監査等委員会設置会社へ移行(2025年・NTTの決断)

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論点監査役会を廃し社外取締役を半数にするか
NTT:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
総務大臣の認可を経て監査役会を廃し、社外比率50%の取締役会へ組み替えた機関設計2025年6月19日の第40回定時株主総会で定款の一部変更が承認され、総務大臣の認可を経て監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。取締役会は独立社外取締役8名を含む16名で構成され、社外取締役比率は50%となった。

何をなぜ決めたか:総務大臣の認可を経て監査役会を廃し、社外比率50%の取締役会へ組み替えた機関設計

概要

2025年6月19日の第40回定時株主総会で定款の一部変更が承認され、総務大臣の認可を経て監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。取締役会は独立社外取締役8名を含む16名で構成され、社外取締役比率は50%となった。

監査等委員会は、監査等委員である取締役2名と監査等委員である社外取締役3名の合計5名。定款上の取締役の員数は15名以内から17名以内へ改め、うち監査等委員である取締役は5名以内とした。

背景

採用の目的に挙げたのは、経営方針・戦略に関する議論の一層の充実、取締役会のモニタリング機能の更なる強化、そしてグローバル企業として海外投資家等からも理解が得られやすいガバナンス形態の実現である。

2020年12月にNTTドコモ、2025年9月にNTTデータグループを完全子会社化し、上場子会社は無くなった。2024年4月に成立した日本電信電話株式会社等に関する法律の一部改正で外国人役員規制が一部緩和され、グローバル事業の強化に向けて外国人取締役を登用している。

内容

同じ総会の定款変更で商号も改め、2025年7月1日から商号はNTT株式会社となった。定款の変更には同法第11条により総務大臣の認可が要るが、商号の変更に係る決議はその対象から外れている。認可を要したのは機関設計の側だった。

移行にともない監査役会は廃止され、監査等委員会が引き継いだ。2025年度は移行前の監査役会を7回、移行後の監査等委員会を16回開催し、執行部から説明を聴取する打合せ会を合計32回開いている。企業倫理ヘルプラインの独立通報ルートも監査役から監査等委員会へ移した。

含意

取締役会の事前審議等機関として任意に置く指名委員会・報酬委員会は、取締役5名(過半数の3名が独立社外取締役)という構成のまま残した。法定の委員会を設置する指名委員会等設置会社ではないため、指名と報酬の決定権限は取締役会にとどまる。

外国人を代表取締役とすることはできず、外国人が取締役の三分の一以上を占めることもできない。この制限は緩和後も残っている。

いつ何が起きたか6件
当時の取締役16名

当時の取締役(2025年6月株主総会決議)

考察:監視の担い手を取締役に繰り入れる
考察

考察:監視の担い手を取締役に繰り入れる

この移行が変えたのは監査の機関設計の名称ではなく、取締役会の頭数の内訳だったとみられる。取締役は10名から16名へ、独立社外取締役は5名から8名へ増加し、社外が半数を占めた。監査役は取締役会の外から監査する立場だが、監査等委員は取締役として議決権を持つ。監査役会設置会社のままで社外比率を50%に達させるには社外取締役を積み増すほかなかったのに対し、監査等委員を取締役に繰り入れれば、監視の担い手がそのまま取締役会の構成に算入される。海外投資家にも理解が得られやすい形態という説明は、この算術と地続きである。

もっとも、この会社の統治は会社法だけで閉じない。定款の変更には総務大臣の認可が要り、外国人を代表取締役に据えることも、取締役の三分の一以上を外国人で占めることもできない。同じ総会で決めた商号の変更は認可の対象外である一方、機関設計の変更には認可が要ったという対比は、どこまでを自分で決められる会社なのかを端的に示しているのかもしれない。機関設計を投資家に分かる形へ替えても、その枠組みを定めているのは依然として法律である。

Yutaka Sugiura, 2026年9月
数字で見る2表

数字で見る

図と表

NTT:所有者別の持株比率

NTT:所有者別の持株比率
(%)政府・地方公共団体外国法人等(個人以外)個人その他備考
2021年3月期32.3621.0422.5
2022年3月期34.8622.0518.23
2023年3月期32.2920.4121.83
2024年3月期32.2518.6925.072023年7月に1株を25株へ分割。株主数は71万から178万へ増加した
2025年3月期32.2513.8429.79外国法人等(個人以外)が前期から4.85ポイント下がり、個人その他が3割に近づいた
2026年3月期32.2514.16322025年6月19日に監査等委員会設置会社へ移行。個人その他が32.00%となった
出所:NTT 有価証券報告書 第36〜41期【株式等の状況】所有者別状況。比率は各期末の単元数に対するもの
出所:NTT 有価証券報告書 第36〜41期【株式等の状況】所有者別状況。比率は各期末の単元数に対するもの

経緯と対応

経緯と対応
科目概要備考
決議した総会2025年6月19日第40回定時株主総会で定款の一部変更が承認された
移行に要した手続き総務大臣の認可日本電信電話株式会社等に関する法律第11条により、定款の変更の決議に認可が要る
移行前の形態監査役会設置会社監査役会は社内監査役2名と独立社外監査役3名の合計5名で構成していた
移行後の形態監査等委員会設置会社コーポレート・ガバナンス体制の一層の充実等を図るとした
採用の目的海外投資家等からも理解が得られやすい形態経営方針・戦略の議論の充実と取締役会のモニタリング機能の強化もあわせて挙げた
取締役会の構成取締役16名(うち独立社外取締役8名)社外取締役比率は50%。移行前は取締役10名・独立社外取締役5名だった
監査等委員会の構成5名監査等委員である取締役2名と監査等委員である社外取締役3名。各1名ずつ女性2名を含む
定款上の取締役の員数17名以内移行前は15名以内。うち監査等委員である取締役は5名以内と定めた
任意の委員会指名委員会・報酬委員会取締役5名で構成し、過半数の3名が独立社外取締役。移行後も構成を変えていない
同じ総会で決めた商号変更2025年7月1日にNTT株式会社へ商号の変更に係る決議は、総務大臣の認可を要する事項から除かれている
外国人役員の規制代表取締役は不可・取締役の3分の1未満2024年4月成立の法改正で一部緩和され、外国人取締役を登用した
移行期の会議の開催監査役会7回・監査等委員会16回2025年度。別に監査役打合せ会と監査等委員打合せ会を合計32回開いた
出所:NTT 有価証券報告書 第40期(2025年3月期)・第41期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【監査の状況】【事業等のリスク】【沿革】
出所:NTT 有価証券報告書 第40期(2025年3月期)・第41期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【監査の状況】【事業等のリスク】【沿革】
当時の取締役16名

当時の取締役(2025年6月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考
  • NTT 有価証券報告書「第40期(2025年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
  • NTT 有価証券報告書「第41期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
  • NTT 有価証券報告書「第41期(2026年3月期)【監査の状況】」
  • NTT 有価証券報告書「第41期(2026年3月期)【事業等のリスク】」
  • NTT 有価証券報告書「第41期(2026年3月期)【沿革】」
  • NTT コーポレート・ガバナンス報告書「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」

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