失を処理し、優先株の発行などで同規模の増資を実施する新再建計画を発表した経営判断。西村英俊社長は、旧日商岩井が守ってきた航空機ファイナンス事業までも縮小・撤退の候補に挙げた。

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土橋昭夫旧双日を合併し商号を双日に変更、事業会社へ移行★★
加瀬豊リーマンショック影響で業績急落
加瀬豊純損失36億円計上・赤字転落★★
佐藤洋二純利益134億円で黒字回復
佐藤洋二有利子負債1兆5000億円の圧縮と旧二社の組織融合という10年の再建

双日が発足した2004年から2010年代半ばにかけて、経営統合で抱えた連結有利子負債1兆5000億円超を9200億円台まで圧縮し、旧ニチメン系と旧日商岩井系という二つの組織を一つの会社へ融合させた財務再建。銀行主導の統合が残した重い負債と分断された組織を、初代の西村英俊社長から加瀬豊社長、佐藤洋二社長へと代を継いで立て直した10年の取り組みである。

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2016〜2026年「双日らしさ」を掲げた非資源分野への傾斜藤本昌義資源市況に依存しない「双日らしさ」を掲げた非資源差別化戦略

2017年6月に社長へ就いた藤本昌義社長のもとで、双日が資源市況に左右されにくい非資源分野へ事業構成を傾け、上位商社との規模の差を機能と独自色で埋めようとした戦略。『他社と同じことをしていても意味がない』という『双日らしさ』を掲げ、ベトナムの食料・リテール、省エネ、水産などを積み上げた。2024年に社長を継いだ植村幸祐社長は、これを『カタマリ戦略』として引き継いだ。

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藤本昌義純利益1112億円と発足来最高益を更新
植村幸祐植村幸祐氏が社長COOに就任(同年6月に代表取締役社長)
植村幸祐中期経営計画2026発表
植村幸祐純利益1106億円・非資源分野800億円超を達成
出典・参考
  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2019年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2022年3月期)
  • 双日 ニュースリリース(2023年11月22日)「ベトナムの業務用食品卸最大手 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化について」
  • 双日 有価証券報告書(2023年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2024年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2025年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2026年3月期)
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
  • 日経ビジネス 2004年8月2日号
  • 日経ビジネス 2004年8月30日号
  • 財界オンライン(2024年9月27日)
  • 双日 適時開示(2025年8月22日)「自己株式の消却に関するお知らせ」
  • 双日「中期経営計画2026」(2024年5月1日公表)

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